日本家屋の瓦屋根は、日本が台風と地震国であることから発展してきた建築仕様で、屋根瓦の重さは風による家の倒壊を防ぎ、同時に雨をしのぐ。しかし、屋根に重い石を載せているので、地震で倒壊する弱点を持っている。そこで、太い柱や頑丈な構造物に梁を組み立てると同時に、激しい揺れに応じて、瓦がずり落ち、構造体が倒壊するのを防ぐ設計になっている。
城郭建築から寺社建築まで、屋根瓦にはそんな機能がある。瓦ならば、載せ替えれば済むが、建物が倒壊してしまうと、立て直さなきゃいけない。古人の英知の結晶だ。しかし、現代建築の構造体に瓦屋根を載せるのは、矛盾した見栄えだけの場合が多く、逆に危険な場合もある。2階建ての屋根瓦が落下すれば、たった一枚だけで、下にいて直撃を受ければ、命をなくす。
今の時代の住宅建築など、構造物は基礎に固定されて、簡単に風には飛ばされない。地震に強い家づくりをするには、むしろ屋根は軽い方がいい。そんなことは、常識だ。
「へえ、今の今まで知らなかった!」と先輩社長がいう。近年、新しい家を立てて住んでいるし、自分は不動産会社の社長なのに。
近年の能登沖、輪島の地震の時、古い家の屋根瓦が結構、滑り落ちていました。