岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

西岩木山林道から二子沼へ。第26回「自然観察会」の思い出 

2009-05-22 05:14:44 | Weblog
(今日の写真はツツジ科の落葉低木である「ムラサキヤシオツツジ(紫八汐躑躅)」だ。これは、西岩木山林道の終点から少し登ったところに咲いていた。私たちが日常的に「終点」といっているところは、実は「終点」でなく、この「ムラサキヤシオツツジ」の咲いている下部を通って、「二子沼」の西側を迂回して、「小白沢」の上部右岸に続いているのである。
 ただ、現在はすっかり、廃道となっており、「終点」と目されているところで、自動車を降りて「歩かなければ」いけないので、一応「終点」といっているのだ。
 この「終点」から蛇行して尾根に上がるのだが、その手前で少しだけ尾根を横切る部分がある。つまり、斜面を切り通して「道」を造った場所である。
 そこは上部から「崩壊」が始まっており、上から崩落してきた「岩石」が道を塞いでいる。バランスを失った岩はさらに、急な谷側へと「塞がれた」道をまたいで落ちていっている。
 いつ上部から「岩」が落下してくるかも知れないという非常に危険な場所なのだ。そこを「横切って」から、ブナ林に入るのだが、この場所は、いつも上を気にしてゆっくりと渡る余裕はない。
 そのような、まさに、崩落を続けている崖の上のようなところに、この「ムラサキヤシオツツジ」は咲いていたのである。 
「ムラサキヤシオツツジ」は、北海道と本州の近畿以北に分布し、山地帯上部から亜高山帯の林縁や雪渓の縁など、湿り気の多いところに生える樹木だ。高さは3m程度の低木で、直径3㎝ほどの濃紅紫色の花を、葉が出る直前か、出ると同時に、2個から6個咲かせる。
 雄しべは10本で上の5本は短くて、基部に白毛が密生し、下の5本は長くて無毛だ。雄しべは10本であるが、これに似た「ヤマツツジ」の雄しべは5本である。

 名前の由来は、「紫色の染料に何度も浸して染め上げた(8回も染料で染める意)ような美しいツツジ」という意味による。別名は「ミヤマツツジ」だ。
 私は拙著の中で、この「ムラサキヤシオツツジ」に『若葉に浮かぶ紅紫色の踊り子たち』というキャプションをつけている。
 …淡い若葉の木漏れ日が微かに消えて、全体が明るくなったように思われた。そして前方に開放された窓のような空間が広がりはじめた。
 その時である。左右に紅桃色の花々が一定の高さを保ちながら縦に斜めにと踊っている。ほっとした。今年もまた会えた。ムラサキヤシオツツジなのだが…、名に負う紫という色彩感を私はなかなか持てない。濃い桃色に、光の加減ではますますそう見えることがある。 登りながら、花と名前の由来について問答することはしばしばだ。…
 このように、「ムラサキヤシオツツジ」は「開放された窓のような空間」のある高みに生えていることが多いのだ。)

         ◇◇第26回「自然観察会」の思い出◇◇ 

 本会の「自然観察会」は「自然のしくみと人と自然のあり方を見る」を主題にして実施している。
 観察対象も、昆虫、野鳥、両生類、は虫類、哺乳動物、植物(草本と木本、シダ類)、人と自然との関わりとして文化や歴史などと多岐にわたる。「花を愛でて、野鳥の声を聴いて」にとどまるものではない。
 これはこれまでの「基本姿勢」であって、今も変わっていない。そのためには次のことを「考慮」に入れている。
1、気象事情によって開花時期に違いがでてきます。
2、花等のむしりとりや踏みつけはしないで、「採らないで見る」ように、スケッチするとよく見えます。
3、名前を覚えるよりも、それがどのような所に生育しているか、その周囲を観察するようにしましょう。
4、あるがまま、ありのまま見える姿を肉眼と五感を生かして見て、聴いて、嗅いでみましょう。 
5、自然のものは個々ばらばらに存在していません。つながり・まとまりのある見方をしましょう。
6、疑問を持って参加者みんなで話し合いましょう。

 そのためには、持ち物・履き物・服装などもそれなりの準備・用意が必要だ。
1、登山靴・スニーカー・長靴 2、防寒・防風着・軍手・帽子・雨具 3、昼食・おやつ・飲料(水)4、筆記用具・下敷き 5、双眼鏡・ルーペ 7、その他

「日程」も大体決まっているが、第26回は次のような「日程」で実施された。

9:00 集合(集合場所・鯵ヶ沢スキー場駐車場)→9:05 自動車で「長平登山道入り口地点」まで移動後、開会主催者挨拶・観察表配布・諸注意・リーダー等の紹介→9:15 出発:林道に沿って観察・散策開始→11:30 二子沼入口→12:10 二子沼着・集合記念撮影(昼食)沼周辺の観察・散策 →13:30 二子沼発→14:45 駐車している場所到着→14:50 閉会主催者挨拶・参加者感想発表・観察表提出→15:00 閉会・解散

 第26回「自然観察会」が終わってから、参加者からお礼のハガキとメールが送られてきた。その中からメールを2つ紹介しよう。

 『先日は、ありがとうございました。久しぶりに山の麓を歩いて、英気を養いました。100人もの参加、ビックリしましたがきちんと対応できる会はたいしたものです。』(宮城県仙台市 Sさん)

 『先日(5月6日)に実施されました、二子沼までの「自然観察会」には好天に恵まれ、楽しい一日を過ごさせていただきました。
 それも「岩木山を考える会」の事前の準備・当日の講師・係り分担の配慮に対し深く感謝します。中でも配布された資料の写真の鮮明さがすばらしかったです。ありがとうございました。』(弘前市 Fさん)