『トラと漂流した227日』という副題のおかげで、漂流アドベンチャーかと思ったけど、なにかスゲーものを見た感じ。
途中、『銀河鉄道999』で出てきそうな惑星じゃなかった食人植物の島みたいなとこに途中下車や、水の奥の曼荼羅世界を垣間見たりしたあげく、トラとのお別れシーンで、こっち振り向く?振り向かない?みたいな『あらいぐまラスカル』の最終回からもうひとひねり!沈没船ジョークみたいな、謎かけが語られます。
アン・リーあんた何者やねん!!
思えば、アン・リーほど多彩なジャンルの映画を作ってる監督は、なかなかおらん。
『恋人たちの食卓』までは家族モノの得意な監督と思いきや、
その後いきなり英国貴族モノの『いつか晴れた日に』。
『アイス・ストーム』で再び家族モノを手がけるも、題材は70年代アメリカの家族。
『楽園をください』で南北戦争も描き、
『グリーン・デスティニー』ではワイアヤーアクションも駆使した武侠映画の後に、CG駆使のアメコミ『ハルク』。
『ブロークバック・マウンテン』でゲイを題材にした後に、ハードコアポルノありの『ラスト・コーション』。
しかも、これら作品はレベルも高くて、『恋人たちの食卓』と『いつか晴れた日に』は、私の★★★★映画です。
で、このアン・リー、映画では、漂流前にわりと長いこと学園生活シーンを描きます。
中でも、自分の名前“パイ”にまつわる話~オヤジにつけられた“ピシン・モリトール”って名前が、フランスの有名なプールからってまさかのキラキラネーム。ピシンがオシッコって意味にとられてイジメの対象になるため自分からπと命名~は、“アン”って名前で同じ目にあってたのかと思うくらい丁寧に描いてます。
うちの小学校では二年生の参観に「自分の名前」についての授業がありますが、キラキラのさせすぎには、くれぐれもご注意を!
ちなみに、ムスメは、生まれた顔を見た瞬間ひらめいた名前(ヨメ談)で、意味は後付け。
ムスコは、『トンイ』で「中庸」からの引用がいい言葉だったので、いただきました。
それにしても、CGタイガーのできには驚くばかり。
やつれたトラを見て、「体罰!MPAAに訴えてやる!!」と思うほどでしたが、後で知ってびっくりです。
『ロード・オブ・ザ・リング』でWETAスタジオがニュージーランドにできたように、この映画で台湾の高雄市にデジタル・スタジオできるそうです。
『ガンジー』『スラムドッグ・ミリオネア』に続く、インド絡みでアカデミー作品賞、続くかな~。
おっと『インドへの道』は、ダメだったね。
★★★1/2