岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

「青森県自然観察指導員連絡会主催学習会」のこと 、あれこれ

2008-05-30 06:59:19 | Weblog
(今日の写真はバラ科サクラ属の落葉高木「何とか桜」である。早い春の訪れで里の桜「ソメイヨシノ」は早々と咲き、そして忙しく散っていった。ところが、岩木山では中腹部で今この桜が咲いている。これは23日に撮ったものである。これから、残雪の消え方にあわせて高山帯の「何とか桜」も順次咲き出す。
 実はこの「何とか桜」と「何とか桜」は非常に似ている。見た目では区別が出来ないほどである。その区別する点は、わずかに「花柄」に「毛」があるかないかだけである。果たして、この写真を拡大しても「花柄」に毛を確認できるかどうか?解答は明日しよう。)

◆◆一昨日開かれた「青森県自然観察指導員連絡会主催の学習会」での「あれこれ」◆◆

 主題は、小学生からの質問ということで「岩木山の主な高山植物、樹木、ほ乳類、野鳥」であった。以下の項目について1、~6、まではプロジェクターによる文書で、7、~12、までは画像によるスライドショウで学習した。
1、木の実はどれくらいあって食べられるのは何ですか。
2、食べられる山菜の種類を知りたいと思います。
3、苔の種類はどのくらいですか。また、なぜ生えているのですか。
4、だれかが植えたわけでもないのにどうして木が生えているのですか。
5、いつ森林が出来たのですか。木の種類はどのくらいで何がありますか。
6、九合目には木が生えていないのはなぜですか。
7、高山植物の種類と特徴について知りたいと思います。
八甲田山にあって岩木山にない花は
白神山地にあって岩木山にない花は
岩木山にあって他の二山のいずれかにない花は
標高1000m以上に咲く岩木山の高山植物で主なものは
8、高山植物はそれぞれどんな所で咲くのですか。
9、どのような大きなほ乳類がいますか。また、どんな生活をしているのですか。
10、小動物(ほ乳類)はどんなものがいますか。またどのような所に生息しているのですか。
11、代表的な昆虫、両生類、は虫類を教えてほしいと思います。
12、岩木山で見られる鳥にはどんなものがありますか。(岩木山で確認された野鳥は90種を越えている)

*あれこれ…その1
★☆野鳥に関心のある人が多かったように思える学習会であった。本会が作成してある岩木山の野鳥ファイルから飛鳥和宏さんや菊地弘保さんの「写真」をスライドショウで提示すると「きれいだ」という声が漏れるなど、反応がかなりあったように思える。

*あれこれ…その2 
★☆最後に「イチイとコメツガの違い」について詳しく知りたいという質問があった。しかし、時間がなくて極めて簡単な説明しかできなかった。そこで、この場を借りて今一度、重複していることはあるが説明したい。

「イチイ」はイチイ科イチイ属の常緑針葉高木である。
葉は長さ2cm程度で、葉の先端は「尖る」が触っても痛くない。中脈は表面に突き出しており、裏面は淡緑色である。
 「雌雄異株」で春に花が咲き、種子の周りにある赤い果肉状の「仮種皮」という赤い実にくるまった種子をつける。「裸子植物」であるイチイは、正しくは果実をつけない樹木である。この仮種皮は甘くて食べられる。ただし、食べられるのは「仮種皮」部分だけである。中の種子をかじると苦く、「有毒」成分を含んでいる。
 果実にあたる仮種皮の部分は甘くて食欲をそそり、中心部の種子は苦くて有毒であるということは、種子の「鳥散布の方法」としては最適であると考えられる。
 裸子植物は鳥類の進化に先んじて存在していたので風散布であるものが多いそうだが、一部の仲間はイチイのように、明らかに動物散布のシステムを取り入れているものもある。
 岩木山に「追子森」という場所があるが、そこには「コメツガ」が生えている。この呼び名の由来は、イチイを「オンコ」ということに探ることが出来そうだ。「コメツガ」はその葉や形状が「イチイ」に似ているので「オンコ(イチイ)」の生えている「森」ということで「オンコモリ(追子森)」と呼んだと推測される。
「コメツガ」はマツ科ツガ属の常緑大高木である。
 樹皮は灰褐色で厚く、深く縦裂している。葉は線形で、先端は「凹む」。尖っていない。上面は濃緑色で光沢があり、下面には白色の気孔線がある。
 「雌雄同株」で、雄花は卵形、枝端に1個つく。雌花も小枝の先につき、長卵形で赤みがかった紫色である。「マツカサ」を形成して種子には翼があり淡褐色である。
 詳しくは28日掲載の写真を見て欲しい。

*あれこれ…その3
★☆私の(この)ブログの「お知らせ」を見て、学習会に参加した人がいたのである。
 予定の時間を15分もオーバーしてようやく学習会は終了した。その時、ある人が私のところにやって、「今日はどうも有り難うございました。私はX中学校でYを教えているZという者です。実は岩木山を考える会のホームページで先生のブログを見ている者です。たまたま、今日のブログのお知らせにこの学習会のことが書かれてあったので参加しました。忙しく少し遅れてきましたが、勉強になりました」という意味のことを言ってくれたのである。
 有り難いのは私のほうである。まずは、つたない「ブログ」に目をとおしてくれていることである。「毎日ではないが見ている、読んでいる」ともその先生は言っていたのだ。ついで、「岩木山や岩木山の自然」に関心を持ってくれていることである。特に、生徒に接している先生が、関心を持つことは「岩木山の自然」をこのまま残していくことに深くつながっていくのだろうと考えるからである。
 このような先生たちが一人でも多くなることを願っている。主催者の一人であるTさんも喜んでいたのである。
 私の「ブログ」もこのような形で活用されているとすごく嬉しい。
今回の学習会は私が用意した「レジメ」では足りなくなったようで、慌ててコピーをして対応していたようである。それほどに「参加者」が多かったということである。これも嬉しいことではある。