Activated Sludge ブログ ~日々読学~

資料保存用書庫の状況やその他の情報を提供します。

●《決して沖縄だけの問題ではない…「だからこそ自分たちのこととして、そもそも戦争を起こさせないための声を国に対して上げる必要がある」》

2023年01月29日 00時00分23秒 | Weblog

/ (20230116[])
《標的》を沖縄に押し付けておけば済むと思っている大愚…。平和主義を捨て、戦争できる国となり、「鉾」を持てば、ニッポン中が《標的》だ。たとえ停止中でも、核発電所は格好の《標的》。特に「盾」が全く脆弱な使用済み核燃料プールなど格好の《標的》。

   『●核発電所停止期間を控除 ――― この地震大国ニッポンで、「原則
     40年、最長60年」さえも無視して、実質的に60年以上運転したいと…
   『●核発電復権? 核発電所停止期間を控除? 「狂ったゴジラ」「老朽原発」
        「寿命核発電所」を再稼働したい? 福島の「原状回復」はいつ?
   『●《老朽原発の運転延長や次世代原発の建設は…大惨事の教訓を根底から
       覆し…福島事故を上回る大惨事を招きかねない無謀な政策転換だ》

 目取真俊さんのブログ【海鳴りの島から 沖縄・ヤンバルより…目取真俊/新基地建設問題を考える辺野古有志の会とティダの会による沖縄防衛局への申し入れ】(https://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/092aa64ca248bda244ae9f90cd32175f)によると、《有志の会とティダの会では3年以上前から、辺野古弾薬庫には事故発生時の住民避難計画がないことを問題にしてきた。言うまでもなく弾薬庫は危険な施設であり、仮に爆発事故が発生した場合には周辺地域の住民に大きな被害が出る。しかし、米軍も沖縄防衛局もこの間、住民の避難計画を立てないだけでなく、議論すらしていない実態がある。今日の申し入れでも沖縄防衛局の担当者は、避難計画は自治体(沖縄県と名護市)が作るべきもの、とふざけた回答をしていた》《申し入れでは辺野古の島袋文子さんからも沖縄防衛局に対し、怒りの言葉がぶつけられていた》《軍隊や軍需産業は自らの存在価値を高め、利益をむさぼるために意図的に戦争の危機を作り出し、他国との対立を煽る。「台湾有事」という言葉に踊らされてはいけないし、琉球弧の島々を危険にさらして金儲けをたくらむ者たちの意図を見抜かなければならない》。

 軍事費倍増が既成事実化、国会で議論することも無く、閣議決定で軍事独裁化を推進…市民の生活はズタボロで、その上、《標的》の島を目指すバカらしさ。自民党内部から、あるいは、閣内から「増税反対」の声は上がっても、「軍事費倍増」などとんでもない!、敵基地攻撃は違憲だ!、といった声は決して上がらない。FMSによる兵器ローンのが苦しく、軍事費を増やそうとしているのではないか。
 長周新聞の武蔵坊五郎さんの仰ること、本当に素晴らしい。ズブズブ壺壺ヅボヅボな自民党議員やその直接的・間接的支持者の皆さんが、以下を理解できないことが不思議でならない……《安倍晋三からこの方、執拗に「戦争ができる国」作りに邁進してきたが、現実的には「戦争などできない国」であり、邦人の生命を脅威にさらさないためには「戦争などやるもんじゃないの一言に尽きる非戦の誓いを貫くことこそが、最大の防衛策なのである。それを粋がって、カモネギがたくさん武器を買い集めたからといってマッチョになったような勘違いをするというのは悲劇的である。戦争の脅威を抱えないためには、東アジアのなかで友好平和の力を強め、いかなる国であっても不断に平和外交に努めるほかないことは、火を見るよりも明らかなのである》。
 誰の声に耳を傾けたか、〝検討使〟のはずが、国葬モドキや軍事費倍増だけは異常に素早く決断。後者については、番犬様への気遣いか。《米側の言い値で兵器などを買わざるを得ない対外有償軍事援助FMS)」は現代の不平等条約》なのに、ホシュを自称する皆さんは平気なのね。増税してまで軍事費倍増…《米国の覇権を維持…。まず弾よけ、いずれは鉄砲玉の運命》(斎藤貴男さん)なニッポン、哀れ過ぎはしまいか? ホシュを自称する皆さん、それでいいの? ニッポンに「主権」は本当に在るのかね?

   『●「君はドアホノミクスを信奉するのか」、キシダメ君? 軍事費倍増=
       《赤字国債の乱発、社会保障のさらなる削減、消費税の大増税…》
   『●斎藤貴男さん《政府と自民党は何がなんでも消費税率を引き上げたい…
     増税を甘受しなければ財政を破綻させるゾと国民を恐喝する目的で…》
   『●《消費税などの値上げを防衛費に転嫁する》気満々…軍事費倍増の
     ために《赤字国債の乱発、社会保障のさらなる削減、消費税の大増税…》
   『●城山三郎さん《平和の有難さは失ってみないとわからない》、
     菅原文太さん《政治の役割は二つあります…絶対に戦争をしないこと!》
   『●そんなに殺し合いをしたいものかね? 《一体何のために防衛費の
     増額が必要なのか。…冷静にその意味を問い直さなければならない…》
   『●なんの外交努力もしない、軍事費倍増についてなんの説明もしないし、
     できないキシダメ政権…自公お維を直接的・間接的に支持した重いツケ
   『●《大収奪が必至》な軍事費倍増…《大メディアが脅威を煽り「戦争増税
            必至」の流れ》《北朝鮮にも似た「先軍政治」と言うべきか。》
   『●《攻撃的兵器…他国領域も攻撃できると声高に宣言するような国を「平和
     国家」とはとても呼べない。戦後日本の平和を築いてきた先人への背信》
   『●増税して、軍事費倍増? 「平和主義」「財政民主主義」はどこに?
     自民党の〝下駄の雪〟が《雪崩を打つように崩壊》する「子育ての党」
   『●《専守防衛…「国土防衛に徹し、相手の本土に被害を与えるような脅威に
      ならないと伝え、相手に日本を攻撃する口実を与えない防衛戦略だ」》
   『●軍事費倍増、43兆円…バカげている ――― 中村哲さん「治安を
     良くするのは武力ではない」、《武器で平和つくれない》を思い出そう
   『●閣議決定って何? アベ様が編み出した、なんでも内閣の一存でやれる
     システム? 自公お維コミに言わせれば、国会や選挙は不要ということか?
   『●《標的》となり、《鉄砲玉》となる愚…《ことさら攻撃能力について
     興奮して議論している様について、バカではあるまいか?》(狙撃兵)
   『●自公政権が続く限り、ヅボヅボ党の誰が首相になろうが地獄は続く。道は、
      政権交代しかない…《議会政治、財政民主主義が崩壊した戦時体制》
   『●《自民党タカ派…箕輪登…「戦争とは血を流す政治であります。外交とは
     血を流さない政治であります。日本は永久に血を流さない政治を…」》
   『●《自民党の独裁体制が根絶されない限り、いずれ軍拡の財源も消費税
        増税で賄われる》《騙されてはならない。騙されてはならないのだ》


 安田菜津紀さんによる、沖縄タイムスのコラム【有事の避難は現実的か 原発事故の実相が問う[安田菜津紀エッセイ]】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1088638)によると、《原発が攻撃を受けるリスクなどを考えれば、決して沖縄だけの問題ではないと具志堅さんは語る。「だからこそ自分たちのこととして、そもそも戦争を起こさせないための声を国に対して上げる必要がある」。岸田首相が繰り返す「慎重な検討」と「聞く力」は、こうした政策にこそ求められるものではないだろうか。》

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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1088638

有事の避難は現実的か 原発事故の実相が問う安田菜津紀エッセイ]
2023年1月16日 8:15

[心のお陽さま 安田菜津紀](13)

 今でも忘れられない瞬間がある。

 2022年1月、沖縄で長年戦没者の遺骨収集を続けてきた具志堅隆松さんが、福島県大熊町帰還困難区域内で娘の汐凪(ゆうな)さん(震災当時7歳)の捜索を続ける木村紀夫さんの元を訪れ、捜索初日に地中から、汐凪さんのものとみられる大(だい)腿(たい)骨が見つかった(その後、遺骨は警察にも確認された)。あと30センチでも掘り起こす場所がずれていれば、この「再会」はなかっただろう。具志堅さんは「親子が呼び合う力だ」と振り返る。

 そして昨年末から今年の始めにかけて、具志堅さんは三たび木村さんの元を訪れた。捜索を続けると同時に、木村さんに尋ねたいことがあったという。原発事故当時の、避難の状況についてだ

 岸田政権は十分な国会審議も経ず、防衛政策を「大転換」させた。「反撃能力」保有を可能とし、防衛費も大幅に増額させるという。具志堅さんは「(よう)(さい)されつつある沖縄が「再び戦場にされるのでは」と危機感を強める。沖縄県の全人口は145万人を超える。一帯が攻撃された場合、果たして迅速な避難は可能なのだろうか

 木村さんは原発事故直後、大熊町内の双葉病院で起きたことを思い返すという。系列の老人介護施設と合わせ、避難中の車内や搬送先で44人が亡くなった誰もが自らの足で危険から逃れられるわけではない。まして沖縄は、陸路で他県への脱出ができない。震災当時、1万1千人余りが暮らしていた大熊町に比べ、ずっと人口密度の高い都市部もある。「実際に戦争が起きたら、行政の避難計画は果たして機能するのか」と、木村さんも疑問を呈する。

 原発が攻撃を受けるリスクなどを考えれば、決して沖縄だけの問題ではないと具志堅さんは語る。「だからこそ自分たちのこととして、そもそも戦争を起こさせないための声を国に対して上げる必要がある」。岸田首相が繰り返す「慎重な検討」と「聞く力」は、こうした政策にこそ求められるものではないだろうか。

(認定NPO法人Dialogue for People副代表/フォトジャーナリスト)

=毎月第3月曜掲載
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●東京新聞の小野沢健太記者によるシリーズ記事【<原発事故「無罪」>】…《判決に表情変えず 遺族ら「うそー」悲鳴》

2019年10月14日 00時00分52秒 | Weblog


小野沢健太記者による、東京新聞のシリーズ記事【<原発事故「無罪」>(上)判決に表情変えず 遺族ら「うそー」悲鳴】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201909/CK2019092002000175.html)と、
【<原発事故「無罪」>(中)後悔と怒り今も 双葉病院「東電 無責任体質分かった」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201909/CK2019092202000114.html)と、
【<原発事故「無罪」>(下)公判記録 民事の力に 賠償訴訟 避難者・被災者の救済期待】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201909/CK2019092302000117.html)。

 《裁判長が閉廷を宣告すると、三人は遺族もいる傍聴席には目を向けず、立ち止まることもなく、無表情のまま法廷を後にした。「こんなの間違っている」。傍聴人の悲鳴が、法廷にこだました》。
 《「東電の無責任体質がよく分かった刑事裁判が開かれた意義は大きい」と皮肉る。「私はおやじも古里も失った。それなのに事故を起こした張本人は誰も責任を取らないなんて、おかしいよ」》。
 《「東電や国は都合の悪い資料を隠そうとしてきたが、刑事裁判になったことで検察当局が収集した証拠が公になった公判が開かれた意義は大きい」と語る》。

   『●アベ様による「棄民」政策をも追認…東電旧経営陣の
     刑事裁判で永渕健一裁判長は「無罪」という「政治判断」を下した
   『●阿部岳さん【「東電無罪」の論理】《「…運転はおよそ
    不可能になる」…判決は意図せず原子力制御の限界を認めている》
   『●やはり核発電は「金のなる巨大木」だった…
     高浜「原発マネー」が八木誠会長ら関西電力経営陣個人に見事に《還流》
   『●東京電力核発電人災、決して自主避難者の《自己責任》
     ではない…「原発事故がなければ福島を出た人は誰もいない」

   『●東電旧経営陣に無罪判決…《誰も事故の責任を
     取らなければ企業に無責任体質がはびこり、また同じことが起きる》
   『●JOC臨界事故で何が起きたでしょうか?…《人が制御
     できないなんて恐ろしい。政府は…本当のことを言っていない》

   『●永渕健一裁判長、東電旧経営陣の刑事裁判で「無罪」《判決の
      中身もさることながら、その理由があまりにもひどすぎる》

 永渕健一裁判長の「無罪」の「判決当日午前、大谷直人最「低」裁長官がアベ様を御訪問…事前に政治判断をご報告ですか? 〝つぶやき〟上では、田中耕太郎長官を想起する、というものもありました。大谷直人最高裁長官は…」どのような方かも知っておいたほうが良いようです。

 アベ様らに忖度した裁判所による「政治判断」とブログ主は思います。難しいことは理解できますが、「司法判断」しているとは思えない。

 永渕健一裁判長は「無罪」の判決を下されましたが、東京電力には「原状回復」の責任があると思います。少なくとも、上層部はその責任を果たす努力をすべきで、全く試みようとしないのであれば、また、「原状回復」しないのならば、大変な罪を負うと考えます。
 「原状回復」していないのに、核発電所を再稼働させたいだの、核発電所を輸出したいだの、許されるはずがありません。核発電「麻薬」中毒患者の暴走を許してはいけない。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201909/CK2019092002000175.html

<原発事故「無罪」>(上)判決に表情変えず 遺族ら「うそー」悲鳴
2019年9月20日 朝刊

 未曽有の被害をもたらした原発事故の刑事責任について、司法は「無罪」と判断した。東京電力福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された勝俣恒久元会長(79)ら東電の旧経営陣三人に対する刑事裁判。本当に事故は防げなかったのか。刑事裁判が開かれた意義を考える。 

 「被告人三人は、いずれも無罪

 十九日午後一時十五分、永渕健一裁判長が読み上げる判決主文が、東京地裁の法廷内に響いた。証言台の前に並んだ勝俣元会長、武黒一郎元副社長(73)、武藤栄元副社長(69)の三人は判決が言い渡されると、そろって裁判長に向かって一礼。被告人席に戻った武藤元副社長は、着席と同時に軽く二度うなずき、二人は硬い表情を崩さなかった。

 無罪判決の一報を伝えようと、記者たちが一斉に席を立ち上がり慌ただしく出て行く。傍聴席からは「うそーという叫び声が上がり、あちこちからため息が漏れた。

 「(旧経営陣に津波対策の方針が了承された、とする元社員の供述調書は)推測で述べている可能性があり、疑義がある」「(対策を指示しなかった)三人の対応は特異なものとは言えない」

 永渕裁判長が、検察官役の指定弁護士側の主張を次々と否定していく。争点となっていた「最大一五・七メートルの津波が原発を襲う可能性」を示す試算結果についても、その根拠となった国の地震予測「長期評価」について「事故前の時点では、十分な根拠を示していたとは言い難い」と信頼性に疑問を投げかけた。

 これまでの公判で、部下から試算の報告を受けながら対策工事などを指示しなかった武藤元副社長は、検察官役の指定弁護士から「対策の先送りだ」と批判されると「心外だ」と色をなして反論。武黒元副社長も試算通りの津波を想定しなかったのかと問われ仮定の話に意味はないと不快感を示し、勝俣元会長も「技術的なことは分からない」といら立ちをあらわにする場面があった。

 この日、裁判長が「長期評価の信頼性には限界があった」と読み上げると、それまで眼鏡を外してメモを取っていた武藤元副社長は軽くうなずき、顔を上げて勝俣元会長、武黒元副社長の様子を確認。再び眼鏡をかけ、深々といすの背にもたれ掛かった。勝俣元会長は、判決を読み上げる裁判長の姿を見つめ、武黒元副社長はうつむいたままだった。

 約二時間四十分間続いた判決の読み上げの終盤、永渕裁判長は「事故前は、絶対的な安全確保は求められていなかった」とした上で、「三人の罪は認定できない」と締めくくった。

 裁判長が閉廷を宣告すると、三人は遺族もいる傍聴席には目を向けず、立ち止まることもなく、無表情のまま法廷を後にした。「こんなの間違っている」。傍聴人の悲鳴が、法廷にこだました。 (この連載は、小野沢健太が担当します)
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201909/CK2019092202000114.html

<原発事故「無罪」>(中)後悔と怒り今も 双葉病院「東電 無責任体質分かった」
2019年9月22日 朝刊

     (雑草が茂った双葉病院の入り口=福島県大熊町で)

 門扉を覆い隠すように雑草が生い茂っていた。二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故後、避難が困難を極め多数の死者を出した福島県大熊町の「双葉病院」周辺は、時が止まったようにひっそりとしていた。

 原発から約四・五キロ、町の許可がなければ立ち入れない帰還困難区域を九月上旬に訪れた。病院は入り口も中庭も雑草ばかり。約三百メートル離れた系列の老人介護施設「ドーヴィル双葉」の玄関内には、パンクした自転車や車いすが無造作に放置されているのが見えた。

 道路脇の茂みの放射線量は毎時〇・八九マイクロシーベルト。東京都内の三十倍だった。入院患者らは当時、今よりはるかに高かった線量から逃れようとして命を落とした

 事故時、両施設には計四百三十六人が入院や入所をしていた。医療設備のない観光バスで九時間半の移動を強いられるなどしたお年寄りたち。四十四人を死亡させるなどしたとして業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣三人は十九日、東京地裁で無罪判決を受けた

 「あのとき違った行動をしていれば」。病院の向かいに住んでいた片倉勝子さん(77)=同県いわき市=は今も自責の念にかられる。

 地震の翌朝、避難を呼びかける町の防災無線を聞き表に出た。かつて看護師として勤めていた双葉病院の様子が気になり、玄関に向かうと、元同僚が慌てふためいていた。人手が足りていないと思い、「じゃあ私、手伝うわ」と声を掛けたが、「構わず避難して」と強く言われ、その場を後にした。

 それから数カ月後。一時帰宅した片倉さんは、病院前の路上に多くのベッドが置きっ放しになっているのを目にした。「寝たきりのお年寄りたちが、こんな場所で避難バスを待つしかなかったなんて」。涙が止まらなかった。

 「病院に残って看護に当たっていれば、少しは違う結果になったかもしれない」。立ち去ってしまったことへの後悔が消えない。

 病院から約二キロ離れた商店街。ガラス窓が割れた店舗が並ぶ中、シャッターが閉まったままの「かんの精肉店」があった。

 この店を営んでいた菅野正克さん(75)=水戸市=は、事故時に双葉病院に入院していた父健蔵さん=当時(99)=を長時間の避難の末に失った。

 判決公判を傍聴した菅野さんは、「旧経営陣の三人は『無罪は当然』という表情だった」と振り返る。旧経営陣は公判で、「知らない」「覚えていない」と繰り返した。菅野さんは「東電の無責任体質がよく分かった。刑事裁判が開かれた意義は大きい」と皮肉る。

 「私はおやじも古里も失った。それなのに事故を起こした張本人は誰も責任を取らないなんて、おかしいよ」
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201909/CK2019092302000117.html

<原発事故「無罪」>(下)公判記録 民事の力に 賠償訴訟 避難者・被災者の救済期待
2019年9月23日 朝刊

     (「東電の責任逃れは許さない」と話す石井優さん
                    =千葉県南房総市で)

 「やっぱりあるじゃないか

 東京電力福島第一原発事故の避難者らが東電や国を相手取った損害賠償請求訴訟の代理人、栗山博史弁護士は今春、東電の旧経営陣三人が強制起訴された刑事裁判の記録を仲間の弁護士から見せられ、驚いた。

 民事訴訟の過程で、津波対策関連の報告資料がないか尋ねた際、国には「ない」、東電には「必要ない」と突っぱねられていた。しかし、刑事裁判の証拠の中には数値や図面も載った詳細な報告資料があった。

 「東電や国は都合の悪い資料を隠そうとしてきたが、刑事裁判になったことで検察当局が収集した証拠が公になった。公判が開かれた意義は大きい」と語る。

 複数の避難者訴訟を担当する林浩靖弁護士は、刑事裁判の証拠が訴訟の「武器」になると思い、訴訟の当事者として東京地裁から、東電社員らの証人尋問調書などを取り寄せた。

 刑罰を科すかを審理する刑事裁判は、紛争解決を目的とした民事訴訟よりも厳格な立証が求められるため、証拠も詳細になる。林弁護士は「東電の社内では津波対策が議論されていたにもかかわらず、何も対策を取らなかったことが刑事裁判で明らかになった悪質性は高く、賠償責任が今までよりも重く認定される可能性がある」と期待を寄せる。

 千葉県南房総市の石井優(ゆたか)さん(72)は、仙台地裁で審理されている集団訴訟の原告。自身の訴訟で、東電と国の責任を明らかにしたいと強く思っている。

 千葉県で教諭として働いていた石井さんは退職後、自然に囲まれた暮らしを望んで、夫婦で福島県富岡町に移住した。近所の人は温かく、用事がなくても遊びに来てくれた。「庭仕事も楽しく、すっかりなじんじゃってね」。しかし、新たな古里は原発事故であっけなく失われた

 事故後は夫婦で各地を転々。知人を頼って仙台市に避難していたとき、訴訟に加わった。弁護団は、避難生活による損害のほか「ふるさと喪失に対する慰謝料も求めている。

 今月九日未明の台風15号で、自宅は十日間にわたって停電した。猛暑の中、エアコンが使えず、エンジンをかけた車の中で過ごす不自由な生活が続いた。東電は当初、停電は早期に復旧する見通しを示していたが、何度も延期し、そのたびに被災者を落胆させた。「当事者意識が低く、見通しが甘い原発事故から何も学んでいない」と憤る。

 東電の不誠実さは、刑事裁判での上層部の姿にもはっきりと表れていたと感じる。それだけに、無罪判決には納得がいかない。

 「このまま責任逃れをさせてはいけない刑事裁判で新たに分かったことを訴訟で突きつけ、私たち避難者や被災者のより一層の救済につなげたい」 (この連載は、小野沢健太が担当しました)
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●沖縄の「屈辱の日」を祝う神経

2013年04月29日 00時00分45秒 | Weblog


沖縄の人々にとっての「屈辱の日」について、東京新聞の社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013042802000135.html)とコラム「筆洗」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013042802000132.html)、そして、CMLの記事(http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-April/023793.html)。

 衆院選での自公政権復権で浮かれている。当初は「安全運転」するつもりだったらしいが、どんどんと箍が緩んできている。自公(や元両〝ト〟知事のトンデモ党)に投票した人たちや、支持者の人達は何も感じないのでしょうかね?

   『●改憲などしている場合か? ~壊憲派に勝たせてはならない~
   『●トンデモな両元〝ト〟知事がリーダーの「維新」を支持する価値はあるのか?
   『●橋下元大阪〝ト〟知事の問題というよりも、投票者・支持者の問題?
   『●来るところまできた原発推進、 
             3.11東京電力原発人災は一体何の教訓をもたらしたのか?
   『●東京電力原発人災、大熊町双葉病院の患者遺族が東電を提訴
   『●元大阪〝ト〟知事は単なる目立ちたがり屋!? 「あざとい」・・・
   『●民意薄き圧勝: 原発推進してきた自民党

 コラム「筆洗」の云う「仲井真弘多沖縄県知事は欠席する。当然だ。沖縄にとっては、祖国から切り離された「屈辱の日」なのだから▼「憲法改正よりも日米地位協定を改定することが主権回復だ」。保守系の翁長雄志那覇市長が語っていた。こうした正論は安倍晋三首相の耳には聞こえないようだ」、に全く同感。
 「屈辱の日」を祝う神経を疑う。

 「安倍政権を礼賛している右寄りの人たちは、実は自分たちも切り捨てられる側にいることに気づいていない」、これってハシズムを大絶賛している人たちにも言えます。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013042802000135.html

【社説】
週のはじめに考える 日本の真の独立を思う
2013年4月28日

 きょう二十八日は主権回復の日。天皇、皇后両陛下も出席されての初の式典開催ですが、沖縄の当然ともいえる反発があっては虚心にはなれません。 
 サンフランシスコ講和条約が発効した一九五二年四月二十八日はどんな日だったか。データベースを検索して当時の新聞各紙を読み比べると、歓喜と不安が交錯する日だったことがわかります。
 六年八カ月の軍事占領からの解放。中日新聞(当時中部日本新聞)は一面に「雲ひらく」と題した横山大観画伯の大きな多色刷り富士山頂図を奮発しています。


歓喜と不安交錯の記念日

 朝日新聞は天声人語の「二つの日本に分割されなかった幸い」や「有史以来初の主権在民の独立国になったのである」に高揚感を漂わせます。「自主独立が外交の基本」-夕刊紙だった東京新聞はこの朝の吉田茂首相と内閣記者団との一問一答を掲載しています。
 不安は東西冷戦に由来します。五〇年六月、北朝鮮軍の砲撃から始まった朝鮮戦争は、死者四百万~五百万人、その大半が一般市民という凄惨(せいさん)な事態となりますが、まだ休戦に至っていません。講和も旧ソ連や大陸の中国との締結のない単独講和でした。
 中日新聞に「独立に想(おも)う」を寄稿した社会学の清水幾太郎は「アメリカのソ連包囲網の一環になったまでのこと。新しい大戦の危険は大きい」と不気味な予言。「八千五百万人の日本人が独立の気力をもって現実に働きかければ」と期待しました。「共産主義が歴史の必然」ともいわれた時代。世界の行方などわからないものです。
 講和条約と同時に発効した日米安全保障条約によって、西側陣営に立ち、反共の砦(とりで)の役割を担うことになった日本。戦後社会をけん引したのは吉田首相の軽武装・経済重視の「吉田ドクトリン」路線でしたが、最近の昭和史研究や豊下楢彦前関西学院大教授の「昭和天皇・マッカーサー会見」(岩波現代文庫)は、外交、防衛、安全保障面で昭和天皇の果たした役割の大きさを明らかにしています。昭和天皇の沖縄メッセージや講和条約交渉への天皇の介入は、沖縄の運命や日本の防衛や安全保障に決定的だったように見えます。


沖縄の犠牲に支えられて

 沖縄メッセージは四七年九月、天皇御用掛の寺崎英成氏が連合国マッカーサー総司令部に伝えた極秘メッセージ。天皇が米軍の沖縄占領継続を希望し、占領は長期租借(二十五年ないし五十年、あるいはそれ以上)で-などの内容。七九年の文書発掘は沖縄に衝撃を与え、その後、入江侍従長の日記で内容がほぼ事実と確認されたことで、沖縄の人々は大きく傷ついたといわれます。
 豊下前教授はダレス米国務省顧問を相手にした講和条約、安保条約交渉でも、吉田首相と昭和天皇の二重外交があったことを論証しています。当時の天皇にとっての脅威は朝鮮半島にまで迫った共産主義でした。共産主義から天皇制を守ることは日本を守ることでもあったのでしょう。戦争放棄の憲法と非武装となった日本で天皇が頼ったのは米軍、それが沖縄占領継続の希望や基地提供でした。
 そこにはパワーポリティクスや外交的駆け引きの余地はなく、ダレスに対日交渉での当初からの目論見(もくろみ)「望むだけの軍隊を、望む場所に、望む期間だけ駐留させる権利の確保」を勝ち取らせることになってしまいました。およそ独立にふさわしくないこの条約は、今も日米地位協定の不平等のなかに潜まされ、変えられていません。
 講和条約三条で沖縄は本土から分離され米国の施政権下に移されました。講和条約や安保条約の成立過程の検証は、本土の独立が沖縄の一方的犠牲の上に築かれていることを教えます。
 沖縄への理不尽は、世界一危険な普天間飛行場移転問題に集約的に現れます。沖縄の四十一全市町村長の反対にもかかわらず、政府は県内の辺野古移転を変えません。米軍の移転候補基地の比較衡量で満点は「本土の自衛隊基地」。辺野古への固執は本土移転回避の政治的理由としか思えません。
 日米安保の重要性は否定できません。それなら負担は国民が等しく、本土でも米軍基地を引き受けていくべきです。憲法改正に声高な政府や政治家が日米地位協定改定には及び腰なのはなぜか。国民のために当たり前のことを主張し要求していくのが独立国の政府、正しいことに勇気をもって立ち向かうのが独立国の国民。


日本全体で考える

 昭和を継いだ今上天皇の沖縄への思いはことに深いようです。昨年十二月の七十九歳の誕生日のお言葉は「日本全体の人が沖縄の人々の苦労を考えていくことが大事」でした。沖縄こそ真の主権回復の一歩にしたいものです。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013042802000132.html

【コラム】
筆洗
2013年4月28日

 <パスポート笈(おい)底深く復帰の日>。『南島俳句歳時記』(瀬底月城著)から志多伯得壽さんの句を引いた。笈とは背負って歩く木製の箱。沖縄が復帰するまでの間、本土への渡航に必要だったパスポートをしまい込んだ感慨を詠んだのだろうか▼一九五八年、夏の全国高校野球大会に沖縄代表として初出場した首里高校の選手もパスポートを携えて渡航した。甲子園のグラウンドから土を持ち帰ろうとすると、検疫で「外国の土」とみなされ、那覇港で廃棄させられた▼五二年四月二十八日、サンフランシスコ講和条約が発効し、連合国軍総司令部(GHQ)の占領が終わった。沖縄にとってはさらに二十年間に及ぶ米軍統治の始まりだった米軍基地はそっくり残り、再び本土の「捨て石」にされたのである▼政府はきょう、主権回復を記念する式典を開く。仲井真弘多沖縄県知事は欠席する。当然だ。沖縄にとっては、祖国から切り離された屈辱の日」なのだから▼「憲法改正よりも日米地位協定を改定することが主権回復だ」。保守系の翁長雄志那覇市長が語っていた。こうした正論は安倍晋三首相の耳には聞こえないようだ▼講和条約と同時に結ばれた日米安保条約の下で沖縄の人々が強いられてきた犠牲は、本土のメディアや国民の無関心によって一層強められた。「屈辱の日に立ち上る声に耳を澄ませたい
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http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-April/023793.html

[CML 023924] 主権と回復 慶応大学教授・片山杜秀さん

BARA ・・・・・・
2013年 4月 27日 (土) 11:28:10 JST


新聞記事
朝日新聞2013.4.27朝刊
http://digital.asahi.com/articles/TKY201304260492.html?ref=comkiji_redirect

4月28日、安倍政権は「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」を開き、天皇、皇后両陛下も出席する。
閣僚の靖国神社参拝などと相まって国家主義的な動きが強まっているように見えるが、政治思想史家の片山杜秀さんは「国民国家が崩壊過程にあるからこそ起きる現象だ」と語る。
いったいどういうことなのだろうか。


 ――「主権回復の日」をどうみますか。

 「実に『安上がり』な国民統合の仕掛けですね。安倍政権が主権や国防軍、日の丸、君が代といったナショナルなシンボルをやたらと強調するのはもう国は国民の面倒はみないそれぞれ勝手に生きてくれ』という、政権の新自由主義的なスタンスと表裏の関係にあります

 「日本という国は明治以来、天皇の下で国民統合が図られてきました。革命が起きて天皇制がつぶれたり、共和国になったりすることをずっと怖がってきて、社会主義や共産主義を抑圧しようと幸徳秋水を殺し、大杉栄を殺し、治安維持法を制定し、その一方で国民に不満を持たせないように、食わせるための努力をしてきた。社会党や共産党よりも天皇を仰ぐ私たち保守の方が皆さんを食わせることができますよと、実際に札ビラを見せながらやってきたのが戦後自民党で、池田勇人の所得倍増計画はその典型です。しかし今の安倍政権はそういう保守ではもはやない。税金や徴兵など国民に犠牲を強いるかわりに後々までちゃんと面倒みるよ、というのが国民国家ですが、安倍政権の国家観はすでにそこからズレていっています。そのことをまずは深く認識すべきです」


 ――どういうことでしょうか。

 「例えば自民党の改憲草案では、わざわざ条項を新設し、『家族は、互いに助け合わなければならない』とうたっています。オールド左翼は『天皇を家長とする家族主義的国家の復活だ』といった方向から批判をしていますが、全くピントがずれている。これは自助努力の文脈で捉えなければなりません。家族で助け合ってくれれば安上がりですから

 「草案には天皇の元首化や国防軍の創設なども盛り込まれているため『右傾化』『軍国主義』といった枠組みで批判されがちですが、問題の本質を見誤っています。安倍政権の特質をひとことで言うなら『安上がり』です。国民の面倒はみない、でも文句を言わせないための安上がりな仕掛けをたくさん作っておこうというのが安倍政権の改憲路線です。国民皆兵にして海外で戦争を……なんて考えているわけがない。面倒なことは少しでもやりたくないというのが新自由主義ですから」

 「ただ、面倒をみなければ当然、国家としての凝集力は弱まります。富裕層は国外に流出するかもしれないし、貧乏人は暴動を起こすかもしれない。さあどうするか。以前のようにお金をバラまけないのなら、とりあえずは精神で統合をはかるしかありません。日の丸。君が代。靖国神社。主権回復の日。あるいは国民栄誉賞もそうかもしれませんが、『俺たちは日本人だ』という雰囲気を盛り上げ、つらい目にあっている人ほど持っている『連帯したい』という感情を糾合し、文句を言わせないようにしようと。安倍政権を礼賛している右寄りの人たちは、実は自分たちも切り捨てられる側にいることに気づいていないし、左の人たちは批判のポイントを間違っていて、その意味では両方ともうまくごまかされてしまっています」

     ■     ■

 ――確かに、式典を批判する側の足場は「沖縄の心」に偏っていて、どうにも心もとない感じです。

 「サンフランシスコ講和条約と同時に日米安保条約が結ばれたことによって、主権とアメリカ、どちらを立たすか難しい『二頭立て』の状態が現在も続いています。沖縄にとって4・28が『屈辱の日』であるのはその通りで、それを祝うなんて沖縄に失礼だ、申し訳ないというのはひとつの正しいロジックです。ただそれは逆にいうと、沖縄を犠牲にして本土はいい思いをしたということを裏で認めることになる。真っ先に語られるべきは、4・28は日米安保とセットだったということで、『沖縄が怒っている』ではない。沖縄に極端に出ている問題を本土もまた抱えているのだという視点を強調せずに、沖縄に寄りかかって批判していると、筋がズレてしまいます」


 ――式典には天皇も出席します。

 「『最低価格』での連帯感の維持を考えた時、最も有効なのは天皇を政治的に利用することです。天皇が来なければ、せっかくの式典の価値が減じます。国歌や国旗と違って、天皇は生身ですから。お言葉を発したり歌を詠んだりすれば、別に懐は温まらなくても『日本人でよかった』という連帯心が醸成される。日本に天皇がいなかったら、国民統合にかかるコストは今とは比較にならないくらい高くついたでしょう」

 「今上天皇はまさにアメリカが占領時代に日本に植えつけた民主主義的な価値観を、ある意味最も体現している人物でもある。もし自らの意見を表明することが許されるなら……。一番よくわかっておられる。そう信じています」


 ――安く上げるために、利用価値があるものは何でも利用すると。まさに新自由主義的ですね。

 「安倍政権が戦後の保守とは質を違えていることはまさに、4・28で歴史に線をひくという発想に現れています。軍国主義から平和主義へ。天皇主権から国民主権へ。天皇のいる民主主義国家をつくり、守っていくための仕掛けは、占領時代、日米の絶妙な政治的駆け引きによって生まれ、だからこそ自民党の長期政権も可能になったのです。4・28以前の日本は占領軍に手足を縛られ、何も思うようにできなかったかのごとく言うのは、歴史の歪曲(わいきょく)であり、戦後保守の自己否定です」

 「さらに占領期のネガティブな面を強調し、4・28を一種の解放記念日のように位置づけることは、反米ナショナリズムに火をつけ、自主防衛、日米安保破棄論につながりかねません。反米世論を抑え、アメリカを『番犬』にしながら日本を豊かにして国民に分け前を与えるというのが戦後保守の王道なのに、下手をするとその構図を壊しかねません」

     ■     ■

 ――それでもあえて4・28を強調するのはなぜでしょうか。

 「改憲への地ならしにしたいという意図ははっきりしています。『憲法は占領時代に押し付けられた。自分たちでつくり直さなければ真の自立とはいえない』という言説を振りまき、そうだったのか、じゃあとりあえず96条を改正して憲法を変えやすくした方がいいかもしれない、という世論を形成したいのでしょう」


 ――憲法を変えれば日本は良くなるなんて、ずいぶんナイーブというか精神主義的な議論ですね。

 「日本の精神主義は、『持たざる国』であることからきています。地政学上、日本のライバルは中国、アメリカ、旧ソビエトですから、嫌でも資源に乏しい国であることを自覚せざるを得ません。その結果、人口が足りないから産めよ増やせよとか、資源を求めて植民地主義に走るとか、現実を直視せずに常に背伸びをして頑張る、頑張っていればきっとそのうちなんとかなるさ……という習性が身についています」

 「背伸びをさせるには精神主義しかありません。戦争中、レーダーを開発するお金がなくても、日本人は目がいいから大丈夫だとか、空襲も音で判断しろと学校でレコードを聞かせ、『これはB29だ』と教えている。体が小さい日本人は大きくて小回りが利かないアメリカ人よりも戦闘機乗りとして有利だと、本に真面目に書いてありますから。『持たざる国』だという現実を美化するためのロジックは無尽で、あとは精神力でカバーすればなんとかなると。そうやってずっとやってきたのです」

     ■     ■

 ――為政者にしてみれば、安上がりな統治がしやすいと。

 「そういうことになりますね。安上がりに済ますにはうってつけの精神的風土があることは疑いない。ただ、それでも戦前の日本は、『この戦争に勝てば大東亜共栄圏ができて日本は繁栄する』と、将来のビジョンを示している。所得倍増計画だって、みんな電化製品に囲まれていい暮らしができるよというビジョンを見せて、それなりに実現させることによって国民を統合していました。ところが、今の安倍政権はビジョンを見せたり約束したりはしてくれません。『美しい国』なんて何の実態もないし、『アベノミクスもお祭り囃子(ばやし)に過ぎないでしょう。踊れや踊れ、でもその後は自助だよ知らないよと開き直るのは、日本においては新しい統治のパターンです」

 「そもそも日本が国民国家であるということが、もはや当たり前ではなくなってきています。フランスでは高額な税率を嫌い、有名人が実際に国籍を捨てている。高度資本主義国家のたどる末路です。安倍政権は、日本も将来、そういう国にならざるを得ないというビジョンは持っているのではないでしょうか。国民国家が崩壊の過程にあるからこその、主権の強調。今回の『主権回復』をめぐる動きは、そういう歴史の皮肉として捉えられるべきです」

 (聞き手・高橋純子)

     *

かたやまもりひで 63年生まれ。
専門は政治思想史。音楽評論家としても活躍し、東京芸術大学で非常勤講師を務める。著書に「未完のファシズム」など。
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コメント
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●東京電力原発人災、大熊町双葉病院の患者遺族が東電を提訴

2013年03月02日 02時30分27秒 | Weblog


asahi.comの記事(http://www.asahi.com/national/update/0222/TKY201302210508.htmlhttp://apital.asahi.com/article/story/2013022200005.html?ref=comtop_btm)

 津波と地震による自然災害だとでも? 「原発事故によって亡くなった人はいない」「放射能で亡くなった人は1人もいない」とでも??

   『●なんだ、結局、やらせ「将来原発比率意見聴取会」じゃないのか? まさに茶番劇
   『●哀しい遺書: 「原子力さえなければ」

 「東京電力福島第一原発に近い双葉病院(福島県大熊町)の入院患者が原発事故後、取り残されて避難が遅れ、多くが死亡」とは・・・・・・痛ましい。原発再稼働・原発建設再開・原発輸出できる神経を疑う。それを許せる政党への投票者・支持者の神経・「品格」・「資質」も。色んな争点があるのは分かる、でも許してはいけない、譲れない争点であったはずだ。

   『●田中優子さん「誰の名前を書くのか、その人の品格が問われている」
   『●映画『放射線を浴びた『X年後』』: 
         「こんな巨大な事件が、・・・日本人としての資質が問われる」

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http://www.asahi.com/national/update/0222/TKY201302210508.html

2013年2月22日8時2分
双葉病院の患者遺族、東電を提訴へ 原発事故で過酷避難

 【藤原慎一、大月規義】東京電力福島第一原発に近い双葉病院(福島県大熊町)の入院患者が原発事故後、取り残されて避難が遅れ、多くが死亡した問題で、亡くなった患者のうち7人の遺族が東電に対し、患者1人あたり3千万円の損害賠償を求める訴訟を近く東京地裁に起こす。

 政府の事故調査・検証委員会は昨年7月の最終報告で、避難の遅れについて、県や自衛隊、警察などの連携不足が原因と指摘。一方、病院の対応については、鈴木市郎院長が患者の救出に立ち会ったことなどから、問題視していない。

 遺族側は「すべては事故に起因している。責任の所在を明確にし、裁判の長期化を避けるため」として、訴える相手を東電に絞る。

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http://apital.asahi.com/article/story/2013022200005.html?ref=comtop_btm

東電の責任、白日の下に じいちゃんなぜ…事故なければ
2013年2月22日

【大月規義】 東京電力福島第一原発の事故から間もなく2年。避難、救出が遅れ、多数の入院患者の死亡につながった双葉病院(福島県大熊町)の患者の遺族が東電を相手取り、損害賠償を求める訴訟を起こす。賠償制度の枠のなかで東電に請求する方法もあるが、遺族は訴訟の道を選ぶことにした。「裁判にしないと東電の責任がうやむやにされる」との思いからだ。

 原発から約8キロ。安倍ノリ子さん(71)と夫の正義さん(76)は同県浪江町の自宅を津波で流され、同県相馬市に避難している。避難先の家の居間の仏壇には、99歳で亡くなった正義さんの父、正さんの遺影が飾られている。
 正さんは2004年、双葉病院系列の老健施設に入所したあと、脳梗塞(こうそく)や肺炎を患い、同病院へ入退院を繰り返していた。3歳で父を亡くしているノリ子さんは結婚後、正さんを実の父のように慕ってきた。ほぼ毎日、正さんの顔を見に病院に通っていた。
 震災の前日も訪れた。正さんは耳が遠いので、いつも大きめの声で話しかける。「じいちゃん、変わりはない? 11月には100歳のお祝いをしようね」。正さんが答えた。「大丈夫だ。120まで生きるんだから」。それが、交わした最後の会話となった。
 震災の日、ノリ子さんは津波と放射能から逃げながら、病院に何度も電話した。しかし、通じない。数日後、双葉病院の患者が搬送先の体育館などで大勢死亡しているとのニュースを見た。不安にかられた。
 3月20日。義父と10日ぶりに再会した。いわき市の体育館に敷かれたブルーシートの上に並んだ棺の中にいた。

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