きのねの本音

染色や木彫り そして気の合う仲間たち
大好きなものに囲まれ シニアライフを楽しんでいます
時には 愚痴や本音もポロリ

父と農作業と…。

2015-05-30 14:15:15 | 田舎日記
田舎に帰ってきた日は、真夏の様な暑い日だった。
父は、TVの前の椅子の中に身体を沈め、
TVを見ていた。
部屋は地面に照り付ける日差しで、熱風の様な風が入って来ていた。
「簾を下ろしてくれ」…と、父に言われ、
急いで、軒下に丸めてしまっていた簾を下ろし、簾の下をブロックで固定した。
それだけの作業でも、肌が痛い程、照り付ける日差しは強かった。

物置から、扇風機を出し、父の前と、ベットの窓際に置き、スイッチを入れた。

冷たい麦茶を作り、夕方になるのを待って、
庭木や畑に水撒きをした。

昨年迄は、父が一人で出来ていた事で有るが…。

この暑さでも、自分では動くことも億劫になり、
私の帰りを待っていたのかと思うと、
心が痛んだ。

翌日から、4時半に起き、5時過ぎには庭に出て、
花壇や庭の草引きをして、
日が登る前に、家の周りの庭木や畑の水撒きを済ませた。

朝夕2回の水撒きは、
1時間余り掛かり、充分、重労働だ。

菊の花や野菜や庭木を育てるのは、父の楽しみでも有ると思っているが、
その世話や手入れが、徐々に出来なくなりつつある。


先月植えたトマトは、小さな実を付け始めているし、
キュウリも花を付け、ツルを地面に這わせ始めている。

早急に支柱を立てて、やらなければならない。
父に聞き、準備をして、
日が傾き始める5時過ぎに畑に出た。
それでも、日差しは結構きつい!

トマトの苗の横に鉄製の杭を打ち込み、
その穴にプラスチックの支柱を埋め込み立て、
その支柱にトマトの茎を縛り付けた。
1時間経ち、トマトと茄子に支柱が立った処へ父が出て来て、
「それでは、風でひっくり返る。」と…

身体は動かなくても、自分の思う様にならないと、
黙っておられない様だ。

それから1時間、父の命令で支柱はやり直し…。
7時になり、日はすっかり落ちた。
キュウリの支柱はまだだが、
「今日はここ迄、続きは明日」と、作業を打ち切り、
私は先に、家に入った。
夕食が遅くなったが、昼間にMちゃんに連れて行ってもらったお肉屋さんで、
和牛のステーキを買っておいたので、焼くだけで準備が出来た。
まだ畑でゴソゴソしている父に、
「夕飯出来たよ」と、声を掛けても、一向に帰ってこない。
再度「夕飯出来たよ!後は明日にしようよ」…と、
「分かった」うるさいなぁ…と言わんばかりの不機嫌な返事。

スッカリ、ステーキは冷めてしまったが、
黙って父は口に運んでいた。

昼間、ヘルパーさんが
「農業もしたことない都会の娘さんが、虫も嫌がらず農業をしてくれて良かったね」
と、父に話しかけてくれても、返事は無かった。

一体どう思っているのだろうか?
大正生まれの男は、無口なのが美徳と思っているのか?

父に褒められるのは、いつの事やら…。








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