最近、めまいの相談が多いように思う。
めまいと言っても、「ぐるぐる回るめまい」ではなく、「フワフワする」「くらっとする」「後ろに引っ張られる感じ」などである。
台所で料理をしていてシンクにつかまる、
歩いていてしゃがんでしまう、真っ直ぐ歩けないなど日常生活にも影響が出てしまうという方も少なくありません。
漢方では、めまいを
①水毒(すいどく)
②瘀血(おけつ)
③気虚(ききょ)、気滞(きたい)
と分類して治療して行きます。
①の水毒というのは身体の水分の過剰や偏りのことを言います。
片頭痛や耳鳴りなども水毒によるものが多く鼻水、むくみ、リウマチや関節痛なども水毒が大きく影響しています。
日本は四方が海に囲まれているので湿気の影響を強く受け、水毒による体調不良が多いと言われています。
梅雨や雨降り前の低気圧で悪化するものが多いです。
原因は水分の飲み過ぎと思いがちですが決して、それだけが原因ではなく胃に負担がかかっていることが大きな要因になります。
現代人は食べ過ぎ、しっかり噛まない、食べる時間が不規則、甘いものや油物、冷蔵庫で冷えた冷たい飲み物や食べ物などが胃に負担をかけてしまうのだと思います。
良く使う漢方薬としては漢方薬の解説書では苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)が第一選択薬として良く紹介されているが私個人としては半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)の方が効果があるようにに思います。どちらも胃に停滞している水分(しっけ)を取り除くことで、めまいや耳鳴り、片頭痛を軽減する漢方薬です。
②の瘀血は血の汚れで血液が上手く流れないことをいいます。寒さで血管が細くなっても血は流れにくくなるので冷えも関与してきます。
砂糖や添加物がジャンクな食事、野菜や海藻不足、運動不足、湯船に浸からないシャワーだけの生活、冷暖房などが影響します。
良く使う漢方薬は桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)になりますが私は加味逍遙散(かみしょうようさん)や女神散(にょしんさん)を使うことが多いでふ。
③の気虚、気滞は我々の元気の「気」が不足してしまったり巡らなくなってしまうことで起きます。これは過労やストレス、睡眠不足、睡眠の質が悪いことによっておきます。
足りなくなった気を補う補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、滞った気を動かす半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、香蘇散(こうそさん)、桂枝加竜骨牡蠣(けいしかりゅうこつぼれいとう)を使います。
他にも、その方の体質や経過、それ以外の症状も詳しく聞いて、混ぜ合わせたり生薬の量を調整したりが必要です。
また寝る前に足湯をして下半身を温めることで上に昇り過ぎた気を下げてあげることはとても有効なので足湯はお勧めですよ。
また大事なのは漢方薬を飲みながら、しっかり生活習慣の改善をしていくこと。
食事、睡眠、運動、ストレス発散、入浴など基本は生活にあると、もう一度自分の生活を振り返り養生することが、めまい克服の大切な一歩です。