『パパ、だ~いスキ』と言われたパパの映画日記

こどもが二人とも小学生になったけど、「パパだ~いスキ!」と言われてる間は、タイトルを変えませんが。

「自虐の詩」 映画化には意味がある

2007年11月17日 | 映画
最近では「泣ける漫画」といえば西原理恵子「いけちゃんとぼく」ですが、ちょっと前までは確実にこの業田良家の「自虐の詩」でしたわ。
呉智英らの地道な活動で世に知られることになったこの漫画ですが、まだまだ読んでない人がたくさんいるみたいで、映画化したことで、読まれる機会が増えたことにまずなによりですわ。

漫画の大ファンやから、「幸せって~」っていう冒頭の語りだけで、もう知ってるラストシーンを思い浮かべて涙がでてきたけど、あんまり好きすぎるもんが映画になるんは、すでにかなりのハンデを背負ってるもんで、不満ばっかりたらたら言わせてもらいますが、こらえてください。
最初にいっときますが、映画自体そう悪くないです。


漫画との改変点、幸江の故郷は気仙沼。
気仙沼っていうたら気仙沼ちゃんやな~。
と思ってたら、ラストクレジットでびっくり!
蛭子の嫁はん役で出てたんやね~。
見逃してもたわ!!

大阪・飛田に住んでるんか~。
地元ネタとして、激安スーパー「スーパー玉出」のビニール袋が2回も出てきたのはツボですが、飛田にある中華屋が大阪城まで徒歩で出前に行く(しかも事故にあう)のは、いかがなもんかと思たな。
中華屋の遠藤憲一はナイスキャスティングやけど、大阪にはソープがないから、あんさんが行くんは新地の置屋でしょ。

熊本さんシークエンスはもっと多く採用してほしかった、というのは原作ファンの大半が思うことやろけど、映画が幸江とイサオに焦点を当ててるだけにしかたないか。
不足分は『赤い文化住宅の初子』で補うことにしよう~。
幸江の学生時代(岡珠希)が中谷美紀には似てないけど、この映画の中谷美紀に似てるとこがうまいな~。
『ちりとてちん』の貫地谷しほり→桑島真里乃といい、最近の子役キャスティングはよう工夫しとります。
それ以上に、熊本さんの学生時代(丸岡知恵)は素晴らしいですな。
よう、見つけてきた。エライ!
でも後の旦那がドバイの大金持ちやなくて、原作通りフツーのサラリーマンでよかったんちゃう?
逆転人生より、フツーの中の幸せを描いてるんやからな。

熊本さんとの回想シーンが、お手軽な生きるか死ぬかの大手術(ここも漫画にないとこ)のとこじゃなくて、普通に再会の空港へと向かうチンチン電車(ラピートにあらず!阪堺電車で南海の駅まで行く設定はちゃんとロケハンしてるな~)の中でよかったんとちゃうかな~。
ここで、波岡一喜の生命保険のCMのようなシーン(妊婦に席譲る)があったけど、5円玉だけは、映画の方がよかったわ。
しょっちゅう穴から景色を眺めてきてたし、なにより熊本さんがコツコツ集めてきたのが偲ばれるしな。

原作では母の幻を鼻横ホクロだけしっかり、顔はぼんやりとしか見せてなかったけど、映画ではホクロフェチの佐田真由美という半分モデルの女優に、付けボクロをさせてました。
どうせ誰かを使うなら、リアル鼻ホクロのある及川奈央を起用してほしかったな~。
西田敏行はミスキャスト。


漫画以上のもんを期待してたわけやないけど、無難に作られてもこの程度やから、『20世紀少年』、映画かも大いなるハンデを背負うことになるんやろな~・・・。


★★1/2