人生論:「生涯発展途上」を目指して

消化器内科医になった起業家・弁護士・会計士、岡本武士による人生論や新たな視点の提供、身の回りの出来事に対するコメント等。

リセットボタン

2004-10-29 03:21:09 | 人生論・閃き
80年代後半、我々ファミコン世代はテレビよりゲームに燃えた。自分がストーリーの行方をあやつる主人公になれるロールプレイングゲーム(RPG)は夢にも出てくるほど、頭の中まで壮大なる影響を及ぼした。

そしてゲームの中の主人公は過激なリスクを背負い、通常では非現実的な選択肢を選ぶ。その理由に、セーブ機能とリセットボタンがあった。失敗したら、セーブ地点からやり直せばいいわけです。

当時私の最大の憧れは、ドラクエでもゼルダでもなかった。一番ほしかったのは、ゲームの中の飛空挺でも究極の魔法でもない。私がほしかったのは、このリセットボタンだった。

人生では一般的にやり直しが効かないということになっている。時間は無情に流れる。好きな子に告白をしたら、その後会話も出来ないかもしれない。そこに、リセットボタンが登場したとします。

ドラえもんの道具といえど、「もしもボックス」を除けばリセットボタン以上にほしいものは考えられません。やり直しが効くとしたら何でもやってみて、ダメだったらやり直せる。最高の人生が送れる。当時、そんな幻想の風に吹かれていました。

高校になるまでは、いろんな後悔がありました。大人から、「15歳の子供が、何を焦ってるんだ。これから何でもできるじゃないか」という目で私を見ていたのは知っています。でも、15歳の子供からすれば機会損失もやはりあり、命をかけてもいいと思うほど大事なものもあります。激しい恋もしますし、大きな決断にも迫られます。

しかし幸いにも高校のうちにで気付けたのが、リセットボタンの役割と我々の一生との関係。これに気付いたおかげで、水泳オンリーの生活から抜け出せ、色んな意味で人生が変わった。怯える対象が、9割以上減った。要は、やり直しが効けばいい。時間を取り戻したいのではなく、失った機会・勝利・愛・その他の何かを取り戻したいわけです。それなら、現実の世界でもやり方があります。

それは、もう一度トライすること。今から新たにチャレンジすること。また立ち上がること。後悔することがあったら、「やり直せないか」「代替案はないか」「今からではもう遅いのか」と考えてみるべきです。時間は巻き戻せなくても、過去の行動は取り消せなくても、心を一新することはできます。

後悔は、その肩を蹴って舞い上がるための助っ人に過ぎない。
まだ立てる。呼吸ができる。まだ戦える。まだ愛せる。
命さえあれば、なんとかなる。

リセットボタン
明日の朝日に
見つけたり