「6.15」警察による強制排除の惨劇 重傷者と獲物を取り囲む私服達
(エコノミスト別冊)
瀕死の重傷者が新議員面会所地下に運ばれ、血と汗と薬と埃の異臭が
ただよう中に、長時間拘束放置された。
樺さんは現場から救護班が運び出して救急車で直警察病院へ運ばれた、
という報道がある。
樺さんの遺体の解剖所見に基づく見解については樺夫妻に真相究明を
頼まれて終生それを心がけて来た丸屋博Drの論考「樺美智子さんの
死の真相」(2010年)で必要十分な知識が得られる。
まずそれの要点から。
①から⑤まで、草野Drの中館執刀医の口述筆記に基づく所見。
① 死体の血液が暗赤色流動性であり、
② 肺臓、脾臓、腎臓などの実質臓器にうっ血があり、
③ 皮膚、漿膜下、粘膜下、などに多数の溢血点がみとめられ、
これらが窒息死によって起こったもの(窒息死の三徴候)であることは
疑いのないところである。
④ さらに窒息死の所見以外には、膵臓頭部の激しい出血、
⑤ および前頸部筋肉内の出血性扼痕があった。
《特に中舘教授や助刀のDr中山助手も驚かせたという、膵臓頭部の激
しい出血については僕(丸屋Dr)も慶応大学・法医学教室を訪ねて臓器
そのものを見せてもらっている。
これは樺さんの腹部に固い鈍器での強い衝撃が、膵臓頭部を脊柱との
間に挟んでの外傷性出血で、途中で見学にこられた東大の上野教授も
この出血を見て、中館教授に無言でうなずきながら腹を強く突く所作をし
しばらくして退室して行かれたと、[立ち会った]中田・坂本先生の話であ
った。》
中田・坂本両Drにまとめ役を頼まれた丸屋Drは、《樺さんは腹部に(警
棒様の)鈍器で強い衝撃を受け、外傷性膵臓頭部出血と、さらに扼頚に
よる窒息で死亡した、という結論をまとめた。》
その結論を持って中田・坂本Drが記者会見を開いた。
死因は窒息。
「窒息の原因はノドボトケの両側に筋肉内出血があり、特に右側がひど
いので右手による扼死の可能性がいちばん強い。
胸を圧迫されたための窒息ということは立証する所見がない。」
中館教授の執刀に立ち会った中田友也Drと坂本昭Drの結論はまとめ
を依頼した丸屋Drの前述の結論と眼の付け所が違う。
膵臓頭部損壊より扼頚が重視されている。
司法解剖をした慶応大学の中舘教授が数日後検察庁に提出し突き返
された鑑定書ではどうか?
『鈍器で腹部を突かれ膵臓挫滅出血、首を絞められた(頚部扼こん反
応)』
修正して再提出した鑑定書では上記の死因に「人なだれによる胸腹部
圧迫」が加えられた。
《この「人なだれによる胸腹部の圧迫が窒息の原因」は六月十五日に,
樺さんの死体を検察局で検視した[東京都]監察医務院医師・渡辺富雄
氏の「監察医意見書」として検察当局に提出されていたものでした。
なお追記すれば渡辺監察医は[翌日の]慶応大学の司法解剖には立ち
会っていません。*司法解剖は監察医の本来の業務でない。
この第二次の中館鑑定書は検察局の受け取るところとなりましたが、
当局はこの内容に不満で東大・法医学・上野教授へ「再鑑定」の依頼を
しました。
上野教授からは「人なだれによる圧迫死・内臓臓出血も窒息による」と
したようです。
この上野再鑑定書によって、鑑定書は公表されないまま社会党の告訴
はとりさげられ、樺美智子さんの死の真相は闇に葬られたこととなりま
した。》
樺さんの死因は政局の火を左右する、水=人なだれ、と油=虐殺、だっ
た。
検察庁が死因を機動隊の暴行に帰することは金輪際ない。
死因を学生側の「人なだれ」にするためなら鑑定書の歪曲、捏造はいつ
もの流れであり奇異なことではない。
また真相追及者丸屋Drの眼が、ほかの追及者にも言えることだが、鑑
定書から目撃談、体験談、関連事故記録の探求に向かうのも自然な流
れである。
「虐殺」の証拠を求めて、と付け加えておこう。
死因は絞られた。
学生たちの人なだれによる胸部圧迫か?
四機と学生に踏まれた?
四機の警棒による突き?
警察官(私服公安)による扼殺?