作家、今野敏の小説「天を測る」(2020年12月単行本、23年9月文庫本刊行)と「隠蔽捜査」(2005年5月単行本、08年2月文庫本刊行)を読みました。
(著者の今野敏さんについて)
1955年、北海道三笠市生まれ。上智大学在学中の1978年「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞受賞し、デビュー。卒業後、レコード会社勤務を経て作家に。2006年、『隠蔽捜査』で、吉川英治文学新人賞、2008年『果断 隠蔽捜査2』で、山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、2017年、「隠蔽捜査」シリーズで、吉川英治文庫賞を受賞。また、「空手道今野塾」を主宰し、空手、棒術を指導している。近著に『アンカー』『回帰 警視庁強行犯係・樋口顕』『サーベル警視庁』などがある。
(帯裏にある本書の紹介)
安政7(1860)年、笠間藩士・小野友五郎はサンフランシスコを目指す咸臨丸の船上にあった。船酔いで船室に籠もる艦長・勝海舟を尻目に、その正確な測量術はアメリカ人船員を感嘆させる。帰国後、幕臣となった小野は、回天の動乱の中で公儀とこの国のために働き続ける。知られざる幕末の英雄を描く。
(感想など)
著者の今野さんは、警察小説やユーモラスな世直し小説を書いていますが、本作は幕末の出来事を扱った歴史小説で、その作風の幅広さに、まず驚きました。また、一般には知られていない「小野友五郎」を主人公に据え、幕末の技術官僚を描いた点が新鮮でした。
茨城県の笠間藩士であった小野友五郎は、数学を学び、のちに長崎で天文学やオランダ語を習得し、咸臨丸に測量方兼運用方として乗船。正確な船の位置測定は、アメリカ人船員をも驚かせるもので、当時の日本の技術力の高さを物語り、このへんがハイライトです。
後年、小野友五郎は、咸臨丸で小笠原諸島の測量を行い、それが、同諸島を日本の領土とするのに役立つなど、多くの業績を残していて、感銘を受けました。幕末を扱った小説やドラマだと、明治新政府側の人物が多く描かれますが、徳川幕府側を描いた著者の目のつけどころが素晴らしい。
(引き続き、読んだ今野敏さんの著書)
表紙
(カバー裏にある本書の紹介)
竜崎伸也は、警察官僚である。現在は警察庁長官官房でマスコミ対策を担っている。その朴念仁ぶりに、周囲は“変人”という称号を与えた。だが彼はこう考えていた。エリートは、国家を守るため、身を捧げるべきだ。私はその信条に従って生きているにすぎない、と。組織を揺るがす連続殺人事件に、竜崎は真正面から対決してゆく。警察小説の歴史に新たな一章を加えた、吉川英治文学新人賞受賞作。
(感想など)
警察官僚としての信念をもった行動、家族の問題にも向き合う主人公の竜崎真也の物語は、文句なく面白い。テンポが良くて、臨場感に富んだ小説です。シリーズ化されているので、第2作目以降も読みます。
今野敏氏と、その作品のご紹介を、ありがとうございました〜!😊
さらに、wikiで見たのですが、隠蔽捜査のように、シリーズものも幾つかあって、作品の多さに、驚きました〜♫
学生時代から、様々な分野において、ご経験があり、多趣味でいらっしゃり、それらは、作品作りに、反映していそうです。
小野友五郎氏についても、ちょっと検索してみました。
私も、この人物について、存じませんでした・・・。
生き様は、奥が深過ぎて、よく理解はできてませんが、azumino 様の”天を測る”の感想を読み、色々な方々により、日本の歴史が形作られ、今日に至るんだな〜と、思わされましたわ〜♫
読書の秋〜、
”隠蔽捜査”は、第2作目以降も、楽しみですね〜♪
ティーガーデン
今野敏さんは、今回、幕末技術官僚の小野友五郎を主人公にした、歴史物を描いていて、書店で見た際には、本当に今野さんが書いたのかと、ちょっとびっくりしました。
小説ではあるものの、小野友五郎という人物について、知らしめたのは、今野さんの大きな業績だと思いました。「隠蔽捜査」の方も読み続けていてこれからシリーズ第4作目です(笑)。
コメントありがとうございます。