まだあげ初めし前髪の


林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり
島崎藤村の「初恋」の詩
また、忙しくなった。
佐竹先生より、
ストール20本と、
ハンカチ50枚の注文をいただいた。
ハンカチは、さざ波絞り、
ストールは恋文絞り…
恋文絞り…とは、
恋文の様にストールを折り畳み、
色々な色を染めていく技法。
(メール時代の若い子には
恋文なんて、分からないだろうな…)
恋文を書く様に、染めて欲しい…との注文。

恋文…って?
71歳の私には、無茶な注文だよ…

遠い遠い…遥か昔を思い出せ…。
思い出せない、

そんな恋心、とっくの昔に忘れたよ。

私の一押しのちめいど…
大好き😘…だけど、
会うときは、ドキドキするけど…
恋…じゃ無いよね。
愛は愛でも、
完全に、母親の様な愛だもの…
いろいろ考えていたら、
最初に書いた、島崎藤村の初恋の詩が、
口から自然と流れ出た。
まだあげ初めし前髪の…



前髪をあげたばかりの、13〜4歳の女の子に、恋心を寄せる
初々しい…初恋!
かわいいなぁ〜
こんな恋…いつしたっけ?…って感じだけど…
それより染めなければ。
初恋か?…
赤ではなく、淡いピンクかな?
緑でもなく、若草色…
青は、澄んだ空色…
透明で爽やかで、
甘くて柔らかくて、
可愛くて優しくて…
そういうことだよね。
イメージを膨らませて、
染めればいいんだよね。
なんだか
出来そうな気がする。
まずは
初恋から
染めてみよう。


今日、地染めをした。
明日は次の工程、
スレン染料で染める。
初恋はうまく染まるかな?
次は恋して愛して…
失恋するかも…

染めにも、物語があると
面白いね
