Schreib mal wieder!

自分の感じるままに...それがクレームと言われても

『機長が語るヒューマン・エラーの真実』

2009-11-18 23:46:27 | 読書
 
CRMは万能ではない...クラスの中で堂々とこれを紹介している僕にとっては衝撃的な意見がいきなり冒頭で述べられている。でも実際に読み進んだら、確かにそのとおり。そもそも知識を持っていない副操縦士にCRMを実践させても、何も出てこないという話だ。

自分がやっているコミュニケーション、ヒューマンスキルの研修にしても、そのスキルは触媒にはなっても、そこに戦略やそれを実現する実力がなければ、残念ながら何の意味もない。そこを勘違いして、これさえやれば何でもうまくいくと思うのはまさに錯覚である。

著者はCRMに反対こそしないが、その前に改善すべきハード面、ソフト面の課題がまだまだ存在している点を指摘し、CRMを錦の御旗ように扱うことに異論を唱えている。いろいろな事故の事例が専門的に、でもわかりやすく書かれていて、3次元の中であらゆることに気を配りながら、いかに平衡感覚を維持することが難しいか...だからこそ、パイロットの負担をいかに軽減するかをハード、ソフト両面で考えていくことが安全につながる主張は、まさにそのとおりだと思った。

こういう安全理論、理念は、私たちの業務にも応用できる面があると思った。もうすこし真剣に業務プロセスを考えたら...相当変わるだろうなぁ...。

機長が語るヒューマン・エラーの真実 [ソフトバンク新書]
杉江 弘
ソフトバンククリエイティブ

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