徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

モナ・リザの色調

2006-06-09 | 美術
モナ・リザの色調

映画「ダ・ヴィンチ・コード」の全世界公開の当日の夜、「“ダ・ヴィンチ・コード”ミステリースペシャル 天才ダ・ヴィンチ最大の謎と秘密の暗号~モナリザ・最後の晩餐に隠された真実に迫る!~」と、如何にも映画の宣伝といったテレビ番組が放映されていた。(番組タイトルは知りませんでしたが、TAKさんのBLOGで確認させていただきました。)

その中で、モナ・リザに隠された真実に迫っていた。興味深かったのは2点。1点は、ルーブル美術館の研究によれば、描かれた当時の色彩はもっと明るいものだった、という点。モナリザにはニスが厚く塗られており、その結果として変色し現在のような色調になっているとのこと。コンピュータで当時の色を再現していました。もう1点は、モナリザに背景に描かれた風景は、実際のイタリアの風景の組み合わせだ、ということ。岩場のような山、石橋など場所が特定されていた。

なぜ、この2点が気になったかというと、実は、4月にベルリンのGemaldegalerie 絵画館(こちらが記録)で、いかにもレオナルド・ダ・ヴィンチかと思わせる作品に出会っていたから。それは、フランチェスコ・メルツィFrancesco Melziの作品とされるVertumnus and Pomona。この作品を目の前にして、何か他の作品とは違うと感じた。例えば、スフマート技法で描かれた背景、モナリザに似た女性など。音声ガイドによれば、フランチェスコ・メルツィFrancesco Melziがレオナルド・ダ・ヴィンチLeonardo da Vinciとともに旅をしたそうで、そのときの作品とのこと。図録によれば、この作品は一時ダ・ヴィンチの作品と見なされたこともあったそうだ。

今テレビ番組を見終わって、もう一度、図録でフランチェスコ・メルツィFrancesco MelziのVertumnus and Pomonaを見ると、あっとしてしまいました。何と色調(とくに背景の青の部分など)は、ルーブル美術館が再現した、モナリザの当初の色調とそっくり。背景の風景もモナリザと同じではないですか。(GOOGLEして一番色合いの似ていると思ったWIKIPEDIAの画像にSRCリンクします)


フランチェスコ・メルツィFrancesco Melziって誰って感じですが、池上英洋先生の『ダ・ヴィンチの遺言』河出書房新社(KAWADE夢新書)を、(まだ、全部読んでいないのですが)ぱらぱらとめくると、フランチェスコ・メルツィは、ダ・ヴィンチの手稿などを全て引き継いだ最後の愛弟子だったと言うではないですか?吃驚です。それから、実は自分のBLOGを検索すると、フランチェスコ・メルツィがまとめたウルビノ稿本(ファクシミリ)をレオナルド・ダ・ヴィンチ展で、鑑賞していました。全く記憶にありませんでした。

そう考えれば、Vertumnus and Pomonaがダ・ヴィンチの作品に似ているのは当然でしょうか?

もっと想像するならば、フランチェスコ・メルツィは素直に油彩を描いたので、当時の色彩が今も再現されている。モナリザはダ・ヴィンチが拘りニスを塗りたくったので今は褐色になってしまったというとことでしょうか。その意味では、Vertumnus and Pomonaがダ・ヴィンチの当時のイメージを今に伝えているというところでしょうか?それともフランチェスコ・メルツィの作品だからあまり気にせず修復しただけ?


ダ・ヴィンチの遺言

河出書房新社

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コメント (2)
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