愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

「責任」を果たしていない政府が「責任」を口に大飯原発再稼動と消費税増税を実施するのか、その2

2012-05-31 | 日記
二つ目の大飯原発再稼動発言だ。ここで問題にしなければならないのは、政府や再稼動容認派の言動とマスコミの報道の仕方と内容に注目だ!再稼動反対派の意見は抹殺され、再稼動アリの中での報道となっているのだ!

まず、第一に
野田首相は閣僚会合で「関係自治体の一定の理解を得られつつある。立地自治体の判断を得られれば、4閣僚会合でしっかり議論し、最終的には私の責任で判断したい」と述べた。((2012年5月30日21時19分 読売新聞)

おいおい、チョッと待てよ!フクシマ原発の「責任」すら果たしていないのに、そんなこと言えるのか!忍び寄る放射線の脅威をどう思ってるんだ!

第二に、「関係自治体の一定の理解」が「得られつつある」ということだ。本質が出てきたな!橋下市長の発言が呼び水になった。彼は、この間が政府要人と密会してきたようだが、このことを打ち合わせしてきたのだな。しかも、今朝、再稼動を認めちゃったんだよね。本人も「事実上の(再稼働)容認だ」と認めた。夏が過ぎればなどと言っているが、秋までに何も起こらなければ、と心配だ。
橋下市長、経産幹部と密会 2月 大飯再稼働で意見交換 民主幹部同席2012年5月1日(火)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-05-01/2012050101_03_1.html

この「密会」だが、とんでもない人間と会っていた。2月21日朝、東京・虎ノ門のホテル・オークラの和風かっぽうで経済産業省資源エネルギー庁次長の今井尚哉氏と会っていたという。この人、安倍晋三元首相の秘書官で、叔父さんは、新日鉄会長や経団連会長を務め、いまは経団連名誉会長になっている財界の重鎮、今井敬氏だという。呆れるね。それにしても権力の中枢には、それなりの人間が配置されているんだな。その今井次長は、原発再稼働が必要だと判断した政府の4大臣(野田首相、藤村官房長官、枝野経済産業相、細野原発担当相)会合に経済産業省事務当局を代表する資格で陪席していたというんだから、今回の「事実上の容認」は規定路線、想定内ってところだろう。シナリオを書いたのは誰か、そのうち判明するだろう。或いは首根っこを掴まれていたのかもしれないね。橋下さん。関西経済連合会の動きとピタッと一致しているところがミソか、クソか、だな。


関経連、財務相に大飯原発の再稼働を要請2012.5.25 17:40 [原発]
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120525/biz12052517460045-n1.htm
 関西経済連合会の沖原隆宗副会長らは25日、安住淳財務相と会談し「電力不足になれば関西経済に大きな支障が出る」として、関西電力大飯原発(福井県おおい町)の安全が確認されれば地元の同意を得て再稼働を認めてほしいと訴えた。また、消費税増税関連法案の今国会での成立も求めるとともに、デフレ脱却や経済成長に向けた取り組みを同時に進めるよう要請した。

第三には、この再稼動の根拠が、全くの子供だましだということだ。日本語の使い方って面白いもんだ。以下、掲載してみる。これで安全が担保できるということか、福島原発における対応をみていると、説得力は全くない。


 大阪市の橋下徹市長は政府の基準について「安全基準ではなく津波に備える対策で、原発が本当に安全なのかは別」と疑念を呈し、「1カ月、2カ月、3カ月という動かし方もある」と期限付きで再稼働を容認する可能性を示唆した。(「毎日」5月20日)

細野氏は、首長らが求めてきた原子力規制庁の設置法案が国会で審議入りしたことに触れ、「(規制庁発足後に)より厳しい安全基準で再稼働が適正だったかを再評価する」と述べ、再稼働に改めて理解を求めた。(「毎日」5月30日)

橋下徹大阪市長が「基準ではなく津波対策に過ぎない」と反発するなどし、再稼働への賛同は得られなかった。(「毎日」5月30日)

細野豪志原発事故担当相は30日、鳥取県伯耆町で開いた関西広域連合の会合に斎藤勁官房副長官とともに出席した。関西電力大飯原子力発電所(福井県おおい町)の再稼働に向け、政府の安全対策を説明。大飯原発3、4号機の再稼働後に新たな規制機関がより厳しい安全基準をつくれば、再稼働の判断を再評価する見通しを明らかにした。 周辺自治体に再稼働の理解を求めるための発言。会合で細野氏は大飯原発の再稼働後を前提に「原発の安全対策に万全はありえない。新たな知見に対応し(新たな安全基準によって)規制できるものは規制する」と表明し、新しい規制は大飯再稼働後に原発全体に適用する考えを強調した。(「日経」5月30日)

鳥取県の平井伸治知事は会合後の記者会見で「まだまだ議論することはたくさんある」と発言。(「日経」5月30日)

細野氏は、原子力規制庁が発足するまでの暫定的な「特別監視体制」をつくり、経済産業副大臣ら政務三役を現地に常駐させる考えを正式に表明した。(「日経」5月30日)

ところが、関係閣僚会合が30日夜に開かれるとの一報が飛び込み、事態は急転。首長たちは「政府判断の前に広域連合の意見を示さないといけない」(山田啓二・京都府知事)との考えでまとまった。非公開の打ち合わせで文面を調整し、この日夕の公表にこぎつけた。橋下市長は声明発表後の報道陣の取材に「知事、市長には(原発を)動かさざるを得ないという考えの人もいる。だが、暫定的な基準に基づく暫定的な安全判断に過ぎないという考えは一致している」と語った。(「読売」5月31日)

「暫定的な安全基準に基づく安全判断。(このまま稼働を続けるのではなく)限定的に動かすというところは譲れない。夏が過ぎて、原子力規制庁ができず、安全基準ができるのが2年も3年も先になるなら、動かし続けてはいけない」とくぎを刺した。また、政府が進める発送電分離などの電力自由化にふれ、「中長期で新しいエネルギー供給体制の工程表が進むと国民に納得してもらったうえで、夏を乗り切るための一時的な稼働を理解してもらうしかない」と述べた。(「読売」5月31日)

 松井一郎大阪府知事もこの日、「容認ととらえられても仕方ない。(政府の説明は)最初から再稼働に前のめりだった。関西広域連合が再稼働のアリバイ作りに使われた気がする」と話した。(「読売」5月31日)

第四には、大飯原発が安全かどうか、とりわけ活断層や南海トラフの大地震の揺れに対応できるかどうか、津波はどうか、など、まだまだ解明されていないだろう。安全については「暫定的」段階で再稼動を「責任」をもって断行する。実に上手い言い方だ。

第五には、節電キャンペーンの意図が、ここでもはっきりしたということか。夏場の瞬間的な電力の不足を大仰に騒ぎ、電力不足を浸透させ、原発再稼動仕方なし感を植えつけてきた。原発がなくても大丈夫ということになれば、原発の存在意義は消えることになる。財界も必死だ。テレビを通して流されるニュースやバラエティー、CMで「節電、節電」とやられると、不思議なことに、その気になってしまうのだろう。90%の人が節電をするという。あのせいたかのっぽのスカイタワーに係わる電力消費なんて、すっかり忘れて、節電を煽るのだから。

もう一つ言っておこう。節電キャンペーンをはっている新聞も広告欄を一面、時には二面を使ってキャンペーンをしている。おかしい。そんな広告やめるだけで、どれだけの資源の浪費をカバーできるか、考えてみればいい。テレビも深夜から朝まで放映を止めれば、どれだけの節電になるか、いっさい検証はしないのだ。当事者たちは。正義の味方だからだ。

もう時間だ。これでオワリにする。

今年も節電虫がやってきた耳痛くなる虫よけありや

「責任」を果たしていない政府が責任を口に大飯原発再稼動と消費税増税を実施するのか-その1

2012-05-30 | 日記
今日はとんでもないニュースが二つが入ってきた。一つは、野田・小沢会談、二つ目は大飯原発再稼動発言だ。

一つ目、消費税増税推進派は「決めない政治でいいのか」と現段階における消費税増税に反対している小沢氏を非難、小沢氏は政権交代時の公約を守ること、消費税の前にやることがあるだろう、ということを繰り返し報じていた。これについては、産経が詳しく報道している。NHKは小沢氏を登場させて、増税推進の立場からの質問をしつこく繰り返していた。

そもそも、一つの政党の内部問題が、まるで二つの政党であるかのように推移することがおかしい限りだ。これでは国民は「民主党」を支持することはできないだろう。だが、その奥底に、大きく分けて二つの潮流があるのだ。国民の立場に立とう?とする潮流と財界やアメリカの立場に立とうとする潮流だ。TPP・原発・普天間を見るとそういわざるを得ない。そこで、今日の報道を大まかにみてみると、以下のようになる。

増税推進派の自民党は民主党政権は政権交代時の公約と違った政策に転換した。政権交代時の公約が違っているなら、国会を解散して選挙でケジメをつけろ、問題閣僚2人を切れ、と言っているし、増税に反対している小沢氏を切れとも。

こういう自民党の主張は、野田政権と一致しているので、野田政権としては、増税反対の小沢氏よりも自民党との「大連立」で増税を決めろ、それが責任ある政治だと。

これでは国民が求める増税反対の声とは相容れないことになる。だがマスコミをとおして流れてくる情報は、国民世論を尊重した政治を責任をもって実行しろというものではなく、増税、増税だ。その場合の「大義名分」は、以下の発言に端的に見えてくる。産経が報じた。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120530/stt12053022420014-n1.htm
野田佳彦首相と民主党の小沢一郎元代表の会談に対し、与野党からは戸惑いや怒りの声が上がった。
藤村修官房長官「必要があれば再会談をするし、必要がなければやらないという言葉通りに受け止めるほかない。それ以上にどういう風に受け止めるんですか?」

玄葉光一郎外相「増税や一体改革については党で3回決定しており、蒸し返しても仕方がない。国益を第一に考えて決断して実行することに尽きる」

民主党城島光力国対委員長「合意には至らなかったが決裂でもない。今後に期待を寄せられる会談だった。ステップを踏み、合意することが大事だ」

国民新党下地幹郎幹事長「首相と小沢氏はどこかで譲り合い、党として1つの方向性を出さなければいけない。9月に代表選があるわけだから、その中で決着をつけるのも1つの方法だ」

自民党脇雅史参院国対委員長「首相は結局、小沢氏を切れない。だからどこまでもずるずるいくことがきょうの会談で確定した。ずるずるいくのは万年野党だった民主党の癖だ。責任を持つというのも口先だけだ」

自民党の茂木敏充政調会「首相と小沢氏のスタンスの違いが明らかになった。一体改革か、小沢氏か。首相はもう、明確に選択すべきだ」

自民党岸田文雄国対委員長「われわれが一体改革に対する考え方を法律として出そうとしている状況になってもなお、政府与党の意見が統一されていない。無責任だ」

公明党・山口那津男代表「残る会期で、首相が政治生命を懸けるといった自身の覚悟を、どれほどまで実現できるのか見極めたい」

みんなの党渡辺喜美代表「首相には増税の前にシロアリ退治はやったのかと聞きたい。動機はどうあれ、言っていることは小沢氏のほうが正しい」

新党改革舛添要一代表「まず党内をまとめろということに尽きる。そうしないと与野党の話もない。首相は一期一会といったが言葉だけが走っている。政治は結果出すことだ」

たちあがれ日本園田博之幹事長「あくまでも、民主党の党内問題だ。野田さんには、党内対策のため(だけ)に、エネルギーを注ぐひまはない」「大事なのは野党に対応していくかだ。仮に党内が収まっても、成立するわけじゃない」

岡田克也副総理「首相は真摯(しんし)に一体改革の必要性を説明したのだろう。最終的に(小沢氏の)了解を得られなかったのは残念だが、首相の全くぶれない姿勢が明らかになった」

自民党の石原伸晃幹事長「『大山鳴動してねずみ一匹』と言いたいところだが、これだけ大騒ぎして何もなかった」「首相は『率直に意見交換ができた』と言っているが人ごとだ。これでは政治の責任は果たせない」

共産党の穀田恵二国対委員長 (小沢氏が消費税増税に反対の立場を主張したことについて「消費税増税は反対だという国民の世論があり、その民主党内での反映だ。そこから矛盾が生まれている」「国会での論戦と運動を盛り上げることで、消費税増税関連法案自身を葬り去る、廃案にする立場は変わらない」

野田首相は、「乾坤一擲」「一期一会」「(増税と社会保障の一体改悪に)命を懸ける」

どうだろうか?最大のポイントは国民不在の政治と報道だということだ。各政党の要人のコメントもひどいものだ。国民不在だ。こういうコメント、こういう政党がまかりとおっていることが問題だ。こういう政党が政党交付金を国民から奪って国民無視の政治をしているのだから、おかしなものだ。

まともなコメントは、共産党の穀田氏だ。もう一つ、産経は、ある意味一番まともだ。多くの政党を登場させているからだ。国会に5議席以上もつ社民党・新党きずな、新党大地真民主などを登場させていないことがあるにせよ、だ。因みに新党改革は2議席だ。

今最も大切な争点は、「消費税増税と社会保障の一体改悪」は、国民が望んでいるかどうか、それをきちんと、ゴマカサズ、正確に、各党の政策を、国民に提示して、国民の判断を仰ぐかどうか、それが民主主義なのだ。マスコミの果たす役割は、これに尽きる!

これができれば、国民のために働く国会議員が多くなるだろうことは明らかだ。


争点を包み隠さず報せるを民の側こそあるべきものぞ

沖縄「差別」「不平等」論,マスコミ・メディアの典型はこれだ!「本土」の夜間離発着訓練報道にみる

2012-05-29 | 沖縄

基地県である神奈川の地元紙が報じた原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)の艦載機部隊の夜間離着陸訓練(NLP)。米軍基地に苦しめられている沖縄県民と神奈川県民に「共通している課題」は、記事から見えてくるだろうか?

日本国憲法の上位にある日米地位協定、その大元にある日米安保条約はどのように報道されているか、そこが最大のポイントだ。だが、実際は、記事には見えてこない。

米軍の蛮行が本土のマスコミによって系統的に意味づけられ、報道されていたら、日本国民が日米安保条約を廃棄し、対等平等の日米平和友好条約の調印へと、その「世論」の舵を大きくきることは明らかだ。

この訓練を含めて、米軍の蛮行が事故を誘発したら、その被害を受けるのは、「本土の人々」だ。沖縄の問題をとおしてそういうことが想像できないような思考回路を作り出しているのは、他ならぬ「本土のマスコミ」だ。そのスタンスは日米安保条約推進派の応援団といわれても仕方のないものだ。

では、その記事を掲載しておこう。

米海軍が厚木で5年ぶり夜間離着陸訓練、地元通告は当日/神奈川2012年5月22日http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1205220034/
日没後、タッチ・アンド・ゴーを繰り返す艦載機の光跡(多重露光)=22日午後7時すぎ、大和市上草柳
 米海軍は22日夜、厚木基地(大和、綾瀬市)で原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)の艦載機部隊の夜間離着陸訓練(NLP)を開始した。24日までの予定。南関東防衛局によると、同基地でのNLPは2007年5月以来5年ぶり。県や両市など地元自治体は米側に「容認できない」と訓練の即時中止を求めた。 県によると、地元自治体への通告が訓練当日になったのは、事前通告が始まった1983年5月以来、初めてという。
 在日米海軍司令部(横須賀市)によると、NLPは午前9時から午後10時まで行われる離着陸訓練の一環。夜間に大きな騒音を繰り返し発生させるNLPは地元の反発もあり、通常は硫黄島(東京都)で行われている。 今回は直前の21日朝、GWの横須賀出港が中止されたため、急きょ厚木基地で実施されることになったという。同司令部は「硫黄島よりも機数を少なくするなどし、近隣住民への衝撃を小さくしたい」とコメントした。 22日は日没後の午後6時45分以降も、エンジン音が特に大きいFA18タイプの軍用機が滑走路を空母の飛行甲板に見立て、着陸直後に離陸する「タッチ・アンド・ゴー」を数分おきに繰り返した。大和市には午後8時50分ごろ、座間防衛事務所からこの日の訓練終了が伝えられた。 周辺では昼夜を問わず巨大なエンジン音が鳴り響いた。大和市内では一時、乗用車の警笛に形容される110デシベルに近い109・9デシベルの騒音を計測。横浜、藤沢市などを含む周辺市には少なくとも計130件の苦情が寄せられた。 大木哲大和市長と笠間城治郎綾瀬市長はスティーブン・ウィーマン基地司令官に「周辺の市民に激甚な騒音被害をもたらし、到底容認できない」などと強く抗議した。

厚木基地・夜間離着陸訓練が終了、中止要請に応じず、3日間で苦情2100件超/神奈川
2012年5月25日http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1205250006/
写真
車輪を出したまま低空飛行する戦闘攻撃機FA18スーパーホーネット=24日午後3時20分ごろ、厚木基地近く
 米海軍が厚木基地(大和、綾瀬市)で5年ぶりに実施した空母艦載機部隊の夜間離着陸訓練(NLP)が24日夜、終わった。通告された日程の3日間で、住民から近隣自治体などに寄せられた苦情は計2100件超。綾瀬市の笠間城治郎市長は「市民は我慢の限界を超えた」と米軍と国に強く抗議した。 24日もNLPを含む連続離着陸訓練は午前9時39分から午後7時45分まで行われた。エンジン音が大きいジェット戦闘攻撃機FA18スーパーホーネットや、早期警戒機E2Cホークアイなどが市街地上空を低空で旋回。滑走路を空母の甲板に見立て、着陸直後に離陸するタッチ・アンド・ゴーを繰り返した。 大和市内では一時、自動車の警笛に相当する110デシベルを上回る113・2デシベルの騒音を測定。大和市には178件、綾瀬市には164件の苦情が寄せられた。大木哲大和市長は「NLPの強行は極めて遺憾。今後はいかなる事情があっても硫黄島(東京都)で実施すべき」とコメントした。 県によると、在日米海軍司令部(横須賀市)は24日朝、黒岩祐治知事が23日夜に行った訓練中止要請に対し、「(23日と)同様に飛行せざるを得ない。訓練は予定通り(24日で)終了させる」と回答したという。南関東防衛局は24日夜、「米軍側から延長の通告はなく、今回の訓練は日程通り終了した」と説明した。 国を被告に基地周辺の住民7千人が騒音被害の損害賠償などを求める第4次厚木基地爆音訴訟団は24日、防衛省に「110デシベル超の爆音をまき散らすのは住民の人権を無視した悪質な加害行為」などとする抗議声明を出した。

どうだったか、日米地位協定、日米安保条約の問題点は一つも書かれていないことが判ったのではないだろうか?

「地元自治体への通告が訓練当日」になっても何故問題がないのか。

「NLPは午前9時から午後10時まで行われる離着陸訓練の一環」というが、午後10時までという時間まで騒音を撒き散ラスことが何故まかり通るのか。

「通常は硫黄島(東京都)で行われている」などと、それらに係る費用がどのようになっているか。

地元自治体首長の要請はどのような国内法に基づいてなされているか。


これらの問題に対して、米軍の訓練の説明に終始しているマスコミの姿勢、これでは問題の本質は見えてこない。「仕方ない」ということになる。しかも、「国を被告に基地周辺の住民7千人が騒音被害の損害賠償などを求める第4次厚木基地爆音訴訟団」の「抗議声明」を申し訳程度に紹介するだけだ。

そこで「日米地位協定の問題点」まとめた資料を掲載しておこう。これらの視点にたって日常的に米軍の蛮行、日本政府の屈辱ぶりが報道されなければ日本の真の独立、戦後は終わったことにはならないだろう。尚今回の訓練に関係する日米地位協定についても掲載しておこう。
http://d-navi.org/node/1008

米軍に何でもありの地位与ふ戦争惨禍遺産も未だ


第2条(施設・区域の提供と返還)
1(a)合衆国は、相互協力及び安全保障条約第六条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許される。個個の施設及び区域に関する協定は、第二十五条に定める合同委員会を通じて両政府が締結しなければならない。「施設及び区域」には、当該施設及び区域の運営に必要な現存の設備、備品及び定着物を含む。
(b)合衆国が日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の終了の時に使用している施設及び区域は、両政府が(a)の規定に従って合意した施設及び区域とみなす。2 日本国政府及び合衆国政府は、いずれか一方の要請があるときは、前記の取極を再検討しなければならず、また、前記の施設及び区域を日本国に返還すべきこと又は新たに施設及び区域を提供することを合意することができる。
3 合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなつたときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意する。
4(a)合衆国軍隊が施設及び区域を一時的に使用していないときは、日本国政府は、臨時にそのような施設及び区域をみずから使用し、又は日本国民に使用させることができる。ただし、この使用が、合衆国軍隊による当該施設及び区域の正規の使用の目的にとつて有害でないことが合同委員会を通じて両政府間に合意された場合に限る。
(b)合衆国軍隊が一定の期間を限つて使用すべき施設及び区域に関しては、合同委員会は、当該施設及び区域に関する協定中に、適用があるこの協定の規定の範囲を明記しなければならない。
第3条(施設・区域に関する合衆国の権利)
1 合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。日本国政府は、施設及び区域の支持、警護及び管理のための合衆国軍隊の施設及び区域への出入の便を図るため、合衆国軍隊の要請があったときは、合同委員会を通ずる両政府間の協議の上で、それらの施設及び区域に隣接し又はそれらの近傍の土地、領水及び空間において、関係法令の範囲内で必要な措置を執るものとする。合衆国も、また、合同委員会を通ずる両政府間の協議の上で前記の目的のため必要な措置を執ることができる。
2 合衆国は、1に定める措置を、日本国の領域への、領域からの又は領域内の航海、航空、通信又は陸上交通を不必要に妨げるような方法によっては執らないことに同意する。合衆国が使用する電波放射の装置が用いる周波数、電力及びこれらに類する事項に関するすべての問題は、両政府の当局間の取極により解決しなければならない。日本国政府は、合衆国軍隊が必要とする電気通信用電子装置に対する妨害を防止し又は除去するためのすべての合理的な措置を関係法令の範囲内で執るものとする。
3 合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払って行なわなければならない。
第16条(日本法令の尊重義務)
日本国において、日本国の法令を尊重し、及びこの協定の精神に反する活動、特に政治的活動を慎むことは、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の義務である。
第24条(経費の負担)
1 日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、2に規定するところにより日本国が負担すべきものを除くほか、この協定の存続期間中日本国に負担をかけないで合衆国が負担することが合意される。
2 日本国は、第二条及び第三条に定めるすべての施設及び区域並びに路線権(飛行場及び港における施設及び区域のように共同に使用される施設及び区域を含む。)をこの協定の存続期間中合衆国に負担をかけないで提供し、かつ、相当の場合には、施設及び区域並びに路線権の所有者及び提供者に補償を行なうことが合意される。
3 この協定に基づいて生ずる資金上の取引に適用すべき経理のため、日本国政府と合衆国政府との間に取極を行なうことが合意される。
第25条(合同委員会)
1 この協定の実施に関して相互間の協議を必要とするすべての事項に関する日本国政府と合衆国政府との間の協議機関として、合同委員会を設置する。合同委員会は、特に、合衆国が相互協力及び安全保障条約の目的の遂行に当たって使用するため必要とされる日本国内の施設及び区域を決定する協議機関として、任務を行なう。
2 合同委員会は、日本国政府の代表者一人及び合衆国政府の代表者一人で組織し、各代表者は、一人又は二人以上の代理及び職員団を有するものとする。合同委員会は、その手続規則を定め、並びに必要な補助機関及び事務機関を設ける。合同委員会は、日本国政府又は合衆国政府のいずれか一方の代表者の要請があるときはいつでも直ちに会合することができるように組織する。
3 合同委員会は、問題を解決することができないときは、適当な経路を通じて、その問題をそれぞれの政府にさらに考慮されるように移すものとする。
第26条(国内法上の措置・効力発生)
1 この協定は、日本国及び合衆国によりそれぞれの国内法上の手続に従って承認されなければならず、その承認を通知する公文が交換されるものとする。
2 この協定は、1に定める手続が完了した後、相互協力及び安全保障条約の効力発生の日に効力を生じ、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定(改正を含む。)は、その時に終了する。
3 この協定の各当事国の政府は、この協定の規定中その実施のため予算上及び立法上の措置を必要とするものについて、必要なその措置を立法機関に求めることを約束する。
第27条(改正)
いずれの政府も、この協定のいずれの条についてもその改正をいつでも要請することができる。その場合には、両政府は、適当な経路を通じて交渉するものとする。

公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律
(昭和四十二年八月一日法律第百十号)

特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法 (昭和五十三年法律第二十六号
第二条  国土交通大臣は、当分の間、基本方針において、第三条第二項各号に掲げるもののほか、共用空港(自衛隊の設置する飛行場及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二条第四項(a)の規定に基づき日本国政府又は日本国民が使用する飛行場であつて公共の用に供するものとして政令で定めるものをいう。以下同じ。)を利用する一般公衆の便益の増進に関する事項を定めるものとする
騒防法とは?
正式名称は『公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律』といい、昭和42年に成立した。
http://www.page.sannet.ne.jp/km_iwata/soubouhou.html

環境用語集 ~環境について調べる~
航空機騒音規制措置(Agreements on aircraft noise abatement countermeasures) 詳細解説
http://eco.goo.ne.jp/word/issue/S00388_kaisetsu.html


まともな「東京」でさえ日米安保の土俵のなかに立つ!情緒だけでは解決の展望は闇のなかのまま!

2012-05-28 | 日記
沖縄復帰40年記念社説をみてきた。「沖縄タイムス」「琉球新報」については、6月23日の社説と絡めてみてみたい。最後に大変まともな(国民の立場で)視点で政治を分析している「東京」(共同)の社説をみてみよう。

1.最大の問題点は、以下の視点だ!国民が求めているのは紛争の軍事的手段による解決だろうか?

日米安全保障体制が日本の安全に不可欠であり、沖縄が日本の不可分な一部であるというのなら、基地提供という安保条約上の義務は沖縄県民により多く押し付けるのではなく、日本国民ができ得る限り等しく負うべきだろう。(引用ここまで)

(1)「であるというのなら」の主語は「国民」だ。だが、本当に国民は、「日米安全保障体制が日本の安全に不可欠であり、沖縄が日本の不可分な一部である」と判断しているのだろうか。確かに各種の世論調査では「日米安全保障体制」は「日本の安全に不可欠」との「世論」が形成されていることは事実だ。その「世論」がどのように形成されているか、以下の「世論」調査をみると、よく判る。

(2)NHK放送文化研究所「日米安保のいま~『安全保障に関する電話調査』から~」をみると、国民の意識は、全面的に日米安保体制を支持しているとは言えない。
http://www.nhk.or.jp/bunken/summary/yoron/social/050.html

(3)「自衛隊・防衛問題に関する世論調査内閣府大臣官房政府広報室」(平成24年1月調査)をみると、設問の仕方とマスコミの報道のあり方の問題点が浮き彫りになる。「世論」がマスコミの報道の仕方でによって大きく左右されていることが判る。
http://www8.cao.go.jp/survey/h23/h23-bouei/2-6.html

そこで上記の「世論」について、「邪論」を述べておこう。

(4)「世論」は「事態」の変化によって為政者の思惑を超えて変わるということだ。まさに設問の仕方を含めて「操作」次第という側面と、「事実」の推移次第ということだ。
例をあげておこう。米国のイラク・アフガン戦争に対する世論の変化、「次の総理に誰が相応しいか」という世論によって誕生した総理大臣のその後などなど、

(5)したがって日米安保体制について、世論調査を見る際に必要なことは、マスコミはどのような情報を国民に提供してきたか、世論調査をする側はどのような設問をしているか、さらに「世論調査」の奥にある国民の要求は何か、それを見極めることが大切だろう。
例をあげておこう。中国・北朝鮮の「脅威」ばかりの報道が繰り返されればどんな反応になるか、それに対して非軍事的手段による外交を促す報道とその交渉が国民にもたらされれば、国民の中にどのような「世論」は形成されるか、さらにはテレビコマーシャルをみれば、よく判る。このような事例は枚挙に暇がない。

2.憲法と日米安保の矛盾をどれだけ報道してきたか、そのことが問われているのに、その責任を国民に転嫁するのは、問題だ。

人権無視の米軍統治に苦しんだ沖縄県民にとって日本復帰は憲法への復帰だったが、憲法よりも安保条約や地位協定が優先される復帰前のような現状では、沖縄が真の復帰を果たしたとは言えない。本土に住む私たちは、日本の一部に憲法の「空白」地帯が残ることを座視していいのだろうか。(引用ここまで)

(1)まず、これまでも述べてきたように「憲法よりも安保条約や地位協定が優先される復帰前の原状」という認識が国民をミスリードしている。

(2)日米安保条約第6条に基づく地位協定、その中に明記されている日米合同委員会の「決定」は、何も沖縄だけではない。つい最近も、「憲法よりも安保条約や地位協定が優先される」「日本の一部に憲法の『空白』地帯」が全国的に存在している事実があった。原子力空母ジョージワシントンの艦載機の飛行訓練が行われた。しかし、それについて、「本土に住む私たち」はどれだけの情報を手に入れただろうか。以下をみれば判る。

【神奈川】厚木基地訓練 知事、騒音実態を確認 司令官と面談し中止要請2012年5月24日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20120524/CK2012052402000106.html

前夜に通知メール1通 米軍厚木離着陸訓練 終了時間も相違
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-05-25/2012052504_02_1.html
「赤旗」(24日)は、綾瀬市で午後8時に114.9デシベルを記録、苦情は約440件、大和市では午後7時に115.9デシベルを記録、285件の苦情が寄せられたと報道している。

厚木基地で離着陸訓練 米海軍、空母の出港遅れ2012.5.22 14:31
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120522/plc12052214320014-n1.htm

NLP:硫黄島できょうから実施 天候次第、厚木でも /神奈川 毎日新聞 2012年05月09日 地方版
http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20120509ddlk14010309000c.html

【基地は今】 厚木基地 ウィーマン司令官 2012年04月28日
http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000151205010003
米軍 厚木基地で空母艦載機の着陸訓練< 2012年5月22日 13:21 >
http://news24.jp/articles/2012/05/22/04206103.html

基地対策の活動(平成24年5月)
http://www.city.zama.kanagawa.jp/www/contents/1337211544795/index.html

3.日米安保体制の土俵を前提にして米軍基地の本土への移設では解決はできない。

沖縄の現状にも国民全体が関心を寄せ、沖縄に基地を置く根拠とされた「抑止力」が真実かどうか自ら考えるべきだろう。本土と沖縄が同胞として痛みを共有し、連帯して初めて、本当の復帰に向けた第一歩を記すことができる。(引用ここまで)

(1)「関心を寄せ」ること、「痛み」の「共有」「連帯」とは何か?どういうことか、語っていない。

(2)それらの中身が問題だ。「本当の復帰に向けた第一歩」とはどういう状態のことか?

(3)沖縄に「関心を寄せ」「痛み」を「共有」し「連帯」して米軍基地を本土に移設すれば、沖縄の苦しみは解決するのだろうか?大変曖昧な物言いだ。

(4)では本土の苦しみはどうなるのだろうか?日米安保体制というガン細胞が転移すれば痛みは軽くなるというのだろうか。

4.復帰時の確認事項、争点が曖昧、ボタンの駆け違いでは国民をミスリードする。

核抜きとは、沖縄に配備されていた核兵器の撤去、本土並みとは、日米安全保障条約と関連取り決めが沖縄にも変更なく適用されることを意味する。同時に、沖縄県土面積の12・6%を占める米軍基地を本土並みに縮小することでもあった。佐藤首相は「沖縄の基地は、当然日本の本土並みになるべきものだから順次撤去、縮小の方向にいくと思う」と国会答弁しており、県民の期待も高まっていた。(引用ここまで)

(1)「核抜き」とは沖縄から核兵器を撤去するだけではなく、国是であった非核三原則を日本国中で遵守するということだ。この視点が欠落している。

(2)「本土並み」とは日本国憲法を日米安保条約の上位におくことを意味し、施政権返還=日本国憲法下の沖縄も同様になるということだった。具体的には、やりたい放題だったベトナム戦争への出撃が復帰によって極東の範囲を逸脱することになるためい沖縄からベトナムへの出撃が不可能になるということを意味していた。

(3)だが、これらはすべてウソだった。沖縄密約・核密約の存在が、憲法や国是としての非核三原則すら無視していたのだ。

(4)これらの事実は、日米安保条約の存在そのものを否定することを意味しているのであった。日米安保条約の前文と一条に違反しているにもかかわらず、マスコミはそのことの意味を国民に問いかける責任を放棄した。そうして今日にいたってもそのような視点は皆無である。

5.国民を分断し対立させる「不平等」論では展望は切り開けない。

琉球新報と毎日新聞との調査では、沖縄に在日米軍基地の七割以上が集中する現状を「不平等」だと思う沖縄県民は69%に達するのに対し、国民全体では33%にとどまる。また、沖縄の米軍基地を自分の住む地域に移設することの賛否は反対67%、賛成24%だった。ここから透けて見えるのは、自分の住む地域に米軍基地があると困るが沖縄にあるのは別に構わないという身勝手な意識、沖縄の厳しい現状に目を向けようとしない集団的無関心だ。(引用ここまで)

(1)これまでも述べてきた「不平等」論の帰結は、「身勝手な意識」「集団的無関心」という国民への「不信感」となる。これでは沖縄の苦しみも解決できないことは明らかだ。

(2)基地の弊害を強調すればするほど、自分の所に基地は要らないという感情がおこるのは当然だ。この感情をどのようにすべての基地をなくすという方向に発展させていく、このことが最も大切だが、そうはしない。
このことは、生活が苦しくなればなるほど公務員バッシング・議員削減意識・橋下「維新の会」ブーム、以前は小泉構造改革ブームなど事例を挙げればきりがない。これらによって首を絞められるのは国民であるという事実が教訓だ。

(3)「政局」「世論調査」は、国民の「無関心」を醸成する最良の装置だ。国民を「傍観者」の位置に立たせているのは、他ならぬマスコミだ。

(4)だが、国民を対立させていたら、真の解決への道が閉ざされるのは当然だ。現在は生活保護受給問題で国民を対立させ、憲法25条の理念、国家への規制を緩和させ、生活保護制度を破壊させようとしていることと似ている。米軍基地の弊害と利益という分断に晒され県民同士が分断されてきた沖縄が教訓ではないのか!

6.沖縄も本土も憲法を生かすためには、日米安保条約を廃棄するしかないことを何故語らないのか。

◆人権ないがしろに 沖縄の米軍基地はなぜ減らないのか。米軍が「アジア・太平洋の要石」と位置付ける沖縄の地理的な優位性、中国の海洋進出や北朝鮮の軍事挑発に代表される戦略環境の変化など、理由付けしようと思えば、いくらでもできる。しかし、最も根源的な要因は、沖縄県民の苦悩に寄り添って現状を変えようとする姿勢が日本政府にも、本土に住む日本国民にも欠けていたことではなかろうか。平穏な生活を脅かす日々の騒音や頻発する米兵の事件・事故、日本で起きた米兵の犯罪を日本の司法が裁けない日米地位協定…。圧倒的に多くの米軍基地が残る沖縄では依然、日本国憲法で保障された基本的人権がないがしろにされる状況に支配されている。(引用ここまで)

(1)「沖縄の米軍基地はなぜ減らないのか」はハッキリしている。「沖縄の」ではなく、「日本の」米軍基地を温存している日米安保条約を廃棄しないからだ。憲法遵守の義務を果たさせていないからだ。

(2)マスコミも、そのことを語らない「理由付けしようと思えば、いくらでもできる」ということを自覚すべきだ。「姿勢」は「日本政府」も、「本土に住む日本国民」というよりもむしろ「マスコミ」だ。旧ソ連東欧社会が崩壊するきっかけになったのは何か、マスコミは肝に銘ずるべきだろう。

(3)日米安保体制というガン細胞の拡散・転移というのでは、根本的治療にはならない。常識中の常識ではないのか!そのことを踏まえた報道に徹すべきだ。それこそが憲法的報道、ジャーナリズムといえるのだ。

真実を煙にまきてウソとなる眼光磨く民の目確か


沖縄施政権返還40周年 いまだ「復帰」なし得ず 東京 2012年5月15日
 一九七二年五月十五日、戦後、米軍による統治が続いていた沖縄の施政権は日本に返還された。以来四十年。沖縄は本当に日本に復帰したと言えるのか。
 復帰当日の午前十時半、東京・九段の日本武道館と那覇市民会館とをテレビ中継で結び、政府主催の沖縄復帰記念式典が始まった。
 沖縄返還を主導した式典委員長の佐藤栄作首相は声を詰まらせながら、こうあいさつする。
 「沖縄は本日、祖国に復帰した。戦争で失われた領土を外交交渉により回復したことは史上極めてまれであり、これを可能にした日米友好の絆の強さを痛感する」
◆「本土並み」程遠く
 自らの外交成果を誇る佐藤首相に対し、那覇会場に出席していた屋良朝苗沖縄県知事のあいさつからは、復帰をめぐる県民のやり切れない思いが伝わる。
 「復帰の内容は必ずしも私どもの切なる願望がいれられたとは言えない。米軍基地をはじめ、いろいろな問題を持ち込んで復帰した。これからも厳しさは続き、新しい困難に直面するかもしれない」
 沖縄返還の基本方針は「核抜き本土並み」だ。核抜きとは、沖縄に配備されていた核兵器の撤去、本土並みとは、日米安全保障条約と関連取り決めが沖縄にも変更なく適用されることを意味する。同時に、沖縄県土面積の12・6%を占める米軍基地を本土並みに縮小することでもあった。
 佐藤首相は「沖縄の基地は、当然日本の本土並みになるべきものだから順次撤去、縮小の方向にいくと思う」と国会答弁しており、県民の期待も高まっていた。
 しかし、沖縄の米軍基地の現状はどうか。県土面積に占める割合は10・2%と依然高く、在日米軍基地の約74%は沖縄に集中する。四十年を経ても「本土並み」は達成されていない。屋良知事の懸念は残念ながら的中したのである。
◆人権ないがしろに
 沖縄の米軍基地はなぜ減らないのか。米軍が「アジア・太平洋の要石」と位置付ける沖縄の地理的な優位性、中国の海洋進出や北朝鮮の軍事挑発に代表される戦略環境の変化など、理由付けしようと思えば、いくらでもできる。
 しかし、最も根源的な要因は、沖縄県民の苦悩に寄り添って現状を変えようとする姿勢が日本政府にも、本土に住む日本国民にも欠けていたことではなかろうか。
 そのことは復帰四十周年を機に沖縄の県紙と全国紙が合同で行った世論調査で明らかになった。
 琉球新報と毎日新聞との調査では、沖縄に在日米軍基地の七割以上が集中する現状を「不平等」だと思う沖縄県民は69%に達するのに対し、国民全体では33%にとどまる。また、沖縄の米軍基地を自分の住む地域に移設することの賛否は反対67%、賛成24%だった。
 ここから透けて見えるのは、自分の住む地域に米軍基地があると困るが沖縄にあるのは別に構わないという身勝手な意識、沖縄の厳しい現状に目を向けようとしない集団的無関心だ。
 沖縄の側からは、なぜ自分たちだけが過重な基地負担を引き受けなければならないのか、それは本土による沖縄に対する構造的差別だと、痛烈に告発されている。
 日米安全保障体制が日本の安全に不可欠であり、沖縄が日本の不可分な一部であるというのなら、基地提供という安保条約上の義務は沖縄県民により多く押し付けるのではなく、日本国民ができ得る限り等しく負うべきだろう。
 平穏な生活を脅かす日々の騒音や頻発する米兵の事件・事故、日本で起きた米兵の犯罪を日本の司法が裁けない日米地位協定…。圧倒的に多くの米軍基地が残る沖縄では依然、日本国憲法で保障された基本的人権がないがしろにされる状況に支配されている。
 人権無視の米軍統治に苦しんだ沖縄県民にとって日本復帰は憲法への復帰だったが、憲法よりも安保条約や地位協定が優先される復帰前のような現状では、沖縄が真の復帰を果たしたとは言えない。
 本土に住む私たちは、日本の一部に憲法の「空白」地帯が残ることを座視していいのだろうか。
 人権意識の高さを売りとする米政府が、沖縄の人権には無関心なことも、不思議でならない。
◆同胞として連帯を
 福島第一原発事故は、福島の人たちに犠牲を強いてきたと日本国民を覚醒させた。政府や企業が発する情報をうのみにせず、自らの頭で考え、判断する行動様式が根付きつつある結果、政府や電力資本のうそが次々と暴かれた。
 沖縄の現状にも国民全体が関心を寄せ、沖縄に基地を置く根拠とされた「抑止力」が真実かどうか自ら考えるべきだろう。本土と沖縄が同胞として痛みを共有し、連帯して初めて、本当の復帰に向けた第一歩を記すことができる。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012051502000109.html

安保推進の責任の棚上げ、日米安保(ガン)の曖昧、破綻した抑止力論=軍事優先を煽る読産経の本質を見る

2012-05-27 | 日記
沖縄・国民を苦しめてきた総本山のマスコミ、読売・産経・日経に登場してもらうことにしよう。まずその特徴についてだ。

沖縄に同情を寄せているふりをしながら、「抑止力」論を根拠にした基地の弊害の根本的要因である米軍基地、それを承認している日米同盟深化論=軍事的強化=税金のムダ遣い、これらを正当化し推進する「社論」の実態を暴いてみたい。

1.自ら煽りすすめてきた沖縄の軍事的実態に対する責任を免罪している。

 日本全体の米軍施設用地の74%が集中する過重な負担が続く中、政府はいかに経済振興と安全保障を両立させるかが問われる。(読売)

沖縄は先の大戦で多大な犠牲を強いられ、今も在日米軍基地専用施設の74%が集中する。歴史的にも戦略的にも特異なその境遇に思いをはせつつ日本の平和と安全を見詰め直す機会としたい。大戦時の沖縄戦の戦没者は18万8千人で、うち12万人以上が県民の犠牲者だ。戦後も長く米施政権下に置かれた。こうした歴史をもっと国民で共有すべきだろう。同時に、沖縄県民も悲しい過去を超えて未来にも目を向けてほしい。(産経)

もちろん40年前に掲げた「本土並み」という目標にはまだ遠い。(日経)

社説のポイントは以下のとおりだ。

(1)「過重な負担が続く中」というが、この負担は自然現象ではない。天皇の進言と自民党政権の押し付けが最大の要因であった。まさにウソとペテン、スリカエの権化というものだ。

(2)誰が「先の大戦で多大な犠牲を強い」たのか、「大東亜戦争礼賛者」である産経の責任は大きい。沖縄を国体護持の「捨て石」として位置づけ「多大な犠牲」を強要してきたこと、戦後の米ソ対立、ソ連に対する「抑止力」としての沖縄を見越した米軍戦略によってつくりだされた「多大な犠牲」であることを反省していない。しかも「戦後も長く米施政権下に置かれた」と、全く他人事だ。誰が何のため沖縄を「米施政権に置」いたのか、それを称賛し推進してきたのは「産経」自身ではなかったのか。しかも「悲しい過去を超えて未来にも目を向けてほしい」など、天皇の戦争責任やアメリカの無差別殺人を免罪しているのだ。恐るべき、かつ恥ずべき「主張」だ。

(3)「40年前に掲げた『本土並み』という目標にはまだ遠い」のは何故か。誰が「本土並み」という「目標」をないがしろにしたのか、全く不問だ。「米軍基地を負担することへの見返り」として「これまでに投入した10兆円超の振興予算」は「成果とはとても言い難い」のは「自立」していない、「主体的な努力」をしていない沖縄の責任か。さらには「広い意味での基地依存はむしろ深まっている」責任は何か、いっさい語っていない。

(4)日米安保条約というガンを根本的に取り除く治療を施さず、頓珍漢治療でガンを進行させてしまうマスコミは「ヤブ」と言われても仕方がない。

2.沖縄の発展の最大の障害が米軍基地であることを曖昧にして、沖縄の「自助」を押し付けて、自らの責任を曖昧にしている。

政府は先週、今後10年間の第5次沖縄振興計画の基本方針を決定した。那覇空港の第2滑走路整備による国際物流拠点化が柱で、沖縄の自立的な経済発展を目指す内容だ。この方針に基づき、沖縄県がきょう振興計画を決定する。計画の策定主体を政府から沖縄県に変更したのは、妥当である。アジアに近接する地理的特性や国際性を生かした計画を着実に実行に移してもらいたい。過去の振興計画は「本土との格差是正」を掲げてきたが、県民1人当たりの所得は全国平均の7割前後にとどまる。製造業が育たず、県内総生産に占める割合は40年前の11%から4%に低下した。基地、公共事業、観光に頼る「3K経済」の構造が続き、政府予算への依存度も高い。民主党政権は、米軍普天間飛行場移設問題を迷走させた負い目もあり、今年度の沖縄振興予算を2937億円へ大幅に増やした。これを有効に使うためには、沖縄県と各市町村が、中長期的展望に立った振興策を企画し、自助努力を続けることが大切だ。自由度の高い一括交付金を活用し、社会資本や箱物の整備などハード中心だった予算の使途を、環境、福祉などソフト重視に見直すことも求められよう。(読売)

復帰当時96万人だった人口は140万人となり、本土で活躍するスポーツ選手、芸能人など人的・文化的交流も深まった。半面、本土との経済格差は小さくない。(産経)

1人あたり県民所得はようやく高知県や宮崎県に追いつくところまで来たが、これまでに投入した10兆円超の振興予算に見合った成果とはとても言い難い。建設業が主力のいびつな経済構造はなかなか改善されない。本土ではもはや考えられない公共事業の大盤振る舞いが続くのはなぜか。国は表向きは関連を否定するが、米軍基地を負担することへの見返りなのは明らかだ。米軍がじかにかかわる「基地経済」は40年間で半減した。しかし広い意味での基地依存はむしろ深まっているとみることもできる。どうすれば沖縄経済は自立できるのか。政府は使途を県が判断する一括交付金を創設した。次期振興計画の主体も国から県に移す。計画には国際物流拠点の整備や企業のデータセンターの誘致などの構想が並ぶ。政府には今度こそ本腰で取り組んでほしい。沖縄側にも国任せにしない主体的な努力が求められる。(日経)

社説のポイントは以下のとおりだ。

(1)「過去の振興計画は「本土との格差是正」を掲げてきた」というが、それは違う。「沖縄からのメッセージ」(96年)によれば、「グランドデザインである国債都市形成構想を策定し、平和交流・技術交流・経済文化交流を通じ、これらの地域(中国・日本・朝鮮・東南アジア・マラッカ海峡)との交流をよりいっそう進め、本県を振興していきたい」と大田知事時代に提起している。「基地、公共事業、観光に頼る「3K経済」の構造が続き、政府予算への依存度も高い」というが、その最大の要因は米軍基地である。「那覇空港の第2滑走路整備による国際物流拠点化」についても、「民間機と自衛隊機との『軍民共用』」を指摘する声(沖縄タイムス社説/2012/5/12)もある。そもそも那覇空港の整備が遅れた最大の要因は[嘉手納ラプコン]の返還を2010年まで怠ってきたことだ。そのことを語らず、基地の弊害を温存したまま「自助努力を続けることが大切だ」というのは、あまりに無責任だ。

(2)「半面、本土との経済格差は小さくない」と、やはり他人事で、その原因についても、「抑止力強化」を煽ってきた「産経」の責任についても、いっさい語っていない。

(3)「基地、公共事業、観光に頼る『3K経済』の構造」=「建設業が主力のいびつな経済構造」をつくらせてきたのは誰か、不問・免罪している。基地を放置したまま「沖縄側にも国任せにしない主体的な努力が求められる」などというのは、もってのほかである。「これまでに投入した10兆円超の振興予算に見合った成果とはとても言い難い」ということは税金のムダであったということになるが、この責任についても不問・免罪だ。「抑止力」としての米軍基地に対する「見返り」としての「振興予算」が税金のムダであること、かかった費用は県民のためには使われず、一部の「建設業」者にまわっていること、これをさらに追及していく必要がある。税金のムダ遣いの権化である弊害のある基地温存論にもとづいて「どうすれば沖縄経済は自立できるのか」「沖縄側にも国任せにしない主体的な努力が求められる」など、他人事であり、無責任というほかはない。

3.ソ連・中国・北朝鮮「脅威」論=「抑止力」論を根拠に基地温存・合理化論と復興論は破綻しているが、基地との並存によってこそ振興できるとゴマカシ、強弁している。

 最近は、中国の軍艦や政府船による尖閣諸島周辺などでの活動が恒常化している。中国海空軍の急速な増強と近代化を踏まえれば、今後、沖縄の安全保障面の地政学的重要性は一層大きくなる。政府は、この現実を直視し、自衛隊と米軍の防衛協力を基盤とする日米同盟の抑止力と実効性を堅持しなければならない。同時に、在沖縄海兵隊の海外移転に伴う米軍施設の返還や日米地位協定の運用改善など、地元負担の軽減に全力を挙げる必要がある。普天間飛行場の辺野古移設にも粘り強く取り組むべきだ。重要なのは、米軍施設跡地の有効利用を図ることだ。政府は、キャンプ瑞慶覧の住宅地区に最先端のがん治療施設を整備することを検討している。こうした事業を通じて、在日米軍再編への地元の理解を地道に広げることが欠かせない。(読売)

とりわけ国民全体で考えたいことは、この間に日本の安全保障環境が激変したことだ。1972年の復帰当時はベトナム戦争末期に至り、冷戦下の日米にとって最大の脅威は北方のソ連だった。40年後の今、アジア太平洋の脅威の焦点は、北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の強引な海洋進出に変わった。必然的に尖閣諸島を含む沖縄の戦略的重要性も、ますます増大しているのが現実だ。加えて米国は巨額の国防費削減を迫られ、日本には「米国頼み」を脱して自らの安全確保と日米同盟への一層の貢献が求められていることを忘れてはなるまい。・・・ルース駐日米大使も「沖縄は日米同盟の礎だ」と評価した。沖縄の位置や役割を冷静にとらえつつ、「安保も経済も」の両立を目指したい。日本の安全が守られてこそ沖縄の平和が維持される。普天間移設を含む米軍再編計画も基地負担削減と抑止力強化を目的とし、政府は地元振興を図ることが原点だったことを改めて想起することが必要だ。普天間の固定化を回避する道もそこにある。・・・野田佳彦首相は式典で、同盟強化、基地負担軽減、振興を通じて「日本の安全を確保する」と約束した。その言葉を着実かつ速やかに行動に移してもらいたい。沖縄は返還されたが、北方領土はロシアに、竹島は韓国に不法占拠されたままだ。これらが返らない限り、戦後は終わらない。そのことも銘記しておきたい。(産経)

中国の海洋進出などで尖閣をはじめ琉球列島の戦略的な価値は一段と高まりつつある。安易に米軍基地を減らせば沖縄県ひいては日本の安全保障を損ないかねない。日米同盟の安定には暗礁に乗り上げた普天間基地の移設問題の解決も重要だ。とはいえ在日米軍の施設の多くが沖縄に集中する現状を放置してよいわけではない。40年前の復帰記念式典。当時の屋良朝苗知事に笑顔はなかった。「復帰の内容を見ますと、私どもの切なる願望がいれられたとはいえない」と嘆いた。この苦渋の声に日本全体がもう一度耳を傾けるときだ。(日経)

社説のポイントは以下のとおりだ。

(1)「自衛隊と米軍の防衛協力を基盤とする日米同盟の抑止力と実効性を堅持しなければならない」から「普天間飛行場の辺野古移設にも粘り強く取り組むべき」となる。「重要なのは、米軍施設跡地の有効利用を図る」「最先端のがん治療施設を整備する」のであるならば、沖縄のすべての米軍基地の撤去を検討すべきだろう。こうした事業を通じてこそ、「地元の理解」が得られるだろう。だが、読売の社説はそのような立場には立たない。何故か!?

(2)「脅威」論=「抑止力」論に基づいてベトナム・インドシナ戦争やイラク・アフガン「戦争」を起こして多くの無辜の民衆を殺しきた「米国は巨額の国防費削減を迫られ」ていることは、抑止力論の破綻を示しているのだ。にもかかわらず、「日本の安全が守られてこそ沖縄の平和が維持される」と「日本の安全」と「沖縄の平和」を対立させ、「『米国頼み』を脱して自らの安全確保と日米同盟への一層の貢献が求められていることを忘れてはなるまい」と脅しとスリカエと「抑止力」論にもとづいて、「普天間移設を含む米軍再編計画」は「基地負担削減と抑止力強化を目的」としているので「沖縄の位置や役割を冷静にとらえつつ」「同盟強化、基地負担軽減、振興」を通じて「日本の安全を確保すること」を「着実かつ速やかに行動に移」せ、そのことは「普天間の固定化を回避する道」とスリカエと脅しているのだ。

(3)「日米同盟の安定」には「暗礁に乗り上げた普天間基地の移設問題の解決も重要」であり、「安易に米軍基地を減らせば沖縄県ひいては日本の安全保障を損ないかねない」と脅しているのだ。「在日米軍の施設の多くが沖縄に集中する現状を放置してよいわけではない」と言いながら屋良朝苗知事の「苦渋の声に日本全体がもう一度耳を傾けるとき」と、「在日米軍の施設の多くが沖縄に集中」させてきた日米同盟推進派の責任を曖昧にして、「抑止力」論にもとどく「日米同盟の安定」を理由に事実上、米軍基地の温存を正当化しているのだ。

4.民主党鳩山政権の「県外」移設を阻んだものは何か、その責任転嫁の奥にあるものは何か

民主党政権は、米軍普天間飛行場移設問題を迷走させた負い目もあり、(読売)

にもかかわらず、民主党政権下で迷走を重ね、国民の不信や亀裂を招いた責任は重大である。(産経)

社説のポイントは以下のとおりだ。

(1)鳩山政権の普天間県外移設は正当な主張だったが、日米同盟=日米安保条約の枠内で「解決」しようとしたことが、「迷走」「国民の不信」の最大の要因だった。

(2)日米同盟推進派と対等な日米同盟・東アジア共同体派の対立が「迷走」「国民の不信」の最大の要因だった。

(3)普天間基地は「県外移設」ではなく、「撤去」こそが最大の課題であること、そのためには基地設置の最大の根拠である日米安保条約を廃棄する課題と結び付けることが展望を切り開くことになることだが、「県内移設」か「県外移設」かに論点が矮小化されてしまったことが反省点と今後の課題だ。

(4)普天間基地問題と「本土」の基地問題を統一的に把握するのではなく、分離したことが「迷走」「国民の不信」「亀裂」の最大の要因だった。

(5)基地問題を生活の問題、税金のムダ遣いの問題、民主主義の問題、民族自決の問題として捉えることが大事だということだ。

5.日米同盟推進派の総本山の主張から判った「ものさし」について

(1)「脅威」論を展開して軍事強化を正当化する「抑止力」論の破綻は、米国の戦争の敗北・失敗とその連鎖としての財政危機からくる国防費削減に象徴的だ。

(2)沖縄に投じられた税金10兆円の振興費の「成果」に見るように「抑止力」論に基づく税金投与は最大のムダ遣いであることが判明した。そればかりか、投じられた税金の行方すら検証していないマスコミ・政府の実態が明らかになった。このことを検証することで、展望が切り開かれる。

(3)日米軍事同盟=日米安保条約の枠内の議論は、結果的に見れば、国民が分断され、推進派を利することになり、憲法で保障された生存権・生活権・幸福追求権すら具体化できないことが判った。

(4)憲法第9条に基づく非軍事的手段を行使して、すなわちあらゆる外交努力を展開する想像力を具体化していく知恵を発揮することこそが、憲法を生かすことになることが判った。憲法を護ることではないことも判った。護憲という言葉は極めて消極的だ。

(5)日米安保条約を廃棄し、日米平和友好条約こそ、非軍事による友好的な安全保障政策となる。これは税金を軍事費に使うのではなく、平和的な分野に有効、かつ効果的に使うことで世界とアジアと東アジアと日本の、唯一、かつ有効な「安全保障」政策となるであろう。軍事費を暮らしに、教育・福祉に使うことで国民の生活の向上を!

(6)ウソとペテンとスリカエのマスコミを、国民が正当に評価し、判断できるようにしなければならないだろう課題が鮮明になった。これは人権と民主主義、平和のためだ。


偽りの労わり見抜く論立ての平和の礎社説のなかに

国民分断を排して真の「巨悪」を暴き米軍基地撤去・軍事費を生活に、の声を高く掲げよう!

2012-05-25 | 日記
沖縄復帰40年記念の社説を地方紙を中心に検討してきた。今回は全国紙を検討してみる。
まず「朝日」からみてみよう。まずポイントから。

1.沖縄に「同情」を寄せながら、沖縄と「本土・国民」を分断している。そうしておいて米軍基地の「弊害」の最大の要因である日米安保条約に眼を向けさせない議論を展開していることが最大の問題だ。

 そもそも、なぜ沖縄に海兵隊が必要なのか。朝鮮半島や台湾海峡に近い戦略的要衝にある沖縄に存在することが「抑止力」になる――。政府はこう説明するが、戦略的位置づけには専門家の間でも議論が分かれる。近年は米議会からも「沖縄には必要ない」との声も上がっている。米軍の存在意義は、この40年で変化している。共産主義の防波堤から、冷戦後のテロとの戦い、朝鮮半島の有事対応、そして中国の脅威への備えと重点を移してきた。沖縄からすれば、基地存続ありきの理屈づけに見える。・・・米軍の沖縄駐留による安全保障の受益者は、主に本土の人々である。だが、全人口の1%の沖縄県民がいくら訴えても、残る99%の間で、基地をめぐる議論は広がらない。・・・経済的な支援策では埋めきれない不条理なまでの重荷を、沖縄は負っている。負わせているのは、本土の人々だ。この現実から目をそらすような安全保障政策を、いつまでも続けていくわけにはいかない。米軍基地の存在は、沖縄の経済的な自立を阻んできた。だが、県民総所得に占める軍用地料など基地関連収入の割合は年々、相対的に減っている。復帰時には16%あったが、いまや5%ほどだ。

(1)本当に「経済的な支援策では埋めきれない不条理なまでの重荷」を「負わせているのは本土の人々」だろうか?違うだろう!日米安保条約だろう!それはどのような経過で調印され、批准されたのか、よもや忘れたとは言わせないぞ!

(2)「米軍基地の存在は、沖縄の経済的自立を阻んできた」と言っているではないか?!であるならば、「朝日」は米軍基地撤去を何故掲げないのか!?

(3)「米軍の沖縄駐留による安全保障の受益」とは、具体的には何のことか、語っていないのは何故か!説明せよ!

(4)「不条理なまでの重荷」を「負わせている」「現実から目をそらすような安全保障政策」とはどのような「政策」か!

(5)「沖縄からすれば、基地存続ありきの理屈づけに見える」「米軍(=海兵隊)の存在意義」=「共産主義の防波堤から、冷戦後のテロとの戦い、朝鮮半島の有事対応、そして中国の脅威への備え」=「抑止力」論の是非について、「朝日」は何も語っていないではないか。

(6)「米軍(=海兵隊)の存在」は日米安保条約に基づくものであることは常識中の常識だが、「朝日」はこのことを不問に付すつもりか!

(7)日米安保条約を廃棄せずとも沖縄の米軍は撤退できるというのだろうか?

(8)日米安保条約を廃棄するためには、国会で廃棄の通告を表明することだ。そのためには、日米安保条約第10条に明記されている。国会で廃棄するためには、廃棄派の議員が多数派になることだ。その方法は、選挙で多数派の議員が多くなること、或いは国民の運動で日米安保擁護派議員が少数派になることだ。だが「朝日」はそのことについては不問だ。他人事なのだ。

(10)「軍用地料など基地関連収入」とは何か、税金かどうか、米軍が出しているのか、どれくらいの金額になるか、曖昧にしているのは何故か?

(11)「基地関連収入」の「県民所得」の「割合は年々、相対的に減って」「復帰時には16%あったが、いまや5%ほど」というが、そうであるならば、米軍基地は沖縄県民にとって何らの経済的効果も役割も果たしていないことになる。事実「米軍基地の存在は、沖縄の経済的自立を阻んできた」のであれば、沖縄にとって「米軍の抑止力」は無意味なことになるのではないか?何故日米安保条約廃棄を主張しないのか!

2.基地の「弊害」を強調しながら、「めざせ、環境先進地」と論点をスリカエ、基地の温存を応援する。

 米軍基地の存在は、沖縄の経済的な自立を阻んできた。だが、県民総所得に占める軍用地料など基地関連収入の割合は年々、相対的に減っている。復帰時には16%あったが、いまや5%ほどだ。こんな実情を反映して、10年ごとの沖縄振興計画を、今回初めて県が主体的につくり、きょう正式決定する。これまでの国まかせから脱却し、県が具体策を練る。それこそが真の自立に向けた出発点になるはずだ。沖縄県の1人あたりの県民所得は全国最少の部類で、東京都民の半分ほどだ。完全失業率は最も高い。経済の疲弊ぶりを示す数字に読めるが、沖縄を「一番元気を失っていない都道府県」(「デフレの正体」、藻谷浩介氏)とみる見解もある。それは就業者の絶対数が増える傾向が沖縄に顕著なためだ。バブル経済崩壊の90年を起点に、直近のデータと比べれば、個人所得は1.4倍、小売販売額が1.2倍を超えている。このほか、平均年齢40.5歳は最も若く、15歳未満の人口割合の多さや、女性の平均寿命の長さも日本一だ。人口千人あたりの出生率は、12.2あり、全国で唯一、2けた台に乗っている。こんな元気な沖縄でいま、環境に優しいエネルギーの試みが注目されている。そのひとつが、県レンタカー協会などによる「EV(電気自動車)普及プロジェクト」だ。昨年2月、約200台のEVをレンタカーに導入した。県別では全国トップの多さだ。充電設備会社も設立して、沖縄本島全域に27基の高速充電施設を備えた。沖縄本島は南北120キロある。1回の充電での走行距離が160キロ程度のEVの普及実験場としては最適な規模なのだ。10年目には県内のレンタカーの約1割に当たる2500台のEV化をめざすという。実績を重ねて、将来は海外の島しょ国に沖縄発のEV普及戦略を広げていくのが県レンタカー協会の描く構想だ。
 県や市町村も公共施設に充電施設を整えたり、EVを公用車にしたりして、構想に協力したらどうだろう。沖縄電力は全国10電力会社でただひとつ、原子力発電所を持っていない。そんな事情もいまでは、環境先進地をめざす推進力になる。環境先進地への挑戦を「脱基地経済」への足がかりにすることを期待する。

(1)「県民総所得に占める軍用地料など基地関連収入の割合は年々、相対的に減っている」「実情を反映して、10年ごとの沖縄振興計画を、今回初めて県が主体的につくり、きょう正式決定」することで「国まかせから脱却し、県が具体策を練る。それこそが真の自立に向けた出発点になるはずだ」と「予想」、また「県」の「主体性」を軸にして「真の自立」「脱基地経済」への「足がかり」「期待」しているのだ。「沖縄の経済的な自立を阻んできた」「米軍基地の存在」論はどうなったのか?!矛盾だ!

(2)沖縄県の「1人あたりの県民所得」「完全失業率」などを「経済の疲弊ぶりを示す」「数字」としてではなく「一番元気を失っていない都道府県」として「沖縄」を「みる見解もある」と「デフレの正体」を著した藻谷浩介氏の「見解」を軸に「元気な沖縄」を語り、はては「環境先進地をめざす推進力」「環境先進地への挑戦」によって「脱基地経済」「への足がかりにすることを期待」しているのだ。

(3)この「デフレの正体」を著した藻谷浩介氏がどのような「主張」をした結果、どのような「判決」を受けた人物か、「朝日」は知らないはずはない。そのようなトンデモ人物の「見解」に基づいてスリカエル「朝日」の社説は、沖縄「経済の疲弊ぶりを示す」「数字」が「米軍基地の存在」にあること、それを脱していくためには日米安保条約廃棄しか道はないことを覆い隠すトンデモ論なのだ。

3.米軍基地の弊害を系統的に公平に報道せず、国民世論を操作してきた責任を曖昧にして、日米政府を免罪している。

40年もともに過ごせば、お互いの気持ちや痛みをわかりあえるものだ。しかし、きょう復帰40年を迎えた沖縄と本土との関係は、そうなっていない。朝日新聞と沖縄タイムスの4月の共同世論調査では、米軍基地が減らないのは「本土による差別だ」との回答が、沖縄で50%に上った。こんな答えを生む状況を、放っておいていいはずがない。日本が主権を回復した1952年、国内の米軍基地の9割は本土にあった。その後、沖縄への移転、本土内での集約が進み、復帰時には59%が沖縄にあった。いまは74%で、「基地の中に沖縄がある」と言われる。この間、政府は沖縄の人たちの神経を逆なでしてきた。見通しが立たない米海兵隊の普天間飛行場の名護市への移設を「唯一の有効な解決策」と言い続けるのは、その典型だ。

(1)「共同世論調査」は、日米安保廃棄を問うことなく、日米安保条約の枠内で基地をどうするかを問いかけているもので、世論調査としては極めて誘導的、意図的だ。
すでに5月9日付けの記事(=「朝日」の「復帰40年記念」の意図的なアンケートから読み取る「政治」と国民意識について)で、説明しているので、参照していただきたい。

(2)世論調査の仕方・調査項目の違いで「世論」の中身は大きく異なってくる。日米安保条約のあり方を問いた「毎日」「琉球新報」の共同世論調査に、そのことは顕著に現れている。以下みていただきたい。

 ◇日米安保、沖縄7割否定
 米軍の日本駐留を定めた日米安保条約について、全国調査では「日本の平和と安全に役に立っている」との回答が46%を占めた。「役に立っていない」は8%にとどまったものの、「どちらともいえない」との回答も40%あった。
 一方、琉球新報の沖縄調査では、現行の日米安保条約について「平和友好条約に改めるべきだ」(55%)、「破棄すべきだ」(16%)と、7割強が否定的な見方を示した。日米安保条約を「維持すべきだ」は16%にとどまっている。
 ◇中国の海洋進出「不安に思う」8割超 「外交で解決」多数
 中国が東シナ海などに積極的に進出していることについて、全国、沖縄調査ともに「不安に思う」が8割を超えた。中国の海洋進出は周辺国の脅威になっており、「不安に思う」は全国で82%に上り、地理的に近い沖縄では85%に達した。「不安には思わない」は全国12%、沖縄15%にとどまった。
 「不安に思う」と答えた人に対応策を聞いたところ、全国では「外交努力で解決すべきだ」が66%で、「防衛力を強化すべきだ」は26%だった。沖縄では外交努力が76%を占め、全国を10ポイント上回った。防衛力強化は24%だった。
 全国調査の結果を性別でみると、男性で「外交努力」を挙げた人は60%、「防衛力強化」は33%だった。一方、女性では「外交努力」と答えた人が73%と4分の3近くに上り、「防衛力強化」は19%だった。年代別では、40代と70代以上で「外交努力」を挙げる人がそれぞれ7割に達し、他の年代より高かった。
http://124.83.183.242/select/wadai/news/20120511ddm010040181000c.html

(3)確かに「基地の中に沖縄がある」のは事実だ。だが、「本土の沖縄化」がすすめられた事実については、「朝日」は語っていないし、低空飛行訓練や自衛隊基地と併用している米軍の訓練、原子力空母の母校である横須賀基地など、「本土の米軍基地」の問題に対して各地の住民が起こしている運動についても、黙殺していること、このことに「本土の人々」の眼を向けさせないことについても大いに問題ありだ。

(4)「見通しが立たない米海兵隊の普天間飛行場の名護市への移設」問題を日米安保条約廃棄の課題を選択の中に位置づけない「朝日」のスタンスは「国民」をミスリードすることになる。それは日米安保条約に対する各党の政策を紹介しなければならないのに、「朝日」をはじめとした日本のマスコミは、各政党の違いを有権者である国民に明らかにしていないことと関係しているのだ。


以上見てきたが、最大のポイントは、スリカエ・ゴマカシと分断である!

そこで、最後に

今日日本に起こっている政治の閉塞をつくりだし、日米政権を支えている最大の要因は国民の「対立」があることだ。これをものさしにして起こっている様々な事態を読み取ると、すべてが見えてくる。

スリカエとゴマカシの先見ゆるもの分断対立生きる権力

復帰40年記念社説:「核密約」に怒りを喚起させないマスコミ、最も歓迎しているのは米政府!これが証拠だ!

2012-05-23 | 日記
沖縄施政権復帰40年記念社説をみてきたが、いわゆる「唯一の核兵器被投下国ニッポン」の最大の問題、課題である「核密約」について、日本のマスコミがどのように位置づけて報道したか、それをみてみよう。以下、各社の核兵器に関する記述の部分である。


沖縄が期待した基地のない「本土並み」の暮らしと現実の落差は、あまりに大きかった。「核抜き」はどうだろう。沖縄に配備されていた戦術核ミサイルは撤去されたが、返還後の沖縄には、核再持ち込みの「密約」疑惑がつきまとった。一連の密約問題を検証した外務省の有識者委員会は一昨年、核再持ち込みについて「必ずしも密約とは言えない」としたが、佐藤首相とニクソン米大統領が署名した、再持ち込みに関する極秘扱いの文書の存在は否定しようがない。委員会の結論には強い違和感が残る。また、返還の見返りに、本来、米国が支払うべき土地の復元費用を日本政府が肩代わりする約束をしていたことも明らかになった。こちらは有識者委員会も密約と認定した。これら「沖縄密約」は、国民と沖縄を裏切る外交史の暗部である。(毎日)

沖縄返還の基本方針は「核抜き本土並み」だ。核抜きとは、沖縄に配備されていた核兵器の撤去、本土並みとは、日米安全保障条約と関連取り決めが沖縄にも変更なく適用されることを意味する。同時に、沖縄県土面積の12・6%を占める米軍基地を本土並みに縮小することでもあった。(東京)

米軍の核兵器を撤去し日米安全保障条約を本土と同等に適用する「核抜き・本土並み」が復帰時の原則だった。米軍基地は本土並みに整理・縮小するのが国の公約だった。40年後の現状はその理念からほど遠い。有事には沖縄への核の再持ち込みを認める「密約」の存在が明らかになっている。(北海道)

不透明な「核抜き」は、基地存続への反発や政府への不信感を強め、保革対立の形で県内世論を二分した。「核抜き」のうそは暴かれたが、40年はいかにも長すぎた。(河北新報)

「核抜き本土並み」とされた復帰だが、在日米軍基地のうち74%が沖縄に集中、基地に関しては「本土並み」とはほど遠い。三沢基地を抱え沖縄に次ぐ本県の7.6%からみても、沖縄の負担は余りにも重い。(東奥日報)

40年前のきのう、戦後27年間、米軍統治下にあった沖縄の施政権が日本に返還された。沖縄復帰にあたり日本政府が掲げた方針は「核抜き・本土並み」。当時の佐藤栄作首相が表明し、政治的スローガンにも扱われた。▼復帰後も米軍基地が残る沖縄にも非核三原則が適用される。そう強調された「核抜き」は、実はまやかしだった。関係者の証言や外交文書などで、核持ち込みを可能とする「密約」の存在が裏付けられた(静岡・大自在)

1950年代後半から60年代にかけて、本土の基地は約4分の1に減ったが、沖縄の基地は約2倍に増えた。沖縄の祖国復帰運動は、非民主的な米軍施政の下に置かれてきた人々が「基地のない平和な島」を取り戻そうという運動でもあったが、「核抜き、本土並み」といわれた復帰は、少なくとも基地に関しては本土並みになっていない。(岐阜)(山陰中央新報)

 これ以上沖縄に犠牲を強いてはならない。佐藤栄作元首相の密使として沖縄返還交渉に当たった本県出身の国際政治学者、若泉敬氏は96年、重い犠牲と負担を強いた沖縄に対する呵責(かしゃく)の念から「結果責任」を取った。記念式典には「県外、国外」を掲げながら迷走、混乱させた鳩山由紀夫元首相も出席の予定だ。会場周辺では政府の沖縄政策に抗議して市民団体がデモ行進する。若泉氏のように覚悟のある政治家は、氏の言う「愚者の楽園」日本にはいないのか。(福井)


たった8社しか取り扱っていない。このことをどう見るかだが、それにしても、書き方は大いに問題だ。その理由について、以下述べてみる。

復帰当時、1960年代から72年5月15日まで、問われていたのは、沖縄を日本国憲法下に戻すことだった。そして非核三原則の具体化であった。だが、国民には全く異なる密約が交わされていた。国会の「批准」さえなかった。明らかに憲法違反の「密約」であった。

北朝鮮や中国の「脅威」をことさら煽るマスコミは、米国の核兵器も持ち込みの密約、そして日米地位協定によって、どこにも自由に基地を、米軍を展開できる日米関係、こうした状況を踏まえて、中国や北朝鮮に対する報道ぶりを、こうした日米関係に適用しなければ、中国や北朝鮮のことを云々できない。

この「核密約」は日米の重大な国家犯罪であるにも係わらず、国民にウソを付きとおしてきた訳だが、そのことについて、極めて寛容的な社説を書いている。国民はこのことの意味を、憲法との関係で問わなければならない。各社も、そのことをきちっと、「しっかりと」反省しなければならない。ジャーナリズム精神が泣くというものだ。

そこで、日本の「核アレルギー」に関して米国政府がどのように位置づけていたか、新原昭治『日米「密約」外交と人民のたたかい』(新日本出版社)に掲載されていた資料を掲載しておこう。これをみると、米国政府の意向を受けたマスコミと言われても仕方のないことが判る。日本国憲法の平和主義・非核三原則より日米安保条約=軍事同盟優先の立場に立つ理由が良く理解できる。そう判断せざるを得ないものだ。


米解禁文書32 米国務省政策企画本部作成の機密報告書『日本の外交政策の動向』から
(1976年1月19日付)(抄訳)
〔日本の〕安全保障の分野で、絶えず検討しつづけなければならない特別の問題が一つある。核のトランジット(一時持ち込み)問題である。これは、われわれの両国関係において最も破壊的な作用をする危険を秘めた問題である。
日本政府は現在、大衆向けには米国による核のトランジット立ち寄りを知っていないとの態度をとっており、われわれがその承認を要請したとすればそうした立ち寄りの承認を断るであろう。
したがって、現行の〔日本への核兵器の〕トランジットの慣行が裏付けを伴って公然と暴露されたら、次のような結果が確実にもたらされるであろう。
(1)日本政府の崩壊
(2)米日防衛関係に最も強く反対の立場をとる野党指導者らへの信頼の高まり
(3)米日安全保障協力を擁護してきた日本の関係者らへの信頼のそれ相応の喪失
(4)日本の基本的な価値基準を米国が尊重していないとする大衆の疑念
遺憾なことにこの問題を片づけるためのどの選択肢も望ましいとは思えないし、政治的に実現可能とは考えられない。日本国内の政治的傾向に照らせば、〔核兵器の〕トランジット(一時持ち込み)は日本への核兵器イントロダクション(持ち込み=常時配備)の禁止を犯すことにはならないという理屈に、国民の理解と支持をとりけようと日本政府が努力するとは、実際問題として考えられない。
最小限、われわれはこの問題をめぐり、われわれの公然たる立場のちぐはぐが拡大することのもたらす犠牲と危険について、日本政府の重要関係者らに折にふれて認識させつづけること。(引用ここまで)

どうだろうか?
本来であるならば、、こうした「密約」が発覚した段階で、「日本列島騒乱」状態にならなければ「愛国者」とは言えまい。まさに「売国者」と言われても仕方がない。神戸新聞などは非核神戸方式があるのだから、そうした観点から、もっと論ずるべきだし、米軍基地のある自治体の新聞は、この「密約」に対して、自分の問題として捉えた報道をすべきだ。

だが、日本は眠れる獅子ならぬ猫、米軍の番犬と言える。そう言われても仕方のないものだ。米国政府の「危惧」に応えられない日本、まさにアメリカ脳におかされてしまった実態が浮き彫りになったのではないだろうか?


密約にアメリカ脳に声もなし闘う歴史今こそ出だせ

アメを与えて仕打ちのムチ、争点づらし「基地撤去より生活」と煽り、自立を阻んだ意味を考える

2012-05-22 | 日記
沖縄復帰40年を記念する地方各社の社説では、「沖縄振興開発事業費」が役に立たなかったことを一応指摘はしている。だが、以下のことを指摘しないわけにはいかない。以下ポイントに沿って、各社の主張を添付してみた。

1.本来は日本国憲法と相容れない米軍基地を許す最大の根拠であったソ連脅威論(抑止力論)、その代償としての「沖縄振興開発事業費」(アメ)と基地による人権侵害(ムチ)を秤にかけ、「抑止力」論を検証する指摘がない。これが最大の特徴だ。

政府は復帰後40年間で約10兆円の沖縄振興予算を投入してきた。野田政権も那覇空港の第2滑走路整備など振興策に力を入れることで、辺野古移設を進めようとしている。そうした旧態依然の「アメとムチ」の政策で米軍基地を押しつけられることこそを、沖縄差別と受け止める県民は少なくない。(高知)

復帰以降、沖縄には10兆円にも及ぶ税金が振興対策として投入された。しかし、公共事業頼みの経済構造を生み出し、沖縄の経済的自立につながらなかったのは低迷する県民所得などからも明らかだ。基地の犠牲となってきた沖縄の自立に向けて、今こそ実効ある支援策を講じるべきではないか。これまで沖縄振興計画は国が10年ごとに決めてきたが、今回の第5次計画は県が策定した。沖縄振興一括交付金の創設と共に県が要望してきたものであり、県と国は地元のニーズに沿った施策を進めてほしい。(秋田さきがけ)

政府は復帰以来、沖縄振興開発事業費などとして約10兆円を投入した。復帰時に本土と比べ遅れていたインフラ整備に一定の貢献はしたが、近年は必要性が疑問視されるような箱物建設が多く、新たな産業振興にはつながっていない。沖縄が基地経済に依存しているというのは幻想で、県民総所得に占める基地従業員所得など基地関連収入は復帰時の15.5%から2008年時点で5.3%に低下している。(東奥日報)

72年に44万人だった県外客が今や600万人に達するなど、観光業は順調だ。だが、1人当たり県民所得は全国の7割。失業率は7%台で全国平均より2ポイント高く統計上、貧しさは克服し切れていない。県内総生産に占める製造業の比率は全国最低の4.2%。一方で建設業の比率は7.6%と全国3番目の高さだ。経済に占める財政支出の割合は35%を超える。経済が公共投資への依存を高めれば当然、その分配が地元の関心事となる。(河北新報)

基地の集中もそのままであり、地位協定も「運用改善」という小手先対応で済まされている。見返りが、国による「振興計画」という名の大盤振る舞いだった。しかし、復帰以来4次にわたる計画で約10兆円がつぎ込まれたが、公共事業頼みの体質を深め、「自立」を阻害しただけだったとされる。歴代県政は金融特区などさまざまな規制緩和を勝ち取ったが、こちらも成果を挙げているとは言い難い。失業率は全国平均を大きく上回り、1人当たり県民所得は46位(2009年度)である。3次産業が大半を占めるいびつな構造も問題だ。(新潟)

 沖縄県が要望してきた県主導による振興計画が、政府の基本方針決定で動きだす。まさか普天間問題へのアメではないだろう。(京都)

復帰以来、沖縄振興開発事業費として沖縄に注がれた税金の総額は40年間で9兆円以上。これ以外にも96年の沖縄に関する日米特別行動委員会(SACO)合意以降、沖縄米軍基地所在市町村に関する懇談会(通称・島懇)事業費、北部振興事業費などの名目で数千億円が沖縄に注ぎ込まれてきた。沖縄への交付金、補助金は、復帰の時点で本土と大きな格差があった道路などインフラの整備に一定の貢献はしたが、近年は、利用者が極端に少ない豪華な公民館など、必要性に大きな疑問が生じるいわゆるハコものに使われる例が多かった。無意味な施設は新たな産業振興にはつながらず、むしろ、その維持費負担が自治体の財政を圧迫してきた。結果として、さらなる交付金、補助金を期待するという「中毒症状」を沖縄にもたらしてきた。沖縄の県民総所得に占める基地従業員所得など基地関連収入は、復帰時点では15.5%を占めていたが、2008年の時点では5.3%にまで低下している。(岐阜)(山陰中央新報)

復帰後、沖縄振興開発事業費などの名目で投下された国の振興予算は約10兆円に上る。本土と大きな格差があった道路や公共施設など社会インフラは、ほぼ本土並みになった。だが豪華なハコものに使われるケースも多く、どれだけ沖縄の自立につながったか、疑問も多い。事実、県民所得は多くの離島を抱える背景もあって全国最下位付近に低迷、全国平均の77%程度にすぎない。失業率も深刻で、県民の格差が全国と比べて高いのが実情だ。一方で基地関連収入は復帰時点では15・5%を占めていたが、2008年の時点では5・3%にまで低下。それに代わって観光収入が10%強を占めるまでになった。(福井)

復帰後の40年間で約10兆円に上る振興予算が投入されてきた。確かに社会基盤は整備され、経済の基地依存は小さくなったが、一方で公共事業や観光頼みの産業構造に陥っている。本土の地方と同じ轍(てつ)を踏まないようにしたい。(京都)

基地が存続してきたこの40年間で、県民の暮らしは豊かになったのだろうか。政府は「本土との格差是正」を掲げ、72年から沖縄振興計画に約10兆円を投入してきた。うち9兆円以上が社会インフラ整備のためのハード事業に充てられた結果、道路などの整備は進んだが、かえって公共事業への依存を高め、自立を阻害したとの指摘は多い。1人当たり県民所得は全国最下位を脱したものの、依然として全国平均の7割程度にとどまり、完全失業率も7%を超えている。産業振興への取り組みも大きな効果があったとはいえず、公共事業や観光などに偏った産業構造は変わっていない。(山陽)

経済的な自立も不可欠だ。政府は復帰後40年間で、振興予算として約10兆円を投入した。基地を押し付ける見返りの意味もあったのは間違いない。多くが公共事業に投じられたが、活性化につながったとはいえまい。(中国)

40年で沖縄に注がれた振興費は10兆円に上る。だが基地問題は解消しなかった。金銭的代償は本質的解決にならないのだ。(愛媛)

「本土との格差是正」を掲げた沖縄振興計画は、4次にわたって計約10兆円がつぎ込まれた。その結果、道路などのインフラ整備は進んだものの、1人当たりの県民所得は全国平均の7割程度にとどまっている。公共事業への依存が高く、自立した経済の育成が遅れているためだ。(徳島)

■基地経済依存は神話■
復帰の時点で本土と大きな格差があった道路などインフラ整備のため、沖縄には多額の交付金や補助金が注ぎ込まれた。沖縄振興開発事業費として9兆円以上、このほか沖縄米軍基地所在市町村に関する懇談会事業費、北部振興事業費などの名目で数千億円が投入されている。これらは確かに一定の貢献はした。しかし近年は、利用者が極端に少ない豪華な公民館など、必要性に疑問が生じるいわゆるハコモノに使われる例が多かった。当然、無意味な施設は新たな産業振興にはつながらず、むしろ、維持費負担が自治体の財政を圧迫してきた。・・沖縄の県民総所得に占める基地従業員所得など基地関連収入は、復帰時点で15.5%を占めていたが、2008年には5.3%にまで低下。沖縄が基地経済に依存しているというのは「神話」である。(宮崎日日)

インフラ整備が進んで是正されたとはいえ、依然として格差が残っているのも事実だ。1人当たり県民所得は全国平均の7割にすぎない。完全失業率は2011年の時点でも7・1%と全国平均(4・5%)を大きく上回っている。しかも、主要産業をみれば、公共事業や観光はともかく、基地経済頼みという「3K」と呼ばれる経済構造は、やはりいびつだと言わざるを得ない。(佐賀)

この40年、沖縄には政府の4次にわたる「振興計画」に基づいて、約10兆円がつぎ込まれた。離島の空港や港湾施設、自動車道、モノレールなどのインフラ整備はある程度進んだ。一方で、巨額の振興策は公共事業依存を高め、基地依存と相まって経済の自立を阻害してきた。完全失業率は、復帰して一度も全国平均を下回ったことがなく、11年も全国の4・5%を大きく超える7・1%。非正規雇用の多い観光業が主な産業で、製造業の比率が低いことが背景にある。09年度の1人当たり県民所得は、復帰当時の4倍超の204万5千円に増えたものの、47都道府県中で46位。だが、それまでは20年連続で最下位だった。政府は、今後10年の振興策の基本方針として「民間主導の自立型経済の発展」を掲げ、観光や情報産業、国際物流の関連産業を重点的に育成する方向性を示した。改正沖縄振興特別措置法に基づき、振興計画の策定主体が国から沖縄県に移り、使途の自由度が高い沖縄振興一括交付金も新設された。(熊本日日)

沖縄振興は、復帰した年から実施されてきた。第1次の10年間で社会基盤はある程度整備された。だが、完全失業率は復帰後一貫して全国平均を上回り、2011年も全国の4.5%に対し7.1%と高い。1人当たりの県民所得も全国平均の7割程度にとどまり、本土との格差是正には程遠い。産業構造は公共事業、観光、基地経済のいわゆる「3K」に頼ってきた。政府はこれまで、約10兆円に上る振興予算を投入してきた。だが、巨費をつぎ込んだ振興策は公共事業への依存体質を強め、産業育成が立ち遅れる要因になったと指摘される。(南日本)

2.しかも、その「沖縄振興開発事業費」(アメ)がどこへ流れていったのか、具体的な追及と解明は不問だ。「抑止力」論=「軍事」に巣食う「建設業界」の具体的構造=軍事利益共同体にこそ、メスをいれなければ、今後も同じことになることは確実だ。

補助金などの見返りに期待し基地に寛容的だった人たちを含め「県内に新しい基地を造らせない」という県内世論の結束がうかがえる。・・・依存していたのは建設業など一部が恩恵を受ける交付金経済だ。(東奥日報)

普天間飛行場の移設は地元業者の意向で規模が広がり、辺野古沖の埋め立て計画が浮上。問題を複雑化させた。振興策が基地提供と抱き合わせで語られる構造から、沖縄は自由になれずにいる。(河北新報)

沖縄が依存してきたとすれば、基地経済そのものではなく、建設業界など一部の人のみが恩恵を受ける交付金経済で、沖縄の自立には結びつかなかった。(岐阜)(山陰中央新報)

建設業界など一部の人が恩恵を受ける構図となり、自立どころか、国に依存する体質が強まってしまった。「沖縄の経済は基地がなければやっていけない」との本土側の見方もある。しかし今は成り立つまい。県民総所得に占める基地関連収入は、復帰当時の15%から5%に低下しているという。(中国)

従来は政府が計画を策定してきたが、ほとんど活用されていない優遇税制や特区もみられた。(徳島)

沖縄が依存してきたとすれば、基地経済そのものではなく、建設業界など一部の人のみが恩恵を受ける交付金経済であり、沖縄の自立には結びつかなかった。(宮崎日日)


3.基地のある自治体の選挙の度に繰り返される「基地撤去優先か、基地よりも生活優先か」の争点づらしがを意図的に振りまかれ、国民の血税がばら撒かれ、有権者の票が買われてきたこと、「基地依症」「中毒症状」「基地神話」の責任を不問に付している。

普天間飛行場の移設問題をめぐり、「沖縄に新たな米軍基地を造らせない」という沖縄の意思は強固だ。これまでの沖縄では、補助金や交付金によって政治的意思が分断されることが多かったが、仲井真弘多知事の姿勢にも沖縄の世論にも揺らぎが見られない。(岐阜)(山陰中央新報)

・結果として、さらなる交付金、補助金を期待するという「中毒症状」をもたらしてきた。(宮崎日日)

4.基地撤去による経済復興・振興策の探求を押し留める役割を果たしてきたことを反省していない。だから、だが、基地撤去のための方策も打ち出せない。
1人あたりの県民所得は全国平均の約7割、完全失業率は47都道府県中最悪だ。政府は沖縄振興策の基本方針を決定したが、広大な基地が経済発展を妨げている現状を変えなければ根本的解決にはならない。(北海道)

・・・むしろ沖縄本島面積の2割を占め、観光地や交通の要所を占拠している基地が振興の障害になっているという認識が県内で広がりつつある。(東奥日報)

沖縄が基地経済に依存しているというのは「神話」であり、むしろ沖縄本島の面積の約2割を占め、一級の観光地や交通の要所に陣取る基地の存在こそが、経済発展の物理的障害になっているとの認識が広がりつつある。(岐阜)(山陰中央新報)

基地を返還させて跡地をうまく活用すれば、はるかに高い経済効果を生むことになろう。政府は先週、新たな沖縄振興策の方針を決めた。観光や情報通信、国際物流などの産業を育てるという。方向性はいいとしても、具体化はこれからだ。地域主権のモデルケースとして、これまで以上に権限と財源を移す必要もあろう。「一国二制度」に近い大胆な発想が求められるかもしれない。琉球王国時代はアジア交易の中継点となり、豊かな歴史を育んだ沖縄。「平和の島」に一歩でも近づくよう、私たちも努力しなければならない。(中国)

近年観光で注目されるものの、経済自立にはなお遠い。最も突出しているのが米軍基地の存在で、今も2万3千ヘクタールに及ぶ。面積では全国の0・6%にすぎない沖縄県に、在日米軍専用施設の約74%が集まり、数々の生活被害を及ぼしている。異様な基地集中は、40年たっても改善されず固定化されたままだ。(西日本)

沖縄の自立的発展の前に大きく立ちはだかるのが、米軍基地の存在だ。在日米軍基地のうち74%が沖縄に集中する現状について、沖縄から「差別」と批判されるのは当然だろう。沖縄に基地負担を押しつけ、代わりに交付金などを出すという長年の施策は、沖縄の自立を阻んできた。これからも「基地の島」のままでいいのか、国民一人一人が考えたい。(南日本)

5.沖縄とフクシマの構造的類似性を強調するが、その根底に、アメリカ従属と大企業優先の経済・軍事・資源政策があることを隠している。あるいは気付いていない。
積み残された課題の解決は容易ではあるまい。東日本大震災と原発事故が起きて以来、沖縄と原発が立地する地方は「合わせ鏡」のように論じられることも多い。安全保障の犠牲と、都会への電力供給の犠牲という構図からだ。(山陽)

▼リスク背負わせる構図
安全保障の名の下に配置される沖縄の米軍基地の存在は「国策と地域」という問題を私たちに投げ掛ける。同様に「国策と地域」について、国民に議論を呼び起こす大きな出来事が最近あった。福島原発事故である。原発はエネルギー確保、米軍基地は安全保障という「国策」として、主に地方に置かれる。いずれもメリットは国民全体が享受するが、リスクを背負うのは狭い範囲の周辺住民だ。国は協力を得るため地域に交付金や補助金をつぎ込む。地域は補助金依存体質が染み付き、結果的に経済的自立が阻害される構図も、似通う。原発事故を受け、こうした事態を見直す機運が出てきた。受益者全体が節電や自然エネルギーへの転換で脱原発を進め、「犠牲の構造」そのものを解消していこう、との考え方だ。(西日本)


6.以上のような論調では基地弊害の使われる税金を最大の「ムダづかい」として検証できない。このことは軍事費を聖域扱にいすることを改めて示している。これは「財政危機」の解決のための財政的保障として「消費税増税と社会保障の一体改悪」を応援する論調であることに気付いていない。


7.しかも日米安保体制廃止は「想定外」、日米安保体制の枠内で、しかも一般的に基地縮小と基地撤去を論じているが、これまでの歴史を踏まえていない。
「基地のない平和な島」を取り戻してこそ真の復帰だという意味だ。重く受け止めなければならない。(北海道)

沖縄の人々が実感できる負担軽減と東アジアの安定を両立しなくてはならない。政府は責任を自覚して、この難題に取り組んでもらいたい。私たちも基地問題への関心を深め、沖縄との距離を縮める努力を暮らしの場から重ねたい。(信濃毎日)

私たちはかねて普天間移設を一から見直すよう求めてきた。問題は、日本の安全保障と沖縄の負担軽減をどう両立させるかだ。日米安保体制を続けるならば、基地の縮小しかないことは自明である。「一からの見直し」とは、時代に即した日米安保の抜本的な再定義を含む、全体構想の見直しだ。米国の言いなりから脱し、日本政府は自らの立場をしっかりと主張しなければならない。それなしに「日米同盟の深化」などあり得まい。まずは日米地位協定の改定に全力を挙げたい。ドイツ、イタリアなどと同様に米側と基地の使用協定も結び、住民保護を強化すべきだ。(新潟日報)

基地負担の軽減を図らない限り、安全保障政策を永続的なものにすることは不可能だ。安全保障政策の立案に当たり、政府はまず沖縄の現実を直視すべきだ。40年を節目に「第2の沖縄返還交渉」に望む覚悟で、沖縄に犠牲を強いることのない安保政策のあり方を、米国と真剣に議論する必要がある。(岐阜)

沖縄は軍事上の「抑止力」を理由に、中国や朝鮮半島をにらんだ米国の世界戦略に組み込まれていく。変化する沖縄の民意を政治はしっかり受け止めなければならない。日本の在り方を考える復帰40年にしたい。(神戸)

 沖縄基地問題とは沖縄に問題があるのではないことをあらためて確認しておきたい。他国軍の国内駐留を所与の前提として思考停止している日本政府問題であり、本土による基地押しつけ問題であり、居座り続ける米軍問題だ。いま最大の米軍問題である普天間飛行場移設の行方こそが、沖縄の将来を方向付けるだろう。背後にある米国の新国防戦略に基づくアジア太平洋軍事拠点再編に対し、政府は今度こそ属国的追従と決別しなくてはならない。沖縄を犠牲にする外交・安全保障構造をなくす方向へと、ここで主体的にかじを切らねば真の復帰はさらに遠くなる。政府に求められるのは、日米両政府が先月公表した在日米軍再編見直しに関する共同文書を、さらに見直しに持ち込む対米交渉だ。共同文書では、従来パッケージとされてきた普天間飛行場の辺野古への移設と海兵隊グアム移転を切り離し、先行移転させる。あくまで米軍の都合だが、問題は沖縄の反対で辺野古移設が難しいことを見越して、普天間飛行場の補修が明記されたことだ。世界で最も危険と言われる普天間飛行場のさらなる長期使用が懸念される。95年の少女暴行事件を悲痛な契機として成立した普天間返還合意以前に逆戻りだ。米軍事情への追従でなく、自力で「沖縄の負担軽減」を勝ち取る日本政府の強い意志と交渉力が今ほど必要なときはない。あまつさえ、米軍は7月にも垂直離着陸輸送機オスプレイを普天間に配備する方針だ。事故が多く騒音も大きい問題機種で、当初は山口県の岩国基地などに駐機予定だった。想起されるのは、普天間から岩国に向かっていた米軍ヘリが伊方原発の南西1キロに墜落した88年の事故だ。「負担軽減」の負担とは何か。沖縄の痛みに愛媛からも想像力を働かせることは可能だ。40年で沖縄に注がれた振興費は10兆円に上る。だが基地問題は解消しなかった。金銭的代償は本質的解決にならないのだ。沖縄に犠牲を強いる構造―冷戦時代に結んだ日米安保条約や地位協定を含む日米同盟を根本的に見直し、歴史的視点に基づく交渉が求められていることに政府は気づかなければならない。(愛媛)

道路や港湾など社会資本の整備は進んだが、県民が望む米軍基地の整理縮小や日米地位協定の改定はほとんど手つかずだ。復帰で目指した「本土並み」を掛け声倒れに終わらせてはならない。・・・その象徴が、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題だ。日米両政府は県民の強い反対にもかかわらず、移設を推し進めようとしている。沖縄県の仲井真弘多知事は「地元の理解が得られない移設案の実現は、事実上不可能」と訴えており、移設は宙に浮いたままである。政府は辺野古移設にこだわらず、民意を踏まえた協議を米政府と行うべきだ。(南日本)

8.そうではなく日米安保条約を廃棄し、紛争を話し合い=非軍事的手段によって解決するという日本国憲法第9条を持つ国として唯一の道は非軍事の日米平和友好条約締結による道であること、そうした方向に向けて想像力を発揮した創造的外交・経済発展を展望していない。
今後10年の第5次計画は、具体策を作る権限は3月に成立した改正振興特措法により県に移された。自由度の高い一括交付金の創設など地元の大幅な裁量が認められる。しかし、県が地域振興に主体性を発揮しようにも、立ちはだかっているのが基地というハードルだ。(新潟日報)

 県は復帰40年の日に新たな10年間の方向性を見据えた21世紀ビジョン基本計画案を決定する。振興計画は国が4次にわたって策定してきたが、今回初めて自前で自立ビジョンを描く。日本とアジアの国際的物流拠点を目指し期待感も強い。(福井)

東アジアの「懸け橋」としての位置にある利点や豊かな文化を生かした社会や経済を、沖縄が主体となって築いていくことを期待しよう。そのためにも、広大な敷地を占有して経済活動を阻害する、米軍基地の縮小が欠かせないだろう。(京都)

政府は第5次計画の基本方針として「アジア・太平洋地域の発展に寄与する拠点」を目指すとした。アジアに近い優位性を生かし、国際物流や観光産業を促進する狙いだ。これを受けて、県は具体的な計画を作る。地域の実情を踏まえ、実効性のある計画へ知恵を絞ってほしい。沖縄が本土復帰を求めたのは、基地のない暮らしや経済的な自立を望んだからだといわれる。それに少しでも近づくように願いたい。(徳島)

むしろ本島の面積の約2割を占め、一級の観光地や交通の要所に陣取る基地の存在こそが、経済発展の物理的障害になっているとの認識が広がりつつある。(宮崎日日)

今年は、第5次となる今後10年間の沖縄振興計画がスタートする節目の年だ。これまで4次の振興計画は政府が定めてきたが、今回から沖縄県が実施主体となる。沖縄振興一括交付金の創設と併せ、地元の裁量が高まるのを好機ととらえ自立的発展につなげたい。・・・今後は足腰の強い産業創出と雇用確保を図ることが求められる。県はアジアに近い地理的優位を生かし、県内に国際物流拠点などをつくる計画だ。観光振興策では、国際競争力の高い観光地にするため、知事が指定した「観光地形成促進地域」の事業者は税減免や資金援助が受けられるようにする。こうした取り組みを経済活性化につなげてもらいたい。(南日本)


まとめ
各社とも米軍基地の弊害を一応述べながら、また「アメ」が役に立たなかったことを指摘しながら、その弊害の根源に蓋をする、弊害の根源を根本的治療に眼をむけることはしない。アメリカの都合を慮って、日本の立場、沖縄の立場のご理解をお願いする立場だ。これは「抑止力」論の枠のなかで論じているからだ。また日米安保繁栄論から歴史をみているからだ。
地主の土地に対する借地料費用を含めて米軍に対してかけてきた「抑止力」代としての血税と沖縄の負担軽減のためにかけてきた血税と沖縄県民の人権侵害等を比べてみて、基地が役に立ったということなのだろうか?

米国が、戦後日本の国土を利用して軍事展開をする利点は何か、まさに経済大国ニッポンは大貢君だ。米国にとって、これほど美味しい国はない。米軍再編や普天間の修理費などにみるように、米軍維持費をいただけるのだから。

この貢物としての血税が、日本国の最大のムダであることに疑問を持たない圧倒的な国民意識を作り出しているのだから、美味しいのは良く判る。しかも自国の軍事費が日本国によって賄われていることを知っているアメリカ国民はどれだけいるのか?イラク・アフガン戦争が日本なくして展開できなかったことをどれだけのアメリカ国民がいるだろうか?

「日米軍事同盟の深化」とは、日本国民の血税をアメリカの世界戦略を有効に機能させるためのキャッチコピーだということを、日本国民はそろそろ気付くべきだし、米国への「血税年貢」は止めるべきだろう。「財政危機」を孫子の代まで解決できない最大のムダが、「血税年貢」「抑止力」代に群がる軍事利益共同体にあることをもっと具体的に暴くことが大事だろう。

そういうなかで本来の日米友好とは、対等なもの、平和的なものでなければならないし、軍事にかけてきた血税を国民福祉のために使われるべきだ。国民福祉利益共同体構想の具体化こそ、社会が望む税金の使い方だ。

マスコミは、そうした関係を構築するために、日本国憲法の理念のたった社説を書くべきだろう。それがジャーナリズムの責任なのだ。

いつまでも人殺すカネ貢ぐ民命の大切今世紀こそ

沖縄復帰40年、地位協定の主権侵害・日米安保条約の屈辱的不平等性を告発しないマスコミをどうみるか

2012-05-21 | 日記
沖縄の復帰40年を記念する各社の社説を読んで気付くことがある。それは「沖縄差別」論に注目するあまり、日米地位協定の問題を米軍犯罪にだけ眼を向けていることだ。だが、これは地位協定の問題を言いながら実は日米安保条約の屈辱的不平等性に眼を瞑るものだ。これでは明治の不平等条約に立ち上がった先輩たちに申し訳ない。

事実、沖縄県が作成した「沖縄からのメッセージ」(1996年5月)には8項目の「地位協定の問題点」が「これらの問題は沖縄県のみの問題ではなく、日本全国共通の問題」として整理されている。以下記してみよう。

1.狭い沖縄に米軍基地が集中している上、水域や空域も制限されている。
2.米軍に対し、国内法で規制したり義務を貸すことはできない。したがって、基地内の環境破壊や航空機騒音等を規制できない。また、調査等のため基地内に立ち入るには米軍の許可が必要。
3.戦闘機やヘリコプターなどの墜落事故があっても、事故についての報告義務はない。
4.施設間移動の名目で、完全武装した米軍が、民間地域を行軍する。
5.米軍人の自家用車の自動車税は軽減されている。
普通乗用車 日本国民45,000円~111,000円  米軍人19,000円
小型乗用車 日本国民29,500円~39,500円   米軍人6,500円
軽自動車  日本国民7,200円~米軍人2,650円
6.米軍人が犯罪を犯しても、身柄が米軍にある場合は起訴するまでは容疑者を拘束できない。
7.公務外の米軍人の事件・事故に対する保障は米軍次第。
8.地位協定の運用について話し合う日米合同委員会の内容は原則として公表されない(関係市町村の意見が聞かれることない)。

この合同委員会ついては以下にアクセスを。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/sfa/kyoutei/index_02.html

日米地位協定については、地位協定研究会『日米地位協定逐条批判』(97年6月刊・新日本出版社)が詳しい。だが、453頁にも及ぶもので、とてもここで内容を紹介することはできない。そこで以下、その「目次」を紹介することにする。

 はじめに 
1 日本の国土を提供する根拠条項ll第二、四条
 一 膨大な国土が米軍に提供されるのはなぜか
 二 基地提供の運用にみる問題点
 三 基地の共同使用がもつ新たな危険
 四 基地の返還について
 五 基地返還の際の原状回復と補償(第四条)
2 「排他的使用権」を容認する反国民的規定―第三条
 一 施設・区域の利用方法と国内法の適用
 二 立入禁止と情報提供の拒否
 三 電波・交通―近傍における措置
 四 条約の目的を逸脱している米軍基地使用
3 出入国と移動、民間施設使用を保障する条項-第五、九条
 一 日本の空港、港湾への出入りとその使用(第五条一項、三項)
 二 提供施設、民間施設間の移動(第五条二項)
 三 軍構成員等の出入国管理と検疫問題(第九条)
4 米軍の優先使用、協力を義務化-第六~八条、一〇条、二I~二三条
 一 安保の目的達成に従属する航空管制業務
 二 公益事業などの利用優先権
 三 気象業務の提供、自動車にかんする特権
 四 米軍にたいする安全措置
5 税金の免除などの経済的特権供与―第一一~一五条、一九、二〇条
 一 各種税金の免除
 二 税金免除がもたらす損害
 三 労務の調達の肩代わり、為替管理の免除とドル軍票の使用
6 米軍に日本の法律は適用されないのか―第二八条
 一 駐留外国軍隊への国内法の適用は当然
 二 膨大な特例法で日本法令の適用を除外
 三 地位協定上、法律上の根拠なしの横暴
 四 法令違反を容認する日本政府の態度
7 野放しにされる米軍犯罪―第一七条
 一 本条制定の経緯と問題の性質
 ニ アメリカ側に有利な刑事裁判権のしくみ
 三 逮捕・拘禁で米軍兵士優先の屈辱的条文
 四 おそるべき有事規定
8 きわめて不十分な損害救済のしくみ―第一八条
 一 米軍の公務中の損害
 二 米軍関係者の公務外に生じた損害
 三 「適法行為」による被害補償
9 米軍のいすわり支える「思いやり予算」―第二四条
 一 米軍基地の固定化・強化の物質的基盤
 二 地位協定に違反する「思いやり予算
 三 特別協定のもとでの「思いやり予算」の拡大
 四 国際的にも異常な米軍駐留経費負担
10 基地の存続・強化を任務とする日米合同委員会-第二五条
 一 日米合同委員会のしくみと成り立ち
 二 日米合同委員会の目的と任務
 三 徹底した秘密機関
 四 アメリカの横暴と日本の屈辱的姿勢
資料

各社の社説が強調するように、沖縄の米軍犯罪の不平等性のみが問題でないことが判る。これはまさに全国民の、日本国の問題なのだ。しかも日本国憲法を全国地域のくらしに生かすかどうかの問題なのだ。

そこで、長いが、地位協定の問題点を指摘しているので、「はじめに」の項を紹介しておこう。

 □日本の主権制限と基本的人権の制限□
 日米地位協定は、一九六〇年に現行安保条約が締結されたさい、条約本体とともに国会で「承認」されたものである。しかし、当時の国会で協定の審議はほとんどまともにおこなわれなかった。したがって、国民の十分な批判にもさらされずに今日にいたっている。さらに、協定はわずか二八ヵ条にすぎないが、その解釈および細目の運用は、すべて非公開・秘密主義の「日米合同委員会」の合意にゆだねられる仕組みになっている。
 各条項ごとの分析にはいる前に、協定と安保条約との関係および協定の全体の構成を、簡潔にみておくことにする。
 日米地位協定の前身は、基地使用の継続など米軍の占領継続を協定で保障した日米行政協定であった。地位協定は、正式名称であきらかなように、安保条約にもとづいて日本に駐留する米軍にたいして、基地(施設・区域)を提供することをおもな目的としつつ、それにとどまらず、在日米軍にもろもろの特権・特典を保障することを盛りこんでいる。また、協定をより具体的に実施するための国内措置として、現在一九件の国内法が制定されている。ほかに政令や地方自治体の条例なども定められている。さらには、前述したように、「日米合同委員会」の合意も、その内容が国民には秘密にされたまま国民を法的に拘束している。これらが全体として、日米地位協定体系をなしているわけである。
 日米地位協定の本質を端的にいえば、在日米軍に全面的な「行動の自由」を保障するために、わが国の主権を制限し、国民の基本的人権に制限をくわえたものにほかならない。
□三つの内容□
 協定の全体的な内容は、大まかにいって次の三つに分けられる。
(1)基地の提供・設定=すでにみたように、「合衆国は、安保条約第六条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許される」(協定第二条)。この規定を実施するための国内法として、「米軍用地確保特別措置法」「地位協定実施に伴う国有財産管理法」「米軍の水面の使用に伴う漁船の操業制限法」などが制定されている。これによって日本国民は、米軍のために日本政府をつうじて土地、建物、設備などを強制使用され、漁業操業区域の大幅制限などをうけている。
(2)基地の維持と円滑な運営=協定第三条は、「合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のために必要なすべての措置を執ることができる」と定めている。これによって、基地内は完全に米軍の支配下におかれる。同時に重要なことは、米軍のこの権限が、たんに基地=「施設及び区域内」にとどまらず、その外においても、たとえば、鉄道・電話・電力・港湾・空港・道路などの自由使用、物品調達のさいの特権などの形で広範に保障されていることである。
 さらに、くわしくは後述するが、協定自身は、「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は……(本「協定」に明示するものを除いて)合衆国が負担する」(第二四条)と定めながら、いわゆる「思いやり」予算などとして、巨額の国民の血税が米軍につぎこまれている(九七年度、二七三七億円)。
(3)軍人・軍属などの特権・特典=軍人・軍属の日本への自由な出入国、刑事、民事責任の大幅免除をはじめ、日本国民に比較して大幅な特権・特典が保障される。これらの特権・特典の多くは、その者が「公務」に従事していると否とにかかわらず、一般的に保障されるものである。

どうだろうか?地位協定から見た本質的側面、すなわち日米安保条約の屈辱性、不平等性の側面だ。これは日本国民の基本的人権、国家主権さえも売り渡すものだが、これらを締結した自民党政権とそれを支える財界などの責任は大きい。

同時に、今「財政危機」として増税と社会保障の一体改悪が国民の負担によって進めようとしているが、米軍に使われる血税と免税こそ、最大の、かつ膨大なムダと言える。

その理由は、憲法に基づく平和外交努力こそ、有効な「戦争抑止力」だからだ。だからこそ、日米安保繁栄論者、推進派は、必死になってマスコミをつかって、こうした諸点について、トリックを使って煙にまいている。

「日本が主権を回復した1952年、国内の米軍基地の9割は本土にあった。その後、沖縄への移転、本土内での集約が進み、復帰時には59%が沖縄にあった。いまは74%で、『基地の中に沖縄がある』と言われる」(朝日)。
「40年で本土にある米軍基地が31%減った一方、沖縄は19%減でしかない。今なお米軍専用基地の74%が島に集中する。不平等な日米地位協定も改定されず、地元から「差別だ」の声が上がる。そうした声に耳を傾ける必要がある」(神戸)

各社の論調は沖縄への集中に眼を向けて本土の米軍基地は減らされてきたかのように強調している。しかし、それは違う。

小泉親司「安保条約50年、その歴史と現在」(『月刊学習』2010年1月号)によれば、以下のとおりだ。マスコミが国民をどこに導こうとしているのか、その狙いは何か、透けて見えてくる。

全国各地に134ヵ所の米軍基地が置かれ、総面積は東京23区の1.6倍に(09年3月現在)。主要な基地は、三沢空軍基地(青森県)、横田空軍基地(東京都)、横須賀海軍基地(神奈川県)、岩国海兵隊基地(山口県)、佐世保海軍基地(長崎県)、嘉手納空軍基地、普天間海兵隊基地(沖縄)など。
 北海道では、1980年代当初、2ヵ所にすぎなかった米軍基地が、現在では共同使用基地を含めると18ヵ所に拡大、施設数では沖縄に次いで全国2位。
静岡県の束富士演習場は、米軍演習場が返還されて自衛隊演習場になりましたが、返還にあたって米軍が「年間270日間、優先的に使用できる」との密約が結ばれていた。年間270日とは、休日の土日を除いて、米軍が毎日、自由に使用できるということを意味。
神奈川県の厚木基地は、空母艦載機の夜間離着陸訓練(NLP)基地として、周辺住民に耐え難い爆音被害を押しつけてきましたが、滑走路と管制塔が共同使用です。米軍は、摩耗の激しい滑走路の修理費を心配することなく、激しい訓練ができるようになっている。
 この共同使用を含む米軍基地の総面積は、2009年には10万2705ha、1980年(4万8411ha)の2倍以上に拡大。
 自衛隊基地ばかりではありません。地位協定は、民間港湾や民間飛行場を事実上の米軍基地として使用できるとしています。第五条は、「合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるものは、入港料又は着陸料を課されないで日本国の港又は飛行場に出入することができる」としています。これは、明らかに「入港料又は着陸料を課されない」というだけの規定にすぎませんが、日本政府は、この規定を、米軍の航空機や船舶は、いつでもどこの民間の港や飛行場も使用できると拡大解釈しています。実際、民間港湾は、都道府県知事や地方自治体の首長が管理権限をもっていますが、その了解なしに米軍艦が入港する実態が急増しています。
と述べている。

地位協定の本質と運動の課題については、さらに以下の記事が参考になる。
井上哲士「日米地位協定の抜本改定を―「公務中」米軍属の起訴を実現した世論と国会論戦」【前衛2012年2月号】
http://www.inoue-satoshi.com/shinbun_kiji/ronbun_zenei1202.html


東洋の八州の島の屈辱の歯を食ひしばり見上ぐる空を

比較的まともな地方紙でも日米軍事同盟是認論の「沖縄復帰40年」論では真の負担軽減はできない!

2012-05-19 | 日記
沖縄復帰40年を記念した地方紙の社説を読んでみた。以下検討してみた。

そのポイントは何か、以下述べてみよう。今日のところは、2つ。

1.「日米安保条約の枠組みによってつくられた平和と繁栄と沖縄の犠牲」論について

・戦後、日米安全保障条約の傘の下で本土の人たちが享受してきた平和と繁栄は、沖縄の犠牲の上に成り立ってきたといえる。(東奥日報)
・戦後、日本の安全保障は日米安保条約に支えられ、この枠組みが経済発展をもたらす基盤ともなった。(秋田さきがけ)
・安全保障問題では、近年、日米同盟の深化という言葉が盛んに使われる。しかし、その前提には沖縄の犠牲があり、犠牲を強いられ続けてきた沖縄の怒りは近年、沸点を超えつつある。(岐阜)
・日米安全保障は沖縄の犠牲の上に成り立ち、県民の怒りは増す一方だ。(福井)
・政府は基地問題を解決できないまま、振興計画を取引材料にしてきた。いくらカネをつぎこんでも基地負担の軽減にはならない。日米安全保障は沖縄の犠牲の上に成り立ち、県民の怒りは増す一方だ。政府は真の「沖縄返還交渉」を進めるべきではないか。(福井)
・政府は第5次計画の基本方針として「アジア・太平洋地域の発展に寄与する拠点」を目指すとした。アジアに近い優位性を生かし、国際物流や観光産業を促進する狙いだ。(徳島)
・近年、日米同盟の深化という言葉が盛んに使われる。しかし、その前提には沖縄の犠牲があり続ける。基地負担の軽減を図らない限り、安全保障政策を永続的なものにすることは不可能だ。(宮崎日日)
・沖縄が日本の発展に果たしてきた役割は計り知れない。日本の平和は日米安保体制の下、沖縄の犠牲の上に成り立ってきた。その犠牲の結果、基地問題をはじめ、本土との間には大きな格差が依然として残っている。(佐賀)

どうだろうか。上記の社説の指摘をまとめてみた。

(1)「日米安保条約によって日本の繁栄がある」論は、「消費は美徳」として資源の浪費生活や「原子力の平和利用」による原発事故も免罪する。

(2)石炭から石油へ、石油から原子力へ、食糧自給率を低下させてきたこと、貿易立国を軸に国内の資源エネルギーを対米追随に転換してきたことなどを免罪する。

(3)「日米安保は沖縄の犠牲のうえにある」論は、沖縄県民と他県民、すなわち国民を分断する論である。すなわち米軍基地のある自治体の住民の諸権利が侵害されていることを見えなくさせると同時に全国的連帯と統一行動を起こさせない論になる。これについては、後で述べる。

(4)日米安保体制によって、日本が出撃基地となり、ベトナム・インドシナ人民、イラク・アフガン人民の生命を財産、環境を不当な侵略、国際法に違反して犯してきたことを免罪する。

(5)日米軍事同盟による「安全保障」論は「軍事均衡」論、「抑止力」論によって成り立つものである。

(6)これは日米安保条約の上位ある日本国憲法の平和主義(紛争を平和的手段によって解決する)を後景に追いやり、軽視し、憲法を暮らしに生かすために活用する創意工夫を止め、停止することになる。実際わが国の政府は、こうした立場にたった外交努力を自主的に行うという点で極めて弱い。

(7)膨大なムダ遣いである軍事費を平和的産業や教育・福祉・暮らしなどに転用して繁栄を築く政治をないがしろにする。

2.「沖縄差別・不平等」論=同情論は日米安保条約の本質を覆い隠す

・在日米軍基地はなお74%が沖縄に集中している。この過重負担をどうするのか。真剣に考えなければならない。同じ日本人として沖縄の痛みを分かち合う気持ちが大切だ。駐留する米兵らは、罪を犯しても基地に逃げ込めば日本側は捜査できない。多くの被害者が泣き寝入りさせられた。この不平等な日米地位協定はまだ一度も改定されていない(北海道)
・施政権は米国から日本に返還されたが、存続した米軍基地による過重な負担は今もなお解消されていない。「核抜き本土並み」とされた復帰だが、在日米軍基地のうち74%が沖縄に集中、基地に関しては「本土並み」とはほど遠い。三沢基地を抱え沖縄に次ぐ本県の7.6%からみても、沖縄の負担は余りにも重い。米軍機の騒音、墜落の危険、米軍関係者らによる犯罪多発、基地に接収されたままの私有地…。基地の重圧はいつまで続くのか。(東奥日報)
・復帰から40年たった今も国土面積の0・6%にすぎない沖縄に在日米軍施設の74%が集中する。「基地のない平和な島」。本土復帰に込めた沖縄の願いはかなわず、基地による騒音や事故などに苦しんでいる。(秋田さきがけ)
・仲井真知事の訴え(沖縄に集中する米軍基地の負担について、「政府は今後の10年で公平にしてほしい」と求めた。ほかの県も負担を受け持つべきだ)は基地問題を沖縄だけにとどめず、日本全体で考えるべきだ、とのメッセージではないか。重く受け止めたい。(信濃毎日)
・1950年代後半から60年代にかけて、本土の基地は約4分の1に減ったが、沖縄の基地は約2倍に増えた。沖縄の祖国復帰運動は、非民主的な米軍施政の下に置かれてきた人々が「基地のない平和な島」を取り戻そうという運動でもあったが、「核抜き、本土並み」といわれた復帰は、少なくとも基地に関しては本土並みになっていない。40年間に沖縄県の米軍基地面積は18%ほど減ったが、日本の米軍基地の74%が今も集中、屋良氏の抱いた未来への懸念は不幸にも的中している。(岐阜)
・40年で本土にある米軍基地が31%減った一方、沖縄は19%減でしかない。今なお米軍専用基地の74%が島に集中する。不平等な日米地位協定も改定されず、地元から「差別だ」の声が上がる。そうした声に耳を傾ける必要がある。沖縄県の仲井真弘多知事は本土復帰40年を前にした会見で、沖縄に集中する米軍基地の負担を今後10年間に全国で公平に分担するよう要望した。重い問い掛けである。国の安全保障の問題が県政の最重要課題にならざるを得ない沖縄の40年間の「犠牲」をどう考えるか。私たち一人一人が問われている。(山陽)
・本土と沖縄との間に今、新たな「国境」が生じつつあるのではないか。それを消すには、基地が集中する沖縄の現実を見つめ直し、負担軽減を訴える切実な声に耳を傾ける必要がある。(高知)
・最も突出しているのが米軍基地の存在で、今も2万3千ヘクタールに及ぶ。面積では全国の0・6%にすぎない沖縄県に、在日米軍専用施設の約74%が集まり、数々の生活被害を及ぼしている。異様な基地集中は、40年たっても改善されず固定化されたままだ。米軍による事故や米兵の犯罪も後を絶たない。1995年の少女暴行事件で米軍は起訴まで容疑者の兵士の身柄引き渡しを拒み、2004年の沖縄国際大学へのヘリ墜落事故では米軍が日本側の警察、消防さえ現場から締め出した。こうした特権を保証する日米地位協定は一度も改定されていない。「本土並み」という沖縄の悲願は、依然道半ばと言うしかない。こうした沖縄の厳しい現状を、本土は理解しているだろうか。地元紙・琉球新報と全国紙による世論調査がある。沖縄の米軍基地集中を「不平等だ」と回答したのは、沖縄で69%にのぼるが、全国では33%だった。両者の落差は大きい。この時代、戦争の負の遺産に苦しむ沖縄に、本土側も同胞として強い共感を抱いていたことがうかがえる。40年たった今はどうだろう。本土は沖縄の苦悩を人ごとのように眺め、沖縄はその無関心さに不信と無力感を強めているのではないだろうか。沖縄と本土は、復帰当時の共感を育むどころか、分断が広がっている。本土側には「基地集中は好ましくないが、やむを得ない」とのあきらめ感も漂う。しかし、沖縄の基地を固定化することは、沖縄と本土の「不平等」も固定化してしまうことだ。沖縄の人々の怒りは、基地による被害への不満だけでなく、不平等に鈍感な本土の住民に対する異議申し立てでもある。原発事故では全国の住民が、福島の人々の苦労を思いやった。同じように沖縄の人々の苦難にも、いま再び想像力を働かせたいと切に思う。少数の犠牲の上で大多数が安逸に暮らす-。そんな社会を放置し続ける日本であっていいはずがない。(西日本)
・沖縄の祖国復帰運動は、非民主的な米軍施政の下に置かれてきた人々が「基地のない平和な島を取り戻そう」という切実な願いからだった。沖縄がまだ米国の一部であった1950年代後半から60年代にかけて、本土の基地は約4分の1に減ったが、一方で沖縄の基地は約2倍に増えた。日本に復帰して40年の間に沖縄の基地面積は約18%減ったものの、日本の米軍基地の74%が今も集中している。「核抜き、本土並み」といわれた復帰は、少なくとも基地に関しては本土並みになっていない。(宮崎日日)
・日本への復帰当時、多くの沖縄県民は「平和憲法下への復帰」が、基地なき沖縄につながると大きな期待を寄せた。だが、その期待は裏切られ、日本の国土の0・6%にすぎない沖縄に、米軍専用施設の74%が集中するという構図が続いている。なぜ、沖縄に米軍基地がこれほどまでに集中するのか。それは、日米同盟を軸に据えた安全保障体制が形作られてきたのが大きい。中国、ロシア、北朝鮮に対峙するラインの中心線に、沖縄が位置しているという地政学的な理由だ。沖縄の人々が今の状況を「差別的」だと捉えているのも当然だろう。その心情に、本土に住む私たちは正面から向き合わなくてはならない。だが、基地なき沖縄という理想は、今の緊迫した国際情勢を考え合わせれば遠のくばかりだ。軍事力を強化し続ける中国は、わが国や周辺諸国との摩擦も引き起こしている。沖縄の軍事的な役割は、ますます増している。こうした国際情勢はあるにせよ、沖縄の負担軽減は大切なテーマだ。(佐賀)
・日本の安全保障政策の中で翻弄され続けてきた沖縄だが、憲法施行65年を迎えた3日、地元2紙はそれぞれの社説で、米軍への優遇措置を盛り込んだ日米地位協定が憲法に保障された諸権利を侵害している現状の打開を訴えた。仲井真弘多知事も政府に地位協定の改定に向け運用改善を積み上げるよう要請している。政府の確かな取り組みが望まれる。(熊本日日)
・しかし、沖縄の自立的発展の前に大きく立ちはだかるのが、米軍基地の存在だ。在日米軍基地のうち74%が沖縄に集中する現状について、沖縄から「差別」と批判されるのは当然だろう。沖縄に基地負担を押しつけ、代わりに交付金などを出すという長年の施策は、沖縄の自立を阻んできた。これからも「基地の島」のままでいいのか、国民一人一人が考えたい。(南日本)

引用が長くなってしまった。できるだけ事実を明らかにすることで、社の思想を読み取っていただきたかったからだ。ご容赦を!そこで、上記の社説の指摘をまとめてみた。

(1)米軍兵士の犯罪は、沖縄だけではない。全国各地で発生しているし、今後も起こる可能性は大きい。
だが、

(2)米軍基地を擁する三沢(青森)が何故一緒に米軍基地撤去のために沖縄と連帯できないのか?同じことは全国各地の米軍基地を擁する自治体にも言えることだ。だが、この復帰40年記念にあたって社説すら書かない新聞社もある。
そうしたなかで、

(3)「沖縄の苦難」を強調するのはいい。だが、それだけでは「基地のない島」は実現できない。「日米同盟を軸に据えた安全保障体制が形作られてきたのが大きい」との認識とこれまでの歴史が示しているではないか。
だが、

(4)「平和憲法下への復帰」「基地のない平和な島」とは、9条のある国、ニッポンのことだ。この視点が弱いのは、日米安保条約を廃棄してこそ「基地のない平和なニッポン」が実現できることを覆い隠すことを意味している。
そのことは、

(5)社説で述べられている日米地位協定の事項は、その本質を覆い隠す役割を果たしている。免罪だ。地位協定は日米安保条約6条にもとづいて米軍基地(「施設及び区域」)を日本のどこにでも置くことができる「全土基地方式」を採用している事を隠している。地位協定第2条は、個別の基地の使用条件について、第25条にもとづいて設置される日米合同委員会で合意されるとしている。しかもアメリカがどこに基地を置くかについていっさいの制約はないし、基地の「使用条件」も、いっさい秘密だ。何も沖縄だけではないのだ。いつでも沖縄化は可能なのだ。
そういう状況を無視して、

(6)沖縄と本土の間に「新たな『国境』が生じつつある」のは、「国民一人一人」なのか、「本土に住む私たち」とは誰のことか、曖昧な言い方だ。マスコミの知らせる責任、国民の知る権利、政府の憲法遵守の義務は、曖昧だ。

日の本の差別の奥に住む悪魔瑞穂の国の徳を奪ひて


北海道   沖縄復帰40年 「本土並み」はまだ遠い
河北新報  沖縄復帰40年/「祖国」による分断を超えて
東奥日報  「本土並み」未来へ道筋を/沖縄復帰40年
秋田さきがけ 沖縄復帰40年 負担分かち合う道筋を
岩手日報   沖縄返還40年 島の現実を共有しよう
信濃毎日   沖縄復帰40年 溝を埋める取り組みを
新潟日報   本土復帰40年 沖縄の訴えを胸に刻もう
岐阜   沖縄復帰40年犠牲を強いない安保を
福井   沖縄復帰40年 これ以上犠牲を強いるな
京都   沖縄復帰40年  苦難の歴史見つめたい
神戸   沖縄復帰40年/変わる民意を受け止めよ 
山陽  沖縄復帰40年 問い掛ける「犠牲」の構図
中国  沖縄復帰40年 現実を直視する機会に
山陽中央新報 沖縄復帰40年/犠牲なき安保政策議論を
愛媛  沖縄復帰40年 犠牲の構造解消へかじを切れ
徳島 沖縄復帰40年 基地の負担を減らさねば
高知 【沖縄復帰40年】脱基地の願いに応えたい
西日本 沖縄復帰40年 「不平等」の固定化でいいのか
宮崎日日 沖縄復帰40年 基地負担軽減し安保政策を
佐賀 沖縄復帰40年 「万国津梁」をふたたび
熊本日日 本土復帰40年 沖縄の現実に向き合いたい
南日本 [沖縄復帰40年] 自立的発展どう描くか