(今日の写真は、他の樹木が秋の色に染まっている中で、まだ「夏緑」の葉をつけている樹木である。これは一体何だろう。
これは、カバノキ科ハンノキ属の落葉高木の「ヤマハンノキ(山榛の木)」だ。「ヤマハンノキ」は日本全国に分布している。「ヤマハンノキ」は崩壊地など土地の痩せた所にも先駆けて進出してくる樹木の一つでもある。
「オオバヤシャブシ」や「ハリエンジュ」、それにハンノキ属は、空中の窒素を取り込んで地中に固定する能力があるため、「貧栄養の痩せた土地」でも、育つのである。そのため、「砂防や緑化」などにも利用されている樹木ではある。
岩木山でも、山麓の雑木林の中でたまに見ることがあるが、これらは、その雑木林の土壌が痩せこけないために一役買っている可能性があると考えられる。
また、ある程度海抜の高い場所に生育する傾向があり、尾根や崩壊地のほか、河原の河畔林の周辺などにも生育する。
葉は「卵円形で濃い緑色」である。縁には不ぞろいの「深い鋸歯」がある。表面は無毛で裏面は粉白色であり、脈上に毛がある。
雌雄同株であり、秋から長い雄花序と小さな雌花序を形成する。この「雄花序」はすでに大きくなり「ぶら下がって」いた。遠くから見た時は何だろうと訝しかったが、近くによって、この「雄花序」を見て「ヤマハンノキ」であることが分かったのである。 この「雄花序」は、秋の段階では緑色であるが、やがて黒紫色になる。
花が開くのは早く、3月から4月。直径2cmほどの松かさ状の球状果をつけるのである。)
◇◇ 樹木の見分け方ということ ◇◇
私にとっては、まだ樹木の種類を見分けることが難しいのである。
「緑」の林の中で、同じ緑の葉の樹木が何であるかを見分けるには、まず「葉」の違いである。違いは「葉身、葉柄、葉脈」の異同、葉身の形、葉縁の形、単葉か、複葉かで見ていく。
「葉身」は主脈や側脈がどうなっているか、托葉がどうなっているか、小葉があるかどうかなどを見る。
「葉身の形」は「楕円形か、長楕円形か、卵形か、倒卵形か、心臓形か、腎臓形か、ひ針形か、線形か、針形か」など区別して見ていく。
「葉縁の形」は「全縁(つるりとしている)か、波縁(波打っている)か、歯縁(歯が並んでいるようなもの)か、鋸歯(のこの歯)縁か、重鋸歯縁(のこの歯がまたの木の歯になっている)か」で区分けしていく。「単葉か、複葉か」は、大きく羽状と掌状に分けて、単葉は、葉が「浅く裂けているか、深く裂けているか」に区分する。複葉は、葉の付き方が「1回」か「2回」かで区分しながら樹木名を探るのだ。
だが、これだけで樹木の名前は分からない。そこで、次は「枝や幹」だ。「色具合、模様、触感」の違いであり、あとは生えている場所、たとえば水場か稜線近くか、乾燥している場所か、岩場かなどに注目する。
「幹に注目して」よく分からないものもある。同じ樹種でも若い木と老木では、全く幹の肌と皺や裂け目が違うものがあるのだ。ミズナラがそうなのである。ミズナラの若木の幹は銀色がかった白で、つやつやと光沢があり、触るとなめらかな感触だが、老木になると、「黒っぽく」なり、縦に裂け目が出来て、ざらざらとした感触になる。とても、同じ樹種だとは思えない。
そんな時は「葉」に頼るが、今度は、その葉が「コナラ」に非常に似ているから大変だ。ああ、もっと若い時から「樹」に親しんでいればよかったと、つくづく思うのである。
◇◇天気がいいとそれだけで「自然観察会」は成功だ。(4)◇◇
(承前)●寄生植物のこと●
植物の生活パターンは、「光合成」が中心で、他の生物体を捕食する動物や生物体とその死体を分解・吸収している菌類とは全く異なっている。
ところが、きわめて少数、それでもその総数は3400種前後にもなるそうだが、光合成のための葉緑体を持っていない植物がある。世界中に、およそ23万種の被子植物があるそうだから、その約1.5%が寄生生活をしている「寄生植物」になるというわけだ。
岩木山のブナ林の林床で、普通に見られる「真っ白で銀色に光る幽霊花」といわれるギンリョウソウなどがそうだ。ギンリョウソウには「緑の葉」はない。他の生物から栄養分を得ている植物、つまり「寄生植物」なのである。だが、ヤドリギなどとは違うので、「腐生(フセイ)植物」と呼ばれている。
もう一度お復習(さら)いをしておこう。他の緑色植物から栄養分を得て生活をしている植物を「寄生植物」と呼ぶ。だが、その養分の摂り方は様々だ。
「光合成」をする能力を完全になくして、水や栄養塩類だけでなく、有機物まで他の植物の作り出したものに頼って生活している植物を「完全寄生植物」と呼ぶ。
また、緑色の葉を持っていて「光合成」をしていながらも、水や栄養塩類を他の植物から吸収している植物がある。これらを「半寄生植物」と呼ぶ。私たちがよく目にするこの「半寄生植物」は、「ヤドリギ」である。
これらの「完全寄生植物」や「半寄生植物」に対して、「有機物を分解して生活している菌類」との共生する植物がある。そのような植物は「菌根(キンコン)」を持っているのであるが、中には「光合成能力」をまったく欠くものがある。
つまり、菌類から全部、養分を得ている植物である。森の幽霊花、「ギンリョウソウ」はその代表的なものだ。岩木山には他に、シャクジョウソウやギンリョウソウモドキ(アキノギンリョウソウ)などがある。
そして、このような植物を「腐生(フセイ)植物」と呼ぶのである。「腐生植物」は栄養を「菌類に頼って生きている」ので、「菌類を食べて生きている」とも考えられることから「菌食植物」と呼ぶこともあるという。(明日に続く)
[連続1000回ブログ書き達成まであと、7回・連続1000日達成まではあと、16日]
これは、カバノキ科ハンノキ属の落葉高木の「ヤマハンノキ(山榛の木)」だ。「ヤマハンノキ」は日本全国に分布している。「ヤマハンノキ」は崩壊地など土地の痩せた所にも先駆けて進出してくる樹木の一つでもある。
「オオバヤシャブシ」や「ハリエンジュ」、それにハンノキ属は、空中の窒素を取り込んで地中に固定する能力があるため、「貧栄養の痩せた土地」でも、育つのである。そのため、「砂防や緑化」などにも利用されている樹木ではある。
岩木山でも、山麓の雑木林の中でたまに見ることがあるが、これらは、その雑木林の土壌が痩せこけないために一役買っている可能性があると考えられる。
また、ある程度海抜の高い場所に生育する傾向があり、尾根や崩壊地のほか、河原の河畔林の周辺などにも生育する。
葉は「卵円形で濃い緑色」である。縁には不ぞろいの「深い鋸歯」がある。表面は無毛で裏面は粉白色であり、脈上に毛がある。
雌雄同株であり、秋から長い雄花序と小さな雌花序を形成する。この「雄花序」はすでに大きくなり「ぶら下がって」いた。遠くから見た時は何だろうと訝しかったが、近くによって、この「雄花序」を見て「ヤマハンノキ」であることが分かったのである。 この「雄花序」は、秋の段階では緑色であるが、やがて黒紫色になる。
花が開くのは早く、3月から4月。直径2cmほどの松かさ状の球状果をつけるのである。)
◇◇ 樹木の見分け方ということ ◇◇
私にとっては、まだ樹木の種類を見分けることが難しいのである。
「緑」の林の中で、同じ緑の葉の樹木が何であるかを見分けるには、まず「葉」の違いである。違いは「葉身、葉柄、葉脈」の異同、葉身の形、葉縁の形、単葉か、複葉かで見ていく。
「葉身」は主脈や側脈がどうなっているか、托葉がどうなっているか、小葉があるかどうかなどを見る。
「葉身の形」は「楕円形か、長楕円形か、卵形か、倒卵形か、心臓形か、腎臓形か、ひ針形か、線形か、針形か」など区別して見ていく。
「葉縁の形」は「全縁(つるりとしている)か、波縁(波打っている)か、歯縁(歯が並んでいるようなもの)か、鋸歯(のこの歯)縁か、重鋸歯縁(のこの歯がまたの木の歯になっている)か」で区分けしていく。「単葉か、複葉か」は、大きく羽状と掌状に分けて、単葉は、葉が「浅く裂けているか、深く裂けているか」に区分する。複葉は、葉の付き方が「1回」か「2回」かで区分しながら樹木名を探るのだ。
だが、これだけで樹木の名前は分からない。そこで、次は「枝や幹」だ。「色具合、模様、触感」の違いであり、あとは生えている場所、たとえば水場か稜線近くか、乾燥している場所か、岩場かなどに注目する。
「幹に注目して」よく分からないものもある。同じ樹種でも若い木と老木では、全く幹の肌と皺や裂け目が違うものがあるのだ。ミズナラがそうなのである。ミズナラの若木の幹は銀色がかった白で、つやつやと光沢があり、触るとなめらかな感触だが、老木になると、「黒っぽく」なり、縦に裂け目が出来て、ざらざらとした感触になる。とても、同じ樹種だとは思えない。
そんな時は「葉」に頼るが、今度は、その葉が「コナラ」に非常に似ているから大変だ。ああ、もっと若い時から「樹」に親しんでいればよかったと、つくづく思うのである。
◇◇天気がいいとそれだけで「自然観察会」は成功だ。(4)◇◇
(承前)●寄生植物のこと●
植物の生活パターンは、「光合成」が中心で、他の生物体を捕食する動物や生物体とその死体を分解・吸収している菌類とは全く異なっている。
ところが、きわめて少数、それでもその総数は3400種前後にもなるそうだが、光合成のための葉緑体を持っていない植物がある。世界中に、およそ23万種の被子植物があるそうだから、その約1.5%が寄生生活をしている「寄生植物」になるというわけだ。
岩木山のブナ林の林床で、普通に見られる「真っ白で銀色に光る幽霊花」といわれるギンリョウソウなどがそうだ。ギンリョウソウには「緑の葉」はない。他の生物から栄養分を得ている植物、つまり「寄生植物」なのである。だが、ヤドリギなどとは違うので、「腐生(フセイ)植物」と呼ばれている。
もう一度お復習(さら)いをしておこう。他の緑色植物から栄養分を得て生活をしている植物を「寄生植物」と呼ぶ。だが、その養分の摂り方は様々だ。
「光合成」をする能力を完全になくして、水や栄養塩類だけでなく、有機物まで他の植物の作り出したものに頼って生活している植物を「完全寄生植物」と呼ぶ。
また、緑色の葉を持っていて「光合成」をしていながらも、水や栄養塩類を他の植物から吸収している植物がある。これらを「半寄生植物」と呼ぶ。私たちがよく目にするこの「半寄生植物」は、「ヤドリギ」である。
これらの「完全寄生植物」や「半寄生植物」に対して、「有機物を分解して生活している菌類」との共生する植物がある。そのような植物は「菌根(キンコン)」を持っているのであるが、中には「光合成能力」をまったく欠くものがある。
つまり、菌類から全部、養分を得ている植物である。森の幽霊花、「ギンリョウソウ」はその代表的なものだ。岩木山には他に、シャクジョウソウやギンリョウソウモドキ(アキノギンリョウソウ)などがある。
そして、このような植物を「腐生(フセイ)植物」と呼ぶのである。「腐生植物」は栄養を「菌類に頼って生きている」ので、「菌類を食べて生きている」とも考えられることから「菌食植物」と呼ぶこともあるという。(明日に続く)
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