荒川家具 店主のブログ

ほとんどが私事、たまに仕事、素直な気持ちを書きます

その人の背景

2013-04-21 | 店主のひとり言

籐で張られた座面の古い椅子を仕入れて、状態が悪かったので新しく張替えようと思い、昔からやっている籐家具職人さんに初めてお願いすることにした。昔は国産の籐家具は高級品で一流ホテルや別荘などで使われたほどだったが、現在は輸入品におされ籐家具職人さんも高齢化や跡継ぎ不足で減る一方らしい。その方は高齢ながら自店のHPなども開設し修理を中心に商売しているようだった。当店からも距離的にわりと近く、金額も良心的だったので修理をお願いした。
しかし、出来上がったと連絡をもらい商品を引き取りに行き見てみると、少し中心がずれている。元々中心に向かって編んでいくタイプのものでその中心がずれているのだ。
「ちょっとずれていますよね」と私が言うと、すかさず職人さん「いや、これはしょうがないですね」と即答。「いや、ぱっと見でも分かりますよね」 「気にしすぎじゃないですか、これしょうがないんですよね、自然のものですし」 「う~ん、これじゃ販売できないな・・・困るな~」と私が言うと 「私も一生懸命やってます」「しっかりときっちり隙間なく編んでるんです」と色んな説明を求めても一生懸命編んでるとの一点張り。私も一生懸命編んでいるのは分かる。ただ、バランス的なものも考えてほしいし、せめてそうなってしまう理由を説明してほしいと思ったが、「私も何十年もやってます、一生懸命やってます」と繰り返すだけ。
私、結局そのまま引き取りました。話しているうちに何かその人の背景とかが思い浮かべられて、根っからの職人さんで籐家具一筋、昔は色んな所に商品を納めたんだろうな。昔も今も一生懸命やっているのは間違いない。ちょっと気が回らない所とか、説明が足りない所があるかもしれない。今まで自分の技術で飯を食ってきた。ただ、自分の代で商売は終わり。体の続く限りやるかも知れないが、病気などになったら出来なくなると思う。それでその職人さんの技術も途絶える。そんなことを考えたら ま、しょうがないかと思った。
一生懸命やっている・・・まさに職人として生きてきたんだな。

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ロングセラー

2013-04-02 | 店主のひとり言

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2001年に発売された時は、そのデザインに魅了されワクワクしたのを覚えている。今では定番となったマスターウォールのモアレスソファー。まだマスターウォールと言うブランド名などなく、アカセ木工として販売していたのが懐かしい。当店も発売当初から取り扱いしていて、今まで多くのお客様にお届けした。この前もあるお客様が、数年越しに気になっていたこのソファーをいよいよ購入して頂いた。
奇をてらうデザインはなく、シンプルでどんなテイストにも合わせやすいのがいい。無垢材の質感と本革の風合いを最大限生かし、使うほどに味がでるソファーだ。どこかコルビジェのソファーにも似ている。細部の仕様変更はしているものの、デザインの変更などはほとんどなく発売当初のままだ。やはりロングセラーとなる商品はデザインや家具としての機能性に本質的な部分が見てとれる。
われわれ販売する側としても気に入った物はとことん付き合うという気持ちが大切だ。前に書いたお客様のように数年越しに検討している方も多いと思う。我々が飽きたりしてはいけない。商いは飽きないことだ。いつもそう思う。

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