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安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

サヒブ・シハブ SAHIB'S JAZZ PARTY

2017-09-13 21:12:28 | その他木管楽器

2017年8月発行の雑誌「Jazz Perspective vol.14」(ディスク・ユニオン発行)の特集は、デンマークのジャズです。同国のジャズの歴史や現状、代表的なアルバムなどが記されています。ジャズフェスティバルの取材を通して、今でもジャズが盛んであることがわかりますが、かつて、ケニー・ドリューやデクスター・ゴードンなど渡欧した米国ミュージシャンが活躍した国でもあります。デンマークに移住したミュージシャンのアルバムを聴きます。

SAHIB SHIHAB (サヒブ・シハブ)
SAHIB'S JAZZ PARTY (debut 1963年録音)

   

サヒブ・シハブ(1925~1989年)の名前は、読みづらく発音しにくいのですが、かえってすぐに覚えてしまいました。もとは米国のミュージシャンで、ブルーノ―トやプレステティッジなどにサイドメンとしての録音があり、リーダー作はサヴォイレーベルにあります。既に実績を積んでいるだけに、1959年に渡欧し、1962年にデンマークに定住してからも活躍が続き、快作をいくつか残しています。

メンバーは、サヒブ・シハブ(fl,ss.bs)、アラン・ボッチンスキー(flh)、オレ・モリン(g)、ニールス・ぺデルセン(b)、アレックス・リール(ds)、ビヤルン・ロストボルド(ds)。シハブは、最初、アルトサックスを吹き、ディジー・ガレスピー楽団でバリトンサックスを手掛け、その後他の楽器もマスターしたマルチリード奏者です。サイドメンでの注目は、ぺデルセン(b)でしょう。

曲は、シハブの自作が、「4070 Blues」、「Conversations Part 1」、「Conversations Part 2」、「Conversations Part 3」にCD追加曲の「Not Yet」、スタンダードが「Charade」(シャレード)とCD追加曲の「Billy Boy」と「Someday My Prince Will Come」(いつか王子様が)。オリジナルの収録曲が5曲で、そこにCDへの追加が3曲です。

コペンハーゲンの「カフェ・モンマルトル」におけるライブ録音ですが、鳥肌が立つような演奏が続きます。1曲目の「4070 Blues」の出だしは、ぺデルセンの地鳴りのするベースで始まり、リールのドラムが加わり、そこにモリンのギターがくるというわけで、デンマークの水準の高さを物語っています。もちろん、シハブのフルートもうなり、この1曲だけでぶっ飛びました。「Charade」もリズム隊が目立ちますが、続くシハブ作「Conversastions」は、モード的な曲想が入り、シハブのソロには新しさも感じられます。リズム隊の威勢がよいので、大きな音で聴くと家人に叱られるアルバム。

【Jazz Perspective xol.14】

   

表紙は、歌手のマレーネ・ケアゴー。

ジャズフェスティバルの取材記事の冒頭

本文と写真にボブ・ロックウェル(ts)も出てきました。彼ももともとはアメリカのミュージシャンです。日本のマシュマロレーベルにも録音があり、来日コンサートも聴きました。動静が伝えられ、健在なのが嬉しい。


ロニー・ロス THE JAZZ MAKERS

2017-06-21 20:22:28 | その他木管楽器

先日、前夜飲みすぎて食欲がわかなかったので、塩パン2個で昼食を済ませました。長野市のトイーゴというビルの中にある「パンのわ」というお店で購入しました。塩パンは、それぞれベーコン、あんこが入ったものにしたので、塩味ばかりでなく甘い味のものもあって、飽きずに美味しくいただきました。たまには、昼食に軽めなパンもよいです。どちらかというと甘いサウンドのバリトンサックスを聴いてみます。

RONNIE ROSS (ロニー・ロス)
THE JAZZ MAKERS (ATLANTIC 1959年録音)

   

バリトンサックスは、ビッグバンドには欠かせない楽器ですが、ソロイストとして活動を行いレコーディングまでしているミュージシャンはそう多くありません。ゴリゴリと迫力のある音を出すのが普通だと思いますが、ジェリー・マリガンのように柔らかな音を出す人もいます。英国のロニー・ロス(bs)は、マリガンに範をとった演奏をしていて、寛いだセッションの聴けるアルバムです。

メンバーは、ロニー・ロス(bs)、アラン・ガンリー(ds)、アート・エルフソン(ts)、スタン・ジョーンズ(p)、スタン・ヴァッサー(b)。ロニー・ロスとアラン・ガンリーの双頭コンボです。このグループは、「The Jazz Makers」と名乗り、1958年に結成され、翌59年にはアメリカのニューポートフェスティヴァルに出演していますが、その頃にニューヨークで録音されたアルバムです。

曲は、「The Country Squire」、「Pitful Pearl」、「The Moonbather」、「The Real Funky Blues」、「It's a Big  Wide Wonderful World」、「Blues For The Five Of Us」、「I Won't Fret If I Don't Get The Blues Anymore」、「How Long Has This Been Going On」の8曲。ガーシュインの「How Long Has This been Going on」を除き、ほとんどメンバーのオリジナル曲です。オリジナル曲のテーマはどこか懐かしい感じのするものです。

ウェストコースト風のサウンドで、イギリスにもこういうグループがあったのかと最初聴いた時に驚きました。ロニー・ロス(bs)はジェリー・マリガン風で、アート・エルフソン(ts)はズート・シムズに近く、スイングして調和のとれた演奏が行われています。はじめの「The Coutry Squier」から快調に2本のサックスが絡み、エルフソン(ts)、ロス(bs)がソロをとります。「Pitful Pearl」は、可愛らしい曲想で、和音が心地よい。「The Real Funky Blues」は、バリトンサックスの長く強く伸ばした音が効果的に使われていて、最も面白かった。

 【ぱんのわ】

住所:長野県長野市鶴賀問御所町1200
電話:026-231-6250

トイーゴという建物の中にお店はあります。

本社、工場は安曇野市にあります。

ベーコンが入った塩パン

あんこがいっぱい詰まった塩パン。美味しかった。


アーティー・ショウ I CAN'T GET STARTED 

2016-12-28 20:36:16 | その他木管楽器

先日の3連休の前半は、読書や年賀状作成などで落ち着いて過ごし、粟村政明著「ジャズ・レコード・ブック」( 東亜音楽社)も久しぶりに読んでみました。あちこちに線などが引っ張ってあって、学生時代から社会人になってもしばらくは熱心に読んだことを想い出しました。同著の中で、『アーティー・ショウがスローで吹く甘いクラリネットは、テンポの遅いものを苦手としていたベニー・グッドマンを遥かに凌いでいた』という記述が目にとまりました。今夜はアーティー・ショウを。

ARTIE SHAW (アーティー・ショウ)
I CAN'T GET STARTED (Verve 1953年録音)

    

アーティー・ショウ(1910~2004年、cl)は、スイング時代のクラリネット奏者、バンドリーダーとして有名ですが、1940年代が全盛期なので、現代のジャズファンの関心を惹くことはほとんどないかもしれません。彼には1950年代にも録音があり、このアルバムは、ショウの意外とモダンな演奏に加え、サイドメンに人を得て、面白く聴くことができます。

メンバーは、アーティ・ショウ(cl)、ハンク・ジョーンズ(p)、タル・ファーロウ(g)、トミー・ポッター(b)、アーヴィン・クルーガ―(ds)、ジョー・ローランド(vib)。ハンク・ジョーンズとタル・ファーロウが加わっているのが注目されますが、ジョー・ローランド(vib)のソロもスイングしていて、バラードは別にして、ジャムセッション的な演奏もあります。

曲は、アーティー・ショウのオリジナルとスタンダードです。ショウの自作が、「The Grabtown Grapple」、「Lugubrious」、「Lyric」、「Sunny Side Up」、「When The Quail Come Back to San Quentin」の5曲に、スタンダードが「I've Got A Crush on You」、「Tenderly」、「I Can't Get Started」、「Imagination」で、全8曲。僕としては、まずスタンダード曲に興味をそそられます。

玉手箱的な楽しいアルバム。とりわけ、「The Grabtown Grapple」では、次々と出てくるソロが快調なことに加えて、ジョー・ローランド(vib)のソロのバックでは、「チュニジアの夜」がリフで流れる仕掛けが施され、さらにショウ(cl)は、「べサメ・ムーチョ」や「ジェラシー」を引用していて、思わず微笑んでしまいました。バラードの「Tenderly」は、ジョージ・シアリング・サウンドを聴いているようですが、ショウのクラリネットが甘美。「I Can't Get Started」や「Imagination」でもショウ、ファーロウ(g)、ジョーンズ(p)らの見事なバラードプレイが聴けます。

【粟村政明著「ジャズ・レコード・ブック」(東亜音楽社)】

   

初版は1968年の発行ですが、僕の持っているのは、1974年に発行された第5刷です。1973年に改訂されミュージシャンも追加されていて、全190人を取り上げています。

  

目次を見てみると、登場するミュージシャンの守備範囲が広くて驚きます。ヘンリー・レッド・アレン、シドニー・べシェ、チュー・ベリー、バーニー・ビガードといったスイング時代以前の人にもきちんとページを割いています。

  

目次の続きの一部ですが、ジミー・ブラントン、ローレンス・ブラウン、ハリー・カーネイとエリントン楽団所縁の人が取り上げられています。


フランク・ウェス THE FRANK WESS QUARTET

2016-04-03 09:50:37 | その他木管楽器

4月1日から、再就職した新しい職場に通い始めました。事務所がビルの10階なので、ずいぶんと高く感じられます。窓からは長野市街はもちろん、遠くの山も観ることができます。新しいところなので、初日はかなり緊張しましたが、周りの景色を眺めて、努めてリラックスするようにして勤務していました。こんなアルバムからの音楽が聴ければなおさらよいのですが、もちろん仕事中はご法度なので、帰宅後じっくりと聴きました。

FRANK WESS (フランク・ウェス)
THE FRANK WESS QUARTET (PRESTIGE/MOODSVILLE 1960年録音)

   

ムーズヴィルは、プレスティッジの傍系レーベルですが、その名前通りスタンダード曲のバラード演奏中心で雰囲気が良いアルバムを作っていました。フランク・ウェスのこのアルバムは、その中の一枚ですが、ウェスのフルートの妙技や抑えたテナーサックスの吹奏に加え、伴奏のメンバーにも恵まれて、レーベルの録音ポリシーに沿ったものになっています。

メンバーは、フランク・ウェス(fl, ts)、トミー・フラナガン(p)、エディ・ジョーンズ(b)、ボビー・ドナルドソン(ds)。フランク・ウェスは、1950年代のカウント・ベイシー楽団で名前を挙げましたが、ミルト・ジャクソン(vib)の「Opus de Jazz」(SAVOY)におけるフルートのプレイで、僕は一気にファンになり、プレスティッジあたりの作品も好んでいます。また、フラナガンが参加していることが注目されます。

曲目は、スタンダード6曲とフランク・ウェスのオリジナル1曲です。スタンダードが「It's So Peaceful in The Country」、「Star Eyes」、「Stella by Starlight」(星影のステラ)、「But Beautiful」、「Gone with The Wind」、「I See Your Face Before Me」、ウェスのオリジナルが「Rainy Afternoon」。有名オリジナルをどう演奏しているか、興味が湧きます。

スローからミディアムテンポの心地よいスタンダード集ですが、フランク・ウェスは、曲によりフルートとテナーサックスを使い分けて好演し、フラナガンの好サポートもあって、格調が高く、それでいて親しみやすいアルバムです。優しい曲想の「It's So Peaceful in The Country」、ラテン系の「Star Eyes」、そしてバラードの「But Beautiful」とフルートによる名人芸が聴けます。フラナガン(p)は、どの曲でもよいプレイをしていますが、とりわけ「But Beautiful」におけるイントロ、ソロは優雅で見事で、さすがです。

【事務室からの長野市景色】

   

長野市街地と菅平方面です。霞んでいて遠くはよく見えません。

   

北側の方向で、拡大してあります。戸隠方面でしょうか。


ジェレミー・スタイグ FLUTE FEVER

2016-02-03 21:29:32 | その他木管楽器

先週の日曜日、ジャズ喫茶「M-Gate」(長野県北安曇郡松川村)に今年初めて寄りました。マスターの池原さんと「今年もよろしく」という遅い新年の挨拶を交わし、椅子に腰かけました。お店の中を見渡すと、3か月ほど前に来た時とスピーカーのセッティングが異なっていて、下に石の板を置いて、床から少し持ち上げていました。以前に比べて低音が出て、中音や高音はすっきりとした感じがあるように思えました。訊いたら昨年の11月中に変えたとのことですが、音の印象が異なったので驚きました。変幻自在に音が変化するフルートのアルバム。

JEREMY STEIG (ジェレミー・スタイグ)
FLUTE FEVER (Columbia 1963年録音)

    

ジェレミー・スタイグ(1942~)は、フルート奏者として日本のジャズファンには知られていますが、それはひとえにビル・エヴァンス(p)のアルバム「What's New」(Verve)に起用され、エヴァンスとの共演歴があるせいでしょう。70年代以降はフュージョン系統にいっていたこともあって、僕は関心を持てないでいましたが、初期のものには今回取り上げたようなフレッシュなリーダー作があります。

メンバーは、ジェレミー・スタイグ(fl)、デニ—・ザイトリン(p)、ベン・タッカー(b)、ベン・ライリー(ds)。スタイグの父は、エピックレーベルの猫ジャケシリーズのジャケットを描いた漫画家のウィリアム・スタイグです。したがって、スタイグがジャズに親しんだのも自然なことと思われます。ザイトリン(p)ですが、タッチやハーモニーに新しさがうかがえ、この作品のフレッシュさに一役買っています。

曲は、ジャズオリジナルとスタンダードです。ソニー・ロリンズ作「Oleo」と「Blue Seven」、セロニアス・モンク作「Well You Needn't」、マイルス・デイビス作「So What」。スタンダードの「Lover Man」、「What is This Thing Called Love」、「Willow Weep Fro Me」、「What is This Thing Called Love(Take1)」の全8曲。本CDでは、LPでは短縮されていた「Lover Man」が完全ヴァージョンで収録され、「What is This Thing Called Love」の別テイクが追加されています。有名ジャズオリジナルの演奏に興味が湧きます。

クラシックのフルート曲しか聴いたことがなかったので、ビル・エヴァンスのアルバムでスタイグの演奏を初めて聴いた時には、同じフルートとは信じられませんでした。グロウル(声出し)奏法や、鋭いアタックなど、斬新でした。ここでもそのような特徴がよく出ていて、「Oleo」や「So What」はアグレッシブで表現を極めようとするかのようで、ことに後者のロングソロが格好いいです。一方、「Lover Man」では、中低音を生かしたバラード演奏が訴えかけてきます。ザイトリン(p)も「Blue Seven」におけるソロなどアイデアが豊かで好演しています。

【2016年1月のM-Gate】

   

スピーカーの下に石の台を設置してあります。

   

このあと女性の二人連れが入ってきました。普通の喫茶店としての利用のようでしたが、お客さんが入るのはよいですね。

   

レコードもかなり増えてきました。マスターはまだ足りないといっていましたが。

   

最初にかけてくれたのは、ソニー・ロリンズのプラス4(Prestige)でした。

   

雪が残っていました。

   

コーヒーとシフォンケーキをいただきました。

【M-Gate】

住所:長野県北安曇郡松川村85-28
電話:0261-62-2384
営業:11:00~20:00 (定休日 火曜日と水曜日)