京都大学の構内で見つけたケヤキに寄生するヤドリギ(Viscum album subsp. coloratum)。手で触れる場所に生えているのはめずらしい。これは実がならないので雄木のようである。
ヨーロッパでは郊外の灌木の梢のいたる所にヤドリギが着いているのが観察される。むこうでは、古くから言い伝えがあり、この木の常緑にちなんで縁起の良い物とされて、クリスマスで切枝がテーブルに飾られたりする。
ヤドリギの花は早春に咲き、直径は8mmほどの果実が秋に熟す。透明な液果で緑色から次第に黄色に熟す。冬場は小鳥の重要な食物の1つで、鳥に食べられた後、排泄されたものが木に付着する。
種子を包むゼリー状の物質は粘性がきわめて高く、樹の幹や枝に付着しやすい。これが乾いた後も、種子は強い力で木に着いて離れない。一体どんな生体ポリマー?で出来ているのだろうか。研究価値がありそうだ。発芽する時に樹皮を溶かす酵素を根から出すと物の本にある。我が家でクリスマスの時に飾ったヤドリギに緑色の実がなっていたので、何個かを庭木に着けた。定着するかどうかは、これからのお楽しみといったところ (N2P2)。
冬木立宿り木だけの青さかな 大月健