わたしが身を置く社会が広がると必然的に日本人に対する風評にさらされることになった。
新聞雑誌が売らんがために敗戦ネタを多く取り上げたから、ガイジンから戯画化された天皇ヒロヒトや戦犯トウジョウや槍玉に挙がった日本兵のマンガをみせられることがあった。
そこに描かれた紋切り型の日本人像は、戦闘帽に軍服、銃剣、短足に巻いた脚絆(ゲートル)、黒い丸縁メガネ、細い線のような目、出っ歯で、侮蔑と差別に満ちたものだった。
ガイジンはそれをおもしろがって読んだがわたしに対する気遣いが感じられた。
通りすがりにひとが傷つくような言葉を投げつけられることもあった。
奥目に対する浅眼(オユラーゾ)、鼻ペチャ(ナリスシャット)ジャポネス! これはこたえた。
わたしもフットボールの巧い黒人の子に「プレット」(クロ)といったことがある。
1体1で負けた腹いせから出た差別語だった。
かれが目を白黒させた記憶が消えない。
ブラジル人の日本人に対する差別は一過性でしつこくなかった。
集団による差別は体験していない。
腹黒ではなく口黒?とでもいうべきか?
日本人社会(コローニャ)のガイジンに対する差別の方がきつかった。
いわば腹黒だった。
日本人は一等民族、ブラジル人は二等国民という国粋排外主義教育に染まっていたからガイジンとの結婚はありえなかった。
ましてや黒人との結婚は考えるだにおぞましかった。
そこから交わりのない日本人女性に関するジョークが生まれた。
日本人はよくからかわれた。私もからかわれたことがある。
日本女性のワレメは縦ではなく横付きか、と。
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