岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

気象庁、マスコミ、自治体だけが「台風」なみに大風吹かせた「台風18号」(2)

2009-10-12 05:17:43 | Weblog
(今日の写真は今月の9日朝、7時過ぎに写した我が家の南側道路である。超大型でとてつもなく強いと言われていた「台風18号」が、八戸沖の太平洋を進んで根室の南海上に接近していた頃である。
 超大型で強風域が1000kmという割には「強風が吹き荒れた」痕跡はどこにもない。しかも、前日は暴風域の円内に青森県の一部が入っていたというのにである。
 私の家は熊野宮の直ぐ裏である。風が吹いたのならば、この路上に折れた枝や葉っぱのたぐいが散乱しているはずだが、それがただの1枚も見られない。
 少なくとも、「野分吹き荒れたる朝」という情景ではない。何事もなかった静かな朝を迎えている風情だろう。)

◇◇気象庁、マスコミ、自治体だけが「台風」なみに大風吹かせた「台風18号」(2)◇◇
(承前)

 …確かに、前日8日は風はあった。その日の午後1時30分から「NHK弘前文化センター」で講座があったので、出かけたがその往復時に「風」を感じた。感じたというのは「強さ」ではなく「冷たさ」であった。風向きは「北東」であった。気温も低かった。15℃以下だったと思う。「台風の風」というのは「生暖かい」ものと相場が決まっているだろう。
 私は自分の出した「津軽地方には来ない」という「進路予想」と照らし合わせて、この「冷たさ」と「風の弱さ」と「北よりの風」ということから、その「予想」を確信したのだ。

 次のことは2年ほど前のブログにも書いたと思われるのだが、「台風についての基礎知識」にもなるし、今回の「台風18号」を理解するのにも役立つだろうから、掲載しよう。
 まずは「台風」についての概要を理解しよう。「台風18号」のように、愛知県辺りに上陸して、本州を北東に縦断して、三陸沖などの太平洋岸沿いに進んでくる台風にだけ注目することにする。
 一般に、台風は日本の南海上で発達し日本列島に接近・上陸すると衰える傾向にある。これは、南海上では海水温が高いが、日本列島に近づくと海水温が26度未満となり、台風の発達は収束傾向となるからである。
 さらに、高緯度帯の寒気の影響を受けて台風の雲形も「渦巻き型」が崩れ、温帯低気圧の雲形へと変化するからである。
 さらに上陸すると山脈や地上の建物などによる摩擦によって台風はエネルギーを消費し、急速に勢力が衰えるようになる。ただし、「温帯低気圧」に変わってから、それ以上に発達するという例外もある。
 台風は、8月が発生数では年間で一番多い月である。9月以降になると、南海上から放物線を描くように日本付近を通過するようになり、三陸沖などの太平洋岸沿いに進むものが多くなる。
 しかし、温帯低気圧に変わった後も、「位置エネルギー」等の原因によって再発達する場合もある。青森県が大きな打撃を受けた 1991年9月の19号台風(りんご台風)はこれである。
 台風は巨大な空気の渦巻きで、地上付近では上から見て「反時計回り」に強い風が吹き込んでいる。そのため、「進行方向に向かって右の半円」では、「台風自身の風」と「台風を移動させる周りの風」が同じ方向に吹くために、風が強くなる。
 逆に「左の半円」では「台風自身の風が逆になる」ので、右の半円に比べると風速が小さくなる。
 また、台風接近の進路によって風向きの変化が異なる。ある地点の「西側」または「北側」を「台風の中心」が通過する場合、「東→南→西」と時計回りに変化する。ある地点の「東側」や「南側」を「台風の中心」が通過する場合は「東→北→西」と反時計回りに変化する。
 ただし、周りに山などがあると、必ずしも風向きがこのようにはっきりと変化するとは限らない。

 「台風の中心」が八戸沖を進んでいる場合は、八戸側、つまり八甲田山の東側は、「進行方向に向かって左の半円」に位置するので、「進行方向に向かって右の半円」に位置する場所よりも風速は衰えている。
 さらに、「台風の中心」が東側にあるのだから風向は、「東→北→西」と反時計回りに変化する。「東→北→西」という風向の変化を「八甲田山」を基準にしてとらえると、東からの風は「八甲田山」にぶつかり、風速全体を収斂させ、さらに、津軽地方に流れ込む「風量」を少なくする。
 西からの風に対しては、その逆の効果が考えられる。北からの風の場合は余り、この効果は期待出来ない。これが、「八甲田山」の太平洋側を進む台風の衝立効果である。
 津軽地方にとって、台風被害が甚大となるのは、台風が、「日本列島に上陸しないで対馬海峡を通過し、日本海南部に入った場合」と台風が「九州や四国に一端上陸し、勢力が衰えた後に、日本海南部に出た場合」である。
 これは、暖流である対馬海流(海水温が26度以上)の暖気が台風へエネルギーを供給し、加えて高緯度から上空に流れる寒気の影響を受けるために、勢力が衰えるどころか再発達するからである。
 また、日本海北部はリマン海流(寒流)の影響で、海水からのエネルギーが供給できないため、台風自体は衰えるのだが、寒気の影響を受けて、台風から温帯低気圧に変わった後に再発達する場合があるからである。…

 …私は、7日の午後からネットで気象庁の「台風情報」を注視していた。そして、「上陸地点」を探っていた。上陸地点は「伊勢湾台風」の時の「潮岬」に比べると、経度にして東に1度少し、緯度にしても1度北に移動した。この違いはその後の「進行方向」に大きな違いをもたらすのである。
 台風に対する最も重要で、最大の関心事は、その「進行方向」である。これから台風がやって来るであろうと考えられる「地域」に住む者の関心は、まさに「ここ」にあるとしてもいい。(明日に続く)

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