徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

因陀羅 禅機図断簡

2006-06-03 | 美術
ブリヂストン美術館で、因陀羅 禅機図断簡を拝見した。宋元画は、将来品として珍重されたようだが、禅の素養のない私には難しい。文化庁の国宝、重文のデータベースはいつまで工事中だが、たまたま 筑波大学の日本美術シソーラス・データベース絵画編を発見した。因陀羅の絵画を調べると禅機図断簡は5点あるようだ。畠山記念館以外は、図版が見つかったので、SRCリンクしてみた。文章も引用です。

  • 国宝 因陀羅 禅機図断簡 寒山拾得図 楚石梵賛  東京国立博物館蔵


    因陀羅は,本図の款記によれば,法名を壬梵因といい,ベン梁(開封)の大光教禅寺に住し大師号を授けられた高僧である。本図は禅林とその周辺の人物にかかわる逸話を主題にした禅機図巻の断巻と思われる。水墨人物画の伝統である面貌を細緻に,衣文を粗筆で表現する手法をふまえているが,本図において筆墨は渾然と一体化し,因陀羅独自の画境を示すものになっている。図上に元末の禅僧楚石梵キの賛がある。浅野家旧蔵品。

    http://www.emuseum.jp/cgi/pkihon.cgi?SyoID=9&ID=w053&SubID=s000
    寒山と拾得は、天台山国清寺に住み、豊干(ぶかん)禅師に師事したといわれる唐代の伝説上の人物。寒山拾得の絵は、宋代以降、禅僧たちの間で好まれた。「禅機図」とは、禅宗にかかわる逸話を主題としたもの。本図は、豊干禅師はいずこに、と尋ねられて無言のまま答えず、大笑する寒山と拾得を描く。顔を細緻に、衣服を粗い筆で表現する水墨人物画の伝統に従った手法をとるが、さらに因陀羅独自のものに簡略化されている。因陀羅の絵は日本では非常に珍重された。本図は付属の箱に、茶人として有名な松江藩主、松平不昧(まつだいらふまい)の箱書をもち、浅野家に旧蔵された名品として知られる。

  • 国宝 禅機図断簡 丹霞焼仏図 因陀羅筆 楚石梵賛  石橋美術館蔵



  • 国宝 禅機図断簡 智常禅師図 因陀羅筆 楚石梵題詩 静嘉堂文庫美術館蔵


    題詩によれば、樹下の老師は智常禅師(唐の高僧、文中では「帰宗」)、参ずる文官は張水部(水部の官を歴任し、詩人でもあった張籍か)であるという。画の作者・因陀羅は、インド僧とも言われるが、伝歴不詳。題詩の筆者・楚石梵は、月江正印と並ぶ元時代の高僧で、正統的な書の系譜に属した能書とされる。本図は、二人の合作による「禅機図」五点(いずれも国宝。東京国立博物館等に分蔵)の一つである。

  • 国宝 禅機図断簡 布袋蒋摩訶問答図 因陀羅筆 楚石梵キ賛  根津美術館


    布袋が渓に浴したとき、背に四眼が現われたという説話を図示したものである。濃墨線と禿筆描を組み合わせた特異な描法である。本図と一具と思われる作品が他に四点存し、画巻の分断されたものと想像される。筆者の詳伝は不明であるが、寒拾図の款記から開封光教寺の住持であった壬梵因なる禅僧かと推定される。著賛の楚石は元末の禅僧で、趙子昂流の書をよくした人である。

  • 国宝 禅機図断簡 智常・李渤図 因陀羅筆 畠山記念館

    今秋、秋季展にて展示予定

    P.S.図録によれば、日本国宝展(平成2年)では、5点ともが出展されていた。
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