愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

クリミア侵攻に集団的自衛権行使を適用し日本国憲法を使わない東京新聞私設論説室の憲法想定外論に大渇!

2014-03-13 | ウクライナ問題

昨日の以下の東京新聞の私設・論説室を読んで、「やっぱりな」と思いました。ここで述べられていることは、現在の日本においては、極めて一般的な論調です。それは、戦後自民党政権が、ソ連「脅威」論に対して、その「抑止力」として日米軍事同盟を正当化し、かつ自衛隊を認知させるための思想、すなわち憲法「改正」を目論むために使ってきた「成果」だからです。

憲法の本質である国際紛争を平和的手段で解決するという憲法第九条を使わないのです。そういう愛国者の邪論も、実は、憲法九条というのは、「戦争の放棄」を掲げているから、「戦力」は不必要であり、だから国家の交戦権は否認したのだという程度の認識でした。これが平和主義だと、90年代までは思ってきました。

しかし、95年沖縄の少女暴行事件が起こった時に、米軍の蛮行に怒りながらも、でも米軍がいなくなったら、日本は守れないのではないか、自衛隊が憲法違反であるならば、どうやって日本を守るのかという問いかけに対して、そのような素朴な疑問に対して、どのように応えるか、と考えた時、それまでも憲法九条観、視点を変えて考えることが必要でした。そのなかで、気づいたことでした。コペルニクス的転回でした。

そこには、それまでの、いわゆる護憲勢力の思想と論理と運動の弱点があったように思います。蜷川京都民主府政が、「憲法を暮らしに生かす」をスローガンに住民自治を発展させてきましたが、憲法平和主義を「暮らしに生かす」論は、あまり聞いたことがありませんでした。そこに大きな弱点を発見したのです。それは国際紛争を戦争や武力や威嚇を使って解決しないという憲法九条の歴史を調べてみれば判ることでした。 ま、愛国者の邪論だけかもしれませんが。

それは、「不戦条約」「国連憲章 」「平和五原則」「平和十原則」などがありました。またそれ以後も、「侵略の定義に関する決議」「友好関係原則宣言」「ユネスコ「学習権宣言」「国際人権規約」など、いわゆる国際法がありました。それらをもう一度よく読んでみることでした。紛争解決のためには、非軍事的・非暴力的手段、すなわり話し合いを使うという原則です。当たり前のことでした。

何故、こうした当たり前の到達点があるのに、憲法九条とリンクさせて、日本のあるべき方向を明確にできないのか、それはアメリカに追随しているからです。これらの国際的到達点の情報が国民に浸透していないからです。愛国者の邪論を見れば明瞭です。このことは、北朝鮮問題、中国問題、そしてウクライナ問題を取上げるテレビを視ていると、良く判ります。

それにしても、集団的自衛権論は、愛国者の邪論が少年の頃から始まったベトナム戦争に反対する世論がどうだったかをみると判ります。それは、戦争そのものに反対することと同時に、アメリカの戦争に協力加担している日本がアメリカの戦争に巻き込まれるという論法で戦争に反対したように思います。あの当時、集団的自衛権が認知されていたら、恐らく韓国などと一緒になってベトナムに自衛隊を派兵していたことでしょう。その後のアフガン・イラク戦争に対してどういう対応をしたか、それをみても明らかです。

それが出来なかったのは、憲法九条があったからです。だから、自民党政権は集団的自衛権行使論には与していなかったのです。それは自民党とアメリカが、憲法九条の解釈論を拡大発展させると、政権そのものが危ない、安保条約廃棄の世論が多数派になるという危惧を抱いていたからだと思います。

それが、今日、対ソ「脅威」論と形を変えて対中朝「脅威」論・或いは対テロ「脅威」論を口実に、自分たちが決めて、つくってきた「規制」を、いとも簡単に崩そうとしている、それが安倍首相派と言えるのです。そうした潮流のなかで、書かれたものが、この私設・論説室の「クリミア侵攻の意味」と言えると思うのです。

そこで、この論理を検証してみることにしました。

1.この文書には、憲法九条は、全く出てきていません。この論者には「想定外」「思考回路」が欠落しているのです。

2.国連憲章は出てきていますが、国連憲章がどのようにして「平和に対する脅威を除去」するか、その方法をどのように明記しているか。全く触れていません。「紛争の平和的解決」「平和的解決の義務」「非軍事的措置」「軍事的措置」「地域的取極、地方的紛争の解決」について、どのように加盟国に義務付けているか、全く触れていません。「国連文明間の対話年」を宣言 したことなども、全くの想定外なのです。

 

国連総会、「国連文明間の対話年」を宣言 | 国連広報センター  2001年11月4日

 

3.あるのは、ただただ、常任理事国の拒否権と中国への「伝染」論だけです。受身です。

4.こうした想定から出てくる方策は、「平和に対する脅威」の「除去」にむけてどのような役割を果たすのかではなく、試されずみの「脅威の増幅」でしかありません。時代遅れとなった軍事同盟、「日米軍事同盟の強化」しか出てこないのです。思考停止の典型があるのです。

5.この論者には、アセアンや中南米の地域共同体構想は参考にならないのです。確かに、「アジア太平洋地域における集団防衛体制の構築」を語っていますが、軍事的「防衛体制」論です。人間的安全保障論はありません。以下ご覧ください。このような動きは黙殺されているのです。

貧困一掃へ共同/中南米カリブ首脳会議閉幕/「多国籍企業は責任を」 [2014.1.31]

中南米カリブ海諸国共同体・首脳会議/平和地帯宣言を採択 [2014.1.31]

中南米カリブ海諸国共同体/戦争放棄地帯宣言を/首脳会議で議長国キューバ [2014.1.30]

「東アジア不戦条約を」/インドネシア外相 各国に提唱 [2014.1.9]

日米中含む戦争放棄条約を/インドネシア大統領が呼びかけ [2013.12.14]

6.以上の思想と知見では、憲法の平和主義を使った日本独自の平和外交・対話の促進路線は出てきません。では、ウクライナ紛争=民主化問題に、憲法九条をもつ日本国はどのように行動すべきでしょうか。

すでに石破幹事長は、集団的自衛権行使を視野に自衛隊の派兵を想定しています。集団的自衛権の行使を目論む安倍首相の論理からすれば、ロシアの軍事介入によってウクライナと戦争乃至武力紛争起これば、EU諸国、そしてアメリカも参戦、或いは武力行使が行われ、そうすれば、日米軍事同盟を結ぶ日本としては、EU・アメリカ側に立つことは明らかです。ここに安倍首相の狙う集団的自衛権の本質があります。

ロシア軍事介入 日本流では“邦人救出”/自民・石破幹事長が擁護 [2014.3.4]

それはウクライナの経済的利権=「権益」を守ること、黒海地域の政治的経済的軍事的利権の「防衛」論です。これは前世紀のクリミア戦争以来、今日まで続いている「利権」構造です。これは「極東」における「利権」「権益」論と同じです。

以上のような経済的軍事的政治的権益を踏まえるからこそ、安倍首相は一般的に「関係諸国の自制を求める」などという程度の発言でお茶を濁しているのです。結局はアメリカ待ちです。しかし、実際には、ロシアに対して、北方領土問題やエネルギー問題などがあるからでしょうか、具体的には何もやっていないのです。また制裁を強調する同盟国であるアメリカに対しても、同じです。

今、憲法の平和主義を持つ日本がやるべきことは何か。

まず当該地域の諸民族と国民の、これまでの歴史の経過を踏まえて、その諸権利を擁護することを確認すること、ウクライナ国民の国家主権と国民主権の尊重です。ウクライナ国内の人権擁護を確認することです。そのうえで歴史的経済的問題をどのように解決するか、ウクライナ・ロシアに関係する国々が参加できる共通のテーブルを用意し、話し合いを実現するために、リーダーシップ役を果たすことです。そのために安倍首相が動くのです。これこそが、軍事同盟を背景としない、国連憲章と日本国憲法9条の理念の具体化です。

この取り組みが成功すれば、「極東」、すなわち東アジアにおける日本・中国・韓国・北朝鮮・ロシア・アメリカとの話し合いも実現する可能性が出てくることでしょう。

憲法九条を擁護し、活かす派の、また民主連合政府の樹立を展望している共産党の果たす役割は大きいと言えます。「提案」型から「実行」型へ、一気にジャンプしていくチャンスです。

ロシアによるウクライナへの軍事介入の中止を求める/志位委員長が会見 [2014.3.4]

ウクライナ危機 米ロ 協議継続で合意/クリミアでは緊張続く

ロシアの軍事介入やめよ/笠井議員、外相に迫る 衆院委

ウクライナ問題/ロシアは領土の侵害やめよ

外交機会を困難に ロシア外相に米国務長官

クリミア侵攻の意味 2014年3月12日http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2014031202000120.html

ロシアのクリミア侵攻は三つの意味と教訓がある。まず第一に、国連の無力化だ。

 国連憲章は武力による威嚇、または行使による主権と領土の侵害を禁じている。今回ほど露骨な主権侵害は旧ソ連によるアフガニスタン侵攻以来、ほとんど例がない。それなのに、なぜ国連は積極的に動かないのか。 それは当のロシアが安全保障理事会の常任理事国であるからだ。ロシアは国連による介入には反対するに決まっているし、拒否権もある。国連は安保理決議がなければ武力介入できない。国連にできるのは、せいぜい強制力が伴わない総会での非難決議くらいだ。つまり国連に実質的な解決能力はない。

 次に、中国への伝染効果である。

 中国は南シナ海や尖閣諸島をめぐって「力による現状変更」をもくろんできた。だから、今回のクリミア侵攻は自分たちにとって、絶好のテストケースと思っているだろう。ロシアの挑戦が既成事実化されてしまうなら「自分たちも」と考えてもおかしくない。

 そうだとすれば、日本はどうするか。

 当面は日米同盟の強化、やや長い目で見れば、アジア太平洋地域における集団防衛体制の構築ではないか。集団的自衛権を行使できなければ、日本はアジアの集団防衛体制に参加できないだろう。社説の論調とは違って、私が集団的自衛権を容認すべきだと考える理由の一つである。 (長谷川幸洋)(引用ここまで


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日の丸・君が代で弾圧石原元... | トップ | 東日本大震災3周年にあたっ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ウクライナ問題」カテゴリの最新記事