妄想による愉快な国際時事ネタ解釈
四生の盲者日記
二重規範のようですが
劉建超報道局長6日の記者会見
【北京6日共同】中国外務省の劉建超報道局長は6日の記者会見で、中国当局によるメディア規制強化などを批判した米政府の報告書に対し「内政干渉だ」と反論した。しかし、中国は今月後半に胡錦濤国家主席の訪米を控え対米関係を悪化させることを望んでおらず、当面は抑制的な対応を続ける構えだ。
劉局長は、中国当局によるインターネット検閲やメディアへの締め付けなど米国が指摘する問題には具体的に触れず「中国の人権政策は、万人が注目する成果を挙げている」と強調。「米国こそ自らの人権問題を反省するよう勧める。『人権』を内政干渉の口実にすべきでない」と反論した。
一方で「相互に平等な関係の中で人権問題の対話を進めることに反対はしない」と指摘した。
(共同通信) - 4月6日20時7分更新
【北京6日共同】中国外務省の劉建超報道局長は6日の記者会見で、小泉純一郎首相の靖国神社参拝について「日本の内政問題と位置付けることはできない。他国の人民の感情を傷つけ、対中関係の政治的基礎に影響を与えたからだ」と述べ、中国の靖国批判は内政干渉に当たらないとの見方をあらためて強調した。
劉局長は「大多数の日本人民と中国人民は中日友好を主張している」と語り、日中関係悪化の責任は靖国参拝を続ける小泉首相と一部の政治家にあるとの見方を重ねて指摘した。
(共同通信) - 4月6日22時3分更新
いい加減飽きてきたとはいえ「人権は内政問題であり、靖国参拝は内政問題ではない?そら二重規範じゃないですか」と抄訳ニュースだけ見たら言いたくなりますが、それはメディアなんたらいう横文字以前に研究的な態度とは言えません。ここは原典にあたるべきでしょう。
上記については、当然疑問に感じた記者がいたらしく(質問した記者の国籍は不明)、質疑応答が記録されています。
<抄訳>
2006年4月6日 外交部劉建超報道官定例記者会見応答録
質問:「内政」の意味はなにか?中国はアメリカの人権報告を中国内政を干渉するものだと批判しているが、同時に中国は日本の指導者が日本の靖国神社に参拝するのを強烈に批判している、これは日本内政への干渉ではないといえるのか?
回答:あなたはいつも論理的な質問をされますねえ、国連憲章をひっくり返してみればいかが?国連憲章にはなにが国家の内政問題なのか比較的明確に書いてあるのですよ。あなたは人権問題といったが、我々はこれは本質的に国内の事だと考えています、ただし我々は、各国間で平等に相手を尊重した上で人権問題について対話をおこう事を反対も排斥もしません、その目的はお互いに参考にし、学習し、国際人権業務を発展することにあるからです。我々が反対するのは、人権を口実に他国の内政を干渉する事であります。
我々が日本の指導者の靖国神社参拝に反対するのは、靖国神社の中にかつて中国人民を含めたアジア人民に巨大な災難をもたらしたA級戦犯の「霊位」が祀られているからです、日本の指導者のこのような参拝行動は日本の内政問題とは言えません、それはその他の国家の国民感情に影響し、日本と中国など関係する国家との重要な政治的関係に影響しました、もしこの問題が解決されないなら、日本と中国、アジア国家との関係は改善の役には立たないでしょう。
以下、上記回答が二重規範かどうか証明してみる
1.回答をそれぞれ二つの命題に分ける。
a:人権は内政問題である
b:靖国参拝は内政問題ではない
2.それぞれの命題の論拠は次のとおりである。
a':国連憲章に記載されている
b':他国の国民感情と政治的関係に影響した
3.上記a',b'に関連性はあるか、もしくは同等の意味をもつか?
<<国連憲章 第2条第7項>>
この憲章のいかなる規定も、本質上いずれかの国の国内管轄権内にある事項に干渉する権限を国際連合に与えるものではなく、また、その事項をこの憲章に基く解決に付託することを加盟国に要求するものでもない。但し、この原則は、第7条に基く強制措置の適用を妨げるものではない。
上記憲章において、いずれかの国の国民感情、複数国家間の「政治的関係」に関する記載はない。
したがって、a'とb'に関連性も、同義の関係もない。
3.結論
a',b'は全く別の論拠であり。二つの命題に対し、別の論拠が持ち出されているので、上記回答は二重規範である。
以上
これで証明になってます?
いや、証明以前に、「国民感情と政治的関係に影響した」という『結果』を『論拠』にしてる時点で、「靖国参拝は内政問題ではない」という命題は『循環論』であり崩壊しているのですけどね。
ご存知の通り、もともとこの問題の本質はそんなもの。
<<参考>>国連憲章
第1条第3項
経済的、社会的、文化的又は人道的性質を有する国際問題を解決することについて、並びに人種、性、言語又は宗教による差別なくすべての者のために人権及び基本的自由を尊重するように助長奨励することについて、国際協力を達成すること。