木目のきれいな部分を選んで正面に使おう。キャビネットのサイズなども考えてそれに合う木を選ぶ。ブックマッチと言って、本を開いたときのように木を割って、左右対称になるようにして統一感をもたせる。
扉は引戸も考えたけど、片方しか開かないので大きなものを入れるときに困る。開き戸は前に扉が開いてくるので、その分の空間が必要になるので邪魔になる時もある。内部にスライドして引き込まれる扉は使いやすいかもしれない。それには板を細く一枚一枚縦に切れ目を入れて裏側に布を張り、扉が折れながら引き込まれていく加工をする。手間のかかる加工だがそれの方が使いやすいし、何より扉を閉めたときに、きれいな木目が引立ち一枚の板のようなスッキリとした印象になり、空間を引き締める家具になる。
本体の角は留め加工といい、天板と側板の合わせる部分をそれぞれ45度にカットし角を合わせる。それにより天板から側板にかけて木目を繋げて流れるような美しいキャビネットになる。
材料は全部に無垢材は使わない。本体や扉は突板と言う木材を薄くスライスしたものを合板などに張ったものを使う。無垢材を使うと材料代が相当なものになってしまうし、反りや割れを防ぐための加工が必要になり、それらがそのままコストアップにつながってしまう。そもそもキャビネットに無垢材を使う必要はないと考える。もちろん強度の必要とされる脚や取っ手の部分などには無垢材を使う。適材適所を考えて限りある材料を吟味する。
使いやすくて、美しく、飽きのこない永く使える家具を多くの人に使ってほしいと考える。