有田芳生の『酔醒漫録』

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「無所属の時間で生きる」

2007-10-11 09:15:17 | 読書

 10月10日(水)午後には神保町に。「伊峡」で食事。隣にあった豚カツの「いもや」が閉まっていた。店主に聞けば人手不足で店舗を統合したという。「金ペン堂」に行くとシャッターが。これまた心配になる。東京堂書店で坪内祐三さんのサイン入り『四百字十一枚』(みすず書房)、城山三郎さんの『無所属の時間で生きる』(朝日文庫)を入手。20代から通っている「トロワバグ」で珈琲を飲みつつ城山さんのエッセイを読む。「無所属の時間」という言葉を知ったのは、田中康夫さんからだった。仕事が終ってからの余暇時間は組織に所属していない自由がある。そこでは「しがらみ」に囚われない自分がある。その時間に何を選ぶのか。城山さんは一般的に増大する余暇時間=「無所属の時間」のなかで、「どう生き直すか、どのように生を充実させるか」と問う。そこで「一日一快」を勧める。

 一日に一つでも、爽快だ、愉快だと思えることがあれば、それで、「この日、この私は生きた」と、自ら慰めることができるのではないか。

071010_17310002  それが晩餐後に好きな本を短時間でも読むことでもよいという。定年退職者にとってだけではなく、精神的自由の課題が「無所属の時間」にはある。六本木のアスミック・エースで「チャプター27」の試写を見た。1980年12月8日にジョン・レノンを暗殺したマーク・デイビッド・チャップマンの犯行までの3日間を描いた作品だ。レノンを自分のものにしたいという意識だけではない。父母の軋轢や生い立ちのなかで育ってきた葛藤があるとき境界を超えてしまう。チャップマンはいまなお刑務所にいる。1955年生まれだから犯行時は25歳、現在は52歳になる。銀座の松屋に寄って数寄屋橋を歩いていたら面白いバスの時刻表を発見。「ちゃんと帰っておいで……母より」とある。朝日新聞の談話室でビールを飲みながら読書。政治記者から電話があり週刊誌編集長たちと食事をしながら情報交換。