たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

花組『ポーの一族』_美の宝石箱(4)

2018年03月24日 19時35分55秒 | 宝塚
 昨夕からようやく普通に食事ができるようになった土曜日、断捨離はほんとに時間がかかります。夕方からまたちっそくしそうな部屋を逃げ出して息抜き中。明日はいよいよ『ポーの一族』、東京宝塚劇場千穐楽ライブビューイング。


 明日海りおさんがうたう、永遠の時をいきなければならないバンパネラの哀しみ、苦しみ、葛藤を秘めた歌は耳障りもよくいつまでも心の中にいつまでも静かに響いています。30年間温め続けた小池先生の、作品に対する思いれを感じる歌詞。かつて中国の皇帝は不老不死を手に入れたいと願いながら、どんなに大きな権力をもちながらもどんなに大金をもちながらも手に入れることはできませんでした。哲学だなあと思います。

「この世に生まれ 出(いで)しもの
 いつか亡びて 土に還る
 終わりがあるから美しい
 過行く時を 愛(いつく)しむ
 ああ この身は
 終わりの無い旅を続けている
 数え切れぬ朝を迎え
 夜のとばりに 浅く眠る
 時の海 彷徨いながら
 道連れを 捜し求める
 願わくば 歓び分かち 
 痛みさえ 癒し合いたい
 永遠に 続く旅路の
 寂しさ 紛らわせるよう
 人に生まれて
 人ではなくなり
 愛の在り処も見失った
 人に生まれて
 人ではなくなり
 幸せの残り香も忘れた
 哀しみを抱いて生きる
 僕はバンパネラ」

 エドガー(明日海りおさん)と初めて会った時には、人間臭い怒りをあらわにしていた孤独な少年アラン(柚香光さん)がいつしかエドガーに心を許していくようになり、バンパネラとなってからは血のかよわない、儚い少年姿となってエドガーとふたりで人間の前にあらわれる、その移り変わりの様も見事でした。孤独感が共鳴しあったエドガーとアラン。バンパネラとなったふたりは、歳をとらないので同じ学校にはいられず、ふたりで時空を旅しながらどこかの時代の、どこかの学校にふっとあらわれる、その姿の儚い美しさは、この世のものとは思えない麗しいものでした。儚い少年姿で舞台の幕を閉じたアランがフィナーレのダンスになった途端オラオラの男役スィッチが戻り、瀬戸かずやさんを手招きする仕草をして膝の上にのせたのにはびっくりでした。ウィッグをはずしたエドガーは地毛が無造作な感じで可愛くてこれまたびっくり。こんなところが宝塚。

 ハンナのお花屋さんで俄然注目の音くり寿さん。市場でエドガーと遭遇し、薔薇の花を売ろうとしたらエナジーを吸われてしまう花売り娘ディジーの純なかわいらしさが印象的でした。望まずバンパネラとなったエドガーが飢えからはじめて人間の血を吸ってしまい戸惑う場面。ディジーの人間感とバンパネラとなったエドガーの血の通わない感とのの対比が際立っていました。音くり寿さん、ポーの一族を襲う村人の役でも登場していました。舞空瞳さんはまだ役名もついていませんが、エドガーとアランがすれ違いざまにぶつかる場面でホテルのメイドさん、薔薇の花の精などあちらこちらで登場していてダンスとかわいらしさが目をひきました。華のある娘役さん。天真みちるさんがポーの一族を襲う村人の長とマーゴットのお父さん役を演じ分けていたのも印象的でした。他にもまだまだ見どころはたくさん、尽きません。


宝塚ホテル内。
トップスター5人のお写真。
















新大劇場こけらことし公演の写真。紫苑ゆうさんがトップスターの頃、なつかしい。