(今日の花もムラサキ科ムラサキ属の多年草の「ホタルカズラ(蛍葛)」である。
今日はお天気がいいので、NHK弘前文化センター講座・「岩木山の花をたずねて」の受講者と岩木山の山麓を歩いてくる。今年の1月から始まって、3ヶ月で10回だから、今日で17回目になる。
25日に相棒と一緒に「毒蛇沢」に行った帰りに、「ホタルカズラ」の咲いていた場所とその近くでは、「コンロンソウ」「ムラサキケマン」「オオヤマフスマ」「テンナンショウ」などを確認しておいたから、彼女たちにも必ず会えるであろう。先ず、お目当ては、この「ホタルカズラ」である。)
岩木山でなく、弘前の「里」では、この「ホタルカズラ」の仲間で「属」の違うムラサキ科キュウリグサ属の二年(越年・多年草とする説もある)草である胡瓜草「キュウリグサ」と、ムラサキ科ハナイバナ属の一年草または越年草である葉内花「ハナイバナ」が今を盛りと咲いている。
だが、この2種類は「ホタルカズラ」に比べると極端に、その花が小さい。「ホタルカズラ」は1~2cmであるが、こちらは大きくても数mmというものである。だから、見過ごしたり、見えていても「何だ雑草」かといって「気に止めない」から見えないのである。
大体、「雑草」という「概念」で「草花をとらえる」ことがおかしい。野山に生えているすべての草々は、みな「雑草」なのである。雑草という範疇に入らない草はないのである。因みに「雑」とは「種々のものの入りまじること。主要でないこと」または「あらくて念入りでないこと」として「雑な出来」という用例を「広辞苑」ではあげている。
さらに、集英社版の反対語辞典を引いてみた。「雑」の反対語には「純」という字があてられていた。
はたして「純草」という言葉は存在するか。広辞苑にも「国語大辞典」にも掲載はない。字義的には「純草」という言葉はないということなのである。つまり、この世の草花はすべて「雑草」なのである。
人間の目的に適う「草」、つまり「野菜」や「果菜」、「花菜」、「根菜」、「葉菜」などと区別して、それらの生育に邪魔になるものとして「雑草」と呼んだのであろう。この「野菜」だって、れっきとした「雑草」なのである。「野菜」とは「野山に生える菜」である。 もともと、「…菜」と称されるものは、野山に生える「食べることの出来る」草のことを指す。これらは、すべて「雑草」であるが、葉・茎などを食用とする草本類の総称だ。 今は主としてアブラナ類の「葉菜」を「青菜(あおな)」などと呼んで指すらしいが、万葉の昔から「この丘に菜摘ます子」などとして使われていた言葉だ。
末尾に「菜」という「漢字」のつく「雑草」はすべて「食す」ことが出来る。例えば、トクサ科の「スギナ(杉菜)」、いわゆる「ツクシ(土筆)」のことだが、これも食べることが出来るのである。
野山に生えている草花はすべて「雑草」なのである。私は「雑草」とは呼ばない。「草」または「草花」でいいではないか。
さて、ムラサキ科キュウリグサ属の越年草である「キュウリグサ(胡瓜草)」だが、これは、アジア各地に分布する草である。日本全国の少し湿った野原や道端や畑などに生育している。秋に芽生え、ロゼット状に葉を広げて冬を越す。
根本の葉は卵円形で葉柄がある。茎の上部の葉は長楕円形で長さ1~3cm、幅6~15mmで細い毛がある。
茎は下部で分岐し、茎の上部がカタツムリ形、またはゼンマイ状の花序(かじょ)となり花は上向きに咲く。
春に10~30cmの花茎を出し、長さ3~9mmの柄を持つ径2mmの淡青紫色の小さくて、可憐な花を咲かせはじめ、次第に立ち上がって背丈が高くなる。花期は4~6月で高さ30cmほどになることもある。
花序はゼンマイ状に巻き込んでおり、しだいに伸びて長くなる。茎の先に「ムラサキ科の特徴であるサソリ型花序」を出し、花のあと花序は長く伸びる。果実は4個の分果で、表面は滑らかである。
「キュウリグサ」は麦作の伝来にともなって帰化した(有史前)古代帰化植物の一つである。悠久の歴史の中で、日本に定着した「可愛らしい」草花である。私の狭い庭のあちこちにも生えていて、小さな小さな花をほころばせている。
私はまだ食べたことはないが、若い茎や葉は食用となるそうだ。アップでこの花を見ていると、この可憐な花の「しぐさ」は実にいい。
同属の「ワスレナグサ」にそっくりな淡いブルーの花が浮かび上がってくる。その花弁には黄色い「鱗片」の色が鮮やかに光り、花の印象を一段と引き締めている。その上、くるくると巻きついた感じのする花序。春早く寒風が吹きすさぶ我が家の北側の軒下では、まだロゼットに潜ったような格好で花をつけていることもある。
しかし、「つぼみ」をいっぱいつけた花序の、伸びやかな様子は何と言ったらいいのだろう。
「キュウリグサ」の花序は「サソリ形花序」と呼ばれて、サソリの尾のようにくるりと巻かれている。これは例外もあるが「ムラサキ科植物」の特徴である。
外側のつぼみからだんだんと咲いていき、春が進むにつれ、花が開くにつれ、花序は次第にほどけてまっすぐに伸びていく。
そして、1つ咲いては1つ落ちて…といったように、時間をかけて、少しずつ確実に子孫を残していくのである。
花名の由来は「葉を揉むとキュウリのような臭いがする」ことである。だが、花は小さいながら清楚で、ムラサキ科の特徴をよく示しているので、この「嗅覚」的な名前よりも、風姿からの、もう少し「可愛い名前」でもよかったのではないかと思うのだ。(明日に続く)
今日はお天気がいいので、NHK弘前文化センター講座・「岩木山の花をたずねて」の受講者と岩木山の山麓を歩いてくる。今年の1月から始まって、3ヶ月で10回だから、今日で17回目になる。
25日に相棒と一緒に「毒蛇沢」に行った帰りに、「ホタルカズラ」の咲いていた場所とその近くでは、「コンロンソウ」「ムラサキケマン」「オオヤマフスマ」「テンナンショウ」などを確認しておいたから、彼女たちにも必ず会えるであろう。先ず、お目当ては、この「ホタルカズラ」である。)
岩木山でなく、弘前の「里」では、この「ホタルカズラ」の仲間で「属」の違うムラサキ科キュウリグサ属の二年(越年・多年草とする説もある)草である胡瓜草「キュウリグサ」と、ムラサキ科ハナイバナ属の一年草または越年草である葉内花「ハナイバナ」が今を盛りと咲いている。
だが、この2種類は「ホタルカズラ」に比べると極端に、その花が小さい。「ホタルカズラ」は1~2cmであるが、こちらは大きくても数mmというものである。だから、見過ごしたり、見えていても「何だ雑草」かといって「気に止めない」から見えないのである。
大体、「雑草」という「概念」で「草花をとらえる」ことがおかしい。野山に生えているすべての草々は、みな「雑草」なのである。雑草という範疇に入らない草はないのである。因みに「雑」とは「種々のものの入りまじること。主要でないこと」または「あらくて念入りでないこと」として「雑な出来」という用例を「広辞苑」ではあげている。
さらに、集英社版の反対語辞典を引いてみた。「雑」の反対語には「純」という字があてられていた。
はたして「純草」という言葉は存在するか。広辞苑にも「国語大辞典」にも掲載はない。字義的には「純草」という言葉はないということなのである。つまり、この世の草花はすべて「雑草」なのである。
人間の目的に適う「草」、つまり「野菜」や「果菜」、「花菜」、「根菜」、「葉菜」などと区別して、それらの生育に邪魔になるものとして「雑草」と呼んだのであろう。この「野菜」だって、れっきとした「雑草」なのである。「野菜」とは「野山に生える菜」である。 もともと、「…菜」と称されるものは、野山に生える「食べることの出来る」草のことを指す。これらは、すべて「雑草」であるが、葉・茎などを食用とする草本類の総称だ。 今は主としてアブラナ類の「葉菜」を「青菜(あおな)」などと呼んで指すらしいが、万葉の昔から「この丘に菜摘ます子」などとして使われていた言葉だ。
末尾に「菜」という「漢字」のつく「雑草」はすべて「食す」ことが出来る。例えば、トクサ科の「スギナ(杉菜)」、いわゆる「ツクシ(土筆)」のことだが、これも食べることが出来るのである。
野山に生えている草花はすべて「雑草」なのである。私は「雑草」とは呼ばない。「草」または「草花」でいいではないか。
さて、ムラサキ科キュウリグサ属の越年草である「キュウリグサ(胡瓜草)」だが、これは、アジア各地に分布する草である。日本全国の少し湿った野原や道端や畑などに生育している。秋に芽生え、ロゼット状に葉を広げて冬を越す。
根本の葉は卵円形で葉柄がある。茎の上部の葉は長楕円形で長さ1~3cm、幅6~15mmで細い毛がある。
茎は下部で分岐し、茎の上部がカタツムリ形、またはゼンマイ状の花序(かじょ)となり花は上向きに咲く。
春に10~30cmの花茎を出し、長さ3~9mmの柄を持つ径2mmの淡青紫色の小さくて、可憐な花を咲かせはじめ、次第に立ち上がって背丈が高くなる。花期は4~6月で高さ30cmほどになることもある。
花序はゼンマイ状に巻き込んでおり、しだいに伸びて長くなる。茎の先に「ムラサキ科の特徴であるサソリ型花序」を出し、花のあと花序は長く伸びる。果実は4個の分果で、表面は滑らかである。
「キュウリグサ」は麦作の伝来にともなって帰化した(有史前)古代帰化植物の一つである。悠久の歴史の中で、日本に定着した「可愛らしい」草花である。私の狭い庭のあちこちにも生えていて、小さな小さな花をほころばせている。
私はまだ食べたことはないが、若い茎や葉は食用となるそうだ。アップでこの花を見ていると、この可憐な花の「しぐさ」は実にいい。
同属の「ワスレナグサ」にそっくりな淡いブルーの花が浮かび上がってくる。その花弁には黄色い「鱗片」の色が鮮やかに光り、花の印象を一段と引き締めている。その上、くるくると巻きついた感じのする花序。春早く寒風が吹きすさぶ我が家の北側の軒下では、まだロゼットに潜ったような格好で花をつけていることもある。
しかし、「つぼみ」をいっぱいつけた花序の、伸びやかな様子は何と言ったらいいのだろう。
「キュウリグサ」の花序は「サソリ形花序」と呼ばれて、サソリの尾のようにくるりと巻かれている。これは例外もあるが「ムラサキ科植物」の特徴である。
外側のつぼみからだんだんと咲いていき、春が進むにつれ、花が開くにつれ、花序は次第にほどけてまっすぐに伸びていく。
そして、1つ咲いては1つ落ちて…といったように、時間をかけて、少しずつ確実に子孫を残していくのである。
花名の由来は「葉を揉むとキュウリのような臭いがする」ことである。だが、花は小さいながら清楚で、ムラサキ科の特徴をよく示しているので、この「嗅覚」的な名前よりも、風姿からの、もう少し「可愛い名前」でもよかったのではないかと思うのだ。(明日に続く)