後の世に語り継がれることを何かしたいという気持ちを強く持つ人は、歴史に残るようなことをなし遂げるでしょうか。
実際にそれができるのは、ごくわずかの人でしかありません。
認められよう、歴史のページにこれを刻みつけようという思いだけが走り回って、することは忘れ去られたほうがよさそうなことばかりという、気の毒な結果になることが多いのです。
「私を初めに使ったという人は20人もいる」と、タモリが言ったそうです。
本にまで書かれているデビューの話でも、俺が私がと言いつのる人がこれほどいるのでした。
どんな素晴らしいことをしてみても、「俺がのぉ」というひとことで、その効果も好香も消え去ります。
歴史に残ることは、自分でも思い出せないくらい数多くのことのうち、ただ一つかもしれません。
「これを見てくれ」と力んでしたことほど、忘れられやすいのでした。