お尻から太腿の後ろにかけてビリビリ痺れる不快な坐骨神経痛。
原因は脊柱管狭窄症だったり、椎間板ヘルニアの方が多いかと思いますが長く立ったり歩けない、長く座っていられない、など生活への影響は大きい。
漢方では坐骨神経痛の原因を「風」「寒」「湿」という3つの要素から来ると考えて治療します。
「風」というのは初期の段階で自転車に乗ったり、扇風機にあたったりして風にあたって痛みが出ます。痛みは固定されたものではなく移動することが多いです。
「寒」というのは寒さ・冷えによって痛みや痺れが悪化して部位も固定されていることが多いです。
「湿」は身体の水分の偏在で、梅雨や雨降り前など気圧の変化で悪化します。痛みや痺れも強く重だるくなります。
3つが要因といっても単独で起きることは少なく複合していることの方が多いです。
良く使う漢方薬としては
①五積散(ごしゃくさん)
「風」「寒」「湿」の複合的な場合に対応できる漢方薬で胃の弱い方でも飲める漢方薬です。
②桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)
薏苡仁湯(よくいにんとう)
「寒」と「湿」によって痛みや痺れがひどくなる場合に使います。冬場で悪化する方に使うことが多い漢方薬です。
③麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)
「湿気」の影響を大きく受ける坐骨神経痛に使います。夕方になると浮腫んで来て悪化する。梅雨や雨が降る前に悪化するなどの場合に効果的です。
④疎経活血湯(そけいかっけつとう)
「瘀血(おけつ)」といって血液が汚れてしまって上手く流れていないために起きる痛みや痺れに効果的です。冷えて血行が悪い場合にも使います。
私は冷えて悪化する場合には麻黄附子細辛(まおうぶしさいしんとう)を一緒に配合することで末梢の血流を良くする効果を期待します。
日常生活ではシャワーではなくゆっくり湯船に浸かって身体を芯から温めることが大切です。寝る前に足湯をすることで更に下半身の血流を良くすると漢方薬の効果も効きやすくなります。
食事では胃腸に負担をかけないように食べ過ぎ、飲み過ぎに注意したいです。胃腸に負担がかかると身体に不要な水が発生することで水毒という水の偏在を産むことになります。
冷たいものの飲食や甘いものは控えた方が良いことは他の病気の養生と一緒です。
日頃の養生と漢方薬でなるべく手術は避けたいですよね。