岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

「弥生跡地」自然植生回復の兆し(3)

2009-10-19 05:19:57 | Weblog
 (今日の写真は10月13日に写した「弥生跡地」である。一昨日、昨日の写真と比べてみてほしいものだ。注視することは「ススキ」の生え方、その分布、そして、その量である。
 特に、一昨日の写真と比べてみると、「ススキ」に関わる「違い」がよく分かるだろう。カメラの位置は大体同じだ。写真左の端にみえる「低い山」を基準にしてみると「少し左に寄ってはいる」が、大体同じ場所から写しているということがよく分かるはずだ。
 それでは「違い」だが、「ススキ」が、非常に少なくなっているということだ。中央部にベルトをなして生えているように見えるが、その中にも樹木が見える。「ハンノキ」だろう。ベルトはすべて「ススキ」というわけでもない。「ススキ」以外の緑も見える。この色具合からすると、低木の「コリヤナギ」かも知れない。
 左手前の場所からは「ススキ」は完全に消えている。それに替わって「カワヤナギ」がすでに2m近くに育っている。しかも数えてみると6本以上だ。この辺りも「陽樹」の森を形成し始めているのだ。
 以前まで、一面「ススキ原」であったところが、少しずつ「森」に変わっている。この場所は、3、4年前までは「ススキ原」のほぼ「最後の段階」に当たっていたのだ。)

◇◇「弥生跡地」自然植生回復の兆し(3)◇◇
(承前)

 この「跡地」を「遷移」という点で見ると、「ススキ原」は草原としての役目を終えて、「陽樹」たちに、その役目を委譲する時期になっているのだ。その時期が始まったのである。
 「完膚無きまで」に自然が破壊されつくされた「跡地」、そして、そこには再び、私たち人間の「手」を全く借りることなく、真の「自然」が「自力」で戻ってきたのだ。

 「人間」はひたすら、先に進もうとする。過去から学ぶことを忘れ、日々が常に明日の「進歩」につながることだけを考えて進んでいく。新しい商品は「古い商品」のマイナス面をあげつらうことで、そのための「宣伝」を構築する。
 「未来のために、将来のために、今よりももっとすばらしい世界のために、子供や孫のためによりよい世界を」と言って進んできた。
 しかし、その実は未来世代の幸せよりも、現代世代のエゴと我が儘の満足のためであったことが多かった。「戦争」にも、「未来や将来が語られ、国民の幸せが演出」された。「開発」や「合理化」、「科学の進歩」を謳う時にはかならず、「今よりは進歩する」「今よりはよくなる」と「前に進もう」としてきた。
 この「跡地」も「リゾート開発」という名目で進められたものの「残滓」なのである。 それに対して、「自然」は未来に向かって進もうとはしない。自然は常に「今ある状態」を保持しようとする。「変化」を望まないのである。
 「破壊された自然」は、「破壊される前」の「今ある状態」に戻ろうとするのだ。つまり、「自然」というものは「昔に常に戻ろう」とするものなのである。
 自然は「進歩」を望まない。変化をを望まない。今日のように明日があることを望む。
そして、その営為が「森羅万象」であり、「悠久不変」なのである。
 13日に、私が目にした「跡地」は「過去」戻ろうと「必死なって」いるのだ。それは、「躍動感」溢れるものだった。その波動は私を捉えて離さなかった。私は胸が熱くなった。「表土を引き剥がされた事実」を知っているが故に、ものすごく愛しくなって、目が涙で潤んだ。この写真は、「自然の自力回復」や「自己治癒」を語っているのである。
 すでに、「ヤナギ類」と同種のヤマナラシ、ハンノキ、アカマツ、イタヤカエデ、ウダイカンバ、オオカメノキ、オニグルミ、カラマツ、ウコギ、シラカバ、タニウツギ、タラノキ、ヌルデ、マルバマンサク、ミズキなどが「ススキ」を押しのけて、「ススキ原」に先駆的な樹木として侵入しているのだ。
 この健気な樹木たちの「森」づくりをそっと見守っていこうではないか。二度と「開発」などといって「土地の造成」や「建造物の構築」、または「人工的な植樹」などはするべきではない。今ある「樹木」が造り上げていく、その「プロセス」を優しい目で見つめ、見守っていこう。

 樹木のことを中心に書いてきたが、この場所には「草本」も多い。次にそれを掲げる。
                草  本: 
 これは被子植物双子葉合弁花類、離弁花類・単子葉類に限った。(アイウエオ順)
アオイスミレ・アカバナ・アキカラマツ・アキタブキ・アマドコロ・イカリソウ・イケマ・イタドリ・イチヤクソウ・イヌトウバナ・ウスバサイシン・ウド・ウメガサソウ・ウワバミソウ・エゾエンゴサク・エゾミソハギ・エゾニュウ・エゾリンドウ・エンレイソウ・オオウバユリ・オオギカズラ・オオダイコンソウ・オオハナウド・オオバキスミレ・オオバギボウシ・オオヤマボクチ・オオヤマフスマ・オトギリソウ・カタクリ・カラハナソウ・カラマツソウ・カラハナソウ・カワラナデシコ・ガンクビソウ・キクザキイチリンソウ・キケマン・キジムシロ・キツリフネ・キバナノアマナ・キンミズヒキ・ギンリョウソウ・クサレダマ・クララ・クルマバソウ・クルマユリ・コケイラン・コンロンソウ・ゴマナ・ササバギンラン・シシウド・シャクジョウソウ・シュンラン・ジャコウソウ・ススキ・スミレサイシン・タチツボスミレ・ダイモンジソウ・チゴユリ・ツボスミレ・ツリガネニンジン・ツリフネソウ・ツルアリドオシ・ツレサギソウ・トチバニンジン・ナガハシスミレ・ナガボノシロワレモコウ・ナンブアザミ・ニリンソウ・ヌマガヤ・ネコノメソウ・ネズミガヤ・ノアザミ・ノガリヤス・ノコギリソウ・ノコンギク・ノハナショウブ・ノブキ・ハンゴンソウ・ヒトリシズカ・ヒメシロネ・ヒヨドリバナ・ヒロハテンナンショウ・フタリシズカ・フデリンドウ・ホウチャクソウ・マイヅルソウ・ミズバショウ・ミツバ・ミヤマカタバミ・ミヤマニガウリ・ヤグルマソウ・ヤマオダマキ・ヤマキツネノボタン・ヤマサギソウ・ヤマニガナ・ヤマノイモ・ユキザサ・ユリワサビ・ヨツバヒヨドリ・ヨブスマソウ・ルイヨウショウマなど。

 なお、外来種および在来種でないものもある。
木本ではシラカバであり、草本ではメドハギ・ハルシャギク・オオキンケイギク・オオミツバハンゴンソウなどである。(この稿は本日で終了)

[連続1000回ブログ書き達成まであと、18回・連続1000日達成まではあと、27日]