京都楽蜂庵日記

ミニ里山の観察記録

次の問に答えなさいー先祖の人口の方が今よりずっと多かったか?

2019年02月21日 | 日記

 次の問に即答できる人はかなり頭のいい人である。

 問題「自分には父と母の2人の両親がいる。そして父にも母にもそれぞれ2人の両親がいる。すなわち自分にとって祖父と祖母が4人いる。さらにこの4人にも両親がいたので、自分にとって曾祖父や曾祖母は8人。これは自分の女房にとっても、隣の主人や奥さんにとっても同様の真実である。このように次々と先祖をさかのぼって倍々計算していくと、昔の祖先の人口の方が、現在よりはるかに多かったはずである。この考えは正しいかどうか?」

  直感的にはすぐ間違っていると思われるので、バカバカしい問のようだが、それを説明してみろ言われると意外と難しい。

  答えは「兄弟あるいは姉妹のことを計算に入れて考えなければならない」である。しかも、ある条件ではこの問の結論は正しく、ある条件では間違いということになるので、まことにややこしい。順序立てて考えてみよう。

(ニホンの年齢人口分布図)

  人口というのは世代が入り混じった集団でそれの総計であるが、ここでは説明しやすいように、一世代は一斉に生まれ死んでいく均一集団とし、世代間の人口比較をしてみる。初期(基準)人口をP1とし平均生涯出生率をkとすると、2代目、3代目さらにn代目の人口は次のように計算される(^は階乗の記号)。

P2=P1x (k/2)

P3 =P2 x (k/2)=P1 x (k/2)^2

……………………………………

Pn=P1 x (k/2)^(n-1)

 これから初代(P1)とそれからn代目の人口 (Pn)の割合は

Pn/P1 = (k/2)^(nー1)となる。

 ここから

k>2の時は Pn  > P1

k=2の時は  Pn = P1

k<2の時は  Pn < P1 

  すなわち世代を経た人口の増減(大小)はkの値によって左右される。中国の一人っ子政策のような状態のk =1の時は、前の世代の人口の方が圧倒的に多いといったことがおこる。日本のこれからの状況でもある。一説では、2050年頃には日本の人口は8000万人を切るらしい。

 ここでは分かりやすいように、kは世代によらず変わらないとしたが、実際は変動するのでPn/P1は以下のようになる。

Pn/P1 = (k1xk2xk3……xkn-1)(1/2)^(n-1)

人口が増加するか減少するかは、同様に(k1xk2xk3……xkn-1)が2より大か小かによる。

 比較はあくまで、前の世代のトータルと次の世代のトータルでなければならないが、上掲の問題ではそうなっていない。親や先祖を共有する兄弟姉妹を入れず、自分一人と前の祖先(世代)を比較計算、すなわちk=2をK=1としているので、おかしい話になっているのである。(楽蜂)


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