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蜘蛛の糸は切れた

昨年6月の(真)ブログ記事「半導体とワクチン」の中で、熊本県に台湾の半導体メーカーTSMCを誘致する話題を取り上げました。

その中で、半導体工場では様々な危険物を取り扱う旨を、私自らの業界経験として説明しましたが、具体的には

 1)引火性物質:IPA、TEOSなどのアルコール類、石油類
 2)発火性物質:ホスフィン、ジクロロメタンなど
 3)有毒物質 :トリクロロエチレン、アルシンなど

この他にも多くの危険な化学物質が製造工程の中で使用されています。もしも何かの理由で引火性物質に着火すれば、それにより、最悪の場合は発火性物質への連鎖的な反応、有毒物質の自然環境中の暴露など、周囲に甚大な被害をもたらす可能性もあるのです。

もちろん、法令でも危険物管理は厳格に定められているし、各メーカー共安全管理には細心の注意を払っているのも確かです。

しかし、危惧すべきは異常発生時の対策だけでなく、普段から有害排出物をどのように処理しているのかであり、そこにも目を配り続けなければなりません。

半導体工場が用いる化学物質の中には強力な発がん性物質もあり、TSMCの台湾国内の工場周辺では、それが問題になっているとの声も聞こえてきます。

そのような理由から、私だったら、まず半導体工場の近くになど住みたくはないし、誘致するなどもってのほかです。事情を知っていると「シリコンアイランド復活」などと呑気に浮かれてはいられないのです。

それでも、人里離れたところに建設されるならまだしも、市街地に隣接するように建てられた半導体工場は既に国内にいくつか存在しています。不測の事態は明日にでも起こる可能性があり、その時、周辺住民への健康被害がどうなるのか、想像したくもありません。

高度な安全基準が保たれているのは確かかもしれませんが、12年前の東日本大震災では、絶対に事故を起こさないと言われていた原子力発電所が被災し、メルトダウンするなどという前代未聞の大事故が起こりました。そして、その責任を誰もとっていません。

国策として再び半導体王国を目指すのは良いとしても、産業のコメと言われる半導体の製造にそれだけのリスクがあることをどれだけの人が認識しているのか、私が心配するのはまさにその点なのです。


写真:市街地に隣接する半導体工場(C)Google


写真:蜘蛛の糸は切れた (C)Google


キリストの御国にて記す
管理人 日月土
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