(今日の写真はスイカズラ科タニウツギ属の落葉小低木の「タニウツギ(谷卯木)」とユキノシタ科ミツバウツギ属の落葉低木の「ミツバウツギ(三葉空木)」だ。左が「タニウツギ(谷卯木)」で、右が「ミツバウツギ(三葉空木)」だ。
「ムラサキ」科の花について書いている本題とは整合性はないのだが、この時季としてはこの2種類の「ウツギ」紹介しないでおくことは出来ない。)
28日と29日、2日間続けて岩木山神社境内林から「宮様道路」、そして「リンゴ園」を抜けて「高照神社」に続く道沿いに歩いた。
昨日は自転車で出かけた。宮地からバスの走る道路を通らずに、バイパスを行ったが、比較的斜度はないものの、やたらに長い距離感だった。「広くて」両側に自転車と歩行者兼用の「歩道」が敷設されているという「立派」なものだ。だが、「本当に必要だったのか」と「通る」たびに考えさせられるのだ。
昨日は風が強かった。帰りもこの「バイパス」を通った。あれだけの長い坂を登ったのだから、帰りは「すいすい」と楽勝だと思っていたが、ペダルを漕がないと、止まってしまうのである。何と、弘前までずっと強い「向かい風」に祟れてしまったのである。追い風を背に受けて走る自転車は「楽」である。しかし、強い「向かい風」は地獄だ。
その旧道からバイパスを通り、また「旧道」に出る途中、高岡の上部に広がる林縁を、紅く染めていた「タニウツギ」がよく見えていた。
実際、山麓の林周辺の、求聞(ぐもん)寺から高照神社につながっている歩道沿いの林縁にも、見事に咲いて、辺りを「紅色」に染め上げていた。
低地ではすでに終わりかけてはいるが、「ウワミズザクラ」など白い花の多いこの晩春という時季、この色鮮やかな「タニウツギ」の「紅色」は、他の緑の中で実に映えるのだ。
右に見えるのは「ミツバウツギ」だ。「タニウツギ」より1週間ほど先に白い清楚な花を咲かせる。だから、この写真では、すでに花びらが「黄変」しているものもある。ここは、樹木が伐採された場所であるから日当たりがいいので、早く咲き出したのであろう。日陰になっている林縁のものは、まだまだ、まさに「白い清楚さ」を十分に発揮していた。
花名の由来は「葉が3枚であること」による。山地に自生して、樹高は約3mで、葉は3出複葉だ。5~6月の始めに、白色の五弁花を開く。別名を「コメノキ」ということも、この咲いている風情を見ると納得である。
「タニウツギ」の魅力は、緑の山野を美しい紅色の花で彩ることだろう。北海道(西部)から本州の主に日本海側に分布している。私たちはこの「美しい花」の咲く地方に生きている。その偶然を幸せなことだととらえたいと、毎年この時季になると思うのである。
この花が咲き出すと、「岩木山」では夏が始まる。特に今年は早かった。山麓の日当たりいい場所では、すでに5月中旬から咲き出していた。そして、この花が咲き出す頃に、「タケノコ」採りのシーズンが始まるのである。
谷沿いに多く見られるので、この名を持っている。「サワウツギ(沢空木)」とよぶこともある。津軽では、「タニウツギ」を「ガジャ」とか「ガジャシバ」と呼んで、「タケノコ採り」の「開始」を教えてくれる花として、昔から伝えてきた。
「タニウツギ」は、逞しい木だ。夏の暑さに負けない激しいエネルギーをどこかに蓄えているのだろう。ちょっとのことで「枯れる」ことはない。
主幹が立たず、株立ち状になって、きわめて、強靱なのである。葉序は対生で、先が5裂する花冠は漏斗状のラッパで、細い基部から、急に広がる形をしている。
「タニウツギ」は、「ウツギ(卯の花)」と、その花名から混乱をきたすことがある。幹枝の髄が「中空」になっているので、この名がついた。しかし、花冠も鐘状で白色の「ウツギ」はユキノシタ科であり、この「タニウツギ」はスイカズラ科なのだ。
「ウツギ」と呼ばれる落葉低木は3種類あって、「ユキノシタ科、スイカズラ科、フジウツギ科」のどれかに属している。「スイカズラ科」のものは色が多様であり、「フジウツギ科」のものは、花の房が大きく目立つ。
岩木山では「ユキノシタ科」のウツギ、ノリウツギ、ミツバウツギ、「スイカズラ科」のタニウツギが見られる。
◇◇ 「ムラサキ」は白い花だが、その他は「ムラサキ」色系だ ◇◇
(承前)
…昨日はムラサキ科ワスレナグサ属の多年草である「ワスレナグサ」について書いたので、それを承けて、今日は同属の「エゾムラサキ(蝦夷紫)」のことを書くことにする。
これは、深山のやや湿った林内に生える。名前のとおり北海道と上高地に分布している。5月から6月にかけて咲く「青紫色の小さな花」だ。咲き始めにはピンクのものもあり、可愛らしい。この点は「ホタルカズラ」に似ている。
帰化植物の「ワスレナグサ」が有名過ぎる(?)持て囃され過ぎる所為で「エゾムラサキ」に出会っても「ここにも、ワスレナグサがある」と思う人はきっと多いだろう。
この2種の違いの中で最も分かりやすいのは「萼の様子」だ。「ワスレナグサ」の萼には伏毛しかないが、「エゾムラサキ」の萼には「鉤型の立った毛」が生えていて、切れ込みも深いのである。
花名の由来は、根から紫色の染料をとった花「ムラサキ」に似ていることと北海道に多いことによる。別名を「ミヤマワスレナグサ(深山勿忘草)」ともいう。
(明日に続く)
「ムラサキ」科の花について書いている本題とは整合性はないのだが、この時季としてはこの2種類の「ウツギ」紹介しないでおくことは出来ない。)
28日と29日、2日間続けて岩木山神社境内林から「宮様道路」、そして「リンゴ園」を抜けて「高照神社」に続く道沿いに歩いた。
昨日は自転車で出かけた。宮地からバスの走る道路を通らずに、バイパスを行ったが、比較的斜度はないものの、やたらに長い距離感だった。「広くて」両側に自転車と歩行者兼用の「歩道」が敷設されているという「立派」なものだ。だが、「本当に必要だったのか」と「通る」たびに考えさせられるのだ。
昨日は風が強かった。帰りもこの「バイパス」を通った。あれだけの長い坂を登ったのだから、帰りは「すいすい」と楽勝だと思っていたが、ペダルを漕がないと、止まってしまうのである。何と、弘前までずっと強い「向かい風」に祟れてしまったのである。追い風を背に受けて走る自転車は「楽」である。しかし、強い「向かい風」は地獄だ。
その旧道からバイパスを通り、また「旧道」に出る途中、高岡の上部に広がる林縁を、紅く染めていた「タニウツギ」がよく見えていた。
実際、山麓の林周辺の、求聞(ぐもん)寺から高照神社につながっている歩道沿いの林縁にも、見事に咲いて、辺りを「紅色」に染め上げていた。
低地ではすでに終わりかけてはいるが、「ウワミズザクラ」など白い花の多いこの晩春という時季、この色鮮やかな「タニウツギ」の「紅色」は、他の緑の中で実に映えるのだ。
右に見えるのは「ミツバウツギ」だ。「タニウツギ」より1週間ほど先に白い清楚な花を咲かせる。だから、この写真では、すでに花びらが「黄変」しているものもある。ここは、樹木が伐採された場所であるから日当たりがいいので、早く咲き出したのであろう。日陰になっている林縁のものは、まだまだ、まさに「白い清楚さ」を十分に発揮していた。
花名の由来は「葉が3枚であること」による。山地に自生して、樹高は約3mで、葉は3出複葉だ。5~6月の始めに、白色の五弁花を開く。別名を「コメノキ」ということも、この咲いている風情を見ると納得である。
「タニウツギ」の魅力は、緑の山野を美しい紅色の花で彩ることだろう。北海道(西部)から本州の主に日本海側に分布している。私たちはこの「美しい花」の咲く地方に生きている。その偶然を幸せなことだととらえたいと、毎年この時季になると思うのである。
この花が咲き出すと、「岩木山」では夏が始まる。特に今年は早かった。山麓の日当たりいい場所では、すでに5月中旬から咲き出していた。そして、この花が咲き出す頃に、「タケノコ」採りのシーズンが始まるのである。
谷沿いに多く見られるので、この名を持っている。「サワウツギ(沢空木)」とよぶこともある。津軽では、「タニウツギ」を「ガジャ」とか「ガジャシバ」と呼んで、「タケノコ採り」の「開始」を教えてくれる花として、昔から伝えてきた。
「タニウツギ」は、逞しい木だ。夏の暑さに負けない激しいエネルギーをどこかに蓄えているのだろう。ちょっとのことで「枯れる」ことはない。
主幹が立たず、株立ち状になって、きわめて、強靱なのである。葉序は対生で、先が5裂する花冠は漏斗状のラッパで、細い基部から、急に広がる形をしている。
「タニウツギ」は、「ウツギ(卯の花)」と、その花名から混乱をきたすことがある。幹枝の髄が「中空」になっているので、この名がついた。しかし、花冠も鐘状で白色の「ウツギ」はユキノシタ科であり、この「タニウツギ」はスイカズラ科なのだ。
「ウツギ」と呼ばれる落葉低木は3種類あって、「ユキノシタ科、スイカズラ科、フジウツギ科」のどれかに属している。「スイカズラ科」のものは色が多様であり、「フジウツギ科」のものは、花の房が大きく目立つ。
岩木山では「ユキノシタ科」のウツギ、ノリウツギ、ミツバウツギ、「スイカズラ科」のタニウツギが見られる。
◇◇ 「ムラサキ」は白い花だが、その他は「ムラサキ」色系だ ◇◇
(承前)
…昨日はムラサキ科ワスレナグサ属の多年草である「ワスレナグサ」について書いたので、それを承けて、今日は同属の「エゾムラサキ(蝦夷紫)」のことを書くことにする。
これは、深山のやや湿った林内に生える。名前のとおり北海道と上高地に分布している。5月から6月にかけて咲く「青紫色の小さな花」だ。咲き始めにはピンクのものもあり、可愛らしい。この点は「ホタルカズラ」に似ている。
帰化植物の「ワスレナグサ」が有名過ぎる(?)持て囃され過ぎる所為で「エゾムラサキ」に出会っても「ここにも、ワスレナグサがある」と思う人はきっと多いだろう。
この2種の違いの中で最も分かりやすいのは「萼の様子」だ。「ワスレナグサ」の萼には伏毛しかないが、「エゾムラサキ」の萼には「鉤型の立った毛」が生えていて、切れ込みも深いのである。
花名の由来は、根から紫色の染料をとった花「ムラサキ」に似ていることと北海道に多いことによる。別名を「ミヤマワスレナグサ(深山勿忘草)」ともいう。
(明日に続く)