手も足も出ないたとえに「だるまさん」が持ち出されることがあります。
「にらめっこ」の前置き、「だるまさんがころんだ」遊び、「だるま落し」、とにかく動かない、それがだるまです。
窓口業務というものが、だるまさん方式でいくかそうでないかによって、ずいぶん世の中が変わりそうな気がふとしました。
いろいろな窓口では、個人情報を扱う機会が多くなります。というよりも、個人情報のやり取りこそが窓口業務の主な要素と言えるでしょう。
個人情報という呼び名は、窓口の動きを制限します。ときにはそれを盾にとってとも見えそうな、動きの鈍い窓口に、おやおやと思うこともあります。
そうなると、個人情報にまつわることが、手を出させない立ち上がろうとさせないだるまさんの衣装のように見えてきます。
あるとき、友人の見舞いに病院に行ったら、「入院患者にその方はいません」と、在否の否の部分しか教えてくれず、退院したかという問いにも返事をくれなかったことがありました。個人情報の保護もここまで徹底されると、相手の顔が、だんだんだるまさんに見えてきます。
市の広報に「新しい民生委員」の通知欄がありました。
田舎町なのでいくつかの地区に分かれていて、地区ごとに担当の委員さんがいらっしゃるのですが、さて、新しくこの町に住むことになった人には、自分の家の番地がどの地区に割り振られているのかがわかりません。
市役所のホームページを見ても、作れば簡単にできてしまう区割り表も見当たりません。
すぐに用事はないにしても、区割りぐらいは知っておかなければと、地区の行政センターへその広報を持って出かけて行き尋ねてみました。
「ちょっとお待ちください、問い合わせてみますから」と、窓口のおばさんは市役所に電話をかけはじめます。
役所にもそんな表がないのか、なかなか回答が返ってきません。2~3分かかったでしょうか、「この方が担当委員さんです、地区は第Xですね、ホームページには載せていません」と教えてくれました。
行政センターの仕事は、それで一件落着らしいのです。
市役所のホームページは、出向かなくても、電話をしなくても、簡単なことはすぐわかるようにできる、いちばん手近なものなのですが、ホームページは、編集者がいちばんよくわかるように作られるものらしいのです。
どうやら、だるまさんごっこは、いつまでも続きそうな気配です。
にほんブログ村