福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

アラン・ギルバート&ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管

2016-02-27 15:48:12 | コンサート


「シベリウス生誕150年、デュティユー生誕100年記念コンサート」と銘打たれたゲヴァントハウス管の定期演奏会初日(2月25日)。

都響のワーグナーを聴き損なったアラン・ギルバートがどんな指揮をするのか興味津々。一番のお目当てはシベリウスの「7番」。

ところが、シベリウスのみが割愛され、デュティユー~シューマンのピアノ協奏曲(ピアノ: アンスネス)、シューマン「春」という生誕記念とは無縁のシューマン主体のコンサートとなった。敢えていえば、ご当地ゆかりの作曲家ということか・・。

一番楽しめたのがデュティユー。
どこか東洋的な不可思議で心に懐かしさを覚えさせる音響の美。

一方、シューマンの2曲は、オケもよく鳴っているし、バランスやテンポも良いのだが、なにか足りない。憂い、空想、瞑想性といったボクがシューマンに期待するものがなく即物的というか、健康的に過ぎたのだろう。

もちろん、悪い演奏ではまったくない。聴衆もけっこう沸いていた。

アンスネスはコンチェルトも音楽的で立派でかったが、アンコールのショパン「即興曲」に音色の繊細さがより際立っていた。

因みに、コンサートホールとしてゲヴァントハウスの音響は素晴らしいの一言に尽きる。一見、サントリーホールのような形状に見えるのだが、たとえば、ピアノ協奏曲のオーケストラ全開の中、ピアノの細部の細部までが明瞭に聴き分けられる、或いは見事にブレンドされている、ということは、日本で経験したことがない。何か根本的なところで設計思想が違うのだろうか?

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我が人生最上級の体験 ティーレマン&ドレスデン国立歌劇場の「ワルキューレ」

2016-02-27 08:06:55 | コンサート


ティーレマン&ドレスデン国立歌劇場の「ワルキューレ」(2月23日)。我が人生に於いても、最も感動的な体験となった。

本来、ブログ用にオリジナル記事を書くつもりだったのだが、当地で予定が目白押しの上に明日のコーラス合流を控えて書けそうもないので、取りあえず、覚え書き程度に書いたFacebook記事を転載しておきたい。



それにしても、ゼンパーオパーの内部の美しさ! 音響の素晴らしさには、全く魅了された。写真で伝わるだろうか?



「ティーレマン&ドレスデン国立歌劇場の『ワルキューレ』。極上の出来。
かつてベートーヴェンやブルックナーで、急発進、急ブレーキ、急ハンドルを繰り返したティーレマン(いまは知らない)が、ワーグナーでは悠然たる指揮ぶりで、各幕の頂点やクライマックスでもせいぜい8分の力でオケを忘我の境地へと導くという巨匠の芸。
歌手は皆よかったが、ジークリンデ役のペトラ・ラングが傑出していた。ジークリンデの背負ってきた悲しみと一夜限りのしかし最高の歓び、愛する者の喪失と再生、すべての感情がその豊かな声と一途な姿から滲み出て、忽ち虜になってしまった。ペトラ・ラングは、新国立劇場の『ローエングリン』(5月~6月)にも出演するので、大いに楽しみだ。
(体力温存のため、他の歌手は割愛。それぞれ素晴らしかったけれど)
シュターツカペレ・ドレスデンの深い音色も昔のままで、これ以上の至福はなし。生の臨場感ゆえに、クナの第1幕を含むあらゆる録音を上回る感銘を受けた次第。」

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