たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

自分の気持ちと向き合う

2014年09月15日 22時37分16秒 | 祈り
ため込んできた資料の整理を続けています。

平成18年(2006年)3月3日付「精神保健福祉援助演習」という科目を履修した際、最後に出された課題に対して私はこんな答案を書いていました。課題は、「今日の授業で学んだこと、感じたことについて述べてください」というものでした。
その年の冬までに施設での実習を終えなければ翌年1月の国家試験を受験することはできなかったので、いつどうやって休暇をとることができるのだろうと、そればかりをひたすら考え続けていました。試験に合格することよりも、母の病気を理解したくて、受けとめたくて必死になっていた私は、こうして自分の気持ちと向き合っていたんだと、今あらためて自分自身で思います。

「一人の人間の一生の中の数年間、あるいは数十年間という長い期間にわたって関わっていくPSWという仕事、その重みを、事例をまとめ課題について検討していく過程で感じた。
今回の事例検討で出会った20年に及び入院生活を続けてきたNさんという女性。
退院後の社会復帰に向けた経過をきめ細かくたどっていくと、PSWはNさんの意志を尊重して、エンパワメントを引き出し、Nさん自身に自立への意識が生まれてくるように支えている。
その過程を繰り返し文字で追い続け、Nさんという人のイメージを描くところまではたどり着けた。
精神を病んだ人が生活のしづらさを抱えながら、地域の中で当たり前の生活ができるようになること、周囲の理解を得ながら依存的自立をしていくこと。テキストの中に繰り返し述べられ、言葉としては記憶できているが、体験がないために実感としてわかっていなかった。

一般企業で働き続けている私にとって、自立には経済的自立が欠かせないという思いが強くある。精神障害者にとって自立するということの意味を問い続けることが大きな課題のひとつとなった。一般的に考えられている自立と精神障害者にとっての自立、そこには大きなギャップがあり、そのギャップを調整していくことはPSWの重要な仕事であろう。

PSWを目指すにあたって、実習を通してなにかヒントとなるものが得られればと思う。実習に向けては不安感が強い。身内には精神障害者がいるが、第三者としては出会ったことがないからである。どんな出会いが待っているか不安ではあるが、期待感もある。自分自身を知り、少しでも成長できる機会になればと思う。

そして、I先生が言われた「精神障害者を好きになってほしい」という言葉が強く心に残っている。身内の精神障害者、具体的には私の母親である。母が発病して十数年が経過したが、私は母の病気を受け入れることができないし、母を、そしてその母から生まれた私自身を好きになることができない。

そんな思いに自分自身の中で折り合いをつけたいと考えたのが、PSWになる勉強を始めた理由の一つである。実習を通して、精神障害者を好きな私に出会うことができればと思っている。」

結果的に、秋に国家試験受験対策講座と実習と会社に行くというタイトなスケジュールをこなしたことは以前にも書きました。施設での実習で初めて母と同じ疾患の第三者と出会って会話ができる自分に驚いたことを思い出します。職場との両立に苦心惨憺しながらなんとかやり遂げた14日の実習。その間、心は揺れ動き続けました。その時のノートがどこに埋もれてしまっているのかわからないままですが、捜し出してその時の自分ともう一度出会い直すことができればと思っています。



写真は、春のプリンス・エドワード島、モンゴメリさんが『赤毛のアン』を書いた家の跡へ向かう道からの風景です。