「ボケ防止にいちばんの心がけは、どういうことでしょう」
「生活習慣はボケを手伝うから、それを維持しないことじゃ。
生活習慣というものは、どうしても楽なほう便利なほうに偏っていく。
楽に便利にとは逆のことを考えて、頭と体を動かせばよいのじゃ。
たとえば、駅でXXXーターと名のついている歩かずに済む用具はなるべく使わない、西の空を見る前に天気予報は見ない、いくらでもあるなぁ」
「マナーデザインという仕事があるそうですが、マナーってのはこしらえるもんなんですか」
「自分のためと思うと、自然に備わるマナーを作るというのは変てこなことに聞こえるじゃろ。
マナーは相手のためと思えば、相手に合わせて作ることになる。
それならデザインもできるんではないかの」
「私の党は何をしたらよいか、皆さんで決めてくださいと、政策募集を始めた政党があるそうです」
「まさか、うそじゃろう、それでは政党の体をなさないではないか。
そんな党にも政党助成金を払うとしたら、日本国民として恥ずかしい。
こりゃぁ国辱ものじゃ」
「大災害時には政党間の争いは休戦にして、救援と復興に総力を注ごうという取り決めをするとよいと思います」
「自然にそうなってこその政治家集団じゃろう。
わざわざそんな取り決めが必要なのは幼稚未熟の証じゃよ」
「文化を語る人はそれぞれのことに造詣が深いのでしょうね」
「造詣が格好つけの造形だけということもあってなぁ。着せてもらわなければ自分では着られない人が着物文化を語ることもあるそうじゃから」
「自衛隊が救援物資を運んで行っても受け取ってもらえなかったり、野積みを指定されたり、ひどいムダも出ているようですね」
「受け取るほうが混乱で適正な判断ができなくなっているのじゃろう。そこで知恵を働かせてもらうには、搬送隊が命令外のこともできるようにすればよいのではないかなぁ」
「デモに小さな子どもを連れて行く人が増えると、トイレ探しでデモの主旨とは無関係の騒ぎが起きるそうですね」
「自分たちが行くところには、どこにでもトイレが用意されていると思うなら、それは文化ボケじゃな」
「お話が上手な方に出会うと、学校の先生をしていらっしゃったのかと想像してしまいます」
「学校の先生は話をするのが仕事じゃからのう。でも、人の集まったところでまったく話をしない元国語の先生にも、PTAの会で何か言われると黙ってうつむいてしまう先生にも会ったことがあるぞ」
「そういう先生は、どんな教え方をしているんでしょうか」
「いつも本を手離さず、ただ読んで聞かせているんじゃろう」