愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

これが「敵基地攻撃」論を論じた朝日・毎日・読売・産経・中日・東京の社説だ!

2013-07-31 | 日記

以下、各紙の社説を証拠として掲載しておきます。

朝日 敵基地攻撃論/無用の緊張を高めるな 2013/5/22 4:00
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1?

 敵の弾道ミサイル基地などを攻撃できる能力を、自衛隊が持つことを検討する——。 自民党の国防部会・安全保障調査会が、こんな提言をまとめた。すみやかに結論を出し、政府が年内に策定する新防衛大綱に反映させたいという。 北朝鮮によるミサイル攻撃への対処などを念頭に置いたものだろう。 だが、これではかえって地域の不安を高め、軍拡競争を招くことにならないか。そんな危惧を抱かざるを得ない。

 日本の安全保障政策は、専守防衛が原則だ。自衛隊は「盾」として日本防衛に徹し、米軍が「矛」として攻撃を担うという役割分担を前提にしている。 安倍首相は「盾は自衛隊、矛は米軍で抑止力として十分なのか」と語る。米軍に頼るだけでなく、日本も「矛」の一部を担うべきだという主張である。

 北朝鮮のミサイル問題や核実験に加え、中国の海洋進出も活発化するなど日本を取り巻く情勢は厳しさを増している。そうした変化に合わせて、防衛体制を見直すのは当然のことだ。

 しかし、自衛隊が敵基地をたたく能力を持つことが、本当に日本の安全を高めることにつながるのか。 政府見解では「相手がミサイルなどの攻撃に着手した後」の敵基地攻撃は、憲法上許されるとしている。一方、攻撃の恐れがあるだけで行う「先制攻撃」は違憲との立場だ。 とはいえ、日本が敵基地攻撃能力を持てば、周辺諸国から先制攻撃への疑念を招くのは避けられない。 装備や要員など態勢づくりの問題もある。 自民党内では、戦闘機への対地ミサイルの搭載や、巡航ミサイルの配備などが検討されているようだが、それで済むほど単純な話ではない。 北朝鮮のノドン・ミサイルは山岳地帯の地下に配備され、目標の把握すら難しい。情報収集や戦闘機の支援態勢などを考えれば、大掛かりな「矛」の能力を常備することになる。 その結果、各国の軍拡競争が激化し、北東アジアの安全保障環境を一層悪化させる懸念すらある。財政的にも現実的な選択とは思えない。

 安倍政権は、集団的自衛権の行使容認や、憲法9条改正による国防軍の創設をめざす。敵基地攻撃論は、そうした動きと無縁ではあるまい。 いま必要なのは、ぎくしゃくした周辺国との関係を解きほぐす外交努力である。無用の緊張を高めることではない。 

毎日 敵基地攻撃能力/緊張高めず慎重議論を 2013/7/27 4:00
http://mainichi.jp/opinion/news/20130727k0000m070114000c.html

 防衛省は、防衛力整備の指針となる「防衛計画の大綱」(防衛大綱)の中間報告に、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展を踏まえて、敵のミサイル発射基地などを攻撃する敵基地攻撃能力の保有検討を盛り込んだ。専守防衛を基本とする日本の防衛政策の転換につながる可能性があり、慎重な検討を求めたい。

 政府見解では、敵がミサイル攻撃に着手し、他に防ぐ手段がない場合に限り、発射基地を攻撃することを自衛の範囲として認めているが、日米安保体制のもと、自衛隊は「盾」(防御力)、米軍は「矛」(打撃力)を担う役割分担をしてきた。 しかし北朝鮮の相次ぐ核実験や事実上の弾道ミサイル発射を受けて、ミサイル防衛の強化だけでは不十分ではないかとの議論が、自民党を中心に活発化している。 攻撃前に敵の基地をたたくことは「専守防衛を逸脱した先制攻撃ではないか」との疑念が残る。何をもって敵がミサイル攻撃に「着手」したと判断するかが問題だ。敵がミサイル発射を宣言し、発射台にミサイルが据えられ、燃料が注入されれば「着手」と評価できる、という考え方もあるが、はっきりしない。拡大解釈されれば「先制攻撃」につながりかねない。その結果、地域の軍拡競争を招く可能性もある。 防衛上の有効性の問題もある。北朝鮮は、ほぼ日本全域を射程に収める中距離ミサイル「ノドン」200発を移動式発射装置に搭載し、山岳地帯の地下施設に配備しているとされる。位置や発射の兆候などの情報を正確に把握するのは簡単ではない。攻撃に必要な装備や部隊をどう整備するかも課題だ。

 防衛省は「費用対効果、地域の安全保障環境への影響、日米同盟との関係」を検討する必要があるとしており、議論すること自体が抑止力になることを狙った面もありそうだ。

 また中間報告は、沖縄県・尖閣諸島周辺での中国の海洋活動の活発化を受けて、離島防衛強化のため、自衛隊に機動展開能力や水陸両用機能(海兵隊的機能)を持たせることを検討すべきだと求めた。 南西諸島の防衛強化は必要だ。だが仮に尖閣諸島が相手国に一時的に占拠されたとしても、補給線を断てば、米海兵隊のような強襲揚陸能力は不要との指摘もある。「海兵隊的機能」という言葉も誤解を招きやすい。真に必要な防衛力整備は何か。財政事情が厳しい中で、国民が納得できる十分な検討と説明が必要だ。 年末の大綱策定に向け、安倍政権は周辺国の緊張を高めないよう留意しながら、有識者らの意見も幅広く聞き、冷静、慎重に議論を深めてもらいたい。 

読売 敵基地攻撃能力/日米連携前提に保有の検討を 2013/5/18 2:00
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130517-OYT1T01487.htm

 日米同盟の抑止力を強化する方向で、自衛隊と米軍の役割分担を見直すことが肝要である。 自民党が、年末に策定する予定の政府の新たな防衛大綱に関する提言案をまとめた。 自衛のために相手国のミサイル基地などを攻撃する「敵基地攻撃能力」の保持について、「検討を開始し、速やかに結論を得る」と明記した。北朝鮮の核・ミサイル開発を念頭に置いたものだ。

 北朝鮮の弾道ミサイル能力が向上する中、ミサイル防衛による抑止に限界があることは否定できない。同時に多数のミサイル攻撃を受けた場合、すべてを完璧に迎撃するのは困難である。 日米両国は長年、自衛隊は専守防衛で「盾」、米軍は「矛」の役割をそれぞれ担い、報復攻撃の打撃力は米軍に全面的に委ねる体制をとってきた。 この米軍の攻撃力の一部を補完する形で、自衛隊が敵基地攻撃能力を保有することは、日米の防衛体制の強化につながろう。 安倍首相も前向きな姿勢を示している。今月上旬の国会答弁で、日本へのミサイル攻撃が迫っている際に「米軍に攻撃してください、と日本が頼む状況でいいのか」と問題提起した。

 重要なのは、自衛隊がどんな装備を導入するのが良いのか、具体的な検討を進めることだ。 選択肢としては、攻撃目標の正確な位置を入力し、全地球測位システム(GPS)で誘導する巡航ミサイルの導入や、ステルス性を持つ最新鋭戦闘機F35などによる対地攻撃が想定される。 巡航ミサイルは、移動式発射台を使うノドン・ミサイルなどへの攻撃が難しい。F35では、相手国への領空侵入を支援する大規模な航空部隊の編成が必要となる。 どちらの場合も、日本が単独で攻撃するのは非現実的だ。攻撃目標の探知など情報面の協力を含め日米の緊密な連携と適切な役割分担を前提とせねばなるまい。

 提言案は、南西方面の島嶼(とうしょ)防衛のため、陸上自衛隊に「海兵隊的機能」を付与し、水陸両用部隊を新設することも求めている。 中国軍が尖閣諸島周辺での示威活動を強める中、島嶼防衛を強化する必要性は増している。陸自は既に米海兵隊と共同訓練を重ね、海兵隊的機能の保有を進めているが、新大綱では装備面を含め、その動きを加速させるべきだ。 新型輸送機オスプレイを自衛隊が導入することも、前向きに検討していいだろう。 

【主張】防衛大綱改定 敵基地攻撃能力の明記を2013.7.27 03:14 主張 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130727/plc13072703140005-n1.htm

 安倍晋三政権は防衛力整備の長期指針となる「防衛計画の大綱」を年末に改定する。 これに向けて防衛省がまとめた中間報告には、離島の防衛や奪回にあたる海兵隊の機能を自衛隊に持たせる方針を明記するなど具体的な抑止力強化策が盛り込まれた。 日本を狙う弾道ミサイルの発射元を無力化する、敵基地攻撃能力の保有にも含みをもたせた。安全保障政策の見直しを具現化しようとするこうした取り組みを評価したい。 大綱では保有を明記するなど一層の踏み込みが必要だ。 中間報告は、防衛省が国の守りには最低限必要だと判断した内容だ。今後の政府内での検討作業でさらに具体化を図り、日本の平和と安全を守り抜くことができる大綱を実現してほしい。

 北朝鮮の弾道ミサイル開発は、長射程化の技術を向上させるなど新たな段階に入った。北の核・ミサイルは、日本の安全に対する重大な脅威だ。現在は報復能力を全面的に米軍に頼っており、日本はまったく保有していない。自分の国を自分で守る抑止力を持っていないことが問題なのだ。 首相は5月の国会答弁で、「相手に思いとどまらせる抑止力の議論はしっかりしていく必要がある」と語った。公明党は敵基地攻撃能力の保有に慎重だ。

 相手の一撃を甘受する「専守防衛」に象徴されるように、防衛政策の基本的な方針により、十分な抑止力が働かない状況が作り出されてきた。日米同盟強化のため、集団的自衛権の行使容認も喫緊の課題となっている。

 尖閣諸島の奪取をねらう中国は、東シナ海から西太平洋への進出を図っている。中国軍の早期警戒機が24日、沖縄本島と宮古島の間の公海上を通過する「特異な行動」(安倍首相)をとった。中国海軍の艦艇が日本列島を1周する示威行動もした。 中間報告は離島防衛のため、機動展開能力と水陸両用機能(海兵隊機能)の確保を打ち出した。 日本が抑止力の強化に努めることにより、中国の高圧的な行動や、偶発的な軍事衝突など不測の事態を防ぐことができるとの考えは妥当なものだ。

 日本を守れる実効性の高い防衛政策を確立し、それに基づいた防衛力整備を図ることが何よりも重要である。

中日/東京 敵基地攻撃能力/軍拡の口実与えるだけ  2013/5/25 8:00
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013052502000123.html

 自衛隊も敵の領土にある基地を攻撃できる能力を持つべし、との議論が自民党内で進んでいる。ミサイル開発を進める北朝鮮を念頭に置いたのだろうが、軍備増強の口実を与え、逆効果ではないか。 自衛隊は日本に武力攻撃があった場合、自衛のために必要最小限の武力を行使することができる。 ミサイル攻撃を防ぐ手段がない場合、発射基地を攻撃することは自衛の範囲だが、他国を攻撃する兵器を平素から持つことは、憲法の趣旨に反する。 これが自衛隊をめぐる日本政府の立場であり、国民にも広く受け入れられてきた考え方だろう。

 こうした原則を根本から変える動きが自民党内で出てきた。 安全保障調査会と国防部会の提言案に敵のミサイル発射基地などを攻撃する「策源地攻撃能力の保有」の検討開始が盛り込まれたのだ。速やかに結論を出し、政府が年内に定める新しい「防衛計画の大綱」に反映させるという。 背景には、北朝鮮によるミサイルの脅威が現実のものとなってきた、との危機感があるようだ。

 日本ではミサイル防衛システムの配備が進んでいるが、多数のミサイルが同時に飛来した場合、すべてを迎撃するのは困難で、日本を守るには敵の基地を攻撃するしかない、という理屈だろう。 敵の基地攻撃能力を持つには戦闘機の航続距離を延ばして空対地ミサイルを装備する、巡航ミサイルを配備することが想定される。 国民の生命と財産を守るのは政府の責務だが、敵の基地を攻撃するための武器を平素から持つことが憲法の趣旨を逸脱するのは明白だ。厳しい財政状況を考えても、多額の経費を要する攻撃的兵器の導入は非現実的である。

 自国民を守るために攻撃能力を持つのだと主張しても、それが地域の不安定要因となり、軍拡競争を促す「安全保障のジレンマ」に陥らせては、本末転倒だ。

 北朝鮮に核・ミサイル開発を断念させ、拉致事件を解決するには「対話と圧力」路線を粘り強く進めるしかあるまい。関係国と協調して外交努力を尽くすことが重要なのは、軍備増強、海洋支配拡大の動きを強める中国に対しても同様だ。 安倍晋三首相は「集団的自衛権の行使」容認や憲法九条改正による国防軍創設を目指す。敵基地攻撃能力の保有検討もその一環なのだろうが、前のめりになることが問題解決を促すとは限らないと、肝に銘じておくべきである。(引用ここまで 

地方紙の検証は別項でおこなう予定です。


朝毎読産東の「敵基地攻撃」「集団的自衛権行使」「憲法9条改悪」論を許す論理と思想を検証し、大喝を!

2013-07-31 | 日記

朝日毎日読売産経東京の社説に掲載された「敵基地攻撃」論について、以下問題点をまとめてみました。まず、いずれも、日本国憲法に違反しているとの厳しい見解が表明されていないことは、大変大きな問題と言えます。以下共産党の見解を掲載しておきます。 

主張/防衛大綱中間報告/「環境」変化で何でもありか  [2013.7.28]

主張/自民「防衛大綱」提言/何のための「強い軍隊」なのか  [2013.5.20]

集団的自衛権の行使容認へ/自民が野田内閣と共鳴/海外での武力介入に道 [2012.7.29]

日米安保条約をなくしたらどういう展望が開かれるか 全国革新懇総会 志位委員長の記念講演 2012年05月12日 

愛国者の邪論が思うには、共産党の課題は、安倍自公政権の策略の口実である中国と北朝鮮の脅威を如何に取り除いていくかでしょう。そのためには、まず野党外交の徹底化から共産党が政権を取った時を想定した外交路線と政策の具体化が求められていると思います。「脅威」論と「抑止力」論を理論的実践的に論破することをとおして国民的共感をひろげていくことです。そのなかで、日米軍事同盟廃棄が現実のものとなるでしょう。 

そのためにも、その前段として、どのような国民的合意を構築するか、そのための政権構想論を提起できるか、です。70年代の、いわゆる革新三目標にもとづく政権構想論に到達できるか、その道筋を国民の前に明らかにしてはじめて、「自共対決」が鮮明になり、受け皿としての共産党の存在が輝いてくるでしょう。そのための知恵は、如何に!なのです。そのために愛国者の邪論が貢献ができればと思います。 

とうことを前提にして、以下検証してみます。 

敵基基地攻撃論賛成の立場について

読売

 日米同盟の抑止力を強化する方向で、自衛隊と米軍の役割分担を見直すことが肝要である。北朝鮮の弾道ミサイル能力が向上する中、ミサイル防衛による抑止に限界があることは否定できない。同時に多数のミサイル攻撃を受けた場合、すべてを完璧に迎撃するのは困難である。この米軍の攻撃力の一部を補完する形で、自衛隊が敵基地攻撃能力を保有することは、日米の防衛体制の強化につながろう。日本が単独で攻撃するのは非現実的だ。攻撃目標の探知など情報面の協力を含め日米の緊密な連携と適切な役割分担を前提とせねばなるまい。 

産経

日本を狙う弾道ミサイルの発射元を無力化する、敵基地攻撃能力の保有にも含みをもたせた。安全保障政策の見直しを具現化しようとするこうした取り組みを評価したい。現在は報復能力を全面的に米軍に頼っており、日本はまったく保有していない。自分の国を自分で守る抑止力を持っていないことが問題相手の一撃を甘受する「専守防衛」に象徴されるように、防衛政策の基本的な方針により、十分な抑止力が働かない状況が作り出されてきた。日本を守れる実効性の高い防衛政策を確立し、それに基づいた防衛力整備を図ることが何よりも重要で 

疑問をなげかけつものの反対の立場を鮮明にしていない立場について

朝日

だが、これではかえって地域の不安を高め、軍拡競争を招くことにならないか。そんな危惧を抱かざるを得ない。日本が敵基地攻撃能力を持てば、周辺諸国から先制攻撃への疑念を招くのは避けられない。装備や要員など態勢づくりの問題もある。自民党内では、戦闘機への対地ミサイルの搭載や、巡航ミサイルの配備などが検討されているようだが、それで済むほど単純な話ではない。 北朝鮮のノドン・ミサイルは山岳地帯の地下に配備され、目標の把握すら難しい。情報収集や戦闘機の支援態勢などを考えれば、大掛かりな「矛」の能力を常備することになる。 その結果、各国の軍拡競争が激化し、北東アジアの安全保障環境を一層悪化させる懸念すらある。財政的にも現実的な選択とは思えない。 いま必要なのは、ぎくしゃくした周辺国との関係を解きほぐす外交努力である。無用の緊張を高めることではない。 

毎日

専守防衛を基本とする日本の防衛政策の転換につながる可能性があり、慎重な検討を求めたい。攻撃前に敵の基地をたたくことは「専守防衛を逸脱した先制攻撃ではないか」との疑念が残る。何をもって敵がミサイル攻撃に「着手」したと判断するかが問題だ。敵がミサイル発射を宣言し、発射台にミサイルが据えられ、燃料が注入されれば「着手」と評価できる、という考え方もあるが、はっきりしない。拡大解釈されれば「先制攻撃」につながりかねない。その結果、地域の軍拡競争を招く可能性もある。 防衛上の有効性の問題もある。北朝鮮は、ほぼ日本全域を射程に収める中距離ミサイル「ノドン」200発を移動式発射装置に搭載し、山岳地帯の地下施設に配備しているとされる。位置や発射の兆候などの情報を正確に把握するのは簡単ではない。攻撃に必要な装備や部隊をどう整備するかも課題だ。真に必要な防衛力整備は何か。財政事情が厳しい中で、国民が納得できる十分な検討と説明が必要だ。 年末の大綱策定に向け、安倍政権は周辺国の緊張を高めないよう留意しながら、有識者らの意見も幅広く聞き、冷静、慎重に議論を深めてもらいたい。 

東京

ミサイル開発を進める北朝鮮を念頭に置いたのだろうが、軍備増強の口実を与え、逆効果ではないか。国民の生命と財産を守るのは政府の責務だが、敵の基地を攻撃するための武器を平素から持つことが憲法の趣旨を逸脱するのは明白だ。厳しい財政状況を考えても、多額の経費を要する攻撃的兵器の導入は非現実的である。 自国民を守るために攻撃能力を持つのだと主張しても、それが地域の不安定要因となり、軍拡競争を促す「安全保障のジレンマ」に陥らせては、本末転倒だ。安倍晋三首相は「集団的自衛権の行使」容認や憲法九条改正による国防軍創設を目指す。敵基地攻撃能力の保有検討もその一環なのだろうが、前のめりになることが問題解決を促すとは限らないと、肝に銘じておくべきである。 

愛国者の邪論

どうでしょうか?共産党と比べると大変曖昧な表現になっていないでしょうか?根本は、日米軍事同盟が震源地であることを認めるか、認めないか、というところにあることは明らかです。日米軍事同盟は憲法とは絶対に相容れないものです。もはやゴカマシは効きません。以下の指摘が、そのことを雄弁に語っています。 

「日本の安全保障政策は、専守防衛が原則だ。自衛隊は『盾』として日本防衛に徹し、米軍が『矛』として攻撃を担うという役割分担を前提にしている。安倍首相は『盾は自衛隊、矛は米軍で抑止力として十分なのか』と語る。米軍に頼るだけでなく、日本も『矛』の一部を担うべきだという主張である」(朝日)。 

「攻撃前に敵の基地をたたくことは『専守防衛を逸脱した先制攻撃ではないか』との疑念が残る」(毎日)。 

「日本へのミサイル攻撃が迫っている際に『米軍に攻撃してください、と日本が頼む状況でいいのか』と問題提起した」(読売 

「相手の一撃を甘受する『専守防衛』に象徴されるように、防衛政策の基本的な方針により、十分な抑止力が働かない状況が作り出されてきた」(産経 

「自衛隊は日本に武力攻撃があった場合、自衛のために必要最小限の武力を行使することができる。ミサイル攻撃を防ぐ手段がない場合、発射基地を攻撃することは自衛の範囲だが、他国を攻撃する兵器を平素から持つことは、憲法の趣旨に反する。これが自衛隊をめぐる日本政府の立場であり、国民にも広く受け入れられてきた考え方=こうした原則を根本から変える動き」(東京 

愛国者の邪論

本来ならば「軍隊」であるはずの自衛隊を、憲法違反という追及からゴマカスために使ってきた「専守防衛」論、「集団的自衛権不行使」論、「武器輸出禁止三原則」論を塗り替えていこうとしているのです。もはや憲法あってもないようなものにしていく、空洞化していこうとしているのです。解釈改憲もここまできたのです。しかし、文言が残っていては正々堂々と海外に派兵できません。否認されている交戦権の行使もできません。それを可能にするためには、憲法を変えるしかないのです。 

すなわち憲法を否定する勢力が、その見解をハッキリさせてきているのです。もはや「疑念」の段階を通り越して憲法の平和主義の原則を否定しているのです。各新聞が憲法の平和主義を擁護するのであれば、「敵基地攻撃」論や「集団的自衛権行使」論、「武器輸出禁止三原則」など、憲法を否定する企みを徹底して批判し、その震源地である日米軍事同盟の廃棄を主張する以外にありません。 

そこまで「矛」「盾」が極まってきたのです。しかし、このことは逆に言えば、改憲派は清水の舞台から飛び降りるような冒険主義にかけているとも言えます。何故ならば、国民に命と財産・税金の負担を課すことを意味しているからです。それを正当化するために、利用しているのが、中国と北朝鮮の脅威です。この口実が口実でなくなることは、改憲派の存在そのものがなくなるのです。だから必死です。 

以下、各紙の「脅威」論を見てみます。

朝日

(1)北朝鮮のミサイル問題や核実験に加え、

(2)中国の海洋進出も活発化するなど日本を取り巻く情勢は厳しさを増している。

(3)そうした変化に合わせて、防衛体制を見直すのは当然

毎日

(1)北朝鮮は、ほぼ日本全域を射程に収める中距離ミサイル「ノドン」200発を移動式発射装置に搭載し、山岳地帯の地下施設に配備しているとされる。位置や発射の兆候などの情報を正確に把握するのは簡単ではない。攻撃に必要な装備や部隊をどう整備するかも課題だ

(2)南西諸島の防衛強化は必要だ。

読売

(1)北朝鮮の弾道ミサイル能力が向上する中、ミサイル防衛による抑止に限界があることは否定できない。同時に多数のミサイル攻撃を受けた場合、すべてを完璧に迎撃するのは困難である。(2)中国軍が尖閣諸島周辺での示威活動を強める中、島嶼防衛を強化する必要性は増している

産経

(1)北朝鮮の弾道ミサイル開発は、長射程化の技術を向上させるなど新たな段階に入った。北の核・ミサイルは、日本の安全に対する重大な脅威だ。

(2)尖閣諸島の奪取をねらう中国は、東シナ海から西太平洋への進出を図っている。中国軍の早期警戒機が24日、沖縄本島と宮古島の間の公海上を通過する「特異な行動」(安倍首相)をとった。中国海軍の艦艇が日本列島を1周する示威行動もした。日本が抑止力の強化に努めることにより、中国の高圧的な行動や、偶発的な軍事衝突など不測の事態を防ぐことができるとの考えは妥当なものだ。

(3)日本を守れる実効性の高い防衛政策を確立し、それに基づいた防衛力整備を図ることが何よりも重要

東京

(1)北朝鮮に核・ミサイル開発を断念させ、拉致事件を解決するには「対話と圧力」路線を粘り強く進めるしかあるまい。

(2)関係国と協調して外交努力を尽くすことが重要なのは、軍備増強、海洋支配拡大の動きを強める中国に対しても同様だ。 

愛国者の邪論

北朝鮮には、「敵基地攻撃」論を、中国に対しては、「集団的自衛権行使」論と、分担しているかのように別けて書かれています。しかし、これらの政策が認められてしまえば、大手を振って中国にも、北朝鮮にも、さらにはアフリカにも、中東、中年米にも、適用されることは明らかです。そこに中国と北朝鮮の脅威を煽って、何とか既成事実化という解釈改憲と、条文改憲=憲法改悪を目論む意図が透けて見えてきます。 

その点で、国民の眼を中国・北朝鮮の「脅威」に向けさせるというとんでもないトリックがあります。朝日毎日東京は、その点については、いっさい不問です。 

しかし、以下の読売産経の指摘をよく読めば、中国・北朝鮮だけの問題でないことが判ります。まさに全地球的課題としての日米軍事同盟の本質的役割について語っています。 

「選択肢としては、攻撃目標の正確な位置を入力し、全地球測位システム(GPS)で誘導する巡航ミサイルの導入や、ステルス性を持つ最新鋭戦闘機F35などによる対地攻撃が想定される。 巡航ミサイルは、移動式発射台を使うノドン・ミサイルなどへの攻撃が難しい。F35では、相手国への領空侵入を支援する大規模な航空部隊の編成が必要となる。 どちらの場合も、日本が単独で攻撃するのは非現実的だ。攻撃目標の探知など情報面の協力を含め日米の緊密な連携と適切な役割分担を前提とせねばなるまい」(読売 

「相手の一撃を甘受する『専守防衛』に象徴されるように、防衛政策の基本的な方針により、十分な抑止力が働かない状況が作り出されてきた。日米同盟強化のため、集団的自衛権の行使容認も喫緊の課題となっている」(産経 

「専守防衛」の名の下に軍備増強を謀ってきた自衛隊が、中国・北朝鮮の「脅威」を口実に、「盾」から「矛へ」突き進むことによって「専守防衛」論を否定しようとしているのです。しかも日米軍事同盟は90年代の日米安全保障共同宣言からイラク戦争への加担にみるように、地球規模の日米共同作戦に拡大しているのです。しかも「集団的自衛権行使」論によって、同盟国アメリカが「攻撃された場合」は、米海兵隊と共同訓練を重ね、海兵隊的機能の保有を進めている陸上自衛隊の水陸両用部隊、全地球測位システム(GPS)で誘導する巡航ミサイル、ステルス性を持つ最新鋭戦闘機F35新型輸送機オスプレイなど、アメリカの兵器を使った自衛隊(国防軍)が、米軍との共同作戦に突入することは明らかです。

こうした行動が、日本の戦争目的としてどのように説明されるか、国民は支持するか、戦争に勝利した後の対策は、或いは敗北した時は、国民の命と財産を浪費することに対してどのような説明がなされるか、などなど、多くの問題が想定されるでしょう。まともに説明できないことは明らかです。何故ならば、国家の政策としての戦争は、国際法で認められていないからです。戦争を回避するための政治・外交政策・経済・文化交流など、あらゆる対策が講じられなければならないからです。政治家は、戦争回避のために、あらゆる努力をしなければならないのです。 

以上のような戦争回避政策を模索・追求するのではなく、脅威と危機感を煽り、軍事行動と戦争を正当化することは、現代世界では認められていません。一時的に成功しているかのようにみられながらも、必ず失敗しています。アメリカがお手本です。 

憲法9条をもつ国である日本が、こうした努力を曖昧にできないことは明らかです。これは、あの戦争を引き起こした日本国と国民の責任でもあるし、戦争回避政策として国際的に公約したものです。このことを再度国民的に確認するときです。世界諸国民を敵に回すような政策転換は、必ずブーメランのように自分のところにやってくるでしょう。 

次の課題は、「日本が攻撃された場合」「アメリカが攻撃された場合」というゴマカシとスリカエについて、検証してみます。 

つづく


佐藤正久・片山さつき議員の幼稚な戦争論・憲法観に大喝!戦争は政治の延長!政治家は戦争防止策を採れ!

2013-07-31 | 日記

今日の赤旗2面「小池氏 “集団的自衛権は日本防衛と無関係”/憲法9条 自共対決/TVタックル」に、「今の9条では国家・国民の命を守ることができない場合も出てきている」「憲法には国連憲章が認める自衛権も書かれていない。自分の国を守る基本原則がない」(自民党佐藤正久防衛政務官)と中国軍艦の海自護衛艦へのレーダー照射事案(1月)について「9条がなかったら撃っていますよ」「他の憲法上の制約のない国だったら、9条1項、2項がなかったら、(自衛隊が)撃っていますよ」(片山さつき総務政務官)との発言が出ていました。 

こんな政治家が、政務官として仕事をしているかと思うと、情けないというか、危ないというか、この二人は、この間も暴言を繰り返してきましたので、改めて辞職を要求すべきと思いました。 

ところで、その片山氏の発言そのものは、非常に子ども染みたもので、大竹氏が「じゃあ撃てばよかったの?」と質問すると、「今の(憲法の)状況では撃てない」と述べただけだったようです。これは一つには、憲法9条が武力行使を防止している規制装置であることが、改憲を進める自民党の議員によって明らかにされたことを意味していました。片山氏は「7年ぶりの自民党憲法改正案、今回は23人の起草委員の一人として積極参加!感慨!」と述べているように、自民党の最悪最低の改憲案をつくった一人でした。呆れるばかりです。 

二つ目は、だからこそ、片山氏など、戦争屋の改憲案は、道理もない子どもじみた屁理屈で憲法9条を改悪しようとしていることが判りました。中国の照射に対して反撃として武力行使をする。しかし、その後に起こるであろう事態などについては、全く考えていないという、およそ政治家として失格さを浮き彫りにしました。国民は、こんな無責任な政治家に国家の行く末を委任できるでしょうか?

三つ目は、政治家の最低の仕事は、国家国民の生命財産を守る、平和を享受できるようにすることです。それは戦争によって、武力行使によって実現するのではありません。徹底した話し合い・非軍事的手段によって実現するべきものです。それは国際法でも、憲法でも、その他の国内法で明らかなことです。そうした当たり前のことを無視して、テレビというメディアをとおして国民を扇動しようとしていることが、改めて浮き彫りになりました。 

次は、佐藤議員の発言です。この発言は、「戦力不保持を定めた現行憲法では、中国の海上民兵が尖閣に不法上陸した場合でも、自衛隊が十分な自衛権を行使できず、この固有の領土を奪われかねない。 9条で専守防衛を強いられていては、北朝鮮の核、ミサイル攻撃からも国を守れない」とする産経の【主張】憲法改正 首相は早急に行程表示せ 集団的自衛権で公明説得を7.23 03:12 そのものです。 

佐藤正久議員は防衛大学校出身です。この人は防衛大学で何を学んできたのでしょうか?またイラクに髭の隊長として「派遣」され、戦闘行為を回避できたのは、まさに憲法のおかげであったのですが、佐藤氏においては、全く教訓化できていないのです。呆れた政治家・軍人と言えます。軍の司令官は部下を死なせないこと、「敵」を殺さないで目的を達成することが最大の任務ではないのでしょうか?例えば、インパール作戦の佐藤幸徳第31師団通称号:烈)師団長のように「抗命撤退により多くの兵士たちの生命を救」ったことなど、学んでいないのでしょう! 

そこで、今日の朝日の経済気象台を読み、改めて佐藤氏のような軍人政治家(中谷元議員も防衛大学校出身)が無用な長物であることを強調しないわけにはいかないと思い、以下の朝日の記事「経済気象台」を紹介し、軍隊と政治について、考えてみることにしました。

ポイントは、以下のとおりです。

1.尖閣棚上げ問題や盗人発言などについては、ここでは問いません。

2.問題は、「戦争は外交の延長」としたクラウゼビッズの発言です。これについては、その部分を掲載しておきます。戦争は国家の政策貫徹の手段の一つであるということです。外交=政治の延長としての戦争をいう戦争の性格・本質を考えると、簡単に戦争などいうことはできないはずです。みんなの党の渡辺氏ではありませんが、「戦争の前にやることあるだろう!」ということです。

3.国内政治の失敗と国民の不満を逸らすために、国民の関心を近隣国に向けさせ、政権基盤のもろさを補おうとしているのは、何も中国だけではなく、アメリカも日本も同じです。中国・北朝鮮脅威論に対する抑止力論として敵基地攻撃論や集団的自衛権行使論、武器輸出禁止三原則規制緩和論などは、まさに、こうした政治の重要な政策です。こうした政策が、近隣国を刺激し、またこれが日本国内のナショナリズムを煽り、戦争状態を作り出していくのです。

4.その被害者は、国民です。本来国民に回されるべき血税が軍事優先主義政策によって回されるからです。これは何も北朝鮮だけの問題ではありません。中国だけの問題ではりません。アメリカや日本を観れば明瞭です。

5.だからこそ、戦争は政治の延長戦であるならば、その政治に対してあらゆる手段を講じて戦争につながるあらゆる可能性を断っていくのが政治家の仕事・責任であるはずです。クラウゼビッツの以下の指摘を、現在の日本に当てはめて考えてみる必要があります。

(1)戦争とは、敵を強制してわれわれの意志を遂行させるために用いられる暴力行為

(2)暴力…は手段であって、敵にわれわれの意志をおしつけるのが目的である。この目的に確実に到達するためには、敵の抵抗力を奪わねばならぬ。そしてこれが概念上戦争行動の本来的目標である。これが、敵にわれわれの意志をおしつけるという戦争目的にとってかわる。

(3)戦争とは単に政治行動であるのみならず、まったく政治の道具であり、政治的諸関係の継続であり、他の手段をもってする政治の実行である

(4)政治的意図は目的であって、戦争は手段であり、そしていかかる場合でも、手段は、目的を離れては考えることはできない

6.今、日本が中国や北朝鮮と戦争を起こすとすれば、

(1)戦争目的は何でしょうか?

(2)中国と北朝鮮に対して「暴力」である「戦争」によって「どのようにわれわれの意志をおしつける」のか、そうしてどのようにして「戦争目的」を貫徹するか、です。

(3)「この目的に確実に到達するためには、敵の抵抗力」をどのように奪っていくのか、です。米軍と自衛隊で可能でしょうか?

(4)更に言えば、戦争に勝利したからと言って、「われわれの意志をおしつけ」続けることは可能でしょうか?特に「その(戦争)本来的性格である暴力性、盲目的な自然的衝動とみなすべき憎悪及び敵愾心」を煽ってはじめて成り立つ戦争後の両国国民に、どのような感情がつくられるか、それは現在の両国民を観れば明瞭です。戦争屋の政治家は責任が持てるでしょうか?

7.以上のように、クラウゼビッツの「戦争論」を当てはめて考えると、佐藤議員や片山議員など改憲派の政治家たちの「戦争論」認識の貧困さが浮き彫りになります。

8.今、中国・韓国・北朝鮮・ロシア・アメリカの政治家たちが必要なことは、「北東アジアの人々をスパイラル的に不幸」に陥れていく戦争につながるあらゆる可能性を断っていく努力です。平和につながるあらゆる可能性を育てていくことです。

9.このことは、「人民間ニ現存スル平和及友好ノ関係ヲ永久ナラシメンガ為国家ノ政策ノ手段トシテノ戦争ヲ率直ニ抛棄スベキ時期ノ到来セルコトヲ確信シ…国際紛争解決ノ為戦争ニ訴フルコトヲ非トシ且其ノ相互関係ニ於テ国家ノ政策ノ手段トシテノ戦争ヲ抛棄スルコトヲ其ノ各自ノ人民ノ名ニ於テ厳粛ニ宣言」した、現行憲法の原則の源である、あの不戦条約に立ち返って考えてみると、いっそう浮き彫りになります。

10.主権在民主義を採る日本にあって、国民は、こうした政治家たちを政治の舞台から引きずりおろすことです。更に言えば、中国・北朝鮮の国民との連帯を構築していくことです。そのことのみが、自らの幸福構築につながることを自覚し、行動すべきです。 

11.以上の可能性は、ネット社会の発展のなかで、大きく前進していくことでしょう。愛国者の邪論が少しでも貢献できることを願ってやみまんせん。

以下、記事を掲載しておきます。 

経済気象台 朝日2013年7月31日 17面  

海外の雰囲気がそうさせるのか、このところ、国外での政治家の口の軽さが目立っている。

 中国要人と面談した自民党の元幹部は、田中角栄元首相と中国側との間で尖閣諸島の領有権を棚上げにする密約があったと北京で述べた。香港のテレビのインタビューに民主党の元首相は「尖閣は日本が盗んだと思われても仕方がない」とまで述べた。国民感情を逆なでする発言をしてしまうのは中国人の絶妙な接遇力によるのかもしれない。

「戦争は外交の延長」という趣旨のことをプロイセンの戦略家クラウゼビッツは述べている。外交の失敗は、戦争に結びつく。国権の発動としての戦争を憲法で放棄した我が国の政府は、この大切な外交戦略も放棄したかに見える。

 尖閣諸島で「領土問題は、わが国には存在しない」と国内向けに声高に叫んでも、諸外国には犬の遠吠えとしか聞こえない。それを見越した隣国の政治家たちは、政権基盤のもろさを補うために、日本たたきを繰り返してきた。最近はそれが行き過ぎて、日本の右傾化を促すという逆説の構造も出てきている。

 日本国民は平和を愛好する民族であるが、政権がそうだとは限らない。先の無謀な戦争でも、軍部や一部の好戦論者が先導していった。

景気回復を追い風に、安倍内閣は参院選で圧勝し、久しぶりの長期政権になりそうだ。今後、右傾化の動きが加速することも予想される。これが隣国をいら立たせ、その結果、我が国の国民を更に不安に陥れ、一部を偏狭な国家主義に走らせる。国民主権を制約するような改憲論議も加速化するかもしれない。これが北東アジアの人々をスパイラル的に不幸にさせていく。(匡廬)(引用ここまで 

クラウゼビッツ『戦争論』(徳間書店昭和40年刊)より

2 定義

 ここではいきなり戦争についての面倒な公法上の定義に入りこむことをしないで、戦争の内在的本質である決闘的性格について考察しようと思う、戦争とは、要するに、決闘の拡大されたものにほかならない。われわれは、個々の決闘が無数に集まり、それが一つの統一ある全体をなしたものが戦争であると考えようとするものであるが、その場合、二人の格闘者の姿を思いうかべるのが便利である。格闘者はそれぞれ、自分の意志をつらぬくために、互いに物理的な暴力を用いて、相手を屈服させようとする。その当面の目的は、相手をやっつけ、それによって、それ以上のいっさいの抵抗を不可能ならしめるにある。

 つまり、戦争とは、敵を強制してわれわれの意志を遂行させるために用いられる暴力行為である。

 暴力は、敵の暴力に対抗する必要上、いろいろな技術上、科学上の発明を利用する。国際法上の慣例という名目のもとに、この暴力の行使にいろいろな制限が課されることは事実であるが、それらの制限は、ほとんどとりたてていうに値しないほどささやかなものであって、暴力の効果をいちじるしく弱めるものではない。かくて暴力、つまり物理的暴力(というのは、国家及び法律の概念以外に、精神的暴力というものは存在しないからである)は手段であって、敵にわれわれの意志をおしつけるのが目的である。この目的に確実に到達するためには、敵の抵抗力を奪わねばならぬ。そしてこれが概念上戦争行動の本来的目標である。これが、敵にわれわれの意志をおしつけるという戦争目的にとってかわる。戦争目的の方は、戦争自身に直接関係ないものとして、多かれ少なかれ後方におしのけられてしまう。 

 24 戦争は他の手段をもってする政治の継続にほかならない

 要するに、戦争とは単に政治行動であるのみならず、まったく政治の道具であり、政治的諸関係の継続であり、他の手段をもってする政治の実行である。戦争に固有のものとしては、その手段の特性に由来するもの以外にない。政治の方向及び意図をこれらの手段と矛盾させないようにしようというのは、一般に兵学の要求しうる権利であり、個々の場合に将軍が要求しうる権利である。そしてこの要求は決して無視していいものではない。とはいえ、たとえ個々の場合、こうした要求が政治的意図に及ぼす反作川がどんなに強かろうと、この反作用は、常に政治的意図の修正の範囲外に出るものではない。というのは、政治的意図は目的であって、戦争は手段であり、そしていかかる場合でも、手段は、目的を離れては考えることはできないからである。 

 28 本章の結論

 要するに、戦争とはまったくカメレオンのようなものである。個々の具体的な場合についてその性質に幾分かの変化が生ずるだけでなく、その現象の全体についてそれを支配している諸傾向を見ると、それが奇妙な三位一体をなしていることがわかる。第一に、そこには、その本来的性格である暴力性、盲目的な自然的衝動とみなすべき憎悪及び敵愾心がある。第二に、蓋然と偶然の働きがある。それは、戦争を一つの自由な精神活動たらしめる。第三に、戦争は、政治の道具としての従属的性質をもっている。これによって戦争は、もっぱら理性の活動舞台となる。

 これらの三方面のうち、第一のものは、主として国民と関係があり、第二のものは、将軍およびその軍隊と関係がおり、第三のものは、政府と関係がある。戦争中爆発すべき激情は、すでに戦争に先立って国民のなかに存在していなければならない。偶然の支配する蓋然性の世界において勇気と才能がどれほどの役割を発揮しうるかは、将軍やその軍隊がどういう性格をもっているかに関係かある。

最後に政治的目的についていえば、それは、もっぱら政府の仕事である。

 戦争の三つの要素を構成するこれらの傾向は、戦争の本質に深く根ざしているものであるが、それが演ずる役割は、常に同一ではない。そのいずれかを無視したり、あるいは、それらの傾向のあいだに勝手な関係を設定しようとするような理論があれば、このような理論は、たちまち現実世界と衝突し、それだけでも無用なものとなってしまう。引用ここまで


歴史的に破綻した敵基地攻撃論にしがみつく自民党に未来なし!国民は自民党にレッドカードを!

2013-07-30 | 日記

今日の赤旗に以下の興味深い記事が掲載されました。 

世界キーワード 正当防衛法  赤旗30日7面

 米国で、生命の危険を感じた場合に、殺傷能力のある武器を使って自ら身を守る権利を認めた法律。30州以上が州法として採用しています。2012年2月、フロリダ州の地元自警団のリーダーだった白人男性が、一黒人男子高校生を不審者だと思い込んで付きまとい射殺。陪審団は7月13日、同法を根拠に正当防衛を主張する被告の白人男性を無罪と評決し、米国では同法の是非の議論が高まっています。 05年成立のフロリダ州の正当防衛法は、脅威に対して逃げることができる場合でも、武器を使うことを容認しています。正当防衛法一般の問題点として「死に至らしめる力の行使を容易にする」ことなどが、これまでも指摘されてきました。 米紙ウォールーストリートージャーナルなど米メディアによると、05年以降、フロリダ州など同様の法律を持つ州で正当防衛による殺人が急増しており、同法に犯罪抑止の効果はあまりなく、逆に殺人を増加させているとの研究結果もあります。 ホルダー米司法長官は7月16日、「正当防衛の概念を意味なく拡大し、周囲との危険な衝突を引き起こす法律に疑問を呈する時期が来ている」と、見直しの考えを示しました。(引用ここまで 

どうでしょうか?この文章を読み、今安倍自民党が具体化しようとしている敵基地攻撃論を思い出しました。この記事を読むと、銃器所持を認めているアメリカでさえも!ということです。 

同時に、西部開拓時代の時代劇のシーンが蘇ってきました。「インディアン」は白人の開拓を妨害し、白人の頭の皮を剥ぐ野蛮人として描かれていました。だからこそ、武器は必要不可欠なものとして携行することが認められていたのです。同時に牧場や金鉱をめぐる白人同士の争いと決闘シーン。日本のテレビ時代の幕開けの頃、まだ独自のテレビ製作が遅れていた頃です。アメリカ製作のテレビドラマや西部開拓時代劇に目を奪われていた少年の頃を想い出しました。こうしてアメリカ脳を刷り込まれていたのか!と。 

さて、アメリカでも破綻した敵基地攻撃論ですが、これは、すでに日本でも同様に破綻しています。しかし、憲法平和主義をいただく日本にあって、大東亜戦争正当化論にたつ安倍自民党と、その支持者たちは、ちっとも反省も、教訓化もしていません。ここに日本国民の不幸があります。この敵基地攻撃論の震源地となっている「脅威」に対する「抑止力」論に費やす税金を国民のために使うならば、どれだけの国民的不幸が食い止められるか、という問題意識です。 

では、アメリカの敵基地攻撃論の破綻の事例は何でしょうか?そうです。「ドミノ」論という「脅威」論に基づいて引き起こされたベトナム戦争があります。次は「テロへの脅威」、「大量破壊兵器への脅威」論にもとづいて引き起こされたアフガン・イラク戦争があります。アメリカの大量破壊兵器は不問に付しながら、敵をつくり、脅威を演出して、いずれも膨大な税金と人命を失い、撤退を余儀なくされたことは、事実が示しています。しかし、その反省も、教訓も導き出していないというのが、アメリカ政府と国民であるとも言えます。 

その被害を、今、日本国民が受けているのです。日米軍事同盟による肩代わりという押し付けとそれを口実にした日本の多国籍企業の成長戦略という名の利益優先主義の要求があります。具体的には「基地負担」と「思いやり」予算をはじめとした駐留経費です。同時に法人減税と消費増税と社会保障費の削減です。しかし、これらの負担について、日本国民同士で「分かち合う」ことが当然であるかのような主張がまかり通っているのです。 

橋下氏の八尾基地化、消費税増税、財政再建論などは、その典型です。何故、このようなことが起こるか、です。「自助」を優先し、次に「共助」、最後に「公助」が、小さな政府論を口実に掲げられていることです。まさに憲法違反が当然のことのようにまかり通っているのです。 

それは、一つには、中国・北朝鮮の「脅威」論にもとづく「抑止力」論が、大きな原因です。すべてが、ここに原因があるのです。同時に、二つ目には、この「脅威」論にもとづく「抑止力」論を、歴史的に、検証もせず、また事実を公平に取り上げることもせず、報道し続けるマスコミ報道にあることは、繰り返し繰り返し記事にしてきました。 

今回の安倍首相の東南アジア外遊では語られませんでしたが、この「地球儀を俯瞰する外交を、マレーシア、シンガポール、フィリピンの訪問から再開した。日本の国益はもとより、地域・世界の平和と繁栄に貢献する戦略的外交を進める考えだ」と述べ、対中包囲網作戦に躍り出た安倍首相の頭の中には、南シナ海生命線論があるかも知れません。かつてマレー半島のマラッカ海峡生命線論の復活です。 

こうした偽りの「脅威」論にもとづく「抑止力」論に大きな影響を受けた日本国民こそ、最大の被害者であることは先に述べたとおりですが、同時に、それは、選挙のたび行われる世論調査を見ても明らかです。すなわち有権者・国民の関心は、どの世論調査においても、安全保障や憲法問題は、主要な関心事ではないという事実です。主要な関心事は、いつも決まって「国民の暮らし」に関係する項目です。ここに、日米両政府とマスコミが振りまいても振りまいても、「脅威」論にもとづく「抑止力」論が貫徹していない現実が浮き彫りになってきます。 

しかし、こうした関心事に対しては、政府は応えることはいっさいしていません。それは軍事優先主義に基づいて投入されてきた税制・財政・金融政策を見れば明瞭です。国民生活に国民の血税が回されない実態があるからです。ここに二重三重のゴマカシと負担増のカラクリがあります。これは、国民同士を分断してはじめて可能になっている、成功していることを見抜いていく必要があります。 

もう一つは、偽りの「脅威」論にもとづく「抑止力」論を振りまき続けることで、国民生活の不満と、その解決策を逸らしていることにも注目しておかなければなりません。これらが複雑に絡み合いながら、ある時は沈静化しながらも、局面局面で、沈殿物が吹き上がるかのように沸き起こり、それを口実に日米軍事同盟深化派が利用しているというのが、現在の日本の実態と言えます。 

ここに、偽りの「脅威」論と「抑止力」論の本質と実態、虚構と実像が見えてきます。そこで、改めて日本の歴史のなかで、敵基地攻撃論の破綻した事例を挙げて考えてみることにしました。 

最初は、山県有朋の主張した「主権線と利益線」論です。当時の最大の「脅威」論は清国とロシアでした。対象は朝鮮半島でした。この脅威論にもとづいて行われた敵基地攻撃論が日清・日露戦争でした。両者とも先制攻撃を実行しました。宣戦布告は攻撃後だったことを見れば明瞭です。次は、満蒙は生命線論にもとづく柳条湖事件、いわゆる満州事変でした。これは宣戦布告なき「戦争」でした。次は、「ABCD包囲網」論という「脅威」論にもとづく先制攻撃でした。インドシナ半島攻撃とそれに続くマレー・真珠湾攻撃です。 

こうした「脅威」論の裏で、国民生活はどうだったでしょうか?日清・日露戦争前後の都市と農村の国民生活の実態です。女工哀史に象徴的です。その裏で、政商から財閥に成長して勢力は、藩閥勢力から政権基盤を奪い、政界を左右する勢力に踊り出て行くのでした。そうした勢力が軍部と一緒になって満蒙は生命線論を振りまき、労働者農民市民の民主主義を求める運動を弾圧するために制定したのが、治安維持法でした。このことはすでに記事にしました。 

これらの結果がどうであったか、明瞭です。その一つを紹介しておきます。それは資源のない国である日本が「海外進出」する際に軍事力が必要であるとする思想と論理の誤りです。戦後の諸事実を見れば明瞭です。確かに、戦後は日米軍事同盟を意味づける論もありますが、それ以上の要因となったのは憲法の平和主義でした。それは日本国民が考えている以上に大きなものであることは、中東諸国の国民の声からも、またアジア諸国の国民の声からも判ることです。 

憲法の平和主義に反する「脅威」論にもとづく「抑止力」論とそれに基づく先制攻撃=敵基地攻撃論が、如何に主観的で、身勝手なものであるか、それは国民にウソをつき、事実をスリカエ、人権と民主主義を抑圧してはじめて成り立つものであることも、また歴史の事実と言わなければなりません。 

こうした歴史で試された事実を無視して、今また、敵基地攻撃論がまことしやかに垂れ流されているのです。マスコミも、同罪と言わなければなりません。このことを以下検証してみます。

つづく


ナショナリズムを煽る日本のマスコミに大喝!無自覚・無反省の旭日旗掲揚は良心・道徳心に反する!

2013-07-30 | 日記

昨日の記事のつづきです。今日の赤旗に「鼓動 『横断幕』をきっかけに相互理解を深めよう」という記事が掲載されました。そのなかに、日本のサポーターが旭日旗を掲げたことが書かれていました。そこで、この問題について、調べてみました。判ったことは、以下のとおりです。 

1.韓国の側の問題としてのみ報道した日本のマスコミに大きな問題があることが判りました。

2.菅官房長官の発言も、一方的なものであることが判りました。

3.しかし、旭日旗を掲げた日本のサポーターが、意図的に旭日旗を掲げたかどうか、不明です。同時に、どれだけ被害国国民のこころを思いやったかどうか、これについても全く判りません。

4.ここに、戦争責任を曖昧にしてきた日本の問題、特に若者の中に戦争責任問題が意識されていないことも浮き彫りになりました。

5.その象徴として、旭日旗を含めて日の丸・君が代問題があることも浮き彫りになりました。

6.こうした問題が沈澱して入ることの最大の問題は、戦後自民党政治と大東亜戦争正当化派、マスコミの存在があることは言うまでもありません。

7.この国旗・国歌問題は、国内問題であると同時に国際問題であることが改めて浮き彫りになったというべきです。

8.この問題は、日本国民のこころの問題、すなわち、国内外を問わず、被害者に対して思いやる心の問題として提起されているように思います。 

9.日本国内で、日の丸君が代、慰安婦問題、靖国も問題などを含めて戦争責任と戦後補償問題を本当の意味で克服するためには、何が必要か!これは「外国から言われたから」「外交問題の障害」などというう問題もあることはありますが、日本人・日本国民の「良心」「人道心」「道徳」の問題として、ハッキリさせていく必要があるように思います。 

それでは、問題の記事を掲載しておきます。赤旗の問題提起は貴重です。また、日本の大手マスコミが、今後、この問題をどのように報道していくか、注目しておきたいと思います。問題は日本人・日本国民の心の中に、どのような感情が起こるか、そこが最大の課題と言えます。 

赤旗30日 12面 鼓動 「横断幕」をきっかけに相互理解を深めよう

 複雑な思いが、消えません。 サッカーの東アジアーカップ男子の日韓戦。ハングルで書かれた大きな横断幕がスタンドに翻りました。

 「歴史を忘れた民族に未来はない」

 同時に、日本のサポーターの一部が、戦前の日本帝国主義の象徴である旭日旗を掲げたことも報じられています。 国際サッカー連盟(FIFA)は、応援時の政治的な主張を禁じており、これらは、問題となる行為であることは聞違いありません。 スポーツはさまざまな国の人々が、人種や政治信条を超えて集い、競い合うなかで、互いに理解を深め合うことに大きな役割があります。そこに政治を持ち込み、対立をあおることは、その否定につながるからです。

 同時に、今回の一件は、いまの日韓関係、政治の反映であることも事実です。 かつて日韓のサポーターの間で、友好的な関係を築いた時期がありました。W杯の日韓共催が決まって以降です。象徴的だったのは、1997年フランスW杯アジア最終予選の日韓戦。今回と同じヂャムシルスタジアムに、英語の小さな横断幕が掲げられました。

 「ともにフランスに行こう」

 W杯の出場権をかけた試合で掲げられたこの横断幕。当時、日本サッカー協会会長の長沼健さん(故人)は、その驚きを語っていました。 「背中に電気が走った。共催が日韓の人々を結びつけた。これがスポーツのよさだと実感した」 しかし、その後、靖国参拝、竹島、慰安婦問題などで両国政府が対立的になり、日韓関係が冷え込みました。同時に、サポーター同士の関係もしぼんでいきました。今回の事件もそうした中で起きました。 救いだったのは日本の中心的なサポーターの一人が、こうツイッターでつぶやいていたことでした。 「今日、韓国側から政治的な旗が出た。なんでサッカー場でわざわざ出すんだろうと思ったら、俺たちの見えない二階席で旭日旗が日本側からも出たと試合後に知った。残念でしかない。…今度、韓国サポーターとも話し合わないとな

 政治の根本的な解決は、「政治の場」で図られるべきです。同時に、サポーターらが、スポーツを通じて互いに話し合い、知恵をつくし、理解を深め合う。これらがすすむきっかけになればと、願わずにはいられません。 (和泉民郎)(引用ここまで 

韓国サポーターの横断幕問題、大韓協会は「特に対応予定ない」 社会ニュース2013/07/29(月) 17:37 

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0729&f=national_0729_046.shtml

  サッカー日本代表は28日、東アジアカップ2013の最終戦で韓国代表と対戦。2-1で競り勝ち、勝ち点7となり大会初制覇を果たした。 同試合では試合中に、韓国サポーターの応援スタンドに『歴史を忘れた民族に未来はない』と書かれた巨大な横断幕が掲出されたことが問題となっている。 日本サッカー協会の抗議により、横断幕は撤去され、大仁邦彌会長はEAFF(東アジアサッカー連盟)に抗議文を提出したことを認めている。また、日本政府の菅義偉官房長官も「極めて遺憾」と記者会見でコメントしている。

 FIFA(国際サッカー連盟)は応援時の政治的主張を禁止しているため、何らかの処分が下る可能性があるが、韓国メディア『聯合ニュース』は大韓サッカー協会の声明を伝え、「横断幕が掲出されたことに、何か特別な対応をする予定はない」と明らかにしたことを報じている。 一方で、日本側の応援団の一部で旭日旗が掲げられた件を取り上げ、「東アジアサッカー連盟と議論中」と、何らかの処分を求める意向を示している。(情報提供:SOCCERKING)(引用ここまで 

「旭日旗」は見て見ぬふりの日本政府・メディア=東アジア杯 記事入力 : 2013/07/30 08:13

「旭日旗」は見て見ぬふりの日本政府・メディア=東アジア杯 日本政府・メディア「韓国側が横断幕で政治的主張」 

▲28日、ソウル・オリンピック・スタジアムで行われたサッカー東アジア杯の韓日戦で、日本のサポーターが日本の軍国主義を象徴する旭日旗を取り出し、掲げようとしたところを係員に押収された=左の写真=。韓国のサポーター集団「赤い悪魔」は李舜臣将軍と安重根義士の肖像画が描かれた大型横断幕を広げて応援した=右の写真=。写真=ソン・ヒョンジュ記者

 28日にソウル・オリンピック・スタジアム(ソウル・蚕室)で行われたサッカー東アジア杯の韓日戦で、日本の過去について反省を促す横断幕が掲げられたことに対し、日本政府とメディアは「政治的主張が込められている」として問題提起した。しかし、日本のメディアは自国のサポーターが帝国主義による侵略の象徴である旭日旗を使って応援していたことについては一切報道していない。

 この日の試合で、サッカー韓国代表のサポーター集団「赤い悪魔」は「歴史を忘れた民族に未来はない」と書かれた大きな横断幕を掲げた。さらに、李舜臣(イ・スンシン)将軍と伊藤博文を狙撃した安重根(アン・ジュングン)義士の肖像画が描かれた横断幕もスタンドに登場した。これを発見した大韓サッカー協会は、横断幕の内容が政治的だとして赤い悪魔側に撤去を求めた。赤い悪魔は試合後半にすべての横断幕を撤去、応援をボイコットした。試合開始前、韓国国歌「愛国歌」終了後には日本のサポーターが旭日旗を取り出して振ったが、すぐに係員に制止されて旗を取り上げられている。

 日本政府のスポークスマンである菅義偉官房長官は29日の記者会見で、「国際サッカー連盟(FIFA)は応援時に政治的主張を行うことを禁じている。今回のような横断幕が掲げられたことは極めて遺憾だ。事実関係が明らかになった段階でFIFA規約を踏まえ適切に対処したい」と述べた。

 朝日新聞・産経新聞・NHKといった日本の各メディアは一斉にこれを報道、「FIFAの規定に抵触する可能性がある」と指摘した。しかし、観客席に旭日旗が登場したことについては全く報道していない。

 大韓サッカー協会は、韓日戦で広げられた横断幕について公式に対応する予定はないことを29日、明らかにしている。同協会関係者は「日本側は東アジアサッカー連盟に抗議文を提出したが、大韓サッカー協会に直接メッセージを送ってはおらず、事態の推移を見守っている」と述べた。また、韓日戦に日本の軍国主義の象徴である旭日旗が登場した事案については「東アジアサッカー連盟と協議中」と答えた。東京=車学峰(チャ・ハクポン)特派員 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 (引用ここまで 

【萬物相】赤い悪魔の横断幕に書かれた言葉

【萬物相】赤い悪魔の横断幕に書かれた言葉 

 日曜日の夜、ソウル・蚕室のオリンピック・スタジアムで久しぶりにサッカーAマッチの試合が行われた。そこで東アジア杯韓日戦でサッカー韓国代表の公式サポーター集団「赤い悪魔」が独立運動家・申采浩(シン・チェホ)が残した言葉「歴史を忘れた民族に未来はない」を大きな横断幕に書いて広げた。そして李舜臣(イ・スンシン)将軍と安重根(アン・ジュングン)義士を描いた大きな肖像画が描かれた幕も横で振った。最初は大丈夫だった。だが、日本側の抗議を受けた大韓サッカー協会が前半戦終了後に横断幕を撤去した。すると赤い悪魔は後半戦の応援をボイコットした。

 同スタジアムではサッカー日本代表のサポーター集団「ウルトラス・ニッポン」も軍国主義の象徴である大きな旭日(きょくじつ)旗を振っていた。日本代表が出場する国際試合にはよく旭日旗が登場する。アジアサッカー連盟(AFC)チャンピオンズリーグでもいつも目にする光景だ。日本のメディアは赤い悪魔の横断幕を問題視したが、旭日旗については指摘しなかった。きのう(29日)には官房長官までもが赤い悪魔の横断幕の言葉に対し「極めて遺憾だ」と述べた。おそらく官房長官はアジアの人々にとって旭日旗がどれほどおぞましい記憶を呼び起こすものなのか分からないのだろう。

 2010年10月、ソウル・上岩のソウル・ワールドカップ・スタジアムで韓日サッカー評価試合が行われた。その後も北側のゴール裏スタンドやスタジアムを区切るフェンスに横50メートルを超える大型横断幕が掲げられた。「歴史を忘れた民族に未来はない」。今回のオリンピック・スタジアムの横断幕と大きさや字体と同じだった。白地に大人の身長を上回るほどの大きな文字だった。応援団は、李舜臣将軍と女性独立運動家の柳寛順(ユ・グァンスン)の肖像画が描かれた幕を振った。ゴール近くにはカメラマン数十人が集まっていた。誰も横断幕の文字には関心がなかった。その時は特に問題にはならなかった。

 国家代表が対決するAマッチは愛国心も手伝ってムードが盛り上がる。しかし、サッカー場は危険な火薬庫も同然だ。自制できず極端にほとばしる感情が火薬に火を付ける。2010年は何事もなかったが、2013年には争いの火種になるかもしれない。韓日関係は今「がけ」すれすれの所を歩いている。両国間には独島(日本名:竹島)、歴史教科書歪曲(わいきょく)問題、日本の改憲と軍事大国化の兆し、相次ぐ慰安婦関連の妄言、日本の政治家による靖国神社参拝など問題が幾重にも重なっている。

 中央アメリカのエルサルバドルとホンジュラスは1969年、ワールドカップ予選時のもめ事が引き金になり、五日間にわたる戦争までした。発端は、応援団が相手チーム選手の宿泊先近くで車のクラクションを鳴らしたり、太鼓をたたいたりして睡眠を妨害した騒動が広がったことだった。ソウル・オリンピック・スタジアムでは今回、横断幕問題で埋もれてしまったイベントがあった。日本の国歌演奏時、ソウル・広津多文化(国際結婚家庭)合唱団の子ども3人が日本語で「君が代」を歌ったのだ。父親か母親のどちらかが日本人の子どもたちだ。そのように「手を差しのべた」光景も関心を引くことはできなかった。 キム・グァンイル論説委員朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 (引用ここまで

 


スポーツに政治を持ち込まないルールは遵守すべし!が加害者は被害者を忘れるな!拉致も同じ!打開策は?

2013-07-29 | スポーツと民主主義

NHKニュースを観ていて、思ったので記事にすることにしました。ポイントは、

1.スポーツに政治を持ち込まないというルールを、スポーツ選手も、観戦者も、サポーターも、政治家も、厳しく遵守すべきだということです。スポーツにとって最も大切なことは、ルールオブローです。これこそが、民主主義中の民主主義だからです。 

2.しかし、この「政治を持ち込むな」という線引きについては、かなり難しい問題であることも事実です。かなりムリがあります。というのは、先に行われた国民栄誉賞も「政治」が持ち込まれたからです。こうした政治性が持ち込まれると興ざめです。

(1)確かに、スポーツ選手は、「スポーツを通して」ということもあります。しかし、「一市民として」のスポーツ選手の政治的発言も保障されなければならないことも、また事実です。

(2)同時に、黒田投手は登場しましたが(イチロー選手が出てこなかったのは残念でした!)、松井選手の引退セレモニーを見ると、ヤンキースもなかなかやるな!です。こここに「リメンバーパールハーバー」「ヒロシマ・ナガサキ・東京大空襲・オキナワ・日米軍事同盟」の入る余地はありません。当然です。だからこそ、スポーツは感動を与えるのです。 

3.問題は、その政治性の発揮がどのような状況と判断の下で行われるか、ということでしょう。そういう意味では、この間の韓国の、オリンピックにおける竹島発言と今回のアピールは、批判されてしかるべきことです。 

4.しかし、同時に、この問題を、「スポーツに政治を持ち込むな」一般の問題に閉じ込めておくことはできないということも強調しておかなければなりません。その理由は、

(1)安倍首相や橋下維新の会共同代表の戦争責任認識・植民地支配認識発言や靖国参拝・慰安婦発言問題、李前大統領の竹島訪問などを原因とした日韓交流が進まない経過があるからです。同時に、

(2)拉致問題やいじめ・セクハラ問題、その他の犯罪事件などに見るように、被害者の立場を忘れることは絶対にできないということがあるからです。

(3)「向こう三軒両隣」という言葉があるように、一衣帯水の関係にある韓国・北朝鮮との平和的交流を構築し、両国と両国民の偏狭なナショナリズムを排除し、「絆」をより強固にしていくためにも、この問題は曖昧にできないということがあるからです。

5.以上のことを踏まえると、歴史の「評価」について、立場を超えた交流を曖昧にするのではなく、歴史の事実について、負の遺産も、進歩的遺産も共有していくことこそが、展望を切り開くことになるのではないか、ということです。このことを曖昧にしているのは、一体誰でしょうか?どのような人々でしょうか?また、そのことで、利益を得ている人々は、不利益を得ている人々は誰でしょうか? 

6.そこで、資料として掲載しておくのは、安重根について、です。韓国では、3人の英雄がいます。ハングルをつくった世宗大王、秀吉の朝鮮出兵(かつては朝鮮征伐と言われていた!)に対峙し勝利した李舜臣将軍、そして伊藤博文を暗殺したとされている安重根です。この意味づけを、日本からすると、どのようにすることが、日韓・日朝の交流にとってプラスとなるか、です。 

7.日本人が拉致問題について、或いはスポーツ界のセクハラや体罰という名の暴力について怒るように、韓国人が、日本に怒る、その理由について、想像力を働かせていくことこそが、立場を超えて「事実」を共有し、信じあい、連帯してくことになるのではないでしょうか?以下の文書をご覧ください。 

(1)日中韓3国共通歴史教材委員会『未来をひらく歴史 東アジア3国の近現代史』(高文研05年5月刊)より

 伊藤博文は日本の総理大臣職と初代の韓国統監職を歴任した人物です。1909年10月26日朝9時頃、3年6ヵ月間の韓国統監職を退いた伊藤は、中国東北のハルビン駅に到着しました。日本政府の特使として満州視察とロシアとの関係調整のために来たのでした。

 列車から降りて駅でロシア儀状隊の敬礼を受けた伊藤に向けて、歓迎の群衆の中から飛び出した安重根が銃を発射しました。銃弾は伊藤に命中し、30分の後、伊藤は絶命しました。義兵部隊の指導者であった安重根は、伊藤を“断罪”した理由として、明成皇后(閔妃)を殺害した罪、高宗皇帝を引退させた罪、乙巳条約を強制的に結んだ罪など15の罪を挙げました。

 現場で逮捕された安重根は、義兵部隊の指導者として決行したので「万国公法」にもとづいて裁判を開くことを要求しました。もともとハルビンは治外法権が適用される地域であったため、この事件の裁判権は韓国にありました。

 しかし日本は、「外国にいる韓国人は日本官憲が保護する」という、1905年の乙巳条約の規定を拡大解釈して、この事件を日本の満州統治機関である関東都督府に任せました。安重根の行動が韓国人の独立意思を刺激して併合に反対する動きとなって現れることを恐れたためでした。

 関東都督府地方裁判所は、安重根が要請した外国人弁護士も認めず、通訳もつけないままで、予審なしに裁判を進行し、死刑を宣告しました。1910年2月26日午前10時、伊藤が死んでからちょうど4ヵ月になる日、伊藤が死んだ時刻に中国の旅順で死刑が執行されました。(引用ここまで 

(2)歴史研究会(日本)・歴史教科書研究会(韓国)編『日韓歴史共通教材 日韓交流共通教材 日韓交流の歴史 先史から現代まで』(明石書店07年3月刊)より

安重根の遺言

「私は大韓義兵参謀中将であって敵国の首領を処断しただけである。私か死んだら、死体はハルビン公園付近に埋めておき、わが国が独立したら、故国に移してくれ。私は死ぬのではなく、天国に行って大韓独立のために働くのだ」

 義兵戦争が長期化すると、日本は大韓帝国を「併合」するためには、全羅道義兵を完全に鎮圧することが急務であると判断して、大規模な軍事作戦を断行した。そのため全羅道地方では日本軍によって、1909年9月以降の約2ヵ月間に、義兵将100余人、義兵4000余人が逮捕・処刑されるなど莫大な被害を被った。国内での義兵による抗戦は次第に弱まっていき、義兵部隊は新たな抗戦根拠地を求めて、満州や沿海州へ移動す、独立軍活動を展開した。

 一方、義兵として活動した安重根は、1909年満州のハルビンで初代統監であった伊藤博文➊を射殺した。

 安重根は裁判過程で日本の侵略を糾弾し韓国の独立を主張して、白身は戦争捕虜であり国際法によって裁判を行うように主張した。日本は安重根を暗殺者として死刑に処したが、日本人の中には安重根の毅然たる態度に感服する人もいた。

➊ 1841-1909.明治新政府成立後、明治政府の中心的政治家となり、内閣総理大臣など明治政府の要職を歴任した。日露戦争後、韓固統監となり1909年に辞任し、ロシアとの関係調整のため中国ハルビンに行き、安重根に狙撃され死亡した。(引用ここまで 

(3)東洋平和と永遠平和―安重根とイマヌエル·カントの思想 - 法政大学 - [PDF]

(4)韓国大統領 伊藤博文暗殺の安重根の記念碑設置への協力を要請 「尊敬すべき人物」 2013.6.28 21:49 日韓関係http://sankei.jp.msn.com/world/news/130628/kor13062821540003-n2.htm

(5)このサッカーにおける政治的発言について、NHKニュースではどのように報道したか!またこのようなニュースを観た日本人・国民はどのような感情を抱くでしょうか?そこに注目しておきたいと思います。 

韓国サポーターが「歴史」横断幕  7月29日 7時18分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130729/k10013361451000.html

ソウルで行われたサッカーの東アジアカップの日本対韓国の試合で、韓国のサポーターたちが「歴史を忘れた民族に未来はない」と書いた巨大な横断幕などを掲げ、試合で政治的な主張することを禁じたFIFA=国際サッカー連盟の規定に違反する可能性があります。ソウルで28日に行われた日本対韓国の試合で、韓国のサポーターたちが観客席の中段に「歴史を忘れた民族に未来はない」と書いた巨大な横断幕を掲げました。また、観客席の別の場所では、韓国の初代統監だった伊藤博文を暗殺した独立運動家アン・ジュングンの姿を描いた横断幕も掲げられました。「歴史を忘れた民族に未来はない」と書かれた横断幕が、前半戦を終えたあとのハーフタイムに撤去されると、それを不満として多くの韓国人サポーターが応援をやめました。サッカーの日韓戦では、去年8月にもロンドンオリンピックの男子3位決定戦のあとに、韓国の選手が島根県の竹島は韓国の領土だと主張するメッセージを掲げ、FIFAは、試合で政治的な主張をすることを禁じた規定に違反したとして処分を下しています。今回の横断幕も、歴史認識問題をめぐる日本への強い反発を表したものとみられ、FIFAの規定に違反する可能性があります。(引用ここまで 

官房長官「サッカー横断幕極めて遺憾」 7月29日 12時58分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130729/k10013367971000.html

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菅官房長官は、午前の記者会見で「FIFA=国際サッカー連盟では、応援時に政治的主張を行うことを禁じており、事実関係を確認している。東アジアカップという国際試合で、今回のような横断幕が掲げられたことは極めて遺憾だ」と述べました。そのうえで、菅官房長官は「FIFA、日本サッカー協会に事実関係を確認中で、事実関係が明らかになった段階で、FIFAの規定などを踏まえて適切に対応したい」と述べました。(引用ここまで 

韓国の横断幕 サッカー協会が抗議文 7月29日 14時23分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130729/k10013370121000.html K10033701211_1307291609_1307291635.mp4

28日、韓国のソウルで行われたサッカー東アジアカップの日本と韓国の試合で、韓国のサポーターが「歴史を忘れた民族に未来はない」と書いた巨大な横断幕などを掲げた問題で、日本サッカー協会は主催者の東アジアサッカー連盟に抗議文を提出し、事実関係の調査と対応を求めました。この試合では、競技場の韓国側の観客席に「歴史を忘れた民族に未来はない」と書いた巨大な横断幕などが掲げられ、横断幕は日本サッカー協会の要請を受けて試合のハーフタイムに撤去されました。この問題について、29日、韓国から帰国した日本サッカー協会の大仁邦彌会長が報道陣の取材に答えて、試合後に東アジアサッカー連盟に対して横断幕は非常に政治的で認められないとして抗議文を提出し、事実関係の調査と適切な対応を求めたことを明らかにしました。サッカーの日本と韓国の試合を巡っては、去年のロンドンオリンピックの男子の3位決定戦でも韓国の選手が島根県の竹島は韓国の領土だと主張するメッセージを掲げ、国際サッカー連盟から試合での政治的な主張を禁じた規定に違反するとして出場停止などの処分を受けています。大仁会長は「オリンピックでのことがあり、今回はないようにと願っていたので非常に残念だ。東アジア連盟の判断を待ちます」と話しています。(引用ここまで

「横断幕の自粛呼びかけていた」 7月29日 19時2分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130729/k10013379091000.html

28日、ソウルで行われたサッカーの日本対韓国の試合で、韓国のサポーターが日本の歴史認識を批判する巨大な横断幕を掲げたことについて29日、韓国のサッカー協会は試合前にサポーター組織に対して政治的な横断幕の掲示はやめるよう呼びかけていたことを明らかにしました。

この問題はサッカーの東アジアカップの日本対韓国の試合で、韓国のサポーターたちが観客席で「歴史を忘れた民族に未来はない」と書かれた巨大な横断幕などを掲げたものです。これについて29日、韓国の大韓サッカー協会は試合前に韓国のサポーター組織「赤い悪魔」に対し「横断幕が政治的に解釈されるおそれもある」として横断幕を掲げないよう呼びかけていたことを明らかにしました。横断幕が競技場に持ち込まれた経緯や、なぜ前半戦終了まで掲げられていたのかなどについては、明らかにできないとしています。またサッカー協会はこの横断幕が試合で政治的な主張をすることを禁じたFIFAの規定に違反するかどうかについて「FIFAが判断することだ」としています。しかしサッカー協会の説明は、試合前の時点でサポーターが掲げる横断幕が規定に違反する可能性を認識していたことを示唆したもので、なぜ阻止できなかったのか、その対応が問われそうです。引用ここまで


憲法の平和主義をないがしろに日米軍事同盟を軸に比を巻き込む意図が明白になった東南アジア外遊に大喝!

2013-07-29 | 日記

それでは、マスコミは今回の安倍首相の外遊をどのように考え、伝えたでしょうか?まず、時事通信と共同通信が配信した記事です。ポイントは、

1.集団的自衛権行使と憲法改悪問題がアジア諸国にどのような影響を与えるか、記者会見の内容を伝えていることです。

2.しかし、こうした安倍首相の動きが、国内の議論と乖離していることについては、触れていません。質問があったかどうかも判りません。

3.これでは安部首相のすすめる現実、すなわち「今回の訪問をきっかけに、抑えていた保守色を解禁する姿勢を鮮明に」している現実に追随していると言われても仕方ありません。

4.現実追随は、武器輸出禁止三原則の経過を見れば明瞭です。ここに最大のポイントがあります。

5.ただ、「死の商人」問題にみるように、日本の立ち居地は、国際的にみれば、明らかに、憲法の平和主義から程遠い位置に向かっており、憲法9条の持つ意味、すなわち、9条が単なる「平和主義」という問題ではなく、日本経済との関係、国民生活との関係など、どのように国民生活と結びつけているかについて、国民的合意を広げていくか、今後の課題と言えます。

6.「米軍がP3C哨戒機を使いフィリピンを拠点に中国軍の偵察を活発に行っている」ことに見るように、今回の安倍外遊がアメリカと一連托生で、日米軍事同盟深化路線のなかで行われていることが明白になった。しかし、扱いとしては、極めて小さい!対中日米比「同盟」的位置づけです。 

次は、NHKはどのように伝えたか、です。ポイントは、

1.時事通信や共同通信と異なる部分は「防衛力強化は周辺国から軍国主義復活との懸念を招くのでは」という記者会見の内容を正確に伝えていないことです。内容を伝えたのは、「首相 集団的自衛権行使に理解求める  7月27日 4時49分」の時でした。このことの意味を考えておく必要があると思います。

2.NHKが繰り返し使っている「政府の言葉」のもつ意味を考えておく必要があると思います。国民の中に何を浸透させようとしているか、です。以下抽出してみました。

「国際社会全体の安全保障環境の変化を踏まえ、日本の安全を確保し、日米同盟そして地域の平和と安定に貢献していくとの観点から検討を進めていく」

「『平和主義』『国民主権』『基本的人権』を当然の前提としたうえで、現在の日本にふさわしい憲法の在り方について議論を深めている」

「すべての関係国が国連海洋法条約など、国際法に基づいて行動すべきだという認識で一致」

「中国が海洋進出を活発化させ」「南シナ海の島々の領有権を巡って、中国と対立していることを踏まえ」

「すべての関係国が国際法を順守し、一方的な行動を慎むべきだ」

「関係国が責任ある行動を取るよう協力することで誓い合いたい。国際法に基づき、平和的な解決が図られることを期待」

「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交を、マレーシア、シンガポール、フィリピンの訪問から再開した。日本の国益はもとより、地域・世界の平和と繁栄に貢献する戦略的外交を進める」

「自由、民主主義、法の支配や人権といった普遍的価値を共有する諸国と、幅広い分野で連携を強化し、日ASEAN友好協力40周年を機に、交流を一層促進していくことで一致した」

「フィリピンは、日本にとって基本的価値観と多くの戦略的利益を共有する戦略的パートナー」

TPP=環太平洋パートナーシップ協定を巡って、交渉に参加しているマレーシア、シンガポールとの間では、交渉妥結に向けて緊密に協力していく」

「ODA=政府開発援助を活用して、巡視船10隻を供与するとともに、通信システムの整備を進めるなど、海上警備能力の向上を支援していく」

3.いわゆる安倍首相の「価値観外交」が如何にご都合主義であるか、サウジアラビア訪問の際にも使われた言葉ですが、更に、これは安倍首相の思想と国内における対応を見れば明瞭です。 

時事通信 財政計画、消費増税前提とせず=改憲、アジア諸国に説明-安倍首相会見 (2013/07/27-19:44)http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013072700222

… また首相は、政権が志向する憲法改正や安全保障政策見直しに関し、「地域諸国に誤解がないように丁寧に説明をしていきたい」と述べ、第2次世界大戦中に日本が占領したアジア諸国の懸念を取り除くことに努力する方針を表明した。(引用ここまで

【共同通信】 首相、集団的自衛権の検討伝達 改憲方針もアジア首脳に 2013/07/27 20:02 http://www.47news.jp/CN/201307/CN2013072701001710.html

 記者会見で質問に答える安倍首相=27日、マニラ(共同)

 【マニラ共同】安倍晋三首相は27日、訪問先のマニラで記者会見し、憲法解釈で禁じているとされてきた集団的自衛権の行使容認に関し「検討を進めていく考えだ」と明言した。今回の訪問で会談した各国首脳らに説明し理解を求めたことも明らかにし、憲法改正についても「誤解がないよう丁寧に説明していきたい」と実現に意欲を見せた。冷え込んだ日中関係の改善に向け、対話再開も求めた。 首相は参院選の期間中、保守的な政策を事実上封印し街頭演説などでほとんど触れなかった。今回の訪問をきっかけに、抑えていた保守色を解禁する姿勢を鮮明にした。(引用ここまで 

時事通信 安倍首相記者会見要旨 (2013/07/27-18:12) ttp://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013072700260

 【マニラ時事】安倍晋三首相が27日、マニラで行った内外記者会見の要旨は次の通り。
 -日中・日韓関係の停滞をどう打開するか。
 日中関係はさまざまな問題が生じるが、切っても切れない関係であることを双方が認識の上、互いに努力していくことが重要だ。これこそが戦略的互恵関係だ。中国もその原点にぜひ立ち戻ってもらいたい。まずは互いが胸襟を開いて話をしていくことが大切だ。外交当局間の対話を進めるよう私から指示している。条件を付けることなく、なるべく早く外相・首脳レベルの会合を持ちたい。韓国の朴槿恵大統領とは世代も大体同じであり、ぜひ首脳会談ができることを楽しみにしている。

 -消費増税は毎年1%ずつの引き上げなど複数の案を検討するのか。中期財政計画の策定を先延ばしする考えは。
 複数の案を出すように(関係部局に)指示をしたことはまだない。消費税引き上げは経済成長あるいはデフレ脱却、同時に財政再建をしっかりと勘案し、経済の指標を見ながら私が適切に判断していく。中期財政計画は9月上旬の20カ国・地域(G20)首脳会議に出せるよう、来年度の概算要求基準と合わせ、8月に策定することとしたい。同計画は消費税率引き上げを決め打ちするものではない。計画の策定と消費(増)税の判断時期は矛盾するものではない。

 -在任中の憲法改正は。防衛力強化は周辺国から軍国主義復活との懸念を招くのでは。
 現在の日本にふさわしい憲法の在り方について議論を深めている。国際社会全体の安全保障環境の変化を踏まえ、防衛大綱の見直しを行い、国家安全保障会議の設置、集団的自衛権行使に関する検討を進めていく。ほとんど全ての国々が当然行い得るものの一部を、日本でも可能にしようとするものであり、平和主義が大前提だ。地域諸国に誤解がないように丁寧に説明をしていきたい。引用ここまで
 

(共同通信) 禁輸三原則「撤廃」も/武器輸出に新指針検討/安倍首相前向き/歯止めの議論不可欠 2013/07/24 11:22

http://www.47news.jp/47topics/e/244065.php?__from=mixi

安倍晋三首相
 安倍政権は22日、武器禁輸政策の抜本見直しに向けた議論を8月から本格化させる方針を固めた。新たな指針の策定により、従来の武器輸出三原則を事実上「撤廃」することも視野に入れている。安倍晋三首相は撤廃に前向きという。政府筋が明らかにした。

 防衛省は26日にも公表する新防衛大綱の中間報告に新指針の策定方針を盛り込む方向だ。冷戦下で共産圏への技術流出を防ぐ目的の三原則が、武器の国際共同開発が主流の現状にそぐわないとの判断からで、野田民主党政権が進めた禁輸緩和をさらに徹底する国内防衛産業を育成する狙いもある。

 参院選勝利を受け、首相は安全保障政策への取り組みを強化したい考えで、首相官邸や外務、防衛、経済産業各省の担当者が来月下旬から連絡会議をスタートさせる。全面解禁とはせずに、武器の共同開発に日本企業が参入する場合、国際紛争を平和的に解決するなどとした国連憲章の趣旨が守られることを条件とする案が浮上している。

 憲法の平和主義と併せ、国民に長く受け入れられてきた三原則の撤廃には政府内にも慎重論が残っており波紋を広げるのは必至だ。首相は国内外の意見を慎重に考慮し最終判断する構えだ。

 武器輸出三原則は1967年、当時の佐藤栄作首相が国会で表明し、歴代政権が政府見解として踏襲してきた。法律には明文化されていない。

 政府は、三原則の規制がある中で、米国とのミサイル防衛開発などに際し、個別に例外措置を適用してきたが、野田政権下の2011年、第三国移転や目的外使用を防ぐための事前同意を条件に、禁輸を大幅に緩和する基準を策定した。

 だが、航空自衛隊に導入するF35戦闘機の国際共同開発は事前同意を得られない仕組みだったため、政府は今年3月、「国連憲章の順守」を条件に、あらためて例外扱いにするとの官房長官談話を発表し、国内防衛産業の参入を可能にした。

 安倍政権は今後、個別に例外措置を取るより三原則に代わる新たな指針を明示し、武器の国際開発に積極参加する姿勢を鮮明にすべきだとの考えに傾いている。 

歯止めの議論不可欠 

 【解説】安倍政権が武器禁輸政策の抜本見直しに乗り出すのは、武器輸出三原則がハードルとなって世界の潮流である国際開発に乗り遅れ、安全保障分野の国益を損なう事態を恐れたためだ。日本の高度な技術が、国際紛争を助長する方向で転用される懸念は拭えない。三原則に代わる歯止めの仕組みは不可欠だ。

 安倍晋三首相は3月の国会答弁で、紛争当事国への技術流出を理由に禁輸措置を取り続けることに疑問を呈し「どの国も紛争当事国になる恐れがある。全部排除できるのかという根本的な問題も真面目に検討していく必要がある」と強調した。

 防衛省幹部は「日本にとって三原則は大切な国是だが、諸外国から理解されていない」と指摘し、首相の狙いを「東南アジア諸国に日本の防衛技術を売り込み、対中国の安全保障網を築くツールにしたい」と代弁した。

 政府は3月にF35戦闘機の共同開発に国内企業の参入を認めた。その後、英国と化学防護服の開発で合意し、フランスとも協力を進めるなど実績を積み重ねている。三原則「撤廃」論は集団的自衛権行使の容認の動きと併せ、安倍カラーの一環と捉えることができる。

 防衛産業側にも慎重意見がある。ある経団連幹部は「『死の商人』と呼ばれる可能性があるので世論が気になる。一気に撤廃しなくても、石橋をたたいて渡るように例外を積み重ねていけば良いのではないか」と、戸惑いを隠せない様子だ。(引用ここまで 

【共同通信】 日本が比に巡視船10隻供与表明 首脳会談で中国けん制 2013/07/27 14:27

http://www.47news.jp/CN/201307/CN2013072701001574.html

 会談で握手する安倍首相(左)とフィリピンのアキノ大統領=27日、マニラ(代表撮影・共同)

 【マニラ共同】フィリピン訪問中の安倍晋三首相は27日(日本時間同)、アキノ大統領とマニラで会談した。南シナ海で海洋進出の動きを活発化させる中国へのけん制として、フィリピン沿岸警備隊の能力向上を支援するため日本側から巡視船10隻の供与を表明した。

 会談後の共同記者発表で首相は「両国の関係は長い友好の歴史に根ざしている。関係をさらに強化したい」と強調した。大統領は中国を念頭に「関係国が責任ある行動を取るよう働き掛けることを誓い合った」と述べ、日本とフィリピンが協力して対処することで合意したと説明した。

巡視船(2011年1月12日)海上保安庁が保有し、領海のパトロール、違法操業の外国漁船や密輸対策、海難救助、海洋汚染の監視などに当たる。2010年4月現在、全国に121隻を配備。ヘリコプター搭載型や船体後部にヘリコプターの発着甲板を持つタイプもある。横浜海上保安部所属の「しきしま」の約6500トンが最大で、保有隻数が多い千トン級は主力船として活躍している。(引用ここまで 

【共同通信】 南沙諸島で米軍の偵察強化 中国にらみ、哨戒機展開 2013/07/28 22:35

http://www.47news.jp/CN/201307/CN2013072801001835.html

【マニラ共同】中国とフィリピンの対立が先鋭化する南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島をめぐり、米軍がP3C哨戒機を使いフィリピンを拠点に中国軍の偵察を活発に行っていることが28日、フィリピン政府の資料などで分かった同国と軍事協力を進める米国の軍事筋は中国を念頭に「(偵察衛星も含め)あらゆる情報収集活動を強化している」と語った。

 南シナ海情勢の緊迫化を受け、フィリピンのアキノ大統領が米側にP3Cの派遣を要請していた。

南沙諸島(2007年7月21日)南シナ海中部に位置し、南北約800キロにわたり散在する群島。岩礁も含めた総数は400以上。北東アジアとインド洋を結ぶ軍事、通商上の要衝であるだけでなく天然資源も豊富で、中国、ベトナム、フィリピン、台湾、マレーシア、ブルネイが領有権を主張。海域全体が領有権を主張する関係国に分割、実効支配されている。東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国は2002年、武力行使に訴えず平和的解決で紛争を回避することなどを定めた「南シナ海行動宣言」に調印している。(引用ここまで

以下、NHKです。

首相 集団的自衛権行使に理解求める  7月27日 4時49分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130727/k10013332841000.html

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東南アジアを歴訪している安倍総理大臣は26日、シンガポールのリー・シェンロン首相との会合で、集団的自衛権の行使について、日米同盟や地域の平和と安定に貢献するという観点から検討を進める考えを示し、理解を求めました。東南アジア3か国を歴訪している安倍総理大臣は26日、シンガポールでリー・シェンロン首相との昼食会に出席し、安全保障や地域情勢を巡って意見を交わしました。この中で、安倍総理大臣は集団的自衛権の行使について、「国際社会全体の安全保障環境の変化を踏まえ、日本の安全を確保し、日米同盟そして地域の平和と安定に貢献していくとの観点から検討を進めていく」と述べ、理解を求めました。また、安倍総理大臣は憲法改正について、「『平和主義』『国民主権』『基本的人権』を当然の前提としたうえで、現在の日本にふさわしい憲法の在り方について議論を深めている」と述べました。一方、両首脳は、中国が海洋進出を活発化させ、南シナ海の島々を巡ってマレーシアやフィリピンなどと対立していることについて、すべての関係国が国連海洋法条約など、国際法に基づいて行動すべきだという認識で一致しました。(引用ここまで 

首相 フィリピンの海上警備支援伝える  7月27日 15時12分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130727/k10013337831000.html

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東南アジアを歴訪中の安倍総理大臣は、最後の訪問国フィリピンでアキノ大統領と会談し、フィリピンが南シナ海の島々の領有権を巡って、中国と対立していることを踏まえ、巡視船10隻を供与するなど、海上警備能力の向上を支援する考えを伝えました。東南アジア3か国を歴訪している安倍総理大臣は、最後の訪問国、フィリピンで、アキノ大統領と1時間余りにわたって会談しました。この中で安倍総理大臣は、中国が海洋進出を活発化させ、南シナ海の島々の領有権を巡ってフィリピンなどと対立していることについて、「すべての関係国が国際法を順守し、一方的な行動を慎むべきだ」と述べました。そのうえで安倍総理大臣は、日本がフィリピンの沿岸警備隊に対し、ODA=政府開発援助を活用して巡視船10隻を供与するとともに、通信システムの整備を進めるなど、海上警備能力の向上を支援していく考えを伝えました。これに対してアキノ大統領は、「関係国が責任ある行動を取るよう協力することで誓い合いたい。国際法に基づき、平和的な解決が図られることを期待している」と述べました。巡視船は「武器」に分類されることから、いわゆる「武器輸出三原則」で外国への輸出が認められていませんでしたが、おととし12月に事実上緩和され、平和への貢献や国際協力で使用する場合に限るなど一定の条件の下で輸出が認められるようになっています。会談のあとの共同会見で安倍総理大臣は、「フィリピンは、日本にとって基本的価値観と多くの戦略的利益を共有する戦略的パートナーだ。両国関係をさらに強化させていきたい」と述べました。(引用ここまで 

首相 ASEANとの関係強化を強調  7月27日 16時21分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130727/k10013338841000.html

東南アジアを歴訪している安倍総理大臣は、フィリピンで記者会見し、「日本がこの地域で、より積極的な役割を果たしていくことへの強い期待が示された」と述べ、ASEAN=東南アジア諸国連合に加盟する国々と、経済や安全保障を含む、幅広い分野で関係を強化していく考えを強調しました。この中で安倍総理大臣は、今回の東南アジア歴訪の意義について、「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交を、マレーシア、シンガポール、フィリピンの訪問から再開した。日本の国益はもとより、地域・世界の平和と繁栄に貢献する戦略的外交を進める考えだ」と述べました。そのうえで安倍総理大臣は、「ASEANはアジア太平洋地域の安定と繁栄のための重要なパートナーであり、経済成長と安全保障の両面から重視していく。3か国の首脳からは、日本経済がアジアの活力を取り込んで再生し、日本がこの地域で、より積極的な役割を果たしていくことへの強い期待が示された」と述べました。そして、「自由、民主主義、法の支配や人権といった普遍的価値を共有する諸国と、幅広い分野で連携を強化し、日ASEAN友好協力40周年を機に、交流を一層促進していくことで一致した」と述べ、ASEANに加盟する国々と、経済や安全保障を含む、幅広い分野で関係を強化していく考えを強調しました。(引用ここまで 

首相 東南ア歴訪終え帰国の途に  7月27日 18時44分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130727/k10013340441000.html

東南アジア3か国を歴訪していた安倍総理大臣は、一連の日程を終え、日本時間の27日午後6時前、最後の訪問国、フィリピンから、政府専用機で帰国の途につきました。安倍総理大臣は、参議院選挙のあと初めての外国訪問として、今月25日から3日間の日程で、東南アジアのマレーシア、シンガポール、フィリピンを訪れ、首脳会談を行いました。安倍総理大臣は、3か国の首脳との会談で、中国が海洋進出を活発化させ、南シナ海の島々の領有権を巡って、マレーシアやフィリピンなどと対立している問題について意見を交わし、「すべての国が国際法に基づいて、平和的に問題を解決すべき」という認識で一致しました。そして、フィリピンのアキノ大統領との会談で、安倍総理大臣は、日本がフィリピンの沿岸警備隊に対し、ODA=政府開発援助を活用して、巡視船10隻を供与するとともに、通信システムの整備を進めるなど、海上警備能力の向上を支援していく考えを伝えました。一連の日程を終えた安倍総理大臣は、日本時間の27日午後6時前、政府専用機でフィリピンを出発し、帰国の途につきました。(引用ここまで 

首相 東南アジア訪問終え帰国  7月27日 22時13分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130727/k10013342881000.html

 

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フィリピンなど東南アジア3か国を訪問していた安倍総理大臣は、一連の日程を終え27日夜、政府専用機で帰国しました。安倍総理大臣は今月25日から3日間の日程で、マレーシア、シンガポール、フィリピンを相次いで訪れ、3か国の首脳と会談しました。一連の会談で安倍総理大臣は、中国が海洋進出を活発化させ、南シナ海の島々の領有権を巡ってマレーシアやフィリピンなどと対立している問題について意見を交わし、「すべての国が国際法に基づいて平和的に問題を解決すべき」という認識で一致しました。また、TPP=環太平洋パートナーシップ協定を巡って、交渉に参加しているマレーシア、シンガポールとの間では、交渉妥結に向けて緊密に協力していくことを確認しました。一連の日程を終えた安倍総理大臣は、27日午後9時半すぎ、政府専用機で羽田空港に帰国しました。安倍総理大臣は日本経済の再生や地域の安定につなげるため、ASEAN=東南アジア諸国連合に加盟する各国との関係をさらに強化していきたい考えで、今回の訪問の成果をことし12月に日本で開催が予定されている日本とASEAN各国の首脳による会合につなげたい考えです。(引用ここまで


原発と同じ集団的自衛権行使論を輸出し既成事実化!国民無視の暴走安倍政権は何としても打倒しなければ!

2013-07-29 | 日記

安倍首相の東南アジア外遊は、日米軍事同盟の深化路線の一環として行われました。キーワードは中国包囲網の構築、武器輸出三原則・集団的自衛権行使論を、国内議論の経過も民意も無視して、輸出すること、国内向けには憲法改悪への地ならしでした。 

安倍首相は、口では「自由、民主主義、法の支配や人権といった普遍的価値を共有する諸国と、幅広い分野で連携を強化」するなどと言っていますが、国内討論の経過、民意を無視していることそのものに、この言葉のウソ八百ぶりが判ります。 

また「ASEAN友好協力40周年を機に、交流を一層促進していくことで一致した」「すべての関係国が国際法を順守し、一方的な行動を慎むべきだ」「すべての関係国が国連海洋法条約など、国際法に基づいて行動すべき」などと述べていますが、実際は「南シナ海で海洋進出の動きを活発化させる中国へのけん制として、フィリピン沿岸警備隊の能力向上を支援するため日本側から巡視船10隻の供与」など、「紛争の平和的解決」を掲げる国連海洋法条約・東南アジア友好協力条約からみても、危うい「援助」を約束したのです。 

何故ならば、そもそも「巡視船は『武器』に分類されることから、いわゆる『武器輸出三原則』で外国への輸出が認められていなかった」からです。民主党政権によって行われた「武器輸出禁止三原則」という「規制」の緩和の「成果」が、ここに表れてきたというべきです。しかし、日本国内において、「武器輸出禁止三原則」という「規制」が「緩和」されたからと言って、「巡視船」が「武器」であることには違いはありません。身勝手な屁理屈です。国際的に信頼を得ることはできないでしょう。 

以上のことを踏まえると、今回の外遊は、アメリカの意向を受けて、また安倍自公政権の思惑を推進するという意味からも、この間の原発を輸出する「約束」をした外遊と同じように、憲法の平和主義という「規制」を「緩和」するという危うい「約束」をしたという外遊といわなければなりません。 

しかし、日本国内においては、こうした憲法違反の既成事実の積み重ねについて、批判する声は、かつてのように沸き起こらないという現実があります。そればかりか、容認する報道が垂れ流されています。こうして憲法改悪の世論誘導・世論形成が行われているのです。ここに注目しなければなりません。 

そこで、以下、どのように報道されたか、掲載しておきます。 

赤旗28日 2面 首相、参院選後最初の外遊 「右傾化」印象づける 東南アジア歴訪

安倍晋三首相は27日、参院選後では最初の外遊となる東南アジア歴訪(25~27日、マレーシア、シンガポール、フィリピン)を終え、帰国しました。東南アジア訪問は、今年に入って3回目となります。

 27日午後のマニラでの記者会見で、首相は「自由・民主主義・法の支配・基本的人権という普遍的価値を共有する諸国と幅広い分野で連携を強化する」と表明し、あらためて「価値観外交」を強調しました。一方、中国、韓国との関係改善策については示せず、逆に、憲法改悪などを強調することで、周辺国に「右傾化」と、安倍政権のタカ派ぶりを印象づける結果となりました。

 安倍首相は会見で、「日本にふさわしい憲法のあり方について議論を深めている」として、改憲への執念を示しました。さらに、「防衛大綱の見直し、国家安全保障会議(NSC)の設置、集団的自衛権の行使について検討を進めている」と表明。憲法改悪や集団的自衛権については、26日にシンガポールのリー・シェンロン首相との会談で論点を説明し、防衛大綱などについては、同日のバイテン米副大統領の会談で説明しています。

 憲法改悪や、憲法上、禁じられている集団的自衛権の行使について、外遊でこれだけ強調するのは異例です。会見では、外国記者から「日本の軍国主義復活の懸念を招く」との質問も出されました。

 悪化している中国、韓国との関係についても問われました。首相は26日のシンガポールでの講演で、「首脳同士、外相同士、胸襟を開いて話し合えればいい」と述べ、両国と首脳・外相会談を行うことに期待を示しました。

 ただ、27日の会見では、「条件をつけることなく、首脳・外相レベルとの話し合いをしたい」と述べ、中国側が外交再開の条件にしている尖閣諸島の領有権問題や、韓国側が重視している歴史認識の問題について、正面から向き合う姿勢を示しませんでした。(引用ここまで 

国連海洋法条約

第三百条 信義誠実及び権利の濫用

締約国は、この条約により負う義務を誠実に履行するものとし、またこの条約により認められる権利、管轄権及び自由を権利の濫用とならないように行使する。

第三百一条 海洋の平和的利用

締約国は、この条約に基づく権利を行使し及び義務を履行するに当たり、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合憲章に規定する国際法の諸原則と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。

第三百二条 情報の開示

この条約のいかなる規定も、締約国がこの条約に基づく義務を履行するに当たり、その開示が当該締約国の安全保障上の重大な利益に反する情報の提供を当該締約国に要求するものと解してはならない。ただし、この規定は、この条約に定める紛争解決手続に付する締約国の権利を害するものではない。(引用ここまで

つづく


これが、13年3月11日以後朝日の社説で書かれた「原発」対策だ!アベノミクスと比較して、どうか!?

2013-07-28 | 日記

以下の朝日の社説は、2013年3月11日以後、選挙までの25本の原発に関する朝日の社説です。

テーマのみのものは、「地力」について書かれていないと判断したものです。部分的に引用したものは、「地力」に関する部分です。全文掲載は、すベて「地力」に関係している部分です。 

アベノミクス成長戦略にとって不可欠な電力エネルギーは、高市政調会長のいうように原発です。しかし、原発ゼロ・脱原発・卒原発にとって大切なことは、原発に替わる代替エネルギーをどのように原発にとって替えていくか、そお政策について、国民に明らかにしていく必要があります。 

「脱原発を訴える野党は、その矛盾をあぶりださなければならない」とする朝日は、どのような対策を提案しているか、よくご覧いただければと思います。 

1.朝日 原発、福島、日本─もう一度、共有しよう  2013/3/11 4:00
原発が立地する他の自治体との距離も開くばかりだ。 自民党本部で2月15日、原発のある道県の議会議長を招いた調査会が開かれた。相次ぐ「原発の早期再稼働を」の声に、福島県の斎藤健治議長は「これ以上、一緒に議論できない」と途中で席を立った。 大震災の前までは、福島第一に原子炉の増設を求めるなどバリバリの原発推進派だった。 「『原発は必要』という人ほど事故後の福島を見に来ない。会合の場でも言ったよ、自分で3号機の前に立ってみろって。そしたら再稼働なんて簡単に言えなくなる」(引用ここまで
 

2.朝日 核燃料の再処理/韓国も一緒にやめよう   2013/3/17 4:00
3.朝日 核燃料の再処理/核拡散の懸念は根強い  2013/3/17 4:00

4.朝日 発送電分離/「骨抜き自民」の返上を   2013/3/21 4:00
 情報開示が進んで、消費者が自由に電源を選べるようになれば、どんな電源配分が望ましいかについても、おのずと合理的な結論が導かれるはずだ。 もちろん、電力の安定供給に支障があってはいけない。技術的な課題があればきちんと克服し、法整備を順序立てて進める必要がある。 息の長い改革になる。そのためにも全体像を示し、工程表をあらかじめ設けておくのは当然のことだ。 「骨抜き」「既得権保護」の汚名を返上し、新しいエネルギー社会の構築に力を注ぐ。 自民党にとっても、またとない機会ではないか。(引用ここまで
 

5.朝日 福島原発停電/まだ事故は続いている  2013/3/22 4:00
6.朝日
 原発防災計画/福島の経験をくみ取れ  2013/3/28 4:00
福島県内の市町村は、避難先での行政機能やコミュニティーの維持、除染問題など、いまなお困難な課題に直面し続けている。そうした生の体験に直接触れることで、学べるものは多いはずだ。 そのうえで、周辺人口が多かったりして、避難が実質的に不可能な原発については閉鎖・廃炉の対象にすべきだ。 最大の防災対策が、できるだけ原発を減らしていくことであるのは、言うまでもない。(引用ここまで
 

7.朝日 原発事故賠償/新たな枠組みづくりを  2013/4/7 4:00
自宅に戻りたい人も、新たな場所での再出発をめざす人も、できるだけ経済面での不安を抱えずに判断できる環境を整えなければならない。 それが、原発事故に直面した私たち国民全体の務めだろう。(引用ここまで
 

8.朝日 原発新基準/廃炉への枠組みを早く  2013/4/11 4:00
原発に頼らず、効率的で創意工夫が生きるエネルギー社会への転換は、経済再生を掲げる安倍政権にとっても不可欠な要素だろう。 ためらっている余裕はない。(引用ここまで
 

9.朝日 大飯原発/司法の変化が見えない   2013/4/18 4:00
10.朝日 核燃サイクル/もはや机上の空論だ  2013/4/22 4:00

11.朝日 東北電×東電/賠償は内容の精査を  2013/4/28 4:00
12.朝日 プルトニウム/在庫減へ国際連携を  2013/5/4 4:00
13.朝日 石炭火力/脱原発と歩み合わせよ   2013/5/6 4:00

東京電力による石炭火力発電所の建設をめぐって、待ったをかけた環境省と推進側の経済産業省の協議が決着した。 政府は今後、脱原発にともなう代替電源として、東電に限らず、コストの安い石炭火発の新増設をやりやすくする。環境影響評価(アセスメント)の期間も最短で1年強にする。ほぼ経産省の主張に沿う。 二酸化炭素の排出が増えてしまうことへの環境省の懸念はわかる。しかし、電力需給や燃料費の増大を考えれば、脱原発を進めるうえでやむをえない選択だろう。 今回の環境省の対応ぶりは説得力に欠けた。 脱原発依存に向けた石炭火発の活用は早くから国の政策として位置づけられていたのに、東電の入札が具体化してから表立って異議を唱えるのでは混乱するのも当然だ。実用化していない技術まで基準に盛り込もうとする姿勢にも無理があった。 環境省ときちんと意思疎通をはからなかった経産省にも問題がある。 今回のようなことが頻繁に起きるようでは、せっかく生まれつつある電力ビジネスへの新規参入機運を、政府みずから妨げることになりかねない。 原発事故を経て私たちをとりまく状況や意識は大きく変わった。環境省に早急に取り組んでもらいたいのは、3・11後の現実を踏まえ、原発に頼らない社会における温暖化対策を打ち出すことだ。 もちろん、電力業界としても自主的な取り組みはする。加えて、ほかのエネルギー利用や環境保全も含めた全体的な視野から対策を講じていくのが政府の仕事である。 自然エネルギーの着実な普及も重要だ。 今後、電力の自由化が進んでいくと、消費者が自ら使う電力会社や電源を選択することも可能になる自然エネルギーへの消費者の需要が強まれば、電力関連ビジネスも自然とそちらに向かうはずだ。 政府には、従来のように細かく電源の種類や比率を決めることではなく、社会が環境負荷の小さいエネルギーの利用へと向かうよう、うまく誘導する制度設計を求めたい。 日本は京都議定書からの離脱で4月以降、法的根拠や具体的な計画がないまま温暖化対策が宙に浮いている。 今秋の国連気候変動枠組み条約の締約国会議(COP19)を念頭に、脱原発を明確にした日本の方向性を国際社会に示すよう作業を急いでほしい。(引用ここまで 

14.朝日 原発の輸出/まず核不拡散を考えよ   2013/5/9 4:00
15.朝日 もんじゅ処分/もう再開はありえない  2013/5/14 4:00
16.朝日 敦賀原発/退場勧告は当たり前だ    2013/5/16 4:00
17.朝日 脱原発と地元/敦賀をモデルケースに  2013/5/17 4:00

 現状維持はもはや夢物語だ。河瀬市長は今回の決定に反発する一方、仮に原発がなくなっても「廃炉には30年も40年もかかり、専門の会社が必要だ」「世界に原子力の安全を確保する技術を発信する道もある」と述べた。こうした転換が具体化すれば、敦賀市は脱原発の町のモデルケースとなりうる。 国策を受け入れた自治体が原発と決別する。その試みを国や、関西などの電力消費地がどう手助けしていくべきか。 敦賀が「原発銀座」から脱却できるよう、さまざまな後押しで知恵をしぼる時がきた。(引用ここまで 

18.朝日 活断層と関電/安全面での言行不一致  2013/5/18 4:00
19.朝日 原発と賠償/時効3年はそぐわない   2013/5/22 4:00
20.朝日 日印原子力協定/核不拡散の原点    2013/5/25 4:00
21.朝日 原子力機構/安全管理は改まるのか   2013/5/27 4:00

22.朝日 成長戦略/脱原発にこそ芽がある    2013/6/1 4:00
 安倍政権が近くまとめる成長戦略に、「原発の活用」が盛り込まれる見通しだという。再稼働を求める電力業界や産業界の声を受けてのことだ。 あまりに安直ではないか。原発回帰が前面に出れば、せっかく生まれつつある新ビジネスの芽をも摘みかねない。撤回すべきだ。 電力不足や火力発電の拡大に伴うコスト増が目先の経済に与える影響を無視していいわけではない。マイナス要因をできるだけ抑えることは、政治の大事な仕事である。 だが、成長戦略とは、中長期にわたる日本経済の「新しい方向性」を示すものだ。 実際、エネルギー政策としてはほかに「高効率火力発電の導入」「浮体式洋上風力発電の推進」「スマートコミュニティーの拡大」なども取り上げられるという。 福島の原発事故から2年あまりを経て、こうした分野に参入する企業も目につくようになってきた。採算性やインフラの不備といった課題を抱えつつ、思い切って挑戦する新興勢力を積極的に支援するのが、成長戦略の柱のはずだ。 ここで政府が原発回帰の姿勢を強めれば、古い電力体制が温存され、新規参入の余地をせばめることになる。それは、地域独占から自由化・競争促進への転換をめざす電力システム改革とも矛盾する。 何より、「原発への依存度をできる限り低減する」とした安倍政権の方針に反する。 福島の問題は解決にはほど遠い状況にある。日本がこの重い問題にどう道筋をつけるのか、世界が注目している。原発再稼働を急ぎたい人たちの声にばかり耳を傾けていては、大局を誤りかねない。 かつて米国市場で低評価に甘んじていたホンダは70年代、厳しい排ガス規制法が敷かれたことをテコに、低公害・低燃費のエンジン開発に成功し、今日の基盤を築いた。 大胆な発想や技術の飛躍が厳しい課題を克服するところから生まれることは、歴史が示すところだ。 むしろ「脱原発依存にこそ成長の道あり」と位置づけるほうが、日本の優秀な技術や人材を最大限に生かす場が見えてくるのではないか。 成長戦略を議論する産業競争力会議でも、民間議員の中に安易な原発復活に対する慎重論があるという。成案づくりの作業が本格化するのはこれからだ。未来を感じさせる中身にしてもらいたい。(引用ここまで

 

23.朝日 脱原発政策/廃炉促進へ専門機関を    2013/6/3 4:00
24.朝日 エネルギー白書/しっかり色付きですね  2013/6/16 4:00
わが国初の白書は47年に発行された「経済実相報告書」である。当時、政府がまとめた文書には「国民に腹蔵なく事態を説明することは民主主義的政府の義務」とある。 政治の顔色をうかがって中身の色も変えるなら、もはや「白書」ではあるまい。(引用ここまで

 

25.朝日 プルサーマル/なし崩しは許されない      2013/6/18 4:00
26.朝日 大飯原発/関電は規制委に従え         2013/6/22 4:00
27.朝日 節電の夏から未来へ/省エネこそ日本の資源だ  2013/6/23 4:00
28.
朝日 原発と政治/未来にツケを回すのか       2013/6/29 4:00
 あの日。地震と津波の脅威にがく然としていた私たちに追いうちをかけたのが、「福島第一原発で全電源を喪失」「原子炉の冷却不能」というニュースだった。 爆発で原子炉建屋が吹き飛ばされる映像を目にして、背筋が凍った。 そのことを、よもや忘れたわけではあるまい。 安倍政権の原発政策である。 自民党は参院選の公約で、原発の再稼働について地元の理解を得ることが「国の責任」と明記した。 「安全性が確認された原発は動かす」が、安倍政権の基本方針だ。首相は国会閉会後の記者会見で「原子力規制委員会の基準を満たさない限り再稼働しない」と言い回しを変えたが、規制委さえクリアすれば、原発というシステムには問題ないという認識のようだ。 折しも7月8日に、新しい規制基準が施行され、既存の原発が新基準に適合しているかどうかの審査が始まる。 確かに、新基準はさまざまな点で改善はされている。 旧来は規制当局が電力会社に取り込まれ、電力側が基準づくりや審査を都合よく誘導していた面があった。 新基準は、活断層を厳しく吟味するほか、地震・津波対策やケーブルの不燃化、電源・冷却手段の多重化、中央制御室のバックアップ施設などを求める。 今後も新たな基準を設けた場合、既存原発に例外なく適用することになったのは前進だ。過酷事故が起きることを前提に対策を求めた点も評価する。 しかし、新しい基準への適合は「安全宣言」ではない。規制委が、「安全基準」から「規制基準」へ名称を変えたのも、そのためだ。安倍政権はそこから目をそらしている。 なにより、福島の事故があぶり出したのは、安全対策の不備だけではない。 たとえば、原発から出る危険なゴミの問題である。 使用済み核燃料や廃炉で生じる高レベルの放射性廃棄物をどこにどうやって処分するか、まったく手つかずのままだ。当座の保管場所さえ確保できていないのが現状である。 安倍政権は発足当初から、使用済み核燃料を再処理して利用する核燃料サイクル事業の継続を表明した。6月の日仏首脳会談でも、両国が協力して推進していく姿勢を強調した。 しかし、計画の主役だった高速増殖炉は失敗続きで見通しがつかない。使用済み燃料から取り出したプルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料を商業炉で使うプルサーマル発電に頼るしかないが、これまでに取り出したプルトニウムを消化しきるのも難しい。 ましてや、青森県六ケ所村の再処理工場を動かせば、プルトニウムをさらに増やすことになり、核不拡散を定めた国際公約に違反する。 こうした負の側面に目をつぶり、課題を先送りするような原発回帰は「政治の無責任」としかいいようがない。 原発というシステム全体の見直しを怠るなかでの再稼働は、矛盾を拡大させるだけだ。 規制委の審査も、リスクの高い原発をふるい落とす仕分け作業と位置づけるべきである。「NO」とされた原発は、政府がすみやかに廃炉措置へと導く手立てを講ずる。 基準への適応が認められた原発も、再稼働するには「本当に必要か」という需給と経済面からの検討が欠かせない。 事故当時に比べると、節電意識や省エネ投資が進み、少なくとも需給面では乗り切れる情勢になった。 あとは、原発が動かないことによる電気料金の値上げがどの程度、生活や経済活動の重荷になっているかという問題だ。 負担感は人や立場によって異なるだろう。議論には根拠のあるデータが欠かせない。 民主党政権時代に試行したコスト等検証委員会や需給検証委員会のような枠組みをつくり、国民に公開された場で合意を形成しなければならない。 その際、火力発電の燃料代の増加といった目先の負担や損失だけでなく、放射性廃棄物の処理費用や事故が起きた場合の賠償など中長期に生じうるコストも総合して考える必要がある。 未来世代に確実にツケが回る問題に手を打つことこそ、政治の仕事である。

「地元」をとらえ直そう

 原発が事故を起こせば、極めて広範囲に打撃を与える。 この最低限の教訓さえ、まだきちんと生かされていない。 国は福島の事故後、防災対策を準備する「重点区域」を、原発の8〜10キロ圏から30キロ圏に広げた。対象の自治体は45市町村から135市町村に増えた。 原発を再稼働するなら、これら「地元自治体」から同意を得るのが不可欠だろう。 実際、関係する自治体は電力会社に、再稼働時は同意を条件とする立地自治体並みの協定を結ぶよう求め始めている。 だが、交渉は難航している。関西電力が早期の再稼働をめざす福井県の高浜原発では、30キロ圏内に入る京都府や滋賀県の自治体が関電と交渉中だが、関電は認めようとしない。 立地自治体の側にも、被害地域を広く想定する国の方針に反発する動きがある。 福井県は全国最多の14基の原発が集中立地し、大きな災害が起きれば原発が相次いで事故を起こす心配がある。 ところが、県は「国の避難基準があいまい」などとして、隣接する他府県の自治体との交渉を後回しにし、避難先を県内に限る計画をつくった。 その結果、美浜原発の過酷事故を想定した6月の避難訓練では、美浜町民は原発から遠ざかる滋賀県ではなく、県の計画に従い、大飯原発のある県内のおおい町へ逃げた。これが、住民の安全を第一に考えた対応だと言えるだろうか。 背景には、原発事業者と立地自治体との特別な関係がある。事業者は自治体に寄付金や雇用の場を提供し、自治体は危険な原発を受け入れる。 「地元」が広がれば、事業者にとっては再稼働のハードルが上がり、立地自治体もこれまで通りの見返りが得られる保証はない。事故の現実を目の当たりにしてもなお、双方に、そんな思惑が見え隠れする。 こんないびつな関係を続けることは、もう許されない。 事業者は30キロ圏内の自治体と協定を結び、監視の目を二重三重にする。自治体は広域で協力し、発言力を強める。そして万一の際の避難計画をつくる。 もたれあいでなく、住民の安全を第一に、緊張感のある関係を築かねばならない。 しかも、これからは新しい規制基準のもと、再稼働できない原発も出てくる。 国策に協力してきた自治体にとっては厳しい事態ではある。原発への依存から方向転換するのは容易ではない。 ただ、福井県も「エネルギー供給源の多角化」を掲げ、液化天然ガス(LNG)の受け入れ基地の誘致に動き出すなど、脱原発依存に向けた試みが垣間見える。 安倍政権は、再稼働への理解に努力するのではなく、新たな自立への支援にこそ、力を入れていくべきだ。引用ここまで 

29.朝日 柏崎再稼働/とても理解は得られぬ  2013/7/3 4:00
30.朝日 原発の規制/木だけでなく森も見よ  2013/7/9 4:00
31.朝日 原発論戦/大阪発の知恵を材料に   2013/7/11 4:00

参院選で、自民党は公約から「脱原発依存」という言葉を消し去り、原発の再稼働に意欲を示している。 これに対し、多くの野党は「原発ゼロ」を掲げる。だが、ゼロか否かの主張ばかりでは、必要な判断材料が有権者に示されているとは言い難い。 選挙戦を前にした朝日新聞社の世論調査では、停止中の原発の運転再開に53%が「反対」と答えている。 一方で、電気料金の値上げが生活や経済に与える影響を心配する国民も多い。自民党が再稼働に前のめりなのも、そんな空気を読んでのことだろう。 新しい社会に向けて、どんな道をたどれば生活や経済への打撃を抑えつつ、原発を減らせるのか。野党はゼロへの手立てを具体的に論じ、有権者の声にこたえる必要がある。 ぜひ、活用してほしいのが、2030年原発ゼロへの道筋をまとめた「大阪府市エネルギー戦略会議」(会長・植田和弘京都大学教授)の提言だ。 大阪は、電力の半分を原発に依存してきた関西電力の大消費地である。大事故が起きて、水がめの琵琶湖が汚染されれば、「被害地元」ともなりうる。 そこで橋下徹・大阪市長が脱原発への現実的な政策を示すよう10人の専門家に要請し、1年以上かけて提言をまとめた。ネットでも公開されている。 ところが、橋下氏が共同代表をつとめる日本維新の会は国政進出後、脱原発の姿勢があいまいになり、公約に提言を反映しきれていない。 戦略会議は府市の税金でまかなわれた。維新のために活動したわけではない。維新は提言をどう生かすのかを明らかにすべきだが、他の党も公約肉付けの参考にしない手はない。 提言は、厳格な安全審査で廃炉をすすめる一方、2年以内に発送電分離と電力小売りの完全自由化を実現するよう、国に求める。多様な電源による競争で価格低下を促し、電気料金値上げに歯止めをかける。 市場原理の重視も提案した。事故時の賠償への備えや廃棄物の処理費などのコストを電力会社に負担させ、普通のビジネスとして成立しなければ原発から撤退するという考え方だ。 改革に伴う痛みへの手当てでは、立地自治体が原発依存から脱却する自立支援への交付金づくりを進言する。 安全性や経済性にどう配慮しながら原発を閉じていくか。自民党が答えを示せないこの問題を野党が争点とし、論戦を深めるべきだ。引用ここまで

 

32.朝日 原発政策/自民党は「現実」を見よ  2013/7/13 4:00
原発再稼働の是非を聞かれれば「反対」と答える人が多い。今月8日には新しい規制基準が施行され、3・11後の原発政策は新たな局面を迎えた。 なのに、参院選で原発をめぐる論戦はいまひとつ盛り上がりを欠く。なぜか。原因のひとつは、優勢が伝えられる自民党が巧みに争点化を避けていることにあるのではないか。 安倍首相は再稼働に意欲を示す一方で、「原発の比率を下げていくのは基本的な方針」とも語ってみせる。 とりわけアベノミクスの推進を前面に押し出す戦術だ。有権者の一番の関心が景気と雇用にあることから、原発についても経済浮揚に欠かせないインフラだと位置づける。 エアコンに頼りがちな猛暑の夏、「原発は安くて安定した電源」との説明は、電力不足や電気料金が心配な人々へのアピールなのだろう。 だが、「安くて安定」はもはや色あせた言い回しだ。脱原発を訴える野党は、その矛盾をあぶりださなければならない。 新しい基準によって、原発の再稼働には多額の安全投資が必要になった。廃炉にしなければならない原発も出てくる。 もちろん、火力発電などで代替していけば目先の燃料費負担が増えるのは事実だ。脱原発が非現実的なのではなく、3・11以前には戻れないことこそが現実である。 そうである以上、原発を減らすための政策を総合的に進めることが政権党のつとめだ。 代替電源の確保と省エネ化を進め、廃棄物処分など後始末の問題や立地自治体の支援に取り組む。当面の国民負担を最小化する策を講じる。やるべきことは山ほどある。 求められるのは現実を直視する政治である。引用ここまで
 

33.朝日 福島の復興/帰らない人への支援も  2013/7/18 6:00
34.朝日 日本原電/廃炉の先に活路を探れ   2013/7/19 4:00
35.朝日 原発の規制/安全側に立つ科学で   2013/7/26 4:00
気になるのは、原発に依存する立地自治体や、脱原発を批判する一部メディア、国会議員らがスクラムを組んだように、規制委に「非科学的」「公正でない」などとレッテルを貼って批判を強めていることだ。 福島での大事故を受けて、原発の規制をどう考えるべきなのか。いま一度、原理原則をはっきりさせておく必
要がある。 肝心なのは、「疑わしきはクロ」の基本姿勢だ。(引用ここまで


経済の地力を高めるためにはアベノミクスではなく原発ゼロ・地産地消の地域循環型経済力の向上こそ!

2013-07-28 | 日記

安定政権への条件、第二段として、「経済の地力をたかめる策を」(編集委員 有田徹文 朝日7月24日付)が発表されました。ポイントは以下のとおりです。

1.最大のポイントは、ここでもアベノミクス成長戦略礼賛を語っていることです。 

2.それは、「ひょっとしたらいい方向に」「自民党に勝利をもたらしたのは、そんな気分だろう」「前向きな動きがじわりと出ている」「予感だけは先行する」「2008年のリーマンショツクから続いた円高が是正されてきた。何より、このまま景気がよくなってくれればという願望がある」などと、誰ともなしの「気分」「願望」を書くことで、朝日自身のそれを書き込んでいることです。 

確かに、以下の記事が示すように、相場的には「円高の是正」は事実です。しかし、労働者。国民からすれば、生活が改善されない限り、「円高の是正」は恩恵にはならないのです。その点を曖昧にしていると言わざるを得ません。 

http://kapokpokpok.blog63.fc2.com/blog-entry-196.html

…2008年9月15日に1ドル104.8円であった米ドル為替相場は、2008年12月17日には87.1円になっている。わずか3ヶ月の間に、17%も円高が進行したと計算できる。17%の円高、かなりですね。例えば2011年7月27日現在、1ドル78円ですが、これを基準に17%の円高となると、1ドル65円です。このことからも、どれだけ激しい円高であったのかが実感できます。(引用ここまで) 

3.しかし、08年のリーマンショック後の大企業の大儲けと非正規労働の増大・賃金削減政策については覆い隠し容認しているのです。このことの意味は大企業減税と限定正社員制度導入のアベノミクスとの矛盾が浮き彫りにならざるを得ません。しかし、このことについては、不問です。幻想と期待と願望のみです。以下の記事をご覧ください。 

大手企業の利益温存加速 100社調査、内部留保99兆円 2013/04/07 20:06【共同通信】

http://www.47news.jp/CN/201304/CN2013040701001712.html

 大手企業100社が、利益のうち人件費などに回さずに社内にため込んだ「内部留保」の総額は2012年3月末(一部2月末なども含む)時点で総額約99兆円に上ることが7日、共同通信の調査で分かった。 リーマン・ショック直後の09年3月末からの3年間で10%増。労働者の賃金は下落傾向が続く中、企業が経営環境の変化に備え、利益を温存する姿勢を強めている実態が浮き彫りになった。 デフレ脱却の鍵は、政府が6月に示す成長戦略などで、企業内に厚くたまったお金を前向きの投資や賃金に振り向けさせる政策を打ち出せるかにありそうだ。(引用ここまで 

大企業内部留保 前年度比9兆円増10年間で90兆円増加―労働者賃金 ...

大企業内部留保 前年度比9兆円増 - 日本共産党中央委員会

8、税制(2013年参議院選挙各分野政策) - 日本共産党中央委員会

…しかし、大企業はリーマン・ショックの起きた08年度こそ利益を減らしましたが、09年度以降は再び利益を増やし、内部留保も大幅に増やしています。大企業は空前の「カネ余り」状態にあります。法人税の減税は、このカネ余りをいっそう促進するだけで、日本経済の成長にはつながりません。(引用ここまで 

4.米国の模倣である金融緩和政策の採用こそ、日米軍事同盟そのものを象徴しています。 

5.しかし、有田氏は、「金融緩和政策だけではない」と批判的です。しかし、有田氏の主張する「需要と生産の両面で、地力を高め」るための方法、すなわち

(1)「働く世代の人口減少という根本問題」に取り組む」ために「移民を受け入れる」ということです。しかし、これは

①あの竹中氏が強調していた路線です。

投票率をあげようとしないテレビ番組の犯罪的役割を告発する!!ご利益政党はどこか!探して投票を!その1

http://blog.goo.ne.jp/aikokusyanozyaron/e/0ae6c4a4eb83f7aacc8e1a7df1d2adb9

②現在日本で働く外国人労働者の低賃金を含めた労働条件問題、さらに日本人労働者との矛盾、日本人労働者内の矛盾を不問に付すことはできないでしょう。ネライはハッキリしています!

③円高対策としての企業の海外進出問題と国内雇用市場の狭隘化をどうするか。まさに需要と供給問題です。

④ところが、対策は、「女性の活躍推進」が強調されているだけです。有田氏の目に入るのは「そして何より」として強調されているのは、

(2)「企業が新たな技術、新たなビジネスに取り組みやすい環境」づくりのために「規制の見直し、起業への支援」をするなどイノベーション思想です。

(3)これは大企業優遇・労働者冷遇のアベノミクスの延長線です。2000万人非正規労働者対策はありません。抽象的です。

6.以上の経済政策を具体化していくうえで、「ひさしぶりの安定政権が3年かけて取り組むべきは、何をおいても経済である。いちかばちかで始まった実験、失敗は許されない」と励ますのです。しかも「消費増税の判断が、参院選後の最初の挑戦になる」との指摘はどういう立場からでしょうか?明瞭です。 

7.有田氏は、選挙で「大勝」した安倍自公政権を「安定政権」として評価するのです。しかも次の国政選挙までの「3年」をかけて取り組む課題として「憲法改悪ではなく、経済だ」とアベノミクス成長戦略を励ますのです。そうすることで己を、朝日を免罪するのです。国民の立場からすれば、安倍暴走自公政権は一刻も早く打倒しなければならない対象です。原発再稼動問題などを考えれば、労働者・国民の側からすれば、3年も待てません! 

8.今、日本が本当に地力をつけなければならないのは、原発の即時ゼロと廃炉、再生可能エネルギーを新亜ネルギーとする第三次産業革命です。このことで日本国中を資源化していくことです。日本国内自身を地域循環型経済として発展させていく路線です。 

ところが、原発再稼動に反対する朝日の社説をみると、アベノミクスを真っ向批判できない朝日の立場は「経済の地力をたかめる策」は曖昧です。これについては、別項で一覧します。 

では、安定政権への条件2について、掲載しておきます。ご覧ください。 

安定政権への条件2 経済の地力をたかめる策を 編集委員 有田徹文 朝日7月24日付

 経済が動き出したようだ。ひょっとしたらいい方向に。参院選で自民党に勝利をもたらしたのは、そんな気分だろう。 福岡市の中心部。マンションの価格が発表されるとすぐに売れてしまう「瞬間蒸発」が目立ち始めた。不動産会社・福岡地所の石井歓社長は「もう待っていても仕方がない、という感じが出てきた」と話す。そこから電車で1時間の直方市の工業団地。社員18人の歯車メーカーを営む木田文武さんは言う。「国内メーカーに納める部品の値上げはまだない。でも、うちが直接輸出する分では、利益が積み上がり始めた」 全国の都市部や工業地帯を中心に、前向きな動きがじわりと出ている。すべての地域、すべての人に広がっているとはいえないが、予感だけは先行する。2008年のリーマンショツクから続いた円高が是正されてきた。何より、このまま景気がよくなってくれればという願望がある。      

 安倍政権の経済政策の1本目の矢は金融緩和だが、実はこれ、米国の模倣といえる。長めの国債や住宅ローン証券を買いあさる米連邦準備制度理事会(FRB)の量的金融緩和が、それなりに効果が出ているように見えたのが、政策転換の背景にある。 しかし、ちょっと待ってほしい。米国経済の回復は、金融緩和だけが理由ではない。 まず、人口が増えている。大阪市と同じくらいの規模が毎年プラスになる。成長する新企業が常に現れる。おまけにシェールガスまで掘り出され、エネルギー価格が下がった。あんなにものづくりの空洞化が言われた米国で「製造業の国内回帰」が起きている。 経済政策の成功は、当たり前のことだが、需要と生産の両面で、地力を高められるかにかかっている。   

「移民の受け入れは、できるかどうかという問題ではない」。米投資ファンド幹部のデービッド・ヘロ氏は、日本の経済成長のためには移民を受け入れるしかないと言う。現状を知らない暴論ととらえるべきではない。働く世代の人口減少という根本問題にどう取り組むつもりなのか、厳しく迫っているのだ。 働く人を増やそうと、成長戦略で女性の活躍推進を掲げた安倍政権の方向性は正しい。ショック療法として、一定規模以上の企業に3~4割の女性役員を義務づける制度なども真剣に検討すべきだ。 そして何より企業が新たな技術、新たなビジネスに取り組みやすい環境が求められる。規制の見直し、起業への支援が重要だ。 量的緩和にはうまくいっていない例もある。現在の英国である。インフレ率は高いのに景気は悪く、生活水準が下がった。日本が英国化しない保証はない。 短期的に景気を刺激しつつ、少し長い目でみて財政規律を保つのは、どの国にとっても困難な道である。 消費増税の判断が、参院選後の最初の挑戦になる。 久しぶりの安定政権が3年かけて取り組むべきは、何をおいても経済である。いちかばちかで始まった実験、失敗は許されない。(引用ここまで)