岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

「円周率5兆けた、PCで計算」ということへの雑感 / カメラを持たない登山 (12)

2010-08-10 04:04:00 | Weblog
(今日のイラスト?は、2010年8月5日の朝日新聞に「円周率5兆けた、PCで計算 長野の会社員、3カ月かけ」という記事が掲載された時に併載されていたものだ。
 突然、毛色の変わったものの登場で驚くかも知れないが、私はこの記事の中の「あること」にひどく興味がそそられたのである。
 決して、それは「3.141592……と続く円周率」そのものではない。)

◇◇「円周率5兆けた、PCで計算 長野の会社員、3カ月かけ」への雑感 ◇◇

 記事に言う。

…円周率を、長野県飯田市の会社員近藤茂さん(54)らがパソコンで小数点以下5兆けたまで計算した。計算が正しければ、フランスのエンジニアが昨年末にパソコンで出した記録(約2兆7千億けた)を大幅に更新し、世界一になる。2兆けたの壁を初めて破った筑波大の研究まではスーパーコンピューターが主流だったが、長大な円周率計算も「パソコン」でできる時代になった。…

 「パソコン」とはパーソナルコンピューターのことだ。デスクトップだろうがノート型だろうが個人的に使用するものをそのように呼んでいる。市販の、しかも個人が購入する「コンピューター」という場合は、99.9999999999%がこれを指す。
 私はふと思い出した。事業仕分けで「スパーコンピューター」に関する費用切りを「力強く主張した」女性国会議員のことを…。彼女は、この会社員「近藤茂さん」がしたように、安上がりな個人的なコンピューターでも、使い方次第では「スパコン(スパーコンピューター)」と同等のようなことを「させる」ことが出来るということを予知してしていたのであろろうか。
 きっと、いつも少しいかつい美貌の「レンボウ」さん、この記事を読んで「にっこり」したかも知れない。

 …計算には近藤さんのウィンドウズ・パソコンを使った。プログラムを作った米国のアレクサンダー・J・イーさんとメールをやりとりしながら、5月4日に計算を始め、3カ月後の今月3日に終了。…

 「ウィンドウズ・パソコン」と断っているが、OSと筐体ごとで「パソコン」を製造販売しているのは米国のアップル社以外は、シェア的には問題にならない数なので、「パソコン」というと、一般的には「Windows」のOSを使っているものを指す場合が多い。
 だから、近藤さんが使用しているOSはWindows XPかWindows7であり、おそらく、64bitのものだろう。記事にはないが、メモリも数10GBを積んでいるのだろう。

 …計算で大量のデータを記憶させるため、パソコンには通常の数十台分にあたる22テラバイトのハードディスクを搭載。演算速度などを決めるCPUはインテルの最高レベルのもの(3.33ギガヘルツ)を使った。パソコンの費用は百数十万円かかったが、市販製品でまかなえた。…

 1テラバイトとは1000GB(ギガバイト)のことだ。最近では1テラバイト超のハードディスクも市販されているので、22テラバイトというから、それを仮に22個接続した場合は、筐体内の電源は相当なものを確保しなければいけないだろう。だから、外付けの「電源」も併用したかも知れない。因みに、私はシステム用のディスク以外に500GBのものを2個載せた経験しかない。
 「電源」との関連でもう1つ気になったことは「ビデオカード」のことである。私が現在使っている「GeForece GTX 295」は最大消費電力が282Wで、+12Vが40A以上の550W以上の電源が必要とされている。
 仮に、この程度のカードを使っているとしたら「電源」は数1000Wattsになってしまうかも知れない。恐らく、モニターに表示されるものは「数字」の羅列だから、高性能のカードでなくてもいいはずである。ぎりぎりまで性能は、「下げたもの」を使ったはずだ。

 私にこの文章を書かせる気になったこと、つまり、私の興味をひどく惹いたことは「演算速度などを決めるCPUはインテルの最高レベルのもの(3.33ギガヘルツ)を使った」ということである。
 実は、私の自作コンピューターにも、同じCPUを使っているのだ。だが、そのCPUが「最高レベル」のものであるということは、様々な「資料」を読むことで、「知って」いるつもりなのだが、使用していながら「最高レベル」を実感出来ないでいたのだ。
 大体において「コンピューター」の機能の優劣は人間の感覚では計り知れないところまですでに来ているのだろう。
 この記事、「近藤さん」の快挙は、そのCPUが「最高レベル」であることを客観的に、教えてくれたのである。私は呻った。「うむ、このCPUはこれほどにすばらしいものなのか」と。 

 …近藤さんは高校生のとき、コンピューターによる円周率計算に興味を持ち、「未知のけた」をずっと追ってきた。「フランスでパソコンでも記録が出せるのを知って挑戦してみようと思った。今度は10兆けたに挑みたい」と話す。…

 まだまだ、「近藤さん」の足下にも及ばない。私は年はとっているがWindows XPからWindows7までの「世代」でしかない。いわば、パソコンの初心者である。だが、「パソコン」の使い途においては「近藤さん」とはまったく違う。比較することは無意味なことだろう。
 ただ、国の大金を投入して「スパコン」を整備して、「世界で1番という記録を作る」という価値観はこれでいくらかは潰えたのではないか。その意味でも、「近藤さん」は偉大である。世の「コンピューター」学者たちや「スパコン」崇拝者たちよ、「パソコン」と侮るなかれ、「スパコン」だけが「コンピューター」ではないのだ。
 「パソコン」を構成する多くの部品は、その性能が向上している。CPU1つとってみても、「マザーボード」の「オーバークロック」機能を使うと「3.6ギガヘルツ」超まで性能が上がるのである。
 「家庭用のパソコンを使って長大な計算が行える時代」になっていることを「近藤さん」は証明したのである。

◇◇ カメラを持たない登山 (12)◇◇

(承前)…この「コミュニズム峰(標高7500m)」の登頂を目指す登山は私を変えた。それは標高4000m以上の積雪帯では「生き物に会わない登山」であったことによる。

 …高所登山には、それに耐え得る「独特な体力」が必要であって、この体力がありさえすれば、かなり「克服」が可能になる。私には、この「独特な体力」が備わっていたようである。私は、自分の年齢(47歳)のことも考え、「独特な体力」の増強のために、約3年間をこれに充てた。結果的にこの訓練は、高齢というマイナス面を埋めてくれて、有利に動くことが出来たことにつながった。

 「独特な体力」とは、筋力を常時落とすことなく保ちながら登高速度が速いこと、すなわち、単位時間内での登高高度差が大きいこと、それに、休息中、あるいは、宿泊中における体力の復元力が大きいことを指す。
 登高速度が速いと、短時間で登山を完成することが出来る。そうすれば、酸素不足による体そのものの消耗も少なくてすむわけである。速く登るということは、無理をしてではなく、自然にそれがいつもの調子のように出来るということだ。(明日に続く)