きのねの本音

染色や木彫り そして気の合う仲間たち
大好きなものに囲まれ シニアライフを楽しんでいます
時には 愚痴や本音もポロリ

当たり前の事が出来なくなる

2015-09-08 05:37:43 | 田舎日記
夜中に、老猫が、またやかましく泣き出した。
猫も、父と同じ位、老いて来て、
最近は昼、夜を問わず、よく泣き私達を困らせている。

起きて、缶詰の餌をやり、布団に戻ったが、
もう半袖のパジャマでは肌寒かった。

冷えた身体を布団で包み、眠りに就こうとしたが、
1度目が覚めてしまうと眠れない。
眠れないまま、あれこれと考えていると、
数日前の父の行動が、気になり、ますます眠れなくなった。

2日前のことで有る。
夜中は、ベット横のポータブルトイレで用を足すのだが、
昼間は、家のトイレに行く。🚻
トイレに入ると、15分から20分は、出て来ない。
高齢になると、オシッコもなかなか出ないそうだ。

この日も、30分しても、トイレから出てきた足音がしないので
様子を見に行き、
トイレの窓ガラスから、父の頭が見えたのを確認して、
そのまま戻って来た。
其れから、30分を経っても、トイレから出て来ない。
心配になり、ドアをノックして呼んだら、
ドアが明き、父が顔を出して「トイレが流れへん」と…
「どうして?」
トイレに入り、トイレのタンクのバルブを回すと、
水は勢い良く流れた。
「お父さん、流れたよ!」

「でも、このボタン押しても、全然流れへんかった」と、父
「お父さん、そのボタンは、お尻を洗うボタンやで、トイレの水は、こっちやで」
父は、戸惑った顔をして、私を見た。

水の出る筈の無いボタンを、トイレの中で、30分も押し続けて居たようだ。

「ボケたんかな?」…と、
父は、淋しそうに2回呟いた。

ションボリして、私の後をついてくる父は、
昨日、畑で私を怒鳴って居た父とは、別人になって居た。

当たり前に出来て居た事が、出来なくなって行く。

トイレを流すことも、忘れてしまった事に、
父のプライドは、ひどく傷ついた様だった。

後で思えば、
「ボケたんかな?」…と、父が言った時に、
「大丈夫!今日はチョット調子が悪いだけ」…と、言ってあげれば良かったのに、
何も言えなかった自分の対応を、
私は、非常に悔やんでいる。













コメント
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