ナックル・ウォーズ①~③ 狩撫麻礼&谷口ジロー
狩撫麻礼&谷口ジロー
秋田書店
狩撫麻礼&谷口ジロー、黄金コンビのボクシング劇画第2弾。
1982年の5月からプレイコミックにて連載された、単行本全3巻。
北の刑務所を出所した森山は、米軍経由のヘロインを売り捌いた豊潤な
資金で世界王者を育成する事を考えていた。
警視庁上層部に「カタギになる」と宣言し。素材を探しあぐねる森山の
前に、虚無の瞳を持った16歳の少年「乱」が現れる。
高速道、森山の車を時速90kmで振り切る、乱のスポーツサイクル。
元バンタム級王者・滝田(森山言うところの当時の世界No1。
哲学書を愛読するボクサーだったと言うエピソードにニヤリとさせられる
ボクシングファンは多いだろう)、
スパーリング・パートナーに汚名の元王者・小林(引退後、用心棒として
三面記事に)、
フりー・ジャーナリスト・峰らのサイドメンを得て、名義のみの所属ジム
からデビューを果たす乱。
「俺はロベルト・デュランやアレクシス・アルゲリョらが辿ったような
チャンピオンロードを、乱には歩かせる」と、米軍のアンダースン少佐を
頼り、中南米のボクシングを視察に出る森山と乱。
エルパソの闇試合でKO勝ちした乱を見つめる紳士、
メキシコの辣腕エカリンド。
「自分もダイヤの原石のようなボクサーを持っている」。
そのボクサーの名前は、メキシコFe級6位・チコ・バルディアス。
・・・・両者がグラブを交えるまでの長い旅が始まる。
【P.S.】
しかし、その旅は唐突な終わりを告げる。
ミステリアスな乱の魅力を描く為にスローペースだった1・2巻から、
一気に展開は早まり駆け足で最終回を迎えてしまった。
残念な話だが人気低迷ゆえの打ち切りだったとの事。
強引なエンディングには違和感が残った。
谷口ジローのペンタッチは「青の戦士」より洗練されているが、
現在よりは荒々しく、2度と同じ物は描けないと思われるだけに残念で
ならない。
また当時のボクシング雑誌の写真から模写した構図も見物。
「あ、これはピピノvsエスパーダだ」「これはチャコンvsリモン」と
意地悪く元ネタ探すのも楽し(笑)。
さらに、登場人物が吐く日本拳闘界への批判も面白い。
※狩撫氏は、基本的に作品内で登場人物に自分の主観を言わせる傾向が
あるんですな
特に森山の科白は辛辣で、
「この国の業界人は主にジュニア階級のチンケなタイトルを、アジアや
中南米の三流プロモーターとタライ回しにしてやがる」
(・・・しかし自分は乱を黄金街道を歩かせる」と続く)、
「つまらん試合だ。どいつもコイツもグラブを着けたサラリーマンだ」
(出所後ひさびさに後楽園ホールへ現れて。『青の戦士』では
「見れるのはJ丸山だけだ」とも)、
「日本の世界ランカーとやらは自国のタイトルに見向きもしやがらない」
(よって黄金街道への序曲として国内タイトル獲得を画策)などなど・・・。
快哉を叫びたい科白もあるが、「そこまで全否定しなくてもいいじゃん」
って気もする。
だって82年のチャンピオンカーニバルでは、安里vs友成もあったし、
まだハリケーン・テルさんも居たし。J丸山以外は全部ダメみたいに
言われたら不愉快ではあった
※かわぐちかいじ画の探偵モノでは渡辺二郎を「良く喋る強者らしからぬヤツ」
と罵っていたなぁ。TV画面には権順天戦と思わしき映像。
「お前は負けてるんだよ!」と罵る探偵・・・
結局
私にとって、狩撫麻礼は敬愛する原作者であるとともに、反面教師でも
あったのでした。
狩撫麻礼&谷口ジロー
秋田書店
狩撫麻礼&谷口ジロー、黄金コンビのボクシング劇画第2弾。
1982年の5月からプレイコミックにて連載された、単行本全3巻。
北の刑務所を出所した森山は、米軍経由のヘロインを売り捌いた豊潤な
資金で世界王者を育成する事を考えていた。
警視庁上層部に「カタギになる」と宣言し。素材を探しあぐねる森山の
前に、虚無の瞳を持った16歳の少年「乱」が現れる。
高速道、森山の車を時速90kmで振り切る、乱のスポーツサイクル。
元バンタム級王者・滝田(森山言うところの当時の世界No1。
哲学書を愛読するボクサーだったと言うエピソードにニヤリとさせられる
ボクシングファンは多いだろう)、
スパーリング・パートナーに汚名の元王者・小林(引退後、用心棒として
三面記事に)、
フりー・ジャーナリスト・峰らのサイドメンを得て、名義のみの所属ジム
からデビューを果たす乱。
「俺はロベルト・デュランやアレクシス・アルゲリョらが辿ったような
チャンピオンロードを、乱には歩かせる」と、米軍のアンダースン少佐を
頼り、中南米のボクシングを視察に出る森山と乱。
エルパソの闇試合でKO勝ちした乱を見つめる紳士、
メキシコの辣腕エカリンド。
「自分もダイヤの原石のようなボクサーを持っている」。
そのボクサーの名前は、メキシコFe級6位・チコ・バルディアス。
・・・・両者がグラブを交えるまでの長い旅が始まる。
【P.S.】
しかし、その旅は唐突な終わりを告げる。
ミステリアスな乱の魅力を描く為にスローペースだった1・2巻から、
一気に展開は早まり駆け足で最終回を迎えてしまった。
残念な話だが人気低迷ゆえの打ち切りだったとの事。
強引なエンディングには違和感が残った。
谷口ジローのペンタッチは「青の戦士」より洗練されているが、
現在よりは荒々しく、2度と同じ物は描けないと思われるだけに残念で
ならない。
また当時のボクシング雑誌の写真から模写した構図も見物。
「あ、これはピピノvsエスパーダだ」「これはチャコンvsリモン」と
意地悪く元ネタ探すのも楽し(笑)。
さらに、登場人物が吐く日本拳闘界への批判も面白い。
※狩撫氏は、基本的に作品内で登場人物に自分の主観を言わせる傾向が
あるんですな
特に森山の科白は辛辣で、
「この国の業界人は主にジュニア階級のチンケなタイトルを、アジアや
中南米の三流プロモーターとタライ回しにしてやがる」
(・・・しかし自分は乱を黄金街道を歩かせる」と続く)、
「つまらん試合だ。どいつもコイツもグラブを着けたサラリーマンだ」
(出所後ひさびさに後楽園ホールへ現れて。『青の戦士』では
「見れるのはJ丸山だけだ」とも)、
「日本の世界ランカーとやらは自国のタイトルに見向きもしやがらない」
(よって黄金街道への序曲として国内タイトル獲得を画策)などなど・・・。
快哉を叫びたい科白もあるが、「そこまで全否定しなくてもいいじゃん」
って気もする。
だって82年のチャンピオンカーニバルでは、安里vs友成もあったし、
まだハリケーン・テルさんも居たし。J丸山以外は全部ダメみたいに
言われたら不愉快ではあった
※かわぐちかいじ画の探偵モノでは渡辺二郎を「良く喋る強者らしからぬヤツ」
と罵っていたなぁ。TV画面には権順天戦と思わしき映像。
「お前は負けてるんだよ!」と罵る探偵・・・
結局
私にとって、狩撫麻礼は敬愛する原作者であるとともに、反面教師でも
あったのでした。