「幼老ホーム」というのはどうでしょうか。
年寄りと子供が一緒に暮らす施設です。
そこでは、年寄りは子供に昔話や世の中のことを教え、子供は年寄りに元気を与えます。
場所は、高架線路の下や、空き建物を利用します。
街なかでなく、山地もよいかもしれません。
幼老のタキの近くとか。
それぞれに囲われた
小さな 場
所の文字を加えれば 場所でわかりやすいが
あまりに小さくては そうまでは言いにくい
たとえ小さな場であっても
占領すれば たちまち根拠地にできる
小さな無人の孤島でも
ずるずると与えてしまえば
島はいくらでも広げられ
とんでもない基地に育て上げられ
自然環境も 軍事環境も
必ず悪くなる
「無事日記」というのはどうでしょうか。
何も起こらなかった日だけの日記です。
日付だけでは日記にならないので、何か書かなければなりません。
書き込みが増えていくのと、年に3日で止まっているのと、さて、どちらが人間らしい生活と言えるのでしょう。
「ショート川柳」というのはどうでしょうか。
川柳のはじめの5音を取り去って、あとの7音・5音だけで句にしようというものです。
なぜ削り取るのか、それは、5・7・5で完結させてしまわずに、ほとおりをもたせたいからです。
かと言って、5・7だけでは尻切れトンボで落ち着かないので、あたまのほうを隠してしまったらどうかということなのです。
<拙例句>
なんとも解せぬ 氷かべ
いつまで冷やし続けなければならないのか、妙なところに氷の壁を作り始めてから間もなく3年、それがいまどうなっているのかは、報じられることがありません。
21世紀のほとおりは、さめるのに気の遠くなるような時間がかかりそうです。
「あらまほし レシピ・ブック」というのはどうでしょうか。
世間ではカラカラの干物になってしまっている各種の材を、普通の状態にもどす方法を集めた事典です。
載っているのは、たとえば「律」「品」「凛」など。
車から降りてきて 誰かを待っているような作業衣
間ではなく 面がまるっきり抜けてしまった看板
ちぐはぐはこの場を 猫でも犬でも走り抜けてくれれば
そんなことを思っても
都合のよい状況は 願ってできるものではない