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●桜井昌司さん…《何事にも前向きで「この人生不運だったが、不幸ではなかった」と言い切る。だが冤罪に泣く他者のことになると柔和な表情は一変》

2023年10月08日 00時00分27秒 | Weblog

[↑ 映画『オレの記念日』フライヤー(https://oreno-kinenbi.com/wp-content/uploads/2022/08/oreno-kinenbi_flyer.pdf)]


(20230912[])
桜井昌司さん《他の冤罪被害者・支援者と積極的に交流し、冤罪をなくすための活動にも積極的に取り組んできました》、《同氏による冤罪をなくすための活動とその成果東京弁護士会人権賞の受賞に相応しいものです》。桜井さんの重要な貢献。
 布川冤罪事件で《潔白を勝ち取った男…冤罪被害者を支援し、濡れ衣を着せた司法の闇を世に引きずり出そうとしてい》た。《逮捕から仮釈放されるまでの身体拘束は約二十九年におよび無罪となるまでに約四十四年を要した》。先日8月23日に、お亡くなりになった。とても残念で仕方がない。もっともっと冤罪被害者の支援を続けていただきたかった。冤罪被害者やそのご家族の支援、桜井さんの重要な活動でした。

   『●桜井昌司さん《冤罪被害の実態を世の中に広く訴える活動…冤罪をなくす
       ための活動とその成果は東京弁護士会人権賞の受賞に相応しいもの》
   『●金聖雄監督《冤罪被害という絶望的なテーマの中で、私が映画を作り
     ながら希望を見出していくと言う不思議な感覚を、ぜひ映画を観る…》
   『●原一男さん《桜井昌司さんは違う。「冤罪事件が私を生まれ変わらせて
     くれた、ありがたい、と思っている」と価値観を逆転させる奇跡の言葉。》
   『●桜井昌司さんの〝獄中ノート〟が「…あったから、無罪をとれた。弁護士の
     皆さんが無罪をとれる、頑張ろうと発奮してくれたきっかけでもあった」

 そして、もう一つ忘れてはいけないことが《再審法を改正》、《再審法の制定》に向けての活動。

   『●飯塚事件…《裁判所は…検察に証拠品のリストの開示を勧告…したが、
     検察は「裁判所に権限はない」「事案の解明に意味はない」などと拒否》
    《布川事件冤罪被害者桜井昌司さん…「こんなことを優秀な裁判官が
     なぜわからないのか日本の警察はこれまでも証拠を捏造して
     きました。そうして、どれだけの人が刑務所に入れられ、殺されて
     きたか。すべてが無責任です。冤罪事件で国家賠償しても、だれも
     懐が痛まない。そのお金も税金です。足利事件、布川事件、
     ゴビンダさんの事件東電事件)、東住吉事件だれもその責任を
     追及しない。再審法を改正しないといけない。税金で集めた証拠を
     法廷に出すのは当たり前じゃないですか。久間さんの無念は必ず
     果たせると確信しています。必ず勝ちます。
     一緒にがんばりましょう。無惨に殺された人の無念を晴らす
     殺したのは誰か検察庁です」》

   『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
     刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ

 日刊スポーツのコラム【大谷昭宏のフラッシュアップ/桜井昌司さんの霊前に2つの「記念日」届けたい 無実の罪で29年間の服役】(https://www.nikkansports.com/general/column/flashup/news/202309110000105.html)。《何事にも前向きで「この人生不運だったが、不幸ではなかった」と言い切る。だが冤罪(えんざい)に泣く他者のことになると柔和な表情は一変する日野町事件大崎事件、もちろん袴田事件不当な判決や決定の場には決まって桜井さんの怒りをたぎらせた顔があった。その一方で冤罪をなくすことは、犯人をでっち上げた警察官、検察官、無実の人に不当な判決を下した裁判官、生涯もだえ苦しむこの人たちを楽にしてあげることにもなるという》。

   『●日野町事件《遺族による「死後再審」の請求を認めた大津地裁の決定を
     支持…決め手は、元の公判で検察が開示していなかった実況見分の際の…》
    《「疑わしきは被告の利益にという原則を再審請求の審理にも適用
     した妥当な判断だ。元受刑者は他界しており、名誉回復への道は
     遠かった審理の長期化を改め、情報開示の制度化など、えん罪を
     防ぐための仕組みづくりを急ぐべきだ

   『●大崎事件《無辜の人の救済》の理念はどこに? 《医学の専門家でない裁判
      所が十分な根拠も示さず、専門家による科学的証拠を退けた不当な判断》
   『●袴田事件…《検察は…「色合いなどもう1度、調べる」とする動きがある
     …裁判官が“デッチ上げ”と見ている証拠から何を引き出そうというのか》

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https://www.nikkansports.com/general/column/flashup/news/202309110000105.html

大谷昭宏のフラッシュアップ
2023年9月11日8時0分
大谷昭宏桜井昌司さんの霊前に2つの「記念日」届けたい 無実の罪で29年間の服役

 8月23日死去、31日ご葬儀。日にちがたってしまったが、この方の訃報にはどうしてもふれておきたい。無実の罪で29年間も服役した布川事件桜井昌司さんが亡くなった。76歳だった。

 最後にお会いしたのは昨年10月。自身を描いた映画「オレの記念日」が完成、大阪の劇場で舞台あいさつされた時だった。がんと闘病中だったが「医者が2年という余命宣告を1年超えたよ」と、舞台の合間に元気に京都を往復されていた。

 バンド演奏に詩作り。何事にも前向きで「この人生不運だったが、不幸ではなかった」と言い切る。だが冤罪(えんざい)に泣く他者のことになると柔和な表情は一変する日野町事件大崎事件、もちろん袴田事件不当な判決や決定の場には決まって桜井さんの怒りをたぎらせた顔があった。その一方で冤罪をなくすことは、犯人をでっち上げた警察官、検察官、無実の人に不当な判決を下した裁判官、生涯もだえ苦しむこの人たちを楽にしてあげることにもなるという。

 水戸市で行われた葬儀では、そんな桜井さんが刑務所内で「人生にはいつか春が来る」の思いを込めて作詩した「ゆらゆら春」を合唱。やさしかった桜井さんの思い出に、唇をふるわせている人もいたという。

 不当な無期懲役の判決が確定した日も、息子の無罪を訴えて駅に立ってくれた父が亡くなった日も、みんな「オレの記念日」にしてきた桜井さん。いまも検察の陰湿執拗(しつよう)な審理妨害が続く袴田事件の87歳、さんの再審無罪確定。そして生涯の念願だった再審法の制定。この2つの新たな記念日を、1日も早く桜井さんの霊前にお届けしたい。

大谷昭宏(おおたに・あきひろ)ジャーナリスト。TBS系「ひるおび」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。
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●東京新聞《検察は袴田さんを再び収監して、死刑にすべきだと本気で考えているのだろうか。東京高裁は捜査機関による「証拠の捏造」の可能性…》

2023年07月28日 00時00分01秒 | Weblog

[↑ ※《第三者は捜査機関の者である可能性が極めて高いと思われる》(『報道特集』、2023年03月18日[土])]


(2023年07月12日[水])
袴田巖さん《いまも、死刑囚のまま》をいつまで続けるつもりなのか、検察は? 《捜査機関による証拠捏造》まで行っていたというのに…。刑事司法の原則《「疑わしきは被告の利益に」という原則》を蔑ろにした司法の罪もあまりにも重い。
 東京新聞の記事【袴田さん再審、有罪立証へ 検察、弁護側と全面対決】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/262093)によると、《再審で無罪が言い渡される公算は大きいとみられるが、検察と弁護側が争うことになり、審理が長引く可能性が高まった》。

 立川談四楼@Dgoutokujiさんのつぶやき:

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https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1678973947604512768

立川談四楼@Dgoutokuji

「袴田巌さん姉ひで子さん『法廷で無罪聞かせたい』検察の有罪立証方針に冷静」ひで子さん(90)は冷静かつ強い。「ここで2、3年長くなったってどうってことないですよ」ときた。闘ってきた人は違うね。検察の手口なんぞ知り抜いてるんだ。検察よ、心してかかれ。そしてこの姉弟にきっちり謝罪するんだ

午後0:45 · 2023年7月12日
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 記者会見での袴田秀子さんの対応を見ていて、本当に頭の下がる思いだ。90歳ですよ…。《袴田さんはすでに八十七歳…一刻も早く「無罪」の宣告をすべき》(東京新聞社説)。冷酷にも、検察は、袴田さんらが訴えることが出来なくなることを持っている、時間稼ぎしているとしか思えない。

   『●飯塚事件…《裁判所は…検察に証拠品のリストの開示を勧告…したが、
     検察は「裁判所に権限はない」「事案の解明に意味はない」などと拒否》
   『●大崎事件《無辜の人の救済》の理念はどこに? 《医学の専門家でない
     裁判所が十分な根拠も示さず、専門家による科学的証拠を退けた不当な判断》
   『●男性警部補「捏造ですね」…とんでもない冤罪事件・捏造事件・でっち

     上げ事件、国賠が認められても《勾留後に亡くなった1人》の命は戻らない

 東京新聞の【<社説>袴田さんの再審 審理を長引かせるな】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/262284)によると、《検察は袴田さんを再び収監して、死刑にすべきだと本気で考えているのだろうか。東京高裁は捜査機関による「証拠の捏造(ねつぞう)」の可能性を指摘している。検察は「捏造」の言葉に拒否反応を示しているのかもしれないが、もはや検証すべきは当時の捜査の在り方を巡る問題点にほかならない袴田さんはすでに八十七歳になる。「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則に従って、一刻も早く「無罪」の宣告をすべきと考える》。

   『●《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん、再審開始決定…せめて
    《一刻も早く「無罪」とすべく、検察は不服を唱えるべきではない》
   『●袴田巖さん、袴田秀子さん ――― 《捜査機関による証拠捏造》とまで
     言われているのだ、検察側が特別抗告を断念するのも、当然の結果だろう
   『●袴田冤罪事件: 《「…第三者がみそ漬けにした可能性がある」》《捜査
      機関による証拠捏造》《犯行着衣について捜査機関の捏造とまで…》
   『●<コラム 筆洗>《高裁は捜査機関による証拠捏造の可能性まで踏み
     込んでいる…袴田さんをただ犯人にしたいという卑劣なトリックだろう》
   『●袴田冤罪事件…袴田巖さんや袴田秀子さんらの人生をめちゃめちゃ
     にした《捜査機関による証拠捏造》に対して責任ある対応が求められる
   『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
     刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ
   『●袴田冤罪事件…袴田巖さんや袴田秀子さんらの人生をめちゃめちゃに
     した《捜査機関による証拠捏造》に対して責任ある対応が求められる
   『●《捜査機関による証拠捏造》…無罪判決を勝ち取り《いまも、死刑囚の
     まま》から脱却できても、「拘禁反応」に苦しめられ続ける袴田巖さん

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/262093

袴田さん再審、有罪立証へ 検察、弁護側と全面対決
2023年7月10日 18時01分 (共同通信)

     (袴田巌さんの再審公判で検察側が有罪を立証する方針を
      静岡地裁に示したことを受け、姉ひで子さん(左)と
      記者会見する弁護団事務局長の小川秀世弁護士
      =10日午後、静岡市)

 1966年に静岡県清水市(現静岡市)の一家4人が殺害された事件で死刑が確定し、釈放された袴田巌さん(87)の裁判をやり直す再審公判で、検察側は10日、袴田さんの有罪を立証する方針を静岡地裁に伝えた。弁護側は無罪を主張している。再審で無罪が言い渡される公算は大きいとみられるが、検察と弁護側が争うことになり、審理が長引く可能性が高まった

 刑事訴訟法は再審開始について「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」があった時と定める。東京高裁は今年3月、確定判決が「犯行着衣」とした衣類5点の証拠を、捜査機関側が捏造した可能性が極めて高いと指摘。「到底袴田さんを犯人と認定できない」とし、再審開始決定をした。

 検察は最高裁への特別抗告を断念し、再審開始が確定した。特別抗告は憲法違反や判例違反がある場合に限られ、理由が見いだせないとして断念したが、再審公判で主張する内容に法的な制限はない。
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/262284

<社説>袴田さんの再審 審理を長引かせるな
2023年7月11日 07時43分

 一九六六年に起きた静岡県の四人殺害事件で犯人とされた袴田巌さんの再審公判を巡り、検察側が有罪立証すると表明た。これまで争点となっていた「衣類の血痕」について反論するというが、審理を長引かせることは避けるべきである。

 静岡地検は再審公判で五点の衣類の血痕について反論すると静岡地裁に伝えた。この衣類はあくまで犯行時に袴田さんが着ていたものとの主張である。

 衣類は袴田さんの勤務先のみそタンクから発見された。当時の捜査資料では血痕の色は「濃赤色」と記されたが、弁護側は実験や鑑定に基づいて「長期間、みそ漬けにされた血痕には赤みは残らない」と主張。東京高裁も認めて再審決定につながった。

 静岡地検は十日、赤みが残ることは不自然ではないことを法廷で立証すると明らかにした。

 確かに、同じ争点の場合、新証拠の証明力を弾劾する証拠であれば、提出可能とされている。

 しかし、既に四十年以上も裁判のやり直しを求めていた事件である。第二次の再審請求審から九年間も「色」を巡る攻防が繰り返されてきた経緯もある。

 問題の衣類は、確定判決の決め手だったが、そもそも袴田さんが着られるサイズでなかった。検察は「縮んだ」とも「袴田さんが太ったため」とも…。事件後、何と一年二カ月もたっての発見という経緯にも不自然さが残る。

 今回の検察方針は、これまで争点でなかった事実や証拠を再審公判で唐突に持ち出すことには当たらないとしても、同じ論点でこれ以上、時間をかけることが本当に正義にかなうのか

 検察は袴田さんを再び収監して、死刑にすべきだと本気で考えているのだろうか

 東京高裁は捜査機関による「証拠の捏造(ねつぞう)」の可能性を指摘している。検察は「捏造」の言葉に拒否反応を示しているのかもしれないが、もはや検証すべきは当時の捜査の在り方を巡る問題点にほかならない

 袴田さんはすでに八十七歳になる。「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則に従って、一刻も早く「無罪」の宣告をすべきと考える。
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●大崎事件《無辜の人の救済》の理念はどこに? 《医学の専門家でない裁判所が十分な根拠も示さず、専門家による科学的証拠を退けた不当な判断》

2023年06月23日 00時00分37秒 | Weblog

―――――― (里見繁氏) 布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》


(20230607[])
大崎事件、(第4次再審請求の即時抗告審)再審開始認めず。福岡高裁宮崎支部・矢数昌雄裁判長殿、一体どうなってんのかね、裁判所は? ――― 原口アヤ子さん、一貫して「あたいはやっちょらん」。《「無辜(むこ)の人の救済を目的とする再審の理念》はどこに? (西日本新聞)《医学の専門家でない裁判所が十分な根拠も示さず、専門家による科学的証拠を退けた不当な判断と言える》。
 原口アヤ子さんの懸命の叫びは裁判官には届かない…。(2022年07月)《これまでに地裁、高裁で3度再審開始が認められたが、いずれも検察側の不服申し立てを受け、2019年には最高裁が、鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部の開始決定を取り消していた》、かつて、最「低」裁ちゃぶ台返ししている。

   『●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求
     ・糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》
   『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
       侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?
   『●原口アヤ子さん・大崎冤罪事件…《被害者は自転車事故による出血性
     ショックで死亡した可能性があり「殺人なき死体遺棄事件」だった》?
   『●大崎事件、再審開始を認めず ――― 終始一貫して「あたいはやっちょ
     らん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びはなぜ裁判官には届かないのか?
   『●大崎事件冤罪・原口アヤ子さん「あたいはやっちょらん」「やっちょ
     らんもんはやっちょらん」「ちゃんと認めてもらうまでは死ねない」

 西日本新聞の一連の記事。
 【【速報】鹿児島の「大崎事件」再審開始を認めず 高裁宮崎支部】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095049/)によると、《鹿児島県大崎町で1979年に男性=当時(42)=の遺体が見つかった「大崎事件」で、一貫して無実を主張しながら殺人と死体遺棄の罪で懲役10年が確定し、服役した原口アヤ子さん(95)が裁判のやり直しを訴えた第4次再審請求の即時抗告審について、福岡高裁宮崎支部(矢数昌雄裁判長)は5日、再審開始を認めない決定をした。事故死だとする弁護側主張が認められるかどうかが争点だった》、《原口さんの再審請求は、地裁と高裁で計3度、認められたが、いずれも検察が抗告。上級審が再審開始を取り消す異例の経過をたどっていた》。
 【【社説】大崎事件「棄却」 再審は誰のための制度か】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095634/)にると、《刑事裁判をやり直す再審制度はいったい誰のためにあるのか。改めて根本的な疑問を抱かざるを得ない。殺人罪などが確定、服役した原口アヤ子さん(95)が無実を訴え続ける鹿児島県の「大崎事件」の第4次再審請求即時抗告審である。福岡高裁宮崎支部は、被害者とされる男性は事故死だったとする弁護側の主張を退けた鹿児島地裁決定について「判断に誤りはない」として、訴えを棄却した》。

   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
   『●NNNドキュメント【死刑執行は正しかったのかⅢ ~飯塚事件・真犯人
      の影~】…《死刑冤罪の闇を12年間追跡し続けたドキュメンタリー》
   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】
   『●人質司法による《身柄拘束は実に約十一カ月間》、大川原化工機の
     大川原社長ら…《こんなにひどいことはないと感じたという》青木理さん
   『●《判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性
     を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している》
    《殺害容疑をかけられて12年間服役した元看護助手・西山美香さんは
     今年3月、再審無罪が確定した。…西山さんの弁護団長を務めた
     井戸謙一弁護士は…「冤罪で絶望している人に道を開いた裁判だ
     と思います」…判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の
     改善の必要性を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない
     と話している》。
    《無実でも有罪判決が確定すると、それを晴らす道は極めて狭い
     再審関係の条文は古いままで、手続きも事実上、裁判官のさじ加減次第
     である。無辜(むこ)を救う究極の人権救済の法整備は急ぐべきだ

   『●日野町事件《遺族による「死後再審」の請求を認めた大津地裁の決定を
     支持…決め手は、元の公判で検察が開示していなかった実況見分の際の…》
    《「疑わしきは被告の利益にという原則を再審請求の審理にも適用
     した妥当な判断だ。元受刑者は他界しており、名誉回復への道は
     遠かった審理の長期化を改め、情報開示の制度化など、えん罪を
     防ぐための仕組みづくりを急ぐべきだ

   『●《読者はこうした報道を何日もシャワーのように浴びた。…裁判官たちも
         例外では》ない…袴田事件の《冤罪に加担したメディアの責任》
    《袴田事件は、代用監獄長期勾留死刑制度、再審制度など日本の
     刑事司法が抱える重大な問題の全てを孕んだ事件だが、
     マスメディアの報道のあり方についても大きな課題を突きつけている
     今なお続く犯人視報道、人権侵害報道――この事件で、袴田さんと
     同じく、人生を大きく狂わされた熊本さんが私たちに遺した大きな宿題だ

   『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
     刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ

 【「再審の在り方に逆行」 大崎事件の高裁決定、元裁判官らが批判】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095326/)によると、《大崎事件の第4次再審請求を認めなかった5日の福岡高裁宮崎支部決定に対し、識者や元裁判官からは「確定判決は正しいとの直感に基づき、証拠から事実を認定していない決定内容は(請求を棄却した)鹿児島地裁決定の焼き直し」との批判が相次いだ。「無辜(むこ)の人の救済を目的とする再審の理念に立ち返るべきだとの声も聞かれた》。
 【【解説】医学的証拠を軽視した判断 大崎事件再審不開始】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095330/)によると、《【解説】今決定は、弁護側の新証拠を否定し、原口アヤ子さん(95)と親族が殺人、死体遺棄の犯人だとする確定判決が正しいと結論付けた。医学の専門家でない裁判所が十分な根拠も示さず、専門家による科学的証拠を退けた不当な判断と言える》、《疑義ある自白、また吟味されず 弁護側は「被害者は事故死だった」と主張。根拠は埼玉医科大教授で高度救命救急センター長の澤野誠医師による「医学鑑定」だ》。
 【鹿児島「大崎事件」4次請求、高裁も再審認めず 弁護側の「事故死」主張退ける宮崎支部決定】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095332/)によると、《鹿児島県大崎町で1979年に男性の遺体が見つかった「大崎事件」で、一貫して無実を主張しながら殺人と死体遺棄の罪が確定し、服役した原口アヤ子さん(95)が裁判のやり直しを求めた第4次再審請求で、福岡高裁宮崎支部(矢数昌雄裁判長)は5日、再審開始を認めない決定をした。「男性は事故死だった」と主張する弁護側が根拠とした医学鑑定について「決定的な証拠とはいえない」として請求を棄却した昨年6月の鹿児島地裁決定を追認した》。
 【親族の自白の信用性のなさ「分厚く書くべきだった」 大崎事件第3次請求で再審認めた元裁判長の後悔】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095633/)によると、《鹿児島県大崎町で1979年に男性の遺体が見つかった「大崎事件」の第4次再審請求で、福岡高裁宮崎支部(矢数昌雄裁判長)は5日、殺人罪などで服役後も無実を訴える原口アヤ子さん(95)の裁判のやり直しを認めなかった。同支部の裁判長として第3次請求を審理し、20183月に再審を認めた根本渉弁護士(66)…》。

 袴田事件…事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ
 最後に、【再審法改正「超党派で」 日弁連の集会、国会議員ら出席】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095651/)によると、《日本弁護士連合会は6日、再審法(刑事訴訟法の再審規定)の整備を求める集会を国会内で開いた。法曹関係者に加え、与野党の議員が約60人(代理も含む)出席。証拠開示の制度化や、再審請求審での検察の不服申し立て(抗告)禁止を法制化する必要があるとの認識で一致した。再審を規定する刑事訴訟法の条文はわずか…》。

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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095049/

【速報】鹿児島の「大崎事件」再審開始を認めず 高裁宮崎支部
2023/6/5 11:07 (2023/6/5 12:29 更新)
#大崎事件 #イチから学ぶ 大崎事件 #事件事故裁判
山口新太郎

     (再審開始の可否決定を控え、福岡高裁宮崎支部前で
      のぼりなどを掲げる大崎事件の支援者たち=
      5日午前9時51分、宮崎市(撮影・星野楽))
     (再審開始が認められず、支援者に受け止めを話す
      鴨志田祐美弁護士=5日午前11時5分、宮崎市の
      福岡高裁宮崎支部(撮影・星野楽))
     (再審開始が認められず、「不当決定」と書かれた旗を
      掲げる関係者(中央)=5日午前11時2分、宮崎市の
      福岡高裁宮崎支部(撮影・星野楽))
     (福岡高裁宮崎支部に入る大崎事件の弁護団=
      5日午前10時44分、宮崎市(撮影・星野楽))

 鹿児島県大崎町で1979年に男性=当時(42)=の遺体が見つかった「大崎事件」で、一貫して無実を主張しながら殺人と死体遺棄の罪で懲役10年が確定し、服役した原口アヤ子さん(95)が裁判のやり直しを訴えた第4次再審請求の即時抗告審について、福岡高裁宮崎支部(矢数昌雄裁判長)は5日、再審開始を認めない決定をした。事故死だとする弁護側主張が認められるかどうかが争点だった。


【解説】司法の判断に疑問、有罪の疑わしさは明白

 原口さんの再審請求は、地裁と高裁で計3度、認められたが、いずれも検察が抗告。上級審が再審開始を取り消す異例の経過をたどっていた。

 原口さんを有罪とした確定判決によると、被害者の男性(原口さんの義弟)は79年10月12日、酒に酔って側溝に転落し、路上に倒れていた。軽トラックで迎えに来た隣人2人が荷台に乗せ、男性の自宅に連れ帰った。原口さんは男性を日頃から良く思っておらず、泥酔して土間に座り込む姿を見て殺害を決意。夫と別の義弟に持ちかけて絞殺し、おいも加わって遺体を牛小屋の堆肥に埋めた-とされた。

 弁護側は「男性は殺害されたのではなく、側溝転落による事故死だった」と主張。第4次請求では新証拠として、救急救命医の医学鑑定などを提出した。医学鑑定は、男性が側溝転落で頸(けい)(ずい)(首の神経)を損傷し、運動まひを負ったと推定。隣人2人の不適切な搬送もあって状態が悪化し、「自宅に運ばれた時点で呼吸停止して死亡していた」と結論づけていた。

 昨年6月の鹿児島地裁決定は、医学鑑定が指摘した状況が起きた可能性は「否定できない高くない」として再審を認めず、弁護側が即時抗告した。

 高裁支部の審理でも、弁護側は医学鑑定を新証拠の柱に位置付けた。検察側は、医学鑑定を「基礎になった情報は限定的で、証明力に限界がある」と主張した。(山口新太郎


イチから学ぶ 大崎事件
解決したはずの殺人事件が「そもそも、実は殺人事件ではなかった」―。そんな可能性が指摘されている「大崎事件」をできるだけ分かりやすく説明します
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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095634/

【社説】大崎事件「棄却」 再審は誰のための制度か
2023/6/7 6:00
#総合面 #事件事故裁判 #大崎事件

 刑事裁判をやり直す再審制度はいったい誰のためにあるのか。改めて根本的な疑問を抱かざるを得ない。

【関連】鹿児島「大崎事件」4次請求、高裁も再審認めず 弁護側の「事故死」主張退ける

 殺人罪などが確定、服役した原口アヤ子さん(95)が無実を訴え続ける鹿児島県の「大崎事件」の第4次再審請求即時抗告審である。

 福岡高裁宮崎支部は、被害者とされる男性は事故死だったとする弁護側の主張を退けた鹿児島地裁決定について「判断に誤りはない」として、訴えを棄却した。

 この事件は物証に乏しい。関係者の供述が有罪立証の柱で、確定判決は状況証拠の積み重ねから導かれた。

 まず指摘したい。今回の決定は「疑わしきは被告人の利益にという刑事裁判の原則にかなっているだろうか。

 最大の争点は、弁護側が提出した救急医による医学鑑定の評価だった。再審開始の要件となる新証拠だ。

 決定は、新証拠により、確定判決で示された解剖医の旧鑑定は証明力が減殺されたとは認めながら、殺人などの事実認定は「客観的状況や共犯の自白」により維持される、と結論付けた。

 刑事裁判は起訴内容に合理的な疑いの余地があれば有罪とはならない。決定に対し弁護団は「(私たちに)無罪の立証を要求しているようだと批判した。確かに、決定の証拠評価には疑問が残る。

 原口さんは逮捕時から一貫して無実を主張している。過去に3回の再審開始決定を受け、いずれも覆った。2019年には、鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部の開始決定を最高裁が取り消した。このときも第三者の鑑定より供述に重きを置く論理構成だった。

 この最高裁の判断が、大崎事件再審請求を担当する裁判官に影響を与えていないか。再審は認めずとの結論ありきの審理なら許されない。

 弁護団は「甚だしい人権侵害」として最高裁に特別抗告する。最高裁には丁寧で説得力のある審理を求めたい。

 今回の決定を受け、再確認しなければならないのは刑事訴訟法435条である。再審請求は確定判決を受けた者の利益のためにあると定める。誤判により冤罪(えんざい)が生じる現実を否定できないからだ。

 ただ再審のルールは十分に明文化されてはいない。これまで私たちは社説で、再審開始の決定が出たら速やかに舞台を再審の法廷に移すルール作りを提案してきた

 非公開の再審請求審ではなく、公開の再審法廷で検察、弁護双方が主張を戦わせ、有罪かどうかはその場で裁判所が判断すればよい。確定判決の安定性も大事だが、現状は損なうものが大き過ぎる。

 今年に入り、高裁レベルで再審開始の判断が相次いだ。静岡県で1966年に起きた袴田事件や滋賀県日野町で84年に発生した強盗殺人事件である。専門家の間でも再審法整備を求める声が高まっていることも背景にあろう。これを大きなうねりにしたい。
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●《捜査機関による証拠捏造》…無罪判決を勝ち取り《いまも、死刑囚のまま》から脱却できても、「拘禁反応」に苦しめられ続ける袴田巖さん

2023年05月28日 00時00分45秒 | Weblog

[↑ ※《第三者は捜査機関の者である可能性が極めて高いと思われる》(『報道特集』、2023年03月18日[土])]


(20230514[])
捜査機関による証拠捏造》まで行っていたデタラメな警察、それに手を課した検察、なんども見逃した裁判官…たとえ無罪判決を勝ち取り《いまも、死刑囚のまま》から脱却できても、「拘禁反応」に苦しめられ続ける袴田巖さん。48年の月日は戻らない。もっともとお早く再審を始めていれば…。刑事司法の原則《「疑わしきは被告の利益に」という原則》を蔑ろにした司法の罪もあまりにも重い。
 西田直晃記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/幻覚、妄想…「拘禁反応」の恐ろしさとは? 袴田事件で浮き彫りに 再審無罪ならば回復するのか】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/247402?rct=tokuhou)によると、《東京高裁での再審開始決定を受け、早期の無罪の宣告を待ちわびる死刑囚の袴田巖さん(87)。長期の収監や死刑の恐怖による拘禁反応が残り、現実と妄想が入り交じる言葉をたびたび繰り返してきた完全な回復の見通しは立っていない。「自由を望む袴田さんをさいなむ拘禁反応の恐ろしさとは。(西田直晃)》。

   『●《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん、再審開始決定…せめて
    《一刻も早く「無罪」とすべく、検察は不服を唱えるべきではない》
   『●袴田巖さん、袴田秀子さん ――― 《捜査機関による証拠捏造》とまで
     言われているのだ、検察側が特別抗告を断念するのも、当然の結果だろう
   『●袴田冤罪事件: 《「…第三者がみそ漬けにした可能性がある」》《捜査
      機関による証拠捏造》《犯行着衣について捜査機関の捏造とまで…》
   『●<コラム 筆洗>《高裁は捜査機関による証拠捏造の可能性まで踏み
     込んでいる…袴田さんをただ犯人にしたいという卑劣なトリックだろう》
   『●袴田冤罪事件…袴田巖さんや袴田秀子さんらの人生をめちゃめちゃ
     にした《捜査機関による証拠捏造》に対して責任ある対応が求められる
   『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
     刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ
   『●袴田冤罪事件…袴田巖さんや袴田秀子さんらの人生をめちゃめちゃに
     した《捜査機関による証拠捏造》に対して責任ある対応が求められる

 (こちら特報部)《中島さんは言う。「拘禁反応をなくすことはできず、刑事施設での治療の充実、医療刑務所への移送などを柔軟に取り入れるべきだ個人的には、誤判を防げないのだから、取り返しの付かなくなる死刑はやめたほうがいいと思う」》。
 (冤罪だろうが知ったこっちゃない?)〝犯罪者〟・獄中者にならば、何をしてもいいのか? 入管法改正という名の改悪も同じだと思うんですよね。《これは人の命を奪いかねない法案であり、可決されれば私たちの社会は人を見殺すことに加担することになる》(リテラ)。

   『●「殺す側の論理」、ついには人の「死」にまで「自己責任論」を持ち
      出すようになったよ。あなたは「殺す側」に居るつもりらしいが…
   『●安田菜津紀さん《安倍政権とは何だったのか…「強きにすり寄り、弱き
     をへし折る政権」…「引き継がれた『膿』を出し切るのはこれから」》
   『●亡くなられてこの世に居ないウィシュマさんも、斎藤健法相同様、《自分
      がそういうことになれば、公開してほしくない》と思っただろうか?
   『●《坂本さんは…『声を上げる。上げ続ける。あきらめないで、がっかり
     しないで、根気よく。…』。本当にそう。勇気を出して諦めないで…》
   『●映画『主戦場』〝主演〟で言いたいことを言いまくる「妖怪の孫」の
     〝子供たち〟…「強きにすり寄り、弱きをへし折る政権」の継承が未だに…
   『●海渡雄一さん《組合について「政治犯がつくった組織だが、一般刑事犯と
     関わりながら、罪を犯した背景や社会復帰を考える場になっていた」》
   『●《…「常識」が削ぎ落とされた閉鎖空間に、司法の介在なく収容され、
     何度訴えても適切な医療が受けられないこと自体が拷問ではないか》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/247402?rct=tokuhou

こちら特報部
幻覚、妄想…「拘禁反応」の恐ろしさとは? 袴田事件で浮き彫りに 再審無罪ならば回復するのか
2023年5月2日 17時00分

 東京高裁での再審開始決定を受け、早期の無罪の宣告を待ちわびる死刑囚の袴田巖さん(87)。長期の収監や死刑の恐怖による拘禁反応が残り、現実と妄想が入り交じる言葉をたびたび繰り返してきた完全な回復の見通しは立っていない。「自由を望む袴田さんをさいなむ拘禁反応の恐ろしさとは。(西田直晃

     (袴田巌さん、姉ひで子さん=3月、静岡市で)


◆「死刑囚」の呼称は外れるが

 「頑張ろうという闘いでございます」

 3月下旬、再審開始決定が出た翌日の静岡市での報告集会。マイクを握った袴田さんは自ら来場者に語り掛けた。再審公判で無罪判決が確定すれば、43年もの間、背負い続けてきた「死刑囚」の呼称はようやく外れる。とはいえ、支援者の山崎俊樹さん(69)によると、現状を理解しているかは定かでないという。

 袴田さんは2014年3月に静岡地裁が拘置の停止を決定し、釈放された後、浜松市内で姉ひで子さん(90)とともに暮らしてきた。釈放当初から今に至るまで、会話もほとんど成り立たない。「袴田事件は存在しない」「裁判は終わった」といった事実とずれた発言が今も続く。

 袴田さんの症状は、刑事施設などへの収容によって、幻覚、妄想、興奮、混迷、的外れな応答などが生じる拘禁反応とみられる。


◆数日で消えるはずが慢性化

 再審開始を決めた東京高裁に弁護団が証拠として提出した報告書によると、袴田さんは歯痛や腰痛、発熱などの不調を外部からの攻撃と捉えがちという。男性への警戒心が特に強く、「男は殺し合いを始める」などと発言する場面も。07年に東京拘置所で面会し、釈放時の主治医を務めた精神科医中島直(なおし)さん(57)は「袴田さんの特徴は、拘禁反応の慢性化。拘禁状態では、誰もが程度の差こそあれ発症するが、多くは数日で消える」と語る。

 中島さんによると、袴田さんの場合、1980年の死刑確定以降に「激しい興奮を示すことがあり、食事や排せつ物を用いたいたずら、面会の拒否、『悪いやつが電波を出している』などの妄言が目立ち始めた」と説明する。面会の翌年、中島さんは拘置所の記録や手紙、接見した所見から、死刑に適応できず、医療刑務所や精神科病院への移送が必要とする意見書を書いた。

 誇大妄想を抱き、自分の置かれた状況、自分自身の氏名さえ認めなかった。今は激しい興奮やいたずらはなくなったが、会話が成立しないのは、「袴田さんの中では状況を『知りたい』『知りたくない』という二つの意思が交錯し、対立しており、ずれた応答が返ってくるからだ」。

 さらに「慢性化した要因には、死刑の恐怖プラスアルファがありそうだ」とみる。「収監中に経験した母の死、他の確定死刑囚に再審無罪が出たのに『次は自分が』という期待が実らず、収容が長期化した点もあるかもしれない」と推測する。


◆快方に向かうのか

 今後、快方に向かう可能性はあるのか。今年1月に死去した作家・精神科医の加賀乙彦(おとひこ)さんは、講演会などで「無罪判決が出たら、病気は治ると思われる」との見方を示した。

 しかし、中島さんは「可能性がある、としか言えない」と話す。「釈放後、淡い期待を持ったが、回復は難しかった。ただし、『死刑囚』という立場が無罪判決で変われば、何らかの影響を与えるかもしれない」。先月、浜松市で会った際には「拘禁反応は相変わらずだが、少しだけ表情がやわらぎ、ゆとりを感じた」という。

 中島さんは言う。「拘禁反応をなくすことはできず、刑事施設での治療の充実、医療刑務所への移送などを柔軟に取り入れるべきだ個人的には、誤判を防げないのだから、取り返しの付かなくなる死刑はやめたほうがいいと思う


【関連記事】袴田さん再審確定 追い詰められた検察、高裁の緻密な認定覆す余地はなく…
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●<コラム 筆洗>《高裁は捜査機関による証拠捏造の可能性まで踏み込んでいる…袴田さんをただ犯人にしたいという卑劣なトリックだろう》

2023年04月05日 00時00分03秒 | Weblog

[↑ ※《第三者は捜査機関の者である可能性が極めて高いと思われる》(『報道特集』、2023年03月18日[土])]


(2023年03月21日[火])
東京新聞の【<コラム 筆洗>江戸川乱歩の『D坂の殺人事件』に色をめぐる奇妙な話が出てく…】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/238083?rct=hissen)。《▼高裁は捜査機関による証拠捏造(ねつぞう)の可能性まで踏み込んでいる震える。事実なら小説の見立て違いどころではなく、袴田さんをただ犯人にしたいという卑劣なトリックだろう》。

 検察=《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》。「証拠なんかねえよ」どころか、証拠を捏造。《真犯人なんか誰でもいい》どころか、袴田さんサイドに、袴田さんが「犯人でないのならば、真犯人は誰か?」を求めるデタラメ。司法が、真犯人を逃すという二重、三重の意味での甚大なミスをやった訳。
 しつこく、しつこく。何度でも、書こうと思う。《元裁判官は、「判決とは国家の意思なんだ…」》、これは今も変わらないのでは。斎藤貴男さん《「梅田事件」…当時、「週刊文春」の記者だった私は、彼を殺人犯に仕立てた連中に、「今のお気持ちは」と尋ねて回る取材を仰せつかったのだが、凄まじい成果を得てしまった。「犯人は梅田だと上が言うから逮捕したまで証拠なんかねえよ」と、元刑事は笑ったし、元裁判官は、「判決とは国家の意思なんだ真犯人なんか誰でもいい裁判所が死刑だと言えば吊るせばいい無期だと言ったらつなげばいいんだ」と、力説してくれたものである》。
 「裁判所が死刑だと言えば吊るせばいい」…(里見繁氏) 布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》

 《「…第三者がみそ漬けにした可能性がある」》《捜査機関による証拠捏造》《証拠を捜査機関側が捏造した可能性が極めて高い》《犯行着衣について捜査機関の捏造 (ねつぞう) とまで踏み込んだ高裁決定》《袴田さんをただ犯人にしたいという卑劣なトリック》とまで言われているのだ、最高裁への特別抗告を断念という当然の結果。さっさと裁判を開始し、即座に「無罪」判決を。
 それにしても、あまりに長い…。《検察側はみそに長期間浸(つ)かっていても「赤み」は残ると主張していたが、高裁が実験結果を踏まえ、判断したのは「赤みは消える」》…メイラード反応の件が問題になってからも、10年近く経つのではないか。袴田巖さん、姉の袴田秀子さん、償いようのない48年。《そして、人生を奪った》。無罪判決を勝ち取り《いまも、死刑囚のまま》から脱却できても、「拘禁反応」に苦しめられる袴田巖さん。48年の月日は戻らない。《「疑わしきは被告の利益にという原則》を蔑ろにした司法の罪はあまりにも重い。

   『●《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん、再審開始決定…せめて
    《一刻も早く「無罪」とすべく、検察は不服を唱えるべきではない》
   『●袴田巖さん、袴田秀子さん ――― 《捜査機関による証拠捏造》とまで
     言われているのだ、検察側が特別抗告を断念するのも、当然の結果だろう
   『●袴田冤罪事件: 《「…第三者がみそ漬けにした可能性がある」》《捜査
      機関による証拠捏造》《犯行着衣について捜査機関の捏造とまで…》






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https://www.tokyo-np.co.jp/article/238083?rct=hissen

<コラム 筆洗>江戸川乱歩の『D坂の殺人事件』に色をめぐる奇妙な話が出てく…
2023年3月15日 06時58分

 江戸川乱歩の『D坂の殺人事件』に色をめぐる奇妙な話が出てくる。古本屋で女性が殺される。二人の目撃者がいたが、証言が食い違う。一人は犯人の服装を白い着物だといい、もう一人は黒だったという▼ここから犯人は白と黒の縞(しま)模様の着物姿の人物ではないかという推理が出てくる。二人の目撃者は古本屋の店と座敷の境にあった格子越しに犯人を見ており、見る角度で犯人の着物が黒や白に見えるのではないかというわけだが、これがまるで的外れで、「犯人」は別にいた▼東京高裁が再審を認める決め手となったのは白か黒かではなく、「赤み」だった。一九六六年の強盗殺人事件で死刑が確定した袴田巌さんの裁判のやり直しを求める裁判である▼逮捕から一年後、袴田さんの勤務先のみそタンクから発見されたという着衣に残った、血痕の赤み」。検察側はみそに長期間浸(つ)かっていても「赤み」は残ると主張していたが、高裁が実験結果を踏まえ、判断したのは「赤みは消える」。つまり袴田さん以外の誰かが後から着衣をタンクに隠した。死刑確定判決の証拠の土台が崩れた▼高裁は捜査機関による証拠捏造(ねつぞう)の可能性まで踏み込んでいる震える。事実なら小説の見立て違いどころではなく、袴田さんをただ犯人にしたいという卑劣なトリックだろうそして、人生を奪った。八十七歳。一日も早い再審開始を待つ
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●袴田冤罪事件: 《「…第三者がみそ漬けにした可能性がある」》《捜査機関による証拠捏造》《犯行着衣について捜査機関の捏造とまで…》

2023年03月22日 00時00分45秒 | Weblog

(2023年03月21日[火])
《「…第三者がみそ漬けにした可能性がある」》《捜査機関による証拠捏造》《証拠を捜査機関側が捏造した可能性が極めて高い》《犯行着衣について捜査機関の捏造 (ねつぞう) とまで踏み込んだ高裁決定》とまで言われているのだ、最高裁への特別抗告を断念という当然の結果。さっさと裁判を開始し、即座に「無罪」判決を。
 それにしても、あまりに長い…。袴田巖さん、姉の袴田秀子さん、償いようのない48年。無罪判決を勝ち取り《いまも、死刑囚のまま》から脱却できても、「拘禁反応」に苦しめられる袴田巖さん。48年の月日は戻らない。《「疑わしきは被告の利益にという原則》を蔑ろにした司法の罪はあまりにも重い。

   『●《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん、再審開始決定…せめて
    《一刻も早く「無罪」とすべく、検察は不服を唱えるべきではない》
   『●袴田巖さん、袴田秀子さん ――― 《捜査機関による証拠捏造》とまで
     言われているのだ、検察側が特別抗告を断念するのも、当然の結果だろう

 小嶋麻友美太田理英子両記者による、東京新聞の記事【袴田さん再審確定 追い詰められた検察、高裁の緻密な認定覆す余地はなく…】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/239208)によると、《犯行着衣について捜査機関の捏造 (ねつぞう) とまで踏み込んだ高裁決定の後、検察側に特別抗告断念を求めるうねりが一気に高まった。支援者や研究者、法曹団体は連日、声明を出し「今回は絶対、特別抗告はされないだろうというムードができた皆さんの力が一つになって今日が迎えられた」と小川弁護士は振り返る。高齢の袴田さんに残された時間は多くない。矢村教授は「特別抗告して無益な争いをし、社会的批判に耐えられるのかという判断も働いたのでは」と語り、再審公判でも検察側の有罪立証は難しいとみる》。

   『●『美談の男』読了
   『●袴田事件: いい加減に誤まりを認めるべき
   『●作られた袴田冤罪事件、理不尽極まる漸くの初の証拠開示
   『●袴田事件、48年間のそれぞれの苦難……
      袴田巌さんと秀子さん、そして、熊本典道さん
   『●袴田事件: 静岡地裁は「疑わしきは被告人の利益に」を
   『●袴田事件、そして死刑執行後の『飯塚事件』再審:
                   司法の良心を示せるか?
   『●袴田事件・釈放!: 「捜査機関が重要な証拠を捏造した疑い」
               「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」

   『●映画「ザ・ハリケーン」と袴田事件:「冤罪事件を「絶対に忘れるな」」
   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
    《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけには
     いかないのだ」▼袴田さんの無実を信じる人にとってはどうあっても狼に
     許されぬイソップ寓話(ぐうわ)の羊を思い出すかもしれない…
     検察と裁判所を納得させる羊の反論の旅はなおも続くのか
     ▼事件から五十二年長すぎる旅である

   『●《袴田巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ…
       政権や検察に忖度した東京高裁、そして、絶望的な最「低」裁
    「NTVの【NNNドキュメント’18我、生還す -神となった死刑囚・
     袴田巖の52年-】…《今年6月、東京高裁が再審開始を取り消した
     「袴田事件」。前代未聞の釈放から4年半、袴田巖さんは死刑囚のまま
     姉と二人故郷浜松で暮らす》」
    「三権分立からほど遠く、法治国家として公正に法に照らした
     「司法判断」ができず、アベ様ら政権に忖度した「政治判断」乱発な、
     ニッポン国の最「低」裁に何を期待できようか…。
     《巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ」

   『●冤罪は晴れず…「自白を偏重する捜査の危うさ…
       証拠開示の在り方…検察が常に抗告する姿勢の問題」
   『●袴田秀子さん《ボクシングに対する偏見…
      チンピラだっていうイメージ…その印象以外に何の証拠もなかった》
   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
           耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    「週刊朝日の記事【袴田事件で「捜査機関が証拠を”捏造”」 
     弁護団が新証拠の補充書を最高裁に提出 】」
    《静岡地裁の再審開始決定を取り消した東京高裁決定から、
     1年余りが経過した。死刑が確定した元プロボクサーの
     袴田巌さん(83)は最高裁に特別抗告中だが、弁護団はこのほど
     “新証拠”を提出した》

   『●《死刑を忠実に実行している》のはニッポンだけ…
       飯塚事件でも、《十三人の死刑執行》でも揺るがず…
   『●(ジョー・オダネルさん)「焼き場に立つ少年」は
     《鼻には詰め物…出血しやすい状態…なんらかの形で被爆した可能性》
   『● CD『Free Hakamada』の《ジャケットには、元プロボクサーの
          袴田さんが…名誉チャンピオンベルトを持った写真》
   『●《「袴田事件」で死刑判決を書きながら、後に「無罪の心証だった」
        と明かした元裁判官熊本典道さん》がお亡くなりになりました
    「袴田巌さんと秀子さん、そして、熊本典道さん」

   『●映画『BOX 袴田事件 命とは』で熊本典道さん役…《「法廷では
     裁判官自身も裁かれている」。自分で自分を裁こうとした日々…》
   『●袴田巌さんに無罪を…《死と隣り合わせの生活が心にもたらした影響
     …暗黒の日々の長さを思わざるをえない…夜は終わったわけではない》
   『●《読者はこうした報道を何日もシャワーのように浴びた。…裁判官
     たちも例外では》ない…袴田事件の《冤罪に加担したメディアの責任》
   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
   『●袴田冤罪事件…タンパク質に糖分が触れると「メイラード反応」が
     進み、1年2カ月後には《常識的な範囲で『赤みは残らない』》はずだ
    「《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん。すぐさま、袴田巌さんに
     無罪を! マスコミももっと後押しすべきなのではないか。裁判所も
     自分たちの先輩の誤りを受け入れるべき…『●《読者はこうした報道を
     何日もシャワーのように浴びた。…裁判官たちも例外では》ない…
     袴田事件の《冤罪に加担したメディアの責任》』」

   『●布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過
     ごし、検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》
   『●《「証拠は再審請求の段階でも捜査側に偏在している」…検察は
     掌中の証拠をあまねくオープン》にするよう裁判所は訴訟指揮すべきだ
   『●48年も獄中に囚われていた袴田巌さん…《検察は再収監を諦めて
     いません》って、正気なのかね? すぐさま、袴田巌さんに無罪を!
   『●日野町事件《遺族による「死後再審」の請求を認めた大津地裁の決定を
     支持…決め手は、元の公判で検察が開示していなかった実況見分の際の…》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/239208

袴田さん再審確定 追い詰められた検察、高裁の緻密な認定覆す余地はなく…
2023年3月21日 06時00分

     (東京高検前で、最高裁への特別抗告断念を訴え座り込みを
      する袴田事件の支援者ら=20日、東京・霞が関で)

 袴田巌さん(87)の再審開始を認めた東京高裁決定について、検察当局が20日、特別抗告を断念したことで、再審無罪が大きく近づいた。もともと袴田さんを有罪とする証拠が弱かった上、審理の争点が絞られた中で、検察側に高裁の緻密な判断を覆す余地はほぼなかった。(小嶋麻友美太田理英子

【関連記事】袴田さんの再審開始が確定、無罪の公算強まる 検察側が特別抗告を断念 1966年一家殺害 死刑事件で5例目


◆難しい判断迫られた高検

 特別抗告の期限だった20日の午後4時半前。検察側の動きが見えないまま、記者会見のため東京・霞が関の司法記者クラブを訪れていた弁護団事務局長の小川秀世弁護士の携帯電話に、高検の担当検事から「断念」の一報が入った。

 高検による正式な記者会見が始まったのは、それから2時間以上後。山元裕史次席検事は「法と証拠に基づいて慎重に検討を重ねた結果、特別抗告しないことになった」と述べるばかり。再審公判でどのような立場を取るのかを問われても「この段階では差し控える」と回答を避け続けた。

 事実ではなく法律問題を審理する最高裁への特別抗告は、憲法違反か判例違反に限られる。判決から2週間の期間がある通常の裁判とは異なり、再審請求を巡る抗告の期限は休日を除きわずか5日。「(書面を)書きながら判断していかないと間に合わない。やってみて結局、どこまで書けるか」(検察幹部)という難しい判断を迫られ、最高検を交えた検討はぎりぎりまで続いたとみられる。


◆詳細、丁寧に「宿題」こなした高裁

 静岡地裁が認めた再審開始決定を高裁が一転取り消し、最高裁が差し戻すという異例の展開をたどった今回の第2次再審請求審。最高裁が高裁に課した「宿題」は、確定判決が認めた犯行着衣に関して、長期間みそ漬けされた場合の血痕の色に赤みが残るかどうかの化学的知見に基づく検証だった。

 東京高裁の大善文男裁判長は、弁護側の実験結果や専門家による鑑定の信用性を認め、検察側の主張は「化学的論拠に基づかない抽象的な反論とことごとく退けた。着衣以外の証拠も「それだけでは犯人性を推認させる力がもともと限定的か、弱いものだったと指摘。再審判断に当たって「新旧の証拠を総合的に評価すべきだ」とする1975年の最高裁「白鳥決定」を踏まえ、犯行着衣が袴田さんのものであることに疑いが生じると断じた

 元東京高裁部総括判事の矢村宏・北海学園大教授(刑事訴訟法)は「差し戻しによって争点が絞られた中で、検察は反論の余地を見つけられなかった。高裁からあれほど詳細、丁寧な事実認定と判断をされ、欠陥を見つけるのは難しかったのだろう」と指摘する。


◆特別抗告の断念求めるうねり一気に

 犯行着衣について捜査機関の捏造 (ねつぞう) とまで踏み込んだ高裁決定の後、検察側に特別抗告断念を求めるうねりが一気に高まった。支援者や研究者、法曹団体は連日、声明を出し「今回は絶対、特別抗告はされないだろうというムードができた皆さんの力が一つになって今日が迎えられた」と小川弁護士は振り返る。

 高齢の袴田さんに残された時間は多くない。矢村教授は「特別抗告して無益な争いをし、社会的批判に耐えられるのかという判断も働いたのでは」と語り、再審公判でも検察側の有罪立証は難しいとみる。
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●日野町事件《遺族による「死後再審」の請求を認めた大津地裁の決定を支持…決め手は、元の公判で検察が開示していなかった実況見分の際の…》

2023年03月16日 00時00分25秒 | Weblog

―――――― (里見繁氏) 布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》


(2023年03月03日[金])
(沖縄タイムス社説)《冤罪の可能性がなくならない以上、再審制度の充実は不可欠だ。法整備など国のやるべきことは多い》。
 本ブログの後半でも述べているが、《弁護団の石側亮太弁護士は「長井氏は過去に自らが下した判断の当否を自ら審理することになり、信頼できない」と説明。さらに「憲法上も、37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利が侵害される」と憤る》…ということも起きている。
 山口正紀さん、《冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》。おまけに、《裁判の公正らしさ》もないのでは…。

 警察官や検察官、裁判官の責任は極めて重い。
 何度でも、書こうと思う。《元裁判官は、「判決とは国家の意思なんだ…」》、これは今も変わらないのでは。斎藤貴男さん《「梅田事件」…当時、「週刊文春」の記者だった私は、彼を殺人犯に仕立てた連中に、「今のお気持ちは」と尋ねて回る取材を仰せつかったのだが、凄まじい成果を得てしまった。「犯人は梅田だと上が言うから逮捕したまで証拠なんかねえよ」と、元刑事は笑ったし、元裁判官は、「判決とは国家の意思なんだ真犯人なんか誰でもいい裁判所が死刑だと言えば吊るせばいい無期だと言ったらつなげばいいんだ」と、力説してくれたものである》。

 沖縄タイムスの【[社説]日野町事件再審決定 証拠開示の制度化必要】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1111281)によると、《滋賀県日野町で1984年、酒店経営の女性が殺害され手提げ金庫が奪われた事件があった。強盗殺人罪で無期懲役が確定し、服役中に病死した阪原弘元受刑者について、大阪高裁は再審開始を認める決定をした遺族による「死後再審」の請求を認めた大津地裁の決定を支持し、検察の即時抗告を棄却したものだ。決め手は、元の公判で検察が開示していなかった実況見分の際の写真のネガだった》。
 大事な点は《元の公判で検察が開示していなかった》というところ。

 琉球新報の【<社説>日野町事件再審決定 証拠開示の制度化急げ】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1670420.html)によると、《「疑わしきは被告の利益にという原則を再審請求の審理にも適用した妥当な判断だ。元受刑者は他界しており、名誉回復への道は遠かった審理の長期化を改め、情報開示の制度化など、えん罪を防ぐための仕組みづくりを急ぐべきだ》。

   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
   『●NNNドキュメント【死刑執行は正しかったのかⅢ ~飯塚事件・真犯人
      の影~】…《死刑冤罪の闇を12年間追跡し続けたドキュメンタリー》
   『●48年も獄中に囚われていた袴田巌さん…《検察は再収監を諦めていません》
             って、正気なのかね? すぐさま、袴田巌さんに無罪を!
   『●大崎事件冤罪・原口アヤ子さん「あたいはやっちょらん」「やっちょらん
         もんはやっちょらん」「ちゃんと認めてもらうまでは死ねない」

 ましてや、死刑執行してしまった飯塚事件は…?? また、大崎事件では、《もう話すことができなくなった原口さん》…。袴田事件では、袴田巖さんは《いまも、死刑囚のまま》だ。《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》…。
 西日本新聞の社説【滋賀の死後再審 決定を制度改革につなげ】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1060702/)によると、《無実の罪で服役を強いられたまま亡くなったとすれば、その無念は想像を絶する。たとえ死後であろうと、その尊厳は守られねばならないそんなメッセージを読み取るべき司法の判断である。滋賀県日野町で1984年に起こった強盗殺人事件について、大阪高裁は大津地裁に続き再審開始を認める決定を出した》。

   『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
      侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?

 この日野町事件では、以下のようなことも起きている。詳しくは、上記ブログを。中島邦之記者による、(2020/6/26 11:00)西日本新聞のコラム【風向計/裁判の公正らしさとは】より:
 《裁判官がある事件の判決を出したとしよう。その事件の控訴審や、再審を求める審理に同じ裁判官が関わり、再び判断するこれは、公正と言えるだろうか。》
 《滋賀県日野町で1984年に発生した強盗殺人事件。14年前に大津地裁の裁判長として第1次再審請求を退けた長井秀典判事が、第2次請求を審理している大阪高裁の裁判長になったのだ。これを知った弁護団は、本人が自ら辞退を申し出る「回避」を求め、高裁に要請書を提出した。弁護団の石側亮太弁護士は「長井氏は過去に自らが下した判断の当否を自ら審理することになり、信頼できない」と説明。さらに「憲法上も、37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利が侵害される」と憤る》。
 《同様の事例は飯塚事件大崎事件でも起きた。飯塚では、一審の死刑判決に関わった判事が再審請求後の即時抗告審に関与した。大崎では、第2次再審請求の特別抗告審を担った最高裁判事が、第3次請求も担当し、地裁と高裁が認めた請求を退けた…加えて、同一事件の審理を同じ裁判官が繰り返し担うことを、再審請求審でも禁じると規定するべきではないか》

 自白偏重証拠独占、《代用監獄長期勾留死刑制度再審制度など日本の刑事司法が抱える重大な問題》について、何も進展なしなニッポン。《日野町事件でも、ネガの開示は裁判官の訴訟指揮によるものだった不利なものも含め、全てを握る検察に証拠開示させることは不可欠だ》(沖縄タイムス)。

   『●《読者はこうした報道を何日もシャワーのように浴びた。…裁判官たちも
         例外では》ない…袴田事件の《冤罪に加担したメディアの責任》
    《袴田事件は、代用監獄長期勾留死刑制度、再審制度など日本の
     刑事司法が抱える重大な問題の全てを孕んだ事件だが、
     マスメディアの報道のあり方についても大きな課題を突きつけている
     今なお続く犯人視報道、人権侵害報道――この事件で、袴田さんと
     同じく、人生を大きく狂わされた熊本さんが私たちに遺した大きな宿題だ

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】
   『●人質司法による《身柄拘束は実に約十一カ月間》、大川原化工機の
     大川原社長ら…《こんなにひどいことはないと感じたという》青木理さん
   『●《判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性
     を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している》
    《殺害容疑をかけられて12年間服役した元看護助手・西山美香さんは
     今年3月、再審無罪が確定した。…西山さんの弁護団長を務めた
     井戸謙一弁護士は…「冤罪で絶望している人に道を開いた裁判だ
     と思います」…判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の
     改善の必要性を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない
     と話している》。
    《無実でも有罪判決が確定すると、それを晴らす道は極めて狭い
     再審関係の条文は古いままで、手続きも事実上、裁判官のさじ加減次第
     である。無辜(むこ)を救う究極の人権救済の法整備は急ぐべきだ

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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1111281

[社説]日野町事件再審決定 証拠開示の制度化必要
2023年3月1日 5:01

 再審請求審での検察の証拠開示の在り方に、また裁判所から重大な疑問が示された。

 滋賀県日野町で1984年、酒店経営の女性が殺害され手提げ金庫が奪われた事件があった。強盗殺人罪で無期懲役が確定し、服役中に病死した阪原弘元受刑者について、大阪高裁は再審開始を認める決定をした

 遺族による「死後再審」の請求を認めた大津地裁の決定を支持し、検察の即時抗告を棄却したものだ。決め手は、元の公判で検察が開示していなかった実況見分の際の写真のネガだった。

 確定判決では、遺体に見立てた人形を用いた見分で犯人ならではの詳細な現場状況が再現されていたとする。客観的な証拠がない中、通常裁判ではこの見分調書などで示された「自白」を重視した

 しかし再審請求で開示されたネガには、人形を使わずに現場の様子を再現し、その後人形を使って再現した様子が繰り返し写っていた。阪原さんの弁護団長は、その意味を「人形の置き方などの練習をさせられたからだと考えている」と指摘する。

 高裁決定は、地裁が指摘した警察官の暴行や脅迫などによる自白の可能性は退けた。一方で「確定判決の審理段階でネガの存在が明らかになっていれば、有罪とは異なる判断になっていた可能性は否定し難い」と断じた。

 冤罪(えんざい)の疑いが強まったと言うほかない。

 捜査に当たった警察や検察は、信頼性に重大な疑義を生じさせた責任は極めて重いというべきだろう。

■    ■

 捜査段階で開示されなかった新証拠が、その後再審無罪や再審開始につながった事例は少なくない。

 66年に静岡の一家4人が殺害された「袴田事件」では、1回目の再審請求で証拠開示に応じなかった検察が2回目は開示に応じた。今月東京高裁が決定を出す。

 67年、茨城県で男性が殺害された「布川事件」では直接の物証がないまま男性2人が無期懲役とされた。その後開示された取り調べ録音テープに改ざんの痕跡があったことなどで再審無罪となった。

 裁判員裁判の導入により、刑事裁判の証拠開示は当時より拡充された。しかし確定判決を見直す再審にはそうした制度がなく、裁判所の裁量に委ねられているのが現状だ。

 日野町事件でも、ネガの開示は裁判官の訴訟指揮によるものだった不利なものも含め、全てを握る検察に証拠開示させることは不可欠だ

■    ■

 再審について定める刑事訴訟法は、再審を有罪の確定判決を受けた人の利益のために行うと定める。ただ、その手続きを定める条文は19で、全体で507条ある刑訴法の1割にも満たない

 日本弁護士連合会は2月、証拠開示などを大幅に充実した再審規定を盛り込むよう、法務省や国会に申し入れた。日弁連がこれまで支援した再審事件は34件に及ぶという。

 冤罪の可能性がなくならない以上、再審制度の充実は不可欠だ法整備など国のやるべきことは多い
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https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1670420.html

<社説>日野町事件再審決定 証拠開示の制度化急げ
2023年3月2日 05:00

 「疑わしきは被告の利益にという原則を再審請求の審理にも適用した妥当な判断だ。元受刑者は他界しており、名誉回復への道は遠かった審理の長期化を改め、情報開示の制度化など、えん罪を防ぐための仕組みづくりを急ぐべきだ

 滋賀県日野町で1984年12月、酒屋経営の女性が殺害され、金庫が奪われた事件で無期懲役が確定し、服役中に病死した元受刑者の遺族が申し立てた第2次再審請求に対し、大阪高裁は再審を認める決定を出した。

 元受刑者を犯人とした確定判決の事実認定に「合理的な疑いが生じた」としている。元被告らの死後に遺族が起こした死後再審」開始決定が確定すれば、死刑や無期懲役が確定した戦後の重大事件で初めてとなる。

 今回の再審決定を検察は重く受け止めなければならない。最高裁への特別抗告を断念し、直ちに再審裁判を始めるべきである

 大阪地裁決定の決め手となったのは、遺体発見現場の実況見分時のネガなど、第2次再審請求で新たに開示された証拠である。「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠に当たる」と判断した。検察の証拠開示は裁判所の指揮に応じたものだった

 捜査当局が再審請求の段階で新たに開示した証拠に基づく再審開始決定が近年相次いでいる。茨城の布川事件や、熊本の松橋事件などは新証拠がきっかけとなり、再審無罪につながった。

 日野町事件も再審裁判が始まれば無罪となる可能性がある。さらに言えば、確定前の裁判でネガなどの証拠が明らかになっていれば、判決内容に影響を与えていたかもしれないのだ検察の責任は重い

 事件の発生から38年が過ぎぎている。最初の再審請求は2006年に大津地裁で棄却され、即時抗告審中の11年に元被告が他界し、手続きが終わった。遺族は12年に「死後再審」を請求。新たな証拠に基づき大津地裁が18年に再審開始を決定した。そして今回、大阪高裁は地裁判断を支持したのである。

 遺族による再審請求から数えても、既に10年以上が経過している。大阪高裁の即時抗告審では裁判長は3回交代した。審理は4年半と長期化し、元受刑者の名誉回復は遅れた再審手続きの迅速化が求められる

 現在の刑事訴訟法には再審における証拠開示について定めた規定はなく、裁判官の裁量や検察官の姿勢に委ねられている点が今回の審理で問題となった。証拠開示の範囲は裁判所によって格差が生じているのだ。日本弁護士連合会は2月、再審における証拠開示の法制化を求める意見書を公表している。

 大阪高裁決定は、再審における証拠開示の重要性を示すものだ。国は早急に証拠開示の制度化に取り組むべきだ。
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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1060702/

社説
滋賀の死後再審 決定を制度改革につなげ
2023/3/2 6:00

 無実の罪で服役を強いられたまま亡くなったとすれば、その無念は想像を絶する。たとえ死後であろうと、その尊厳は守られねばならないそんなメッセージを読み取るべき司法の判断である

 滋賀県日野町で1984年に起こった強盗殺人事件について、大阪高裁は大津地裁に続き再審開始を認める決定を出した。。

 この事件で無期懲役が確定し、服役中に75歳で病死した阪原弘元受刑者の遺族による第2次再審請求である。「死後再審」開始が確定すれば、死刑や無期懲役が言い渡された戦後の重大事件では初めてとなる。

 大きな意義を持つ決定だと評価したい。依然として壁の高い再審制度の見直しにつなげていきたい。

 阪原さんと事件を結びつける直接的な証拠は元々乏しかった。大阪高裁は、主に二つの争点について確定判決に「合理的な疑問」を示した。(1)遺体発見現場での捜査の任意性(2)阪原さんによるアリバイ主張の虚偽認定-である。

 その根拠は、第2次請求審で裁判所の指揮により検察が新たに証拠開示した実況見分時の写真ネガなどだ。決定はそれらを、刑法が求める「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠」と判断した。

 高裁決定は結論こそ地裁決定と同じ再審開始だったが、内容は地裁決定の根拠を否定する部分も複数ある。

 発生から40年近く経過した事件の再審の是非を巡り、厳正、適切に判断するのは難題であるに違いない。

 だからこそ、私たちは社説で、再審請求の結論に長期の時間を要する現行制度を改革すべきだと訴えてきた。

 刑事訴訟法435条は、再審請求は有罪の確定判決を受けた者の利益のため、と明記している。この精神に従えば答えはおのずと導かれよう。

 地裁であろうとも再審開始決定が出れば、検察による高裁、最高裁への異議申し立てを認めず、直ちに再審の法廷に舞台を移すことを原則とすべきだ。有罪、無罪はやり直しの裁判で決めればよい。

 鹿児島県の大崎事件では地裁、高裁が計3回にわたり再審開始を決定したが、検察の異議で結局、最高裁が開始決定を取り消し、第4次請求審が続く。当事者にはあまりに過酷ではないだろうか。

 近年の改革で、捜査側が持つ証拠のリストの開示は認められたが、不十分だ警察が集めた証拠は検察が全て握っている証拠開示を原則とすれば、審理の内容も早さも大きく改善できるはずだ

 大阪高裁の決定でも、新たに開示された証拠が重要な役割を果たした

 これが実現したのも担当の裁判長の判断である。再審請求の審理は裁判長の裁量次第の面がかなり大きい。「疑わしきは被告人の利益にという刑事司法の原則に立っているか。ここでも一定のルール作りが必要だ。
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●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し

2019年07月01日 00時00分15秒 | Weblog


大崎事件に対する冷酷な最「低」裁決定についての東京新聞の三つの記事【大崎事件 再審取り消し 最高裁 鑑定の証明力否定】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201906/CK2019062702000175.html)と、
池田悌一記者による記事【大崎事件 再審、ハードルさらに高く】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201906/CK2019062702000174.html)と、
蜘手美鶴記者による【大崎事件 再審の扉3度閉ざす 弁護団「最高裁の決定は横暴」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201906/CK2019062702000160.html)。

 《「大崎事件」で、殺人罪などで服役した義姉の原口アヤ子さん(92)が裁判のやり直しを求めた第三次再審請求審で、最高裁第一小法廷(小池裕裁判長)は、再審開始を認めた福岡高裁宮崎支部と鹿児島地裁の決定を取り消し、再審請求を棄却する決定をした。再審を認めない判断が確定》。
 《第一次再審請求審を加えると、三度にわたり再審開始決定が出ながら、再審の扉は唐突に閉じられた。「疑わしきは被告の利益に」という刑事裁判の鉄則は守られたのか。新旧証拠の総合評価で確定判決に疑いが生じれば、再審を開始すべきだとする「白鳥決定」に沿ったと言えるか疑問だ》。
 《四十年間、一貫して潔白を訴え、無罪判決を法廷で聞くという原口アヤ子さん(92)の悲願は、三度目の再審請求でもかなわなかった。一九七九年に起きた「大崎事件」の第三次再審請求審をめぐる最高裁決定。弁護側の新証拠の価値を一蹴した判断に、弁護団からは「あまりにも横暴だ」と怒りの声が上がった》。

 まず、小池裕裁判長について。《小池裕氏は、NPO法人による森友学園問題で国側が持つ交渉記録等の証拠保全の申し立てについて、最高裁の裁判長として保全を認めなかった高裁判断を支持し、抗告を棄却した》方です。アベ様には寛大なるご判断、一般市民には《あまりにも横暴》、冷酷。「司法判断」としてもデタラメ。

   『●「「3.11」から2年③ 東北復興と壁」
         /『週刊金曜日』(2013年3月15日、935号)について
    「山口正紀さん【裁判長の訴訟指揮も報じるべきだ 大崎事件再審請求】、
     「冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…
     マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、
     無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう」」

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
    《「やってないものは、やってない」-。殺人罪で服役した原口アヤ子さんは
     一貫して無実を叫んだ。その願いは第三次の再審請求でやっと重い扉を
     開けた。裁判所は早く無実を認めるべきである》。
    「《あたいはやっちょらん》…《だれより責任の重いのが…
     でっち上げを追認した裁判官》、《鹿児島地裁は証拠開示を認めず、
     原口さんの無実の訴えに再審の重い扉を開くことはなかった》。
       年老いた原口アヤ子さん…。無慈悲な司法、長年月に渡る放置
     というか見殺し。司法の「」だ…《原口さんは既に九十歳。三審制でも
     過去二回の再審請求でも救えなかった。司法界の恥と刻まれる》」

   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

    《重い再審の扉が大きく開き、光が差し込んだ。「大崎事件」の
     第3次再審請求即時抗告審。昨年6月の鹿児島地裁決定に続き、
     福岡高裁宮崎支部も再審開始を認めた12日、弁護団や
     支援者たちは喜びに包まれた。逮捕から39年一貫して無実
     訴えてきた原口アヤ子さんも今は90歳で、残された時間は限られる。
     「命あるうちに無罪判決を」。願いは今度こそ届くのか-》

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】

 再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定が出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れているのか? 誤りを潔く認めるべきだ。

   『●検察による恣意的・意図的な証拠の不開示、
      証拠の隠蔽や喪失、逆に、証拠の捏造…デタラメな行政
    《布川事件で再審無罪が確定した桜井昌司さん(72)の訴えを認めた
     二十七日の東京地裁判決は、警察官の違法な取り調べや検察官の
     証拠開示拒否などがなければ、「遅くとも控訴審判決(一九七三年)で
     無罪判決が言い渡され、釈放された可能性が高い」と捜査機関に猛省を
     促した。弁護団からは「画期的だ」との声が上がり、
     桜井さんは捜査機関の在り方を批判した》
    《桜井さんと同じ冤罪被害者も訴訟を支援した。大阪市の女児死亡火災で
     再審無罪となり、自身も国賠訴訟中の青木恵子さんは「桜井さんから
     希望をもらった」と喜んだ。いまだ再審の扉が開かれない袴田事件
     大崎事件に触れ、「順番に勝っていってもらいたい」と望んだ》

 《あたいはやっちょらん》の叫びは小池裕裁判長らによって揉消され、事件に係わった警察官や検察といった行政、裁判所といった司法は安堵した訳です。
 《白鳥決定無視の過ち》を犯し、冤罪者の〝沈黙〟を待つ裁判官らの冷酷さ…。白鳥決定を無視し、再審するかどうかの判断を延々と引き伸ばし、最後は最「低」裁がちゃぶ台返し。原口アヤ子さんがあまりに御気の毒だ。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201906/CK2019062702000175.html

大崎事件 再審取り消し 最高裁 鑑定の証明力否定
2019年6月27日 朝刊

     (原口アヤ子さん)

 鹿児島県大崎町で一九七九年に男性の遺体が見つかった「大崎事件」で、殺人罪などで服役した義姉の原口アヤ子さん(92)が裁判のやり直しを求めた第三次再審請求審で、最高裁第一小法廷(小池裕裁判長)は、再審開始を認めた福岡高裁宮崎支部と鹿児島地裁の決定を取り消し、再審請求を棄却する決定をした。再審を認めない判断が確定した。二十五日付。裁判官五人全員一致の意見。 

 一審、二審の再審開始決定を最高裁が覆したのは初めてとみられる。共犯とされた元夫(故人)の再審開始も取り消した。

 最高裁は、一、二審が重視した弁護側が新証拠として提出した法医学鑑定を検討。鑑定は、確定判決が「窒息死と推定される」とした男性の死因について、「転落事故による出血性ショックの可能性が極めて高い」と指摘していた。

 最高裁は鑑定について、写真だけでしか遺体の情報を把握できていないことなどを挙げ、「死因または死亡時期の認定に、決定的な証明力を有するとまではいえない」と判断した。

 有罪の根拠となった「タオルで首を絞めた」などとする元夫ら親族三人の自白については、「三人の知的能力や供述の変遷に問題があることを考慮しても、信用性は強固だといえる」と評価。「法医学鑑定に問題があることを踏まえると、自白に疑義が生じたというには無理がある」とした。

 最高裁は「鑑定を『無罪を言い渡すべき明らかな証拠』とした高裁支部と地裁の決定を取り消さなければ著しく正義に反する」と結論づけた。

 弁護団は二十六日、東京都内で記者会見し、「許し難い決定だ」と批判。第四次再審請求を検討するとした。

 第三次再審請求審では、鹿児島地裁が二〇一七年六月、目撃証言の信用性を否定する心理学者の鑑定や法医学鑑定を基に、再審開始を認めた。一八年三月の福岡高裁宮崎支部決定は、心理鑑定の証拠価値は認めなかったが、「法医学鑑定と整合せず不自然」などとして親族らの自白の信用性を否定し、再審開始決定を維持した。
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201906/CK2019062702000174.html

大崎事件 再審、ハードルさらに高く
2019年6月27日 朝刊

<解説> 確定判決に疑問を投げかけた法医学鑑定を「証明力はない」と一蹴し、大崎事件の再審開始を認めなかった最高裁決定は、再審のハードルをさらに上げかねない

 「絞殺ではなく事故死の可能性がある」と指摘したこの鑑定について、一審と二審は証明力を認めて再審開始決定を出した。これに対し、最高裁は「遺体を直接検分していない」「十二枚の写真からしか遺体の情報を得られていない」と証明力を否定した。

 だが、そもそも遺体は腐敗が進んでおり、確定判決時の鑑定も「他殺を想像させる。窒息死と推定」という程度。絞殺の根拠は、共犯者とされた親族三人の自白に依存していた。

 親族三人は、捜査段階から何度も供述を変遷させていた。「タオルで絞め殺した」と自白しながら、いまだタオルは特定されていない。

 第一次再審請求審を加えると、三度にわたり再審開始決定が出ながら、再審の扉は唐突に閉じられた。「疑わしきは被告の利益に」という刑事裁判の鉄則は守られたのか。新旧証拠の総合評価で確定判決に疑いが生じれば、再審を開始すべきだとする「白鳥決定」に沿ったと言えるか疑問だ。 (池田悌一)
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201906/CK2019062702000160.html

大崎事件 再審の扉3度閉ざす 弁護団「最高裁の決定は横暴」
2019年6月27日 朝刊

     (大崎事件の再審請求が棄却され、記者会見で言葉を詰まらせ、
      うつむく鴨志田祐美弁護団事務局長=26日、東京・霞が関の司法クラブで)

 四十年間、一貫して潔白を訴え、無罪判決を法廷で聞くという原口アヤ子さん(92)の悲願は、三度目の再審請求でもかなわなかった。一九七九年に起きた「大崎事件」の第三次再審請求審をめぐる最高裁決定。弁護側の新証拠の価値を一蹴した判断に、弁護団からは「あまりにも横暴だ」と怒りの声が上がった。 (蜘手美鶴

 「原口さんの人生をかけた闘いに、最高裁はちゃんと向き合っていない。五人の裁判官は何を考えているのか」。東京・霞が関の司法記者クラブで二十六日に会見した鴨志田祐美弁護団事務局長は、表情をこわばらせ語気を強めた。

 一九九五年に初めて再審請求を申し立てて以降、これまで地裁、高裁で三回の再審開始決定が出ている。「ある意味一番頼りにしていたのは最高裁。長い長い闘いにピリオドを打ってくれると信じていた」と落胆を隠さない。

 会見に同席した元裁判官の木谷明弁護士も「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか。大変がっかりしている」と批判した。

 原口さんの長女京子さん(64)には、鴨志田弁護士が電話で連絡した。京子さんはしばらく絶句した後、「これは裁判所のトップが決めたことなんですか? それなら日本の恥ですよね。お母さんも私も、もうちょっとで楽になれると思ったのに…」と漏らしたという。弁護団は、原口さんには決定内容をまだ伝えていないという。

 これまで脳梗塞を二度患い、原口さんは発声もままならない状態。今月七日にあった誕生日会では、鴨志田弁護士が再審請求審について話すと、目に光が宿り、何かを言いたそうに頭を持ち上げた。「一緒に同じ法廷で裁判長の『被告人は無罪』っていうのを聞こうね」と話しかけると、大きくうなずいたという。

 

 最高裁は今回、高裁支部に審理を差し戻すことをせず、書面の審査のみで自ら再審請求棄却を判断するという異例の決定をした。

 再審制度に詳しい白鴎大法学部の村岡啓一教授(刑事訴訟法)は「原口さんの関与があったかには触れず、法律論だけで決着を付けてしまっている」と指摘。「選ぶべきは再審開始だった。事故死の可能性についても、再審公判でやるべきだった。ここで終わってしまったのは、原口さんへのものすごく冷たい仕打ちだ」と非難した。

大崎事件> 鹿児島県大崎町で1979年10月、農業中村邦夫さん=当時(42)=が酒に酔って道路脇の溝に落ちているのを住民が発見。3日後、遺体が自宅横の牛小屋で見つかり、隣に住んでいた中村さんの義姉原口アヤ子さんと親族の計4人が殺人容疑などで逮捕された。原口さんは一貫して否認したが、親族3人は殺害や死体遺棄を自白。一審・鹿児島地裁は原口さんに懲役10年を言い渡し、1981年に最高裁で確定。親族3人は懲役1~8年の判決が確定し、出所後いずれも死亡した。
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