たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

ミュージカル『レディ・ベス』(1)

2014年08月20日 08時50分28秒 | ミュージカル・舞台・映画
2014年4月13日から5月24日まで帝国劇場で上演されました。

『エリザベート』を創り上げたミヒャエル・クンツェさん(脚本・歌詞)、シルヴェスター・リーヴァィさん(音楽・編曲)、一路真輝さんの宝塚退団公演から日本版『エリザベート』を演出している小池修一郎さんが手掛けた世界初演の舞台。やはり裏切りませんでした。


何か月も前からチケットを取っていたのは、5月5日だけでしたが、また観たくなってしまい、5月15日は当日券で観てしまいました。車椅子用のスペースを席にしたところで安くはないのですが、心のエネルギー補給が必要でした。キュッキュッと頭の中の今まで使ったことのないところを使った打ち合わせが終わった後で(今もそうですが・・・)、そのまま帰ることはできませんでした。


ヘンリー八世の娘エリザベス一世(在位1558-1603年)の20歳から、25歳で戴冠するまでの若き日々を描いた物語。


『赤毛のアン』ともつながっています。第24章「ステイシー先生と教え子たちの演芸会」で、アンがスコットランド女王メアリー・スチュアートの詩を暗唱する場面があります。
メアリー・スチュアートは、スコットランドの内乱の後、イングランドに逃れ、王位を要求。そのため、エリザベス一世によって投獄、19年間幽閉され、1587年に処刑されました。
(松本侑子訳『赤毛のアン』文春文庫、訳者によるノートより引用しています。)
このエリザベス一世が若き日のベスです。


シェイクスピアの生まれた1564年はエリザベス一世治世の7年目。シェイクスピアはいわゆるエリザベス朝時代に生きた人と通常いわれています。
1603年(シェイクスピア39歳)彼女の奉ずるまでは、たしかにエリザベス朝時代でした。
(中野好夫『シェイクスピアの面白さ』新潮選書、より引用しています。)


イギリスでは、王位継承権を持つ女性しかプリンセスの称号で呼ばれない。エリザベスが3歳にも満たないときに、母アン・ブーリンが父ヘンリー八世に処刑され、エリザベス女王は
庶子の烙印を押されてレディ・エリザベスとなった。賢い王女は境遇の変化を察知し、養育係に「昨日までプリンセスだったのに、今日からレディと呼ばれるのはどうして?」と尋ねた。
養育係は絶句した。みな、不貞のとがで処刑されたアン王妃が存在しないかのように振る舞った。
(『『レディ・ベス』とクンツェ&リーヴァイの世界』日之出出版、より引用しています。)


史実は血なまぐさいものがありますが、舞台は架空の詩人ロビン・ブレイクをベスの恋人として登場させることで、今のわたしたちの日常にぐっと身近な世界へと引き寄せています。
1人の女性の成長物語として描かれているのでわかりやすい舞台になっていました。



5月5日(月)

レディ・ベス:花總まり
ロビン・ブレイク:山崎育三郎
メアリー・チューダー:吉沢梨絵
フェリペ:平方元基
ロジャー・アスカム:石丸幹二


5月15日(木)

レディ・ベス:花總まり
ロビン・ブレイク:加藤和樹
メアリー・チューダー:吉沢梨絵
フェリペ:古川雄大
ロジャー・アスカム:山口祐一郎

ベス役は、Wキャストですが、花總まりさんを選びました。


宝塚入団一年目に演じた『白夜伝説』のミーミルから、エリザベート、マリー・アントワネットまで、花總さんの数々の娘役のほとんどを観ていると思います。
2006年の退団公演は観ていないので、2005年の『ホテルステラマリス』『レビュー記念日』の舞台以来、10年ぶりでしたが、花ちゃんは変わりませんでした。
『エリザベート』のシシィ、
ラストのベスが戴冠式を迎える場面の後姿で魅せる演技は、ベルばらのマリー・アントワネットを思い起こさせました。
気品ある演技、美しいドレスの着こなし、かわいらしさ・・・
随所に宝塚時代の娘役の雰囲気を感じさせつつ、歳を重ねてさらに深まった演技と歌を堪能することができました。


涼風真世さん演じるベスの養育係キャット・アシュリーが声量豊かに歌います。

 「大人になるまでに通る
 道のりがある
 喜びもあれば
 傷付くこともある
 生まれてきた意味
 見つけて
 自分を知ることが出来る」



シングルキャストも贅沢な配役でした。

やっと書けました。
今日はここまでです。


5月5日のキャストボード



5月15日のキャストボード



山崎育三郎さんロビン



加藤和樹さんロビン



5月15日の入り口ボード