星組『柳生忍法帖』『モアー・ダンディズム』-12月17日東京宝塚劇場
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『柳生忍法帖』、
(公演プログラムより)
「お話は江戸、寛永の頃、会津藩の「暗君」加藤明成とその黒幕、芦名銅伯ら会津七本槍を相手に暗君を諫めたため処刑された家老・堀主水(ほりもんど)一族の生き残り、七人の女たちが剣豪柳生十兵衛の助けを借り親兄弟の復讐を遂げるというものです。
ただ風太郎忍法帖の醍醐味は、歴史上の事実によりながらも奔放な空想力から生まれた仕掛けの大きさ、深さにありまあす。
本作の場合、堀一族の処刑は幕府の許可を得た合法的なものである上、明成の黒幕、芦名銅伯は百七歳を数える不死身の怪物、また配下の会津七本槍はそれぞれ独特の武器を駆使する無敵の剣豪ぞろい。どうみても堀一族の生き残りの乙女たちに勝ち目はない。その女たちに復讐を遂げさせ、ひいては幕府の過ちを正そうとするのが、女たちをかくまった尼寺・東慶寺の庵主、”天秀尼”とその母”天樹院(千姫)”、彼女たちの頼みで女たちに加勢するのがかの禅僧『沢庵』とその命を受けた雲水たち、そして放浪の剣士”柳生十兵衛”です。これだけでもそうそうたる顔ぶれですが、ここに宗教界の頂点に君臨する”天海大僧正”が登場します。そして、これが「柳生忍法帖」を貫く最大のミステリーですが、この天海大僧正と極悪非道の芦名銅伯との間にとんでもない秘密が隠されていたのです。本作の魅力は、他にも隻眼の剣士”柳生十兵衛三叢”の胸のすくような活躍、全編に漂う風太郎ならではの濃いエロティシズム等飽きることがありません。」
劇場でしか味わうことのできない空気感、舞台装置をのせたセリが上がったり下がったりしてさりげなく場面転換が行われているのをみることができるのは、全体を見回すことができる2階席後方の特権、生の醍醐味を堪能しました。ショーと合わせてこれだけの舞台装置が玉手箱のようにつまっている東京宝塚劇場、すごい。ワクワクしました。大野先生の脚本への批判的なご意見もみかけましたがわたしはよくまとめあげられたと思いました。個性豊かなキャラクターが次々と登場。上級生がしっかりと脇を固めて舞台を締めていました。『ロミオとジュリエット』は役が少なかったので、組子全員にあますところなく役が割り振られている作品は嬉しいです。
第一場の東慶寺で堀一族の女たちの仇討ちの支援を決めた気持ちを語る千姫(天樹院)の白妙なっちゃんの佇まい、素敵でした。ナウオンステージでこっちゃんが話しているようにものすごく説得力があります。加藤明成の輝咲玲央さん、好色で、体は大きいけれど人としての器が小さい大名、小物感が絶妙でした。千姫(天樹院)に仕えるご老体、うまいなあ、どなたか演じられているのかとしばらく考えながらみていて、大輝真琴さんだと気づいたしだい。白髪の鬘と背中の丸まり具合が、本当に年をとって体が小さくなったようにみえてこれまた絶妙でした。音波みのりさんの活躍も目をひきました。仇討ちを志す堀一族の女性のひとり、お圭。こっちゃんの柳生十兵衛が化けた花婿と共に江戸の加藤屋敷に花嫁姿でもぐりこむ場面、堀一族の女たちの先頭にたって会津七本槍と戦う場面、オペラグラスでしっかり追いました。タカラジェンヌに年齢はありませんが2005年初舞台でこの可愛らしさはすごい、星組にとって頼もしい存在の上級生のみなさま、大活躍。
美稀千種さんの堀主水と行動を共にして最期も一緒だった堀家の家臣たち、プログラムをみると5人いますがオペラグラスで追いきれませんでした。26日のライブ配信でどこまで映るか、どこまで確認できるか。冒頭の堀主水が加藤明成を諫める場面、ちょっと急ぎ足だったのでもう一度確認したいところ。
会津七本槍、お化粧と鬘と衣装で個性が明確に描きわけられていました。黒塗りの方もいて最初どなたか演じているのかわからなかったりしましたが、たぶんオペラグラスで追いきれていたと思います。
具足丈之進(ぐそくじょうのしん);漣レイラ、
司馬一眼房(しばいちがんぼう);ひろ香祐、
漆戸虹七郎(うるしどこうしちろう);瀬央ゆりあ、
鷲ノ巣廉介(わしのすれんすけ);綺城ひか理、
平賀孫兵衛;天華えま、
香炉(こうろ)銀四郎;極美慎、
大道寺鉄斎(だいどうじてっさい);碧海 さりお
剣豪のはずなのにわりと早い段階で倒されてしまう方もいるのは、どなたかがつぶやかれていたように1時間半という上演時間のなかにおさめなければならないのでやむなしでしょう。最後の方まで生き残っていたのが、退団する漣レイラさん、身体能力の高さはさすが。星組の王子、極美慎くんはお顔小さくて美しい顔立ち、出番が増えました。最後に柳生十兵衛と剣を交えて勝ったかにみえたのに実は足の筋肉をやられていて倒れたのがせおっち、足が動かず震えるところ絶妙でした。悪役に徹した美しいせおっち、久しぶり、長い髪がよく似合います。黒塗りの天華えまさん、綺城ひか理さんはわりと早い段階で倒されていたかな。退団するひろ香祐さんが倒れたのは後半だったかな、素はこんなにいい人が悪い人をやっっているってこっちゃん。個性豊かな面々もライブ配信でもう一度確認したい。目が足りません。
退団する愛ちゃんの芦名銅伯、『ロミオとジュリエット』の死の役で髪を白にしたので銀色にしたのは正解だった、衣装がどくろを描いた派手なものなので銀色がちょうどよかったとカフェブレイクで話しています。双子の天海大僧正として登場するのは一場面だけ。もちろん衣装が違いますが声と表情での演じ分け、声にエコーかかっていましたが映像をうまく使った演出と思いました。芦名銅伯と天海大僧正は双子なので天海が死ねば銅伯も死ぬ、思いがけないの銅伯の死の訪れ。
こっちゃんが令和3年度文化庁芸術祭賞 演劇部門 新人賞を受賞することになったとのお知らせ。
https://kageki.hankyu.co.jp/news/20211224_006.html
『柳生忍法帖』、エルハポン味のある、楽しかった、面白かったであと味すっきり、気持ちがよい。
こっちゃんとひっとん、トップコンビとなって2年、充実期にはいってきました。確実に魅せてくれます。『モアー・ダンディズム』のリフトがまたすごすぎと思いましたが今は書き切れず、長くなってきたのでこれぐらいで。ひっとん、また子どもを宿している役、入団2年目のタイトロール『ハンナのお花屋さん』から子どもがいる役、可愛らしさにたおやかな美しさが加味されてきて、いい娘役になってきました。
フィナーレのシャンシャン、ピンクの花びらがついているところを退団者は白い花びらになっているそうな。見逃さないにしなければ・・・。
12月24日は天寿光希さん演じる沢庵和尚の誕生日。Wikipediaより、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%A2%E5%BA%B5%E5%AE%97%E5%BD%AD
劇団さんから怒涛のように届いた宙組のラインナップ、おばさんにはよくわからなくて、ついていけるか心配。インパクトありすぎて野口先生の芝居デビューということが見落とされているような。伝統的な世界観を大切も守りつつ、新しい作品へと挑戦し続ける宝塚。座付き作家によるオリジナルを生み出し続ける力よ。『シャーロック・ホームズ』『CITY HUNTER』『柳生忍法帖』と親和性なさそうな作品の舞台化にまずまず成功したといえると思います。野口先生の腕前にも期待したい。それまで生きていないといけない。気持ちが下がることばかりの現実、生きていることが苦しい日々、ワクワク、ドキドキ、ときめきを届けてくれる宝塚、ほんとうにありがたいです。
最強のクリスマス寒波とな、もう全く気持ちはあがらない、往復がつらい、それでも全く行かないのはそれはそれで自己嫌悪におちいる、ゼロというわけにはいかない。ムチ打って腰をあげる。生まれる前からの股関節脱臼は、わたしの責任ではない。隔世遺伝など知らん。来年どうすればいいのか、全くわからない。いまはまたいくしかない。
これ以上、つらいこと、かなしいこと、やりきれないことが起こりませんように。みんな無事に一日を生き延びられますように・・・。