Activated Sludge ブログ ~日々読学~

資料保存用書庫の状況やその他の情報を提供します。

●刑事裁判…武藤類子さん《「裁判所はこれでいいのか」事故で多数の命が奪われたのに、東電の誰も刑事責任を負わないことに納得がいかない》

2023年02月04日 00時00分50秒 | Weblog

[※ ↑【連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟】 (東京新聞 2022年06月11日)]


・大寒波 (20230124[])
未曽有の原発事故を引き起こし、今なお収束していないにもかかわらず、誰1人刑事責任を問われない》…《巨大津波の襲来を現実的には認識できず、事前の対策で事故が防げた証拠もない。だから無罪-。》?? 一体どんな論理か? 
 《東京電力福島第一原発事故について被害者が国の賠償責任を問うた訴訟で、最高裁が6月に、「責任がない」という判断を示し》た時と同じ論理...《史上最大の公害事件》、核発電人災。《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国の日本で原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》…なはずなのに。東京高裁は正気か? そんな論理が許されるのならば、二度と核発電所の稼働など許されない。さっさとすべて廃炉作業に入るべき。(琉球新報)《電力会社と共に「安全神話」を掲げて原発政策を進めてきた国の責任も問われる》べきなのに…。

   『●アベ様による「棄民」政策をも追認…東電旧経営陣の刑事裁判で
         永渕健一裁判長は「無罪」という「政治判断」を下した
   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》
   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》
   『●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、
     東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令
   『●キシダメ首相は《原発の運転期間の延長に加え》《新増設や建て替えの
      検討を明言したのは初めて》――― 命名・次世代革新炉「キシダメ」
   『●《「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。
     『原発をとめた裁判長』を見れば誰でもわかる。是非ご覧いただきたい》
   『●アタマオカシイの? 《東京電力の柏崎刈羽原発を原子力規制委員会の
     最終承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させる》!
   『●《老朽原発の運転延長や次世代原発の建設は…大惨事の教訓を根底
     から覆し…福島事故を上回る大惨事を招きかねない無謀な政策転換だ》

 政権党の誰も責任を取らない。ましてや、再稼働したい、停止期間控除で老朽核発電所を60年以上も運転したい…。GXの名の下に、核発電所を新規建設したい…。一方、人災の当事者・東電は、自公政権や経産省の後押しの下、柏崎刈羽核発電所を運転したいという…。
 沖縄新報の【社説[東電旧経営陣再び無罪]責任問う仕組み必要だ】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1090811)によると、《巨大津波の襲来を現実的には認識できず、事前の対策で事故が防げた証拠もない。だから無罪-。被害の大きさを考えれば釈然としない判決だ。東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の旧経営陣3被告に対し、東京高裁が一審の東京地裁に続き再び無罪判決を言い渡した》《刑事訴訟で個人の責任が否定されても、東電や国の責任は残ったままだ。岸田文雄政権は「原発回帰」を打ち出すが、電力需要や電気産業の都合ばかりが目立つ。リスクの大きさを考えれば、責任の重さに向き合わないままの推進は許されない》。

   『●東電核発電人災、「だれひとり刑事罰を問われなくて
           いいのか」? 「市民の正義」無き国ニッポン
   『●東京高裁・細田啓介裁判長…《市民の判断で強制起訴された東京電力
        旧経営陣3人の公判は、無罪判決が維持された》でいいのですか?

 東電核発電人災、「だれひとり刑事罰を問われなくていいのか」? 「市民の正義無き国ニッポン。(東京新聞)《海渡雄一弁護士は「裁判官は現場に行くこともなく、原発事故の被害に向き合おうとしなかった」と振り返り、「具体的な危険がなければ対策しなくていいという判断政府が再稼働を進めようとする中、司法が歯止めになっていない」と非難した》。
 刑事裁判においても、《未曽有の事故を風化させないためにも、人災を起こした責任を明確に問うべきだ》。《「福島原発告訴団」の武藤類子団長…は、判決後に東京都内で開いた集会で「はらわたが煮えくり返る思い。最高裁に上告してほしい」と憤り、「悔しい」と何度も繰り返して声を震わせた》そうだ。さらに、《「裁判所はこれでいいのか」 事故で多数の命が奪われたのに、東電の誰も刑事責任を負わないことに納得がいかない》と。

   『●脱アクションウィーク、5万人集会
    「最後の福島の被災市民として武藤類子さんが
     訴えておられる映像がとても印象に残りました。
     その文章おこしされたものはCML
     (http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-September/011909.html
     にありますので、一読して頂きたいです」

   『●再稼働・輸出問題に続いて、東京電力原発人災下の
              五輪招致騒動: 「あろうことか」、の連続
    《団長を務める武藤類子さん(60)は「抜本的な対策を取らない
     と大量な汚染水が出ることは、東電にとって想定内だったはず
     文書はそれを示す証拠だ。これまでのずさんな汚染水対策を見ると、
     私たち被災者の犠牲はなんだったのかと思う」と憤る》

   『●「東電元幹部の罪と罰」
     『週刊金曜日』(2014年9月19日、1008号)についてのつぶやき
    《武藤類子氏【これでも罪を問わないのか】。
     明石昇二郎さん【東電関係者の「不起訴」理由 検察は、いかに
     原子力ムラに丸め込まれたか】、「告発人として主任検事から
     詳細な説明を受けていた筆者が、その詳細を暴露する……
     御用電力学者の言い訳を鵜呑み……原子力ムラにしてやられた検察」》

   『●原状回復が損害賠償の基本: 東京電力原発人災で
             「ふるさとをなくした痛み」は全く癒えていない
    《「東京電力福島第一原発事故で国と東電の刑事責任を
     追及している福島原発告訴団の武藤類子団長は「原発事故が
     解決していない中での再稼働は信じ難い」と強調。川内原発建設
     反対連絡協議会の鳥原良子会長は「民意を反映しない
     鹿児島県や薩摩川内市の再稼働同意に住民は大きな怒りを
     感じている」と述べた》
    《原発事故被害者団体連絡会が設立された。被災者の悲しみ、
     怒りは、激しく、深く。共に訴え、助け合うため団結した。
     それは私たちとも無関係ではあり得ない。福島が求めている
     のは、当然そうあるべきことだけだ。謝罪と被害の完全賠償、
     暮らしと生業の回復、詳細な健康診断と医療保障、
     および被曝(ひばく)低減策、そして、事故の責任解明-》

   『●東電核発電人災、「だれひとり刑事罰を問われなくて
           いいのか」? 「市民の正義」無き国ニッポン
    《長い困難な裁判になるのだろうが、みんな裁判にかけている。
     団長の前いわき市議佐藤和良さんは「有罪に持ち込むため、
     スクラムを組もう」と訴えた。副団長の武藤類子さんも
     「最悪の事故を経験した大人として、未来に対して何ができるか」
     と問うた。私も、市民の正義を求める人びととともに
     「われらゆるがず」の歌声に連なりたい。(佐藤直子)》

   『●武藤類子さん《沖縄で闘っている人の言葉…「国を相手に
        ケンカしたって勝てない。でも、おれはやるんだ」》
    「レイバーネットのコラム【●木下昌明の映画の部屋 250回/
     原発事故に翻弄された14人~土井敏邦監督『福島は語る』】
     …。《映画は、生活を根こそぎ奪われ、人生を翻弄された
     14人の被災者に焦点を当てている。…暮しの中から被災後の困難を
     浮かび上がらせているのが特徴だ》」
    《こういった人々の語りから「病めるフクシマ」という言葉がじわり
     と浮かんでくる。福島原発告訴団武藤類子団長が登場する章では、
     「自分たちは理不尽な被害者なのに、黙っていていいの?
     と問いかける武藤団長が、沖縄で闘っている人の言葉を紹介する。
     「国を相手にケンカしたって勝てない。でも、おれはやるんだ。
     それが尊厳なんだ。プライドなんだ」 胸に響く。》

   『●武藤類子さん《本来ならその人たちにとってもこの10年、まったく
     違った時間があったはず…原発事故は、その時間を奪ってしまった》
    《「私たちはいま、静かに怒りを燃やす東北の鬼です」──
     2011年9月、福島第一原発事故から半年後の集会で読み上げられた
     武藤類子さんのスピーチは大きな反響を呼び、多くの人の心を
     揺さぶりました…》

   『●《武藤類子さん…が講演し、今も続く過酷な被害を訴えた。ロシアに
     よるウクライナの原発攻撃にも触れ「胸がふさがれる思い」と語った》

 以前も引用しました ―――――― 武藤類子さん《避難者の人たちだって、多分ほとんどの人は「叶うなら帰りたい」と思っているでしょう。でも、それはただ同じ場所に戻りたいということではなく、慣れ親しんだ、かつてのふるさとに帰りたいということ。「帰りなさい」と言いながら、復興予算がじゃぶじゃぶ投入されて知らない建物が次々に建ち、新しい住民ばかりが増えて、以前とはまったく違うふるさとになってしまっているというのは、大きな矛盾だと思います》。《本来ならその人たちにとっても…まったく違った時間があったはず…原発事故は、その時間を奪ってしまった》。
 東電や国はさっさと「原状回復」して見せてほしい…11年も経ってしまったではないですか。さらに、かつて、武藤類子さん《ひとりひとりの市民が… 国と東電の責任を問い続けています。そして、原発はもういらないと声をあげています私たちは今、静かに怒りを燃やす東北の鬼です》とも。――――――

=====================================================
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1090811

社説[東電旧経営陣再び無罪]責任問う仕組み必要だ
2023年1月20日 9:00

 巨大津波の襲来を現実的には認識できず、事前の対策で事故が防げた証拠もない。だから無罪-。被害の大きさを考えれば釈然としない判決だ。

 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の旧経営陣3被告に対し、東京高裁が一審の東京地裁に続き再び無罪判決を言い渡した

 3人は勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長。原発事故後の長期避難で入院患者ら44人を死亡させるなどしたとして、いずれも禁錮5年を求刑されていた。

 高裁での争点は3人が巨大津波を予測できたか(予見可能性)と、対策を取っていれば事故を回避できたか(結果回避可能性)の二つだ。

 予見可能性では、一審が信頼性を否定した政府の地震予測「長期評価」を「重みがある」としたものの、3人に津波の可能性を認識させる情報ではなかったと判断した。

 一審では触れられなかった防潮堤建設などの津波対策についても検証されたが、事故が防げたとする証明は不十分で「後知恵によるバイアス」として排除した。

 災害予測を軽んじるような判断で納得できない。

 避難者の集団訴訟で昨年6月に出た最高裁判決でも災害は予見できず、対策しても事故は防げなかった可能性があるとして、国の責任が認められなかった

 災害予測には不確実な点があり、対策を講じてもリスクをゼロにすることは難しい。しかし、それを理由に企業の責任者を問えないなら同じ惨事が起きる不安は拭えない

■    ■

 一方、昨年7月、旧経営陣に計13兆円超の賠償支払いを命じた訴訟では、今回の刑事訴訟とほぼ同じ証拠を基に長期評価の信頼性が認められ、「浸水対策で事故は回避できた」とする判断が出た。

 異なる判断の背景には、個人の責任を問う刑事訴訟における立証ハードルの高さがある。

 3人は市民が参加する検察審査会によって強制起訴された。

 しかし、2009年に導入された強制起訴制度による有罪は、起訴された10件のうち2件にとどまっている

 制度の課題を踏まえ、業務上過失致死傷罪を企業に適用する「組織罰」の導入を目指す動きもある。

 重大事故で企業の責任を問うことができれば経営者も問われ、事故の再発防止につながることが期待できるのではないか。検討が必要だ。

■    ■

 原発事故を検証した国会事故調査委員会は12年、東電や政府が対策を怠ったとして事故は「人災」とした。

 事故から12年たつが、廃炉作業は遅々として進まず、いまだに事故の避難者2万7千人余が福島県内外で避難生活を送っている

 刑事訴訟で個人の責任が否定されても、東電や国の責任は残ったままだ

 岸田文雄政権は「原発回帰」を打ち出すが、電力需要や電気産業の都合ばかりが目立つ。リスクの大きさを考えれば、責任の重さに向き合わないままの推進は許されない
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●永渕健一裁判長、東電旧経営陣の刑事裁判で「無罪」《判決の中身もさることながら、その理由があまりにもひどすぎる》

2019年10月10日 00時00分30秒 | Weblog


ビデオニュース・ドットコムの記事【劣化した司法に大規模事故は裁けない 添田孝史氏(科学ジャーナリスト)/マル激トーク・オン・ディマンド 第963回(2019年9月21日)】(http://www.videonews.com/marugeki-talk/963/)。

 《判決の中身もさることながら、その理由があまりにもひどすぎる。…今回の判決は業務上過失致死傷の立証に必要とされる「予見可能性」と「結果回避可能性」の2要件のうち、予見可能性まで否定してしまった》。

   『●東電原発人災…《「失敗の本質」とその責任を
     問》うた上で、核発電「麻薬」中毒患者に「原状回復」させよ
    《「東電原発裁判 福島原発事故の責任を問う」添田孝史著…。
     …福島原発事故は、膨大な放射能をまき散らして大地や水を
     汚染し、今もなお続く避難生活で「原発関連死」が千数百人に
     及んでいる。これほどの事故を起こしながら、いまだに誰一人
     として罪を問われていないことに納得できない人は多いだろう。
     そこで福島県民らが国や東電を「事故は予見可能で、
     対策を怠った」と告発したが、東京地検は2度にわたって
     不起訴とした。だが、東京電力の元経営者3人に絞り、
     検察審査会で強制起訴を勝ち取ったものだ》

 《予見可能性まで否定》していて、核発電所を稼働していいの? 《事故回避のために原発を止める義務を課すほどの大津波の予見可能性はなかった》ってどんな論理? アベ様政権に忖度し、司法判断を放棄した政治判断をまたしても見せつけられた。そもそも、地震によって破断などの致命的な事故が発生した人災である。阿部岳さんの、沖縄タイムスのコラム【[大弦小弦]「東電無罪」の論理】によると、《▼「あらゆる可能性を考慮して必要な措置を義務付けられれば、運転はおよそ不可能になる」とも。言い出したらきりがない、という居直りが加わって未曽有の犠牲が出た。判決は意図せず原子力制御の限界を認めている》。
 誰も責任をとらない…。《誰も事故の責任を取らなければ企業に無責任体質がはびこり、また同じことが起きる》。裁判所が、それを認めてしまっていいのか? 《東電刑事裁判が露わにした、そうでなくても劣化が著しい司法が、大規模事故や高度の技術的な問題を裁くことの限界》…。

   『●砂上にペラペラの壁を造ってまでも再稼働したくなる
               浜岡原発という「金のなる巨大木」
   『●アベ様による「棄民」政策をも追認…東電旧経営陣の
     刑事裁判で永渕健一裁判長は「無罪」という「政治判断」を下した
   『●阿部岳さん【「東電無罪」の論理】《「…運転はおよそ
    不可能になる」…判決は意図せず原子力制御の限界を認めている》
   『●やはり核発電は「金のなる巨大木」だった…
     高浜「原発マネー」が八木誠会長ら関西電力経営陣個人に見事に《還流》
   『●東京電力核発電人災、決して自主避難者の《自己責任》
     ではない…「原発事故がなければ福島を出た人は誰もいない」

   『●東電旧経営陣に無罪判決…《誰も事故の責任を
     取らなければ企業に無責任体質がはびこり、また同じことが起きる》
   『●JOC臨界事故で何が起きたでしょうか?…《人が制御
     できないなんて恐ろしい。政府は…本当のことを言っていない》
    《倫理観も正義感、透明性、そのすべては原発という国策の前では
     治外法権だといわんばかりだ

=====================================================
http://www.videonews.com/marugeki-talk/963/

劣化した司法に大規模事故は裁けない
ゲスト 添田孝史氏(科学ジャーナリスト)
番組名 マル激トーク・オン・ディマンド 第963回(2019年9月21日)

 判決の中身もさることながら、その理由があまりにもひどすぎる

 東京電力福島第一原発事故をめぐり、旧経営陣3人が業務上過失致死傷で強制起訴されていた裁判で、9月19日、東京地裁は3被告にいずれも無罪の判決を言い渡した

 確かに検察が二度までも不起訴処分とした事件だ。検察審査会の二度にわたる起訴相当議決によって強制起訴はされたものの、有罪に持ち込むことが容易ではないことは当初から予想されていた。また、企業が引き起こした事件の刑事責任を特定の個人に負わせるためには、多くの法的な壁が存在することも想像に難くない。

 しかし、今回の判決は業務上過失致死傷の立証に必要とされる「予見可能性」と「結果回避可能性」の2要件のうち、予見可能性まで否定してしまった。そもそも今回検察審査会が強制起訴に至った理由は、最高クラスの権威が集まった政府の地震調査研究推進本部2002年に策定した巨大地震の長期評価をもとに各電力会社が予想される津波水位を割り出したところ、福島第一原発においては+15.7メートルという数値が2008年3月の時点で既に出ていたという事実を重く受け止めた結果だった。

 つまり、東京電力は実際に15.7メートルの津波が発生する危険性があることを2008年の時点で知っており、武藤被告を始めとする幹部たちもその後1年以内に、その事実を知らされていながら、対応を取らないまま2011年の3月11日を迎えたことがあの大惨事につながったというのが、検察審査会の議決の骨子だった。検察審査会は、今回のような大津波は十分に予見が可能だったし、対応するだけの十分な時間もあったと判断したわけだ。

 ところが、今回の判決で裁判所は、実際に津波対策を取るための十分な時間がなかったという理由で「結果回避可能性」を否定したばかりか、地震調査研究推進本部の長期評価や東京電力が自らの子会社に作成させた15.7メートルという予想される津波水位も確定的なものではなかったので、本当にそのような高い津波が来ることが予見できたとまでは言えないという、驚くような判断を下してしまった。

 この裁判の傍聴を続けてきた科学ジャーナリストの添田孝史氏は、原発の津波に対する脆弱性の問題は1990年代から指摘されてきた問題で、東電は一貫してこれを先延ばしにすることで、ほとんど何も対応をせずにきたと指摘する。今回も2008年に15.7という数値が出てから東京電力は、あらためて土木学会に検討を依頼するなど、明らかな時間稼ぎをしていた。

 女川原発を持つ東北電力東海第二原発を持つ日本原子力発電のように同じ長期評価を受けて、然るべき対応を取った電力会社もあったことを考えると、これは東京電力に深く根付いた体質と言わねばならないと添田氏は語る。

 それにしても東電はなぜ、防潮堤を15.7メートル超までかさ上げすることに、そこまで強く抵抗したのだろうか。添田氏は、防潮堤の工事の費用くらい東電にとってはなんでもないが、問題はその工事の期間中、福島第一原発の操業を止めなければならなくなることを東電は嫌がったのだろうと説明する。

 15.7メートルの津波が来る可能性があり、現在の津波対策がそれに対応できていないのであれば、現状では福島第一は安全ではないことになる。地元では当然、その間は止めろという話になる。

 ところが、当時の東電は2007年の新潟県中越沖地震で損傷を受けた柏崎刈羽原発が止まっていて業績が悪化していた。更にその上に福島第一を止めるということは、東電としては何としても避けたかったのだろうと、添田氏は言う。

 強制起訴によってこの事件が刑事裁判に持ち込まれたことによって、公判の場で東電内部で何が起きていたのかが白日の下に晒され、3つの事故調を持ってしても全く表に出てこなかった多くの事実が明らかになった

 その意味で、判決は無罪であっても、強制起訴には大きな価値があったことは間違いない。しかし、日航機ジャンボ墜落事故やJR西の脱線事故など、大規模な事故が起きるたびに叫ばれる強制捜査権を持たない事故調査委員会の非力さと、個人を刑事訴追する以外に事実究明の手段がないという不条理な日本の法制度は、そろそろ解決されるべき時に来ているのではないだろうか。

 技術がここまで発展した今日にあっても、いや技術が高度になればなるほど、残念ながらこれからも大規模な事故は繰り返されるだろう。その時に、原因究明が原因企業の善意の協力と、個人の刑事責任の追及に依存したままでは、再発防止はどうにもおぼつかない。

 原発問題を長年取材し、当初からこの裁判を傍聴してきた科学ジャーナリストの添田氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が、東電刑事裁判が露わにした、そうでなくても劣化が著しい司法が、大規模事故や高度の技術的な問題を裁くことの限界などについて議論した。


PROFILE
添田孝史(そえだ たかし)
科学ジャーナリスト
1964年島根県生まれ。88年大阪大学基礎工学部生物工学科卒業。90年大阪大学大学院基礎工学研究科修士課程修了。同年朝日新聞社入社。科学部などを経て2011年より現職。国会事故調査委員会で協力調査員として津波分野の調査を担当。著書に『原発と大津波 警告を葬った人々』、『東電原発裁判 福島原発事故の責任を問う』など。
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●アベ様による「棄民」政策をも追認…東電旧経営陣の刑事裁判で永渕健一裁判長は「無罪」という「政治判断」を下した

2019年09月24日 00時00分58秒 | Weblog


沖縄タイムスの【社説[東電旧経営陣に無罪]誰も責任問われぬとは】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/473853)。
琉球新報の【<社説>東電旧経営陣無罪 原子力ムラ擁護の判決だ】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-993462.html)。
東京新聞の社説【東電旧経営陣に無罪 「人災」の疑問は残る】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019092002000193.html)。

 《未曽有の原発事故を引き起こし、今なお収束していないにもかかわらず、誰1人刑事責任を問われない。市民感覚とのずれに驚くほかない…東京電力の旧経営陣3被告に対し東京地裁(永渕健一裁判長)は無罪判決を言い渡した》。
 《原子力ムラ寄り添った判決と断じざるを得ない。2011年3月に起きた東京電力福島第1原発事故を巡り業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力の旧経営陣3被告に、東京地裁が無罪の判決を言い渡した。事故回避のために原発を止める義務を課すほどの大津波の予見可能性はなかったと判示した》。
 《事故の三年前まで時計の針を戻してみよう。国の地震予測である「長期評価」に基づく津波の試算が最大一五・七メートルにのぼるとの報告がなされた。…◆電源喪失予測もあった …原発ありきの発想に立った判決ではないか。「あらゆる自然現象の想定は不可能を強いる」とも述べたが、それなら災害列島に原発など無理なはずである》。

   『●「砂川事件の再審問題は、司法の歴史の闇を
      照らす意味を持つ」…相変わらずの最「低」裁かな?
    「《五九年の一審東京地裁の無罪判決を破棄した最高裁の
     田中耕太郎長官(故人)が、上告審判決前に駐日米大使らに
     裁判の見通しなどを伝えたとする米公文書が二〇〇八年以降に
     見つかった》…ということで、「三権の長でありながら米国の
     干渉を受け入れ、司法の独立性を損なう裏切り」をしていた訳です」

   『●最「低」裁判断に失望し、砂川事件の伊達秋雄裁判長は
      程なく退官…《わが国の司法にとって大きなマイナス》

 永渕健一裁判長のお名前を記憶しておかねば。
 一方、時事通信の記事【首相動静(9月19日)】(https://www.jiji.com/jc/article?k=2019091900314&g=pol)によると、《午前9時35分から同50分まで、大谷直人最高裁長官。…》とある。
 判決当日午前、大谷直人最「低」裁長官がアベ様を御訪問…事前に政治判断をご報告ですか? 〝つぶやき〟上では、田中耕太郎長官を想起する、というものもありました。大谷直人最高裁長官は、以下のような方。

   『●《余ると分かっている電力を、なぜ原発で作り
      続けるのか?》 核発電「麻薬」中毒なアベ様に忖度する九電
    《ツイッターに不適切な投稿をしたとして東京高裁が懲戒を申し立てた
     岡口基一裁判官(52)の分限裁判で、最高裁大法廷
     (裁判長・大谷直人長官)は十七日、投稿内容が「裁判官の品位を
     辱める行状」にあたると判断し、同高裁の岡口裁判官を戒告とする
     決定をした。裁判官十四人全員一致の意見
    「《さまざまな社会事象への裁判官の考えは、個人として
     発信していいのではないか》に賛成です。《問題の核心は、
     高裁長官が「ツイートを続ければ、分限裁判を検討する」
     と岡口氏に言ったことではないのか。もし私的な表現行為の
     自由を封殺する意図ならゆゆしき問題だ》…《今回の決定で、
     裁判官たちが萎縮しないか閉鎖的環境の中に逼塞するのを
     懸念する
》」

 《事故回避のために原発を止める義務を課すほどの大津波の予見可能性はなかった》ってどんな論理? アベ様政権に忖度し、司法判断を放棄した政治判断をまたしても見せつけられた。

   『●アベ様政権に忖度し、司法判断を放棄した政治判断
       …捏造された「社会通念」で核発電所再稼働を容認

 日刊ゲンダイの記事【司法が「絶対的安全」を否定 この判決で原発再稼働の狂気】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/262181)によると、《原発国家の三権は原子力ムラの腐臭塗れ 台風15号が直撃した千葉県のインフラ寸断は3週目に入ろうとしている。安倍首相は「内閣総理大臣の最も重要な責務は、国民の命を守り、平和な暮らしを守ることであると考えています」などとペラペラ言っているが、安全・安心な国民の暮らしは置き去り。改めてそれがハッキリしたのが、東京電力福島…》。

   『●東京電力に核発電所を再稼働させる資格はあるのか?
           無条件で即時に全ての廃炉作業に入るべき
    「《07年の新潟県中越沖地震では想定を大きく超える揺れを
     記録した》。いま、つぶやき空間では、木村俊雄氏の指摘が話題に。
     これは、2013年9月段階で、すでに指摘されていた。やはり
     「人災」だった…《木村俊雄さんが、フクイチ地震時のデータの
     解析を終えて、結論としては、地震で圧力容器に繋がる配管
     (小口径配管)から冷却水が漏れた…》」

 地震によって破断などの致命的な事故が発生した人災である。

   『●東京電力原発人災、支援の幕引き: 
      「区域外避難」者も含めて「“棄民”政策だというそしりは免れない」

 アベ様らは「“棄民”政策」がお好きだ。冷酷、冷血。
 日刊ゲンダイのコラム【室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」/安倍政権もメディアも国民のことなどなんにも考えていない】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/262080)によると、《「棄民という言葉があります。(中略)台風15号による被害と同時並行でにぎやかに発足した安倍改造内閣、災害と組閣2つのことを一緒に見ますと棄民の意味がわかります」(金平茂紀・ジャーナリスト) これは9月14日のTBS報道特集で金平さんが語った言葉だ。金平さんは(中略)の部分で、棄民の意味も説明している。「災害や戦争などで酷い目にあっているのに、国やメディアから見捨てられた人々のことです」と。彼がいってることは正しい、国とメディアの罪だ。…なぜならば今回のやらかしは安倍政権にとって、相当にヤバいことだからだ。国民のことなどなんにも考えていないグロテスクな集団だということが露わになってしまった。その証左だった。右に倣えのメディアもおなじだ》。

 東京新聞の社説【東電旧経営陣に無罪 「人災」の疑問は残る】…しかも、前述の通り地震によって破断などの致命的な事故が発生した人災だった。
 吉井英勝議員が再三提言・警告、それを無視したのはアベ様だ。「メルマガ事件」の裏に居たのもアベ様。最悪な無責任な責任者がアベ様。「棄民」政策を繰り返している。

   『●『DAYS JAPAN』
      (2013,SEP,Vol.10,No.9)の最新号についてのつぶやき
    「さらに、斎藤美奈子さんの二つの指摘。「第一次安倍内閣時代…
     吉井英勝…「巨大地震の発生…原発の危機から国民の安全を守る
     ことに関する質問主意書」…提言を無視した結果がご覧の通りの事故である」」

   『●福島第一原発海水注入中断事件の裏にいたヒト
    《結果は大丈夫だったが、海水注入を中断していれば再臨界が起こる
     可能性があり、このネタが本物なら菅首相はすでに辞任していたかも
     知れない。自民党、安倍元首相の背後には原発を今後も推進したい
     経産省が付いており、この谷垣総裁質問の本質は、菅降ろしのための
     「原発クーデータ」計画
だったといっていいだろう》

   『●「メルマガ事件」東京地裁判決、アベ様の
     「息吐く様に嘘つく」典型例が無罪に、そして、はしゃぐメディア
    《数々の「ニセ情報」を発信して政策を捩じ曲げ、「捏造」によって
     「日本の名誉」を傷つけてきたのは、むしろ安倍首相ご本人》
    《メディア報道や他人の発言を「捏造」「でっち上げ」
     「ウソをばらまいた」と声高に批判する安倍だが、その安倍こそが
     過去に数々のニセ情報を捏造し、発信し、大ウソを拡散させてきた》

   『●福島第一原発海水注入中断事件の裏にいたヒトは、 
           いま、熊本大分大地震に際して何をしている?
   『●鈴木耕さん、核発電人災等々々々々々…
       「自民党内閣だったら解決できただろうか。とてもそうは思えない」
    「同感。そして、例えば、核発電人災で誰か一人でも自民党議員が
     責任をとったという話を聞いたことが無い。デマまで流して
     (アベ様による「メルマガ事件」)、当時の政権に責任を押し付ける、
     しかも、それを司法までが助ける」

   『●「安倍ちゃん…○○の象徴じゃない?…あれぐらいのさ、
            ■■な人じゃないと、多分あんなことやれない…」
    「マツコ・デラックスさん、すばらしい。…《インスタとかSNSっていうのは、
     ようはああいうのって、ものすごい操作できるってこと》…本当に。
     直ぐさま、《菅降ろしのための「原発クーデータ」計画》アベ様の
     デマメルマガ事件」を思い出した。《都合のいい》ことの羅列に
     終始するに決まっていますね、アベ様のインスタ。《安倍首相のほうこそ
     いたるところで見境なくデマを乱発してきた自らのイメージ向上や
     政策ゴリ押しのために「デマ拡散装置」として利用してきた実績》がある訳
     ですし。息吐く様に噓をつく

   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
       “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」

 支離滅裂な東京地裁・永渕健一裁判長の無罪判決。《「あらゆる自然現象の想定は不可能を強いる」とも述べたが、それなら災害列島に原発など無理なはずである》。

=====================================================
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/473853

社説[東電旧経営陣に無罪]誰も責任問われぬとは
2019年9月21日 11:00

 未曽有の原発事故を引き起こし、今なお収束していないにもかかわらず、誰1人刑事責任を問われない。市民感覚とのずれに驚くほかない。

 2011年3月の福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力の旧経営陣3被告に対し東京地裁(永渕健一裁判長)は無罪判決を言い渡した。

 勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長の3被告。いずれも禁錮5年を求刑されていた。

 公判では大津波を予見できたか対策を取れば事故を回避できたかどうかが最大の争点となっていた。

 検察官役の指定弁護士は、国が02年に公表した地震予測「長期評価」を基に、東電が08年に最大15・7メートルの津波が原発を襲う可能性があるとの試算結果を得ており、予見できたと主張。安全対策を取る義務があったのに怠ったと訴えた。弁護側は「長期評価に信頼性はなく、予見できなかった」と無罪を主張した。

 判決は3被告に「予見可能性がおよそなかったとは言い難い」としながら、「信頼性、具体性のある根拠を伴った認識ではなかった」と判断。その上で、「原発の運転を止めるには相当な負担と困難があり、津波を予見し、対策工事が終了するまでは運転を停止すべき法律上の義務は認められない」と結論付けた。

 これに納得ができる人がどれだけいるだろうか。安全より運転を重視。予見可能性を指摘しながら、東電が具体的対策を取らなかったことを追認したのである。長期評価の信頼性も否定した。これを生かさないでは何のための長期評価なのか。判決は「無責任体制」を認めたようなものであぜんとするほかない

    ■    ■

 福島第1原発事故の責任を巡っては民事訴訟も提起されている。避難者が国や東電に損害賠償を求めた集団訴訟は各地で約30件起こされ、原告は1万人以上に上る。

 「東電は津波を予見でき、事故を防げた」と評価した判決も多い。

 例えば初めての判決となった17年の前橋地裁判決では国の地震予測の長期評価は合理的とし、これを基に試算すれば、東電は大津波の予見が可能で、08年5月ごろには実際に「予見していた」と指摘した。電源設備の高台移転などの対策を取れば、事故を容易に回避できたとして東電の過失を認めている。電源設備の高台移転など具体的だ。

 刑事は民事より立証のハードルが高いとの声があるのも事実だが、今回の無罪判決には大いに疑問がある。

    ■    ■

 未曽有の原発事故が招いた結果は極めて重大だ。今なお約4万2千人が福島県内外で避難生活を強いられている。

 強制起訴制度は司法に市民感覚を反映させる目的で裁判員制度とともに導入された。今回の無罪判決は市民感覚との乖(かい)離(り)が甚だしい。

 重大事故で個人を超えた企業や法人の「組織罰」を問うための法整備を進める必要があろう。

 東電や旧経営陣は無罪判決によって社会的責任を免れたわけではないことを肝に銘じるべきである。
=====================================================

=====================================================
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-993462.html

<社説>東電旧経営陣無罪 原子力ムラ擁護の判決だ
2019年9月21日 06:01

 原子力ムラ寄り添った判決と断じざるを得ない。

 2011年3月に起きた東京電力福島第1原発事故を巡り業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力の旧経営陣3被告に、東京地裁が無罪の判決を言い渡した。事故回避のために原発を止める義務を課すほどの大津波の予見可能性はなかったと判示した。

 避難者が集団で国や東電に損害賠償を求めた民事訴訟では、津波を予見でき事故を回避できたとする判決が多い

 刑事裁判では過失立証のハードルが高い。そうだとしても、未曽有の被害をもたらした原発事故で誰も刑事責任を負わないのは納得し難い

 国は「絶対安全」と強調し、各地で原発の設置を推進した。万全の用意があって初めてそう言える。現実には、「絶対安全」だから最高水準の対策は不要という、倒錯した理屈がまかり通った。

 原子力政策を所管する経済産業省、原発を運転する東電など、産官学から成る原子力ムラは本来、原発事故に対して連帯して責任を負わなければならない立場にある規制等を担う国と東電は共犯関係にあったと言えよう。

 「事故が起きないように、また起こったとしても人体や環境に悪影響をおよぼさないよう、何重にも対策が取られています」「大きな津波が遠くからおそってきたとしても、発電所の機能がそこなわれないよう設計しています」

 文部科学省と経産省が10年に発行した小学生・中学生向けのエネルギー副読本「わくわく原子力ランド」「チャレンジ!原子力ワールド」に、このような記述がある。

 政府は、教育現場を含め、さまざまな機会をとらえて安全神話を植え付けようとした

 今回の判決は、自然災害に対し、事故が絶対に起きないレベルの安全性が求められたわけではない―と指摘している。政府の主張がうそ偽りだったことを改めて浮かび上がらせた。

 「あらゆる可能性を考慮して必要な措置を義務付けられれば、法令上は認められた運転が不可能になる」とも判決は断じた。事故当時、「絶対安全」を確保しつつ原発を稼働させることなどできなかったわけだ。ここでも政府の欺瞞(ぎまん)が浮き彫りになる。

 起訴状によると、3被告は大津波を予測できたのに対策を怠り、原発事故によって長時間の搬送、待機を伴う避難を余儀なくさせるなどして、44人を死亡させたとされる。

 電源設備を高台に移し浸水しないように適切な対策を講じていれば、事故は回避できたはずだ。遺族、被害者の無念はいかばかりだろうか。市民感覚から懸け離れた東京地裁の判決である。

 本をただせば、「絶対安全」を掲げて原発建設を推し進めた、政府の国策詐欺同然の手法にたどりつく。原子力ムラの責任を曖昧にしたままでは禍根を残す。
=====================================================

=====================================================
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019092002000193.html

【社説】
東電旧経営陣に無罪 「人災」の疑問は残る
2019年9月20日

 東京電力の旧経営陣は「無罪」-二〇一一年の福島第一原発事故で検察審査会が強制起訴した裁判だった。本当に予想外の事故だったのか疑問は残る。

 事故の三年前まで時計の針を戻してみよう。国の地震予測である「長期評価」に基づく津波の試算が最大一五・七メートルにのぼるとの報告がなされた。東電社内の会合で元副社長に「『(津波想定の)水を下げられないか』と言われた」-担当していた社員は法廷で驚くべき証言をした。元副社長は否定し、「そもそも長期評価は信頼できない」と反論した。


◆「力が抜けた」と証言

 社員は「津波対策を検討して報告するよう指示された」とも述べた。だから、その後、防潮堤を造る場合は完成までに四年を要し、建設に数百億円かかるとの報告をしている。元副社長は「外部機関に長期評価の信頼性を検討してもらおう。『研究しよう』と言った」と法廷で応じている。

 てっきり対策を進める方向と思っていた社員は「想定外の結論に力が抜けた」とまで証言した。外部機関への依頼は、対策の先送りだと感じたのだろう。実際に巨大津波の予測に何の対策も講じないまま、東電は原発事故を引き起こしたのである。

 この社員は「時間稼ぎだったかもしれないと思う」「対策工事をしない方向になるとは思わなかった」とも証言している。

 社員が認識した危険性がなぜ経営陣に伝わらなかったのか。あるいは対策の先送りだったのか。これはぬぐえぬ疑問である。

 旧経営陣の業務上過失致死傷罪の責任を問うには(1)原発事故との因果関係(2)大津波などが予見できたかどうか(3)安全対策など結果回避義務を果たせたか-この三点がポイントになる。


◆電源喪失予測もあった

 東京地裁は争点の(2)は「敷地高さを超える津波来襲の予見可能性が必要」とした。(3)は「結果回避は原発の運転停止に尽きるが、原発は社会的有用性があり、運転停止だと社会に影響を与える」ため、当時の知見、社会通念などを考慮しての判断だとする。

 原発ありきの発想に立った判決ではないか。「あらゆる自然現象の想定は不可能を強いる」とも述べたが、それなら災害列島に原発など無理なはずである

 宮城県に立地する東北電力女川原発との違いも指摘したい。女川原発が海抜一五メートルの高台に建てられたのは、八六九年の貞観地震を踏まえている。だから東日本大震災でも大事には至らなかった。

 〇八年の地震予測「長期評価」が出たときも、東北電力は津波想定の見直しを進めていた。ところが、この動きに対し、東電は東北電力に電子メールを送り、津波対策を見直す報告書を書き換えるように圧力をかけた。両社のやりとりは公判で明らかにされた。

 「危険の芽からは目をそらすな」-それは原発の事業者にとって常識であるはずだ。旧ソ連のチェルノブイリ事故が示すように、原発でいったん事故が起きれば被害は極めて甚大であり、その影響も長期に及んでしまう

 それゆえ原発の事業者は安全性の確保に極めて高度な注意義務を負う。最高裁の四国電力伊方原発訴訟判決でも「(原発の)災害が万が一にも起きないように」と確認されていることだ。

 「最大一五・七メートルの大津波」という重要なサインが活(い)かされなかったことが悔やまれる。〇四年にはスマトラ沖地震の津波があり、インドの原発で非常用海水ポンプが水没し運転不能になった。〇五年の宮城県沖地震では女川原発で基準を超える地震動が発生した。

 これを踏まえ、〇六年には旧経済産業省原子力安全・保安院と電力会社による勉強会があった。そのとき福島第一原発に敷地高一メートルを超える津波が来襲した場合全電源喪失から炉心損傷に至る危険性が示されている

 勉強会が活かされたらとも悔やむ。防潮堤が間に合わなくとも電源車を高台に配備するなど過酷事故対策が考えられるからだ。福島第一原発の非常用電源は地下にあり、水没は容易に発想できた。国会事故調査委員会では「明らかな人災」と厳しく非難している。

 今回の刑事裁判は検察が東電に家宅捜索さえ行わず、不起訴としたため、市民の検察審査会が二度にわたり「起訴すべきだ」と議決したことによる。三十七回の公判でさまざまな事実関係が浮かんだ意義は大きい。


◆地震の歴史は繰り返す

 安全神話が崩れた今、国の原発政策に対する国民の目は厳しい。歴史は繰り返す。地震の歴史も繰り返す。重大なサイン見落としによる過酷事故は、やはり「人災」にも等しい。繰り返してならぬ。苦い教訓である。
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●東京電力原発人災: 津波による天災ではなく、地震で破断していた?

2013年09月30日 00時00分51秒 | Weblog


CMLの記事【[CML 026772] ふくいちは津波前にダウン】(http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-September/026708.html)。

 記事によると「地震で圧力容器に繋がる配管(小口径配管)から冷却水が漏れた」そうだ。

   『●様々な意味で人災である
   
     「ブラックアウトと云う人災である。しかもそれを想定しもしなかった、
      何も対処しようとしなかった二重三重の人災。でも、津波による浸水が
      無くても、地震によって破断などの致命的な事故が発生していなかった
      のだろうか。さらに、適切に避難させなかった地域に加えて、
      避難させてはならないところに避難させて被爆させてしまっている。
      原発など造ってはならない国に造ってしまった当然の帰結か。
      原発をまだ動かし続けようとしているわが国は、輸出までも行おうと
      している。地震など災害の多い我国でなくとも、こんな
      制御困難で未完成な技術を行える場所がこの地球上にあるとは思えない」

 当然だけれども、東電は知っていても報告するわけがない。いまも証拠は残っていないのか?

   『●情報は統制される: 知らなかったでは済まされない、騙されたでは済まされない
   『●放射能汚染で「太平洋は終わり」との声が出るほどの重大事故だというのに、この国は・・・・・・
     「「東電は、昨年末から今年5月にかけて汚染水モニタリングを怠った
      
ばかりか、参院選が終わるまで、海洋への流出を隠ぺい」したとは、
      一体どういう了見か! 信じられない!!」

================================================================================
http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-September/026708.html

[CML 026772] ふくいちは津波前にダウン
・・・・・・・・・
2013年 9月 26日 (木) 00:57:07 JST

市民のMLのみなさま
高知の松尾と申します。

木村俊雄さんが、フクイチ地震時のデータの解析を終えて、結論としては、地震で圧力容器に繋がる配管(小口径配管)から冷却水が漏れた、とのこと です。先日私も、このときのグラフを彼から見せてもらいました。極端に水量が下がっていたのです。
以下は、知人のブログです。

・・・・・・・・

拡散希望「ふくいちは津波前にダウン」

緊急にお知らせします。
拡散を希望します。

すでに朝日新聞「プロメテウスの罠」で随時連載され、「しんぶん赤旗」日曜版9月22日付けでも一部が報じられていますが、元東京電力社員で福島 第一原発で炉心設計(燃料棒を効率的に燃やすために、燃料棒の配置を設計する原子炉の中心を担う仕事)に携わっていた木村俊雄さんが7月の記者会 見以後に東電が公開した膨大なデータを解析していました。

「プロメテウスの罠」を引用すると「8月後半に東電が公表した過渡現象記録装置の100分の1秒刻みデータを木村が見始めたのは、10日前だっ た。最初にチェックしたのは炉心を循環する冷却水の動き。「不思議な動きをしていますね。逆流しているように見える」しかしそこから先が進まな い。1号機だけで436項目×21万個。データ量があまりにも多く、パソコンが円滑に動かないのだ。知人を介して能力の高いパソコンを探し、この 印刷会社に行き着いた」。

そこでの解析がこのほど終了しました。

先ほど木村さんから専門的なレポートと次のメッセージが寄せられました。「結論としては、地震で圧力容器に繋がる配管(小口径配管)から冷却水が漏れた。そのことが事故の進展を加速させるキカッケとなる。しかも運転員は気づかない。やがて津波がくる。3月11日17時19分(東電報告書P.125より)、原子炉建屋に入ろうとするがその時にはもうすでに放射能 が充満して入れない。津波無くとも、重大事故に進展していた。これでも再稼動新基準は妥当なのか? 気づかないなら、もう手のほどこしようはないです。マスコミに先駆けて情報流しませんか?」

いまは自宅であり、時間帯も夜なので明日、レポートについてはしかるべき方法でネット公開します(そのことはここでお知らせします)。

ただ、東電の公開したデータで「地震で圧力容器に繋がる配管(小口径配管)から冷却水が漏れた」ということをつかんだ事実はすごいことです。

国会事故調査委員会が知らなかった事実(東電は発表しなかった。求められなければ発表しないというスタンス)が明らかになりました。そして原子力規制委員会がつくっている新基準は、津波対策のみを求めています。本当の事故原因を究明してつくったわけではありません

しかし、原発再稼働に前のめりになる委員会は、伊方原発の審査を優先して進め、来年にも再稼働を認めようとしています。とんでもないことです。伊方原発は日本最大の活断層・中央構造線のほぼ真上につくられている原発です。ふくいちの本当の原因である地震動を無視した新基準で再稼働させるなど、国家的犯罪です。

親愛なるブログ読者の皆さん。
真実を黙殺されないためにこのエントリーをあらゆる手段で拡散してください。
心からお願いします。

土佐高知の雑記帳
http://jcphata.blog26.fc2.com/
================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●「「3.11」から2年② 原発という犯罪」『週刊金曜日』(2013年3月8日、934号)

2013年03月15日 00時00分20秒 | Weblog


週刊金曜日』(2013年3月8日、934号)について、最近のつぶやきから、AS@ActSludge。注目は、もちろん、特集記事「「3.11」から2年② 原発という犯罪」。犯罪であり、原発を作り続けた上に、何の責任も取らない自民党、それを支持することの「品格」「資質」。
 もう一つは陸山会事件の記事。当たり前の主張なのに、「小沢信者」と呼ばれる始末。政権交代の意義が失われ、民主党が壊滅し、今のこの哀しい政治状況を生み出した原因。自民党に乗せられ民主党議員までが悪乗りし、自分で自分の首を。それで自民党が復権したのだから、アホである。

************************************************************************************
■『週刊金曜日』(2013年3月8日、934号) / 今開封。「「3.11」から2年② 原発という犯罪」、そう、犯罪です! 三宅勝久さん【自民党「政党交付金」の使徒隠しは許されるのか 一三三億円に領収書なし】、原発推進という犯罪だけでなく、相変わらずの金に対する意地汚さ

■『週刊金曜日』(2013年3月8日、934号) / 野中大樹氏【ジャーナリスト、弁護士らが集結 消費税増税反対の国民集会を】、宇都宮健児さんら。「斎藤貴男氏は、「消費税は国やマスコミが宣伝してきたような公平なものではない。(経済的に貧しい人間の金を吸い上げて金持ちにまわす、これに尽きる税制」だと喝破

■『週刊金曜日』(2013年3月8日、934号) / 畠山理仁さん【自死した福島酪農家の妻 東電に賠償申し入れ】、「「原発さえなければ」/・・・堆肥小屋の壁にそう書き残して自ら命を絶った・・・」。【大塚将司の経済私考/成長戦略としてのTPP参加はまやかしだ 日本の未来図を描き、米国の深謀を熟慮せよ】

■『週刊金曜日』(2013年3月8日、934号) / 【元国会事故調査委員会委員田中三彦さんに聞く/「福島第一原発の事故原因はまだ解明されていない」】。【渡辺満久教授に聞く/活断層から見える「原子力ムラ」の重すぎる罪】、「追及されるべき責任者」「懲りない電力会社」

■『週刊金曜日』(2013年3月8日、934号) / 金子勝さん【失敗は実証済みの「三本の矢」 アベノミクスは遊園地のコーヒーカップと同じ】。きんようぶんか案内板、福岡県の筑豊に生まれた坑夫・絵師【世界記憶遺産の炭坑絵師 山本作兵衛展】、四ノ宮浩監督映画【『わすれない ふくしま』】

■『週刊金曜日』(2013年3月8日、934号) / 真野きみえ氏【3月13日に元秘書3人の判決 陸山会事件とは何だったのか】、リードは「小沢一郎氏が事実上、政治的に抹殺される形になった陸山会事件の判決が、3月13日に出される。4年にわたり、日本中を騒がせた陸山会事件とは一体何だったのか」・・・

■『週刊金曜日』(2013年3月8日、934号) / 真野きみえ氏【3月13日に元秘書3人の判決 陸山会事件とは何だったのか】、・・・「虚偽記載と言っても〝期ズレ〟」「検察審査会の闇」「権力が勝利し、国民が負けた」。当たり前の主張なのに、「小沢信者と呼ばれる始末。今の哀しい政治状況の原因

■『週刊金曜日』(2013年3月8日、934号) / 浅野健一さん【被疑者写真の盗み撮りは妥当か PC遠隔操作事件】。岩本太郎氏【ネット上のみならず街でも外国人排斥派を反対派が批判】、聞くに堪えないシュプレヒコールなどの「う在特会」に対する、プラカード、メッセージによる静かな反対運動

■『週刊金曜日』(2013年3月8日、934号) / 田島泰彦氏【憲法改正案が指し示すマイナンバー法案と秘密保全法の企て】、「自民党の改憲草案が示す情報の統制とコントロールに抗して・・・情報を市民に取り戻す取り組みが求められている」。石坂啓さん【初めて老いった!/第38回 母には通用しない】
************************************************************************************

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●だから言わんこっちゃない ~自民党復権と原子力ムラの復活~ 

2013年02月27日 00時00分01秒 | Weblog


asahi.comの記事(http://www.asahi.com/politics/update/0215/TKY201302150279.html)と社説(http://www.asahi.com/paper/editorial.html、2月19日)。

 だから言わんこっちゃないでしょ。

   『●田中優子さん「誰の名前を書くのか、その人の品格が問われている」
   『●映画『放射線を浴びた『X年後』』: 
         「こんな巨大な事件が、・・・日本人としての資質が問われる」

 自民党の一体誰が東京電力原発人災の責任をとったのでしょうか? 元首相らのお笑いな反省の弁があっただけだ(『●Mr.風見鶏: 反原発をお前が言うか!?』、『●どんだけ面の皮が厚いんだか!!』)。自民党を復権させ、原発推進に突っ走らせているこの日本。このような現状が、道議会議長や静岡県議会議長の発言につながっている。

 以下はとある日のつぶやき。

************************************************************************************
AS@ActSludge

「責任は免れない」けれども、原発推進、建設再開、再稼働、輸出?? 『小泉進次郎氏ら警戒区域視察 自民青年局の約150人』(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013021101001565.html …)/「立ち入り禁止となっている福島県内の警戒区域を視察・・「原発を推進してきた私たち(自民党)の責任は免れない・・」」
************************************************************************************

・・・・・・と思ったのですが、東京新聞の記事は消えているので、こちらを「小泉進次郎氏ら警戒区域視察 自民青年局の約150人」(http://www.47news.jp/CN/201302/CN2013021101001565.html)。

    「自民党青年局の小泉進次郎局長ら若手国会議員や地方議員の
     約150人は11日、東京電力福島第1原発事故を受けて
     原則立ち入り禁止となっている福島県内の警戒区域を視察した。
     視察後、小泉氏は福島市内での報告会で「原発を推進してきた
     私たち(自民党)の責任は免れない。全国から集まった青年世代が
     復興の日まで責任を持って見届ける」と決意を語った。
      警戒区域内で視察団はバスに分乗し、同県浪江町の
     伝統工芸品「大堀相馬焼」の窯元の被害状況などを見て回った。
      福島市内では避難生活を余儀なくされている仮設住宅の住民から
     「復興住宅を早く造ってほしい」などの要望を聞いた。」

 お笑いだ。「復興の日まで責任を持って見届ける」なんて噴飯ものだ。若手議員である小泉進次郎氏の世代で復興できるとでも思っているのだろうか。父上と同じ「無責任」ぶりだ。
 被災者の市民の皆さん、おじいちゃん、おばあちゃん、子供たち・・・・・・、騙されてはいけない、責任一つとれない党に。

================================================================================
http://www.asahi.com/politics/update/0215/TKY201302150279.html

2013年2月15日23時54分
福島県議会議長、怒りの退席 自民会合、再稼働の声多く

 自民党の資源・エネルギー戦略調査会が15日、原発がある13道県の議長を招いた意見交換の場で、出席者から原発再稼働を求める声が相次いだ。これに福島県議会の議長が怒り、会合から退席した。

 「民主党政権に止められた浜岡原発は今後どう対応するのか」(静岡)
 「再稼働の手続きを速やかに詰めて、お知らせいただきたい」(北海道)

・・・・・・。
================================================================================

================================================================================
http://www.asahi.com/paper/editorial.html・・・・

社説

2013年2月19日(火)付

原発政策―課題を先送りするな

 朝日新聞の世論調査で、原発の今後について尋ねたところ、「やめる」と答えた人が計7割にのぼった。
 「すぐにやめる」「2030年より前にやめる」「30年代にやめる」「30年代より後にやめる」「やめない」という五つの選択肢から選んでもらった。
 全体の6割は30年代までに国内で原子力による発電がなくなることを望んでおり、「やめない」は18%にとどまる
 政権交代を経ても、原発への国民の意識は変わっていないことが確認されたといえよう。
 気になるのは、政治の場から原発に依存しない社会に向けて議論を深めようという機運が失せていることだ。
 安倍政権も「脱原発依存」を掲げている。実際には、民主党政権が決めた「原発ゼロ政策」の見直しを表明するなど、巻き戻しの意図が濃厚だが、何をどう見直すかについてはあいまいにしている。
 当面、新たな安全基準や活断層評価などを進める原子力規制委員会の動向を見守る姿勢を示すのは、「参院選まではじっとしている」戦略なのだろう。
 国会でも、原発政策をめぐる論戦は低調なままだ。
 原発政策の転換は、経済や社会に大きな影響を与える。
 だからこそ政策変更に伴って生じる負の側面をできるだけ軽減し、新たな成長や構造転換のきっかけとするよう、周到な準備と合意形成に向けた取り組みが不可欠だ。
 例えば、規制委による審査の厳格化で、廃炉になる可能性が高い原発や再稼働までに時間のかかる原発が増えることが確実視されている。
 廃炉までの段取りをどう進めるのか。地元経済や電力安定供給への影響をどう軽減するか。使用済み燃料放射性廃棄物の保管をどうするか。
 どれも、待ったなしの課題である。政府が課題を洗い出したうえで、国会で議論を始めるべきだ。
 国会には先月末、原子力問題調査特別委員会が設置された。規制当局が「原子力ムラ」にとりこまれないよう、国民の目で監視するべきだとする国会事故調査委員会の提言でできた。
 その趣旨を踏まえたうえで、もっと広く脱原発依存に向けた政策全体を議論する場にしてはどうだろう。
 昨夏の「国民的議論」のように、市民自身による議論の場を設けるのも一案だ。
 政治が面倒なことから逃げ、課題を先送りすれば、後の混乱が大きくなるだけである。
================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●原発施設と断層、驚きを通り越して呆れる

2013年01月25日 00時00分42秒 | Weblog


東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013011501002282.html。WP『小出裕章(京大助教)非公式まとめ/京大原子炉実験所助教 小出裕章氏による情報』(http://hiroakikoide.wordpress.com/)の記事を二つ(http://hiroakikoide.wordpress.com/2012/12/26/ibaraki_2012dec24/#more-4979http://hiroakikoide.wordpress.com/2013/01/01/mbs1179_2012dec31/#more-5023)。

 「活断層の直上禁止」、当たり前すぎて、何をいまさら言っているのだろう。それに、きっと「直上」の定義をあいまいにするにきまっている。「直上」じゃなければ大丈夫、と言うにきまっている。
 これまでそんな危険なところに原発を建設してきた責任を、自民党と電力会社の一体誰がとったのか? 追求しないマスコミにも責任。騙された人々も責任を自覚しなければ、また、参院選でもきっと騙される。そうなれば、さらなる絶望感が広がる。

================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013011501002282.html

活断層の直上禁止、明記へ 原発重要施設で新基準案
2013年1月15日 22時27分

 原子力規制委員会田中俊一委員長)は15日、7月施行予定の原発の新安全基準に、地盤をずらす活断層の直上に原子炉など重要な施設を設置してはならないと明文化する方針を決めた。今月末にまとめる骨子案に盛り込む。
 国はこれまでも活断層上に重要施設の設置は認めていないが、根拠となる2010年改定の「安全審査の手引き」では「設置は想定していない」などと曖昧な記述にとどまっていた。
 電力業界などは「ずれる量を計算して、小さいと予測できれば原子炉などを設置しても問題ない」と主張していたが、予測手法が実用化されていないため採用しない。

(共同)
================================================================================


[※ブログ主: すいません、勝手に動画を貼らせていただいております]
================================================================================
http://hiroakikoide.wordpress.com/2012/12/26/ibaraki_2012dec24/#more-4979

12月24日 「豆腐の上の原子力発電所」小出裕章さん講演/第二回 脱原発サミット in 茨城(文字起こし)

2012年12月24日に開催された「第二回 脱原発サミット in 茨城」に小出裕章氏が出演され、その動画がYouTubeに掲載されていましたので、このブログでも共有させていただきます。また、以下の通り文字起こししました。

▼文字起こしは以下。

◆質問者
小出さんにお聞きしたいんですけれども、東海第二原発というのがですね、実は調べてみるっていうと、え〜、あの〜、原子炉自体は、あの〜、非常に強固な岩盤の上に作らなければいけないと、そういう風にまあ決められている、え〜、で、実際にあの〜、え〜、あの〜日本原電が出しているようなあの安全、安心パンフレットを見ますというと、強固な岩盤の上にあるという風に書いてあるんですが、あの〜、ネットなどでですね調べてみたり、学者のあの論文等を読んでみたり、政府の発表物を見たりするっていうと、東海第二原発は、5メートルの、え〜とコンクリートの板に乗っていると、その下に8メートルのコンクリートを更に打って、人工岩盤という風にしてる、更にその下には、あ〜、泥岩というあの岩がある、で、え〜政府事故調などは、暗室岩盤と言って、え〜、既にあの強固な岩盤と言っていないのですが、こういう原発というのは、どういう風になるとお考えでしょうか?

◆小出
今、ちゃんとお話くださったけれども、東海第二原発だって、全然強固な岩盤じゃない、ですよね。でも、そんなこと言ったら、日本中強固な岩盤に建っている原発なんてない、んだろうと私は思います。浜岡だって相楽層とか言ってますけど、ボロボロですよね、あの手で持ったらパリパリと割れるようなところだし。

え〜、東京電力の柏崎刈羽原発、原子力発電所なんていうのは、砂丘の上に建てようとした、いくらなんでも砂丘はマズいだろうと言って何十メートルも穴を堀ったけれども、いくらやってもちゃんとした岩盤が出て来ないというとこで、そこに建ててしまった。
え、昔から「豆腐の上の原子力発電所」と呼ばれていた、そこが地震に襲われ、襲われたら、物凄い揺れになって、あちこちボロボロに壊れてしまったというのが、え〜つい何年か前にあったということで、この世界中の地震の、1割か2割が日本で起きるという、そんな国で安心して原子力発電所を建てられるような場所は元々無かったんです。
無いのに、とにかく建てたいということで、用地さえ買収できてしまえばもうどこでもいいと、あとは地盤が悪ければ人工岩盤だというようなことで、これまでやってきてしまった、という歴史があったと思います。

今、敦賀の、え〜、日本原電の、第二原発というところでも、原子炉の下に活断層があると、実はそれだってはじめから分かっていた筈だと私は思います。
でも、とにかくそこに建てるしかないということで、審査をする人たちが、これは活断層ではないと言ってしまえば、もう、そこに建ってしまうという、そういうことだった、と思いますし、え〜、東海第二原発も適地ではないし、日本中原子力発電所の適地はどこにもないのだという風に思っていただきたいと思います。
(拍手)

◆質問者
え〜、そうする…あの〜そのこととちょっと関連致しまして、小出さんにお伺いいたしますが、あの〜、私はあの学生時代に、あのたくさんの大学の学生が入る学生寮におりまして、あの〜、航空工学というものをやっている学生とよく話をしたんですけれども、え〜、その人と話して、工学上非常に重要であるのはフェールセーフであると、え〜、フェールセーフという思想が生きないっていうと、あの〜、そういうものは作ってはいけないんだと、あの〜、彼はすごく理想主義的であった、そういう風におっしゃった。
原子力発電所はいつまで経ってもあの熱が取れない、え〜、で、いつまでも永久に冷やし続けないっていうといけない、そういうのってフェールセーフって言えるのかな、人類の工作物としていいのかな、というのは感じるんですがいかがでしょうか?

◆小出
え〜、原子力発電所の場合には、フェールセーフという言葉、要するに何か間違えたことをやっても安全なんだというフェールセールという言葉もありますし、フールプルーフという言葉もありました。
それは、フール、バカですね、え〜運転員がバカなことをやっても、え〜、きちっと保証出来るような、するという、それが設計思想になっていると、ずうっと彼らは言ってきたわけで、設計思想としてそうするということは、むしろ当たり前のことでもあるのですね。
え〜、人間が間違えたことをするし、何か具合が悪いことが時によっては起きるというのは、当たり前なことなのであって、それに対して設計上対処しておくということは、当然の考えかた、です。
しかし、それが、原子力発電所の場合には成り立たない、のです。

皆さん、クルマで今日ここに来られた方がいらっしゃると思います。
例えば、時速40キロか50キロで、走っていて、走っている途中にタイヤが一つポロリと取れる、落ちてしまったと、といったら、みなさんビックリしてすぐにブレーキを踏んで、ある人はエンジンを切るかもしれない、そしたらまあ何十メートルかは走るかはしれないけれど、そこで時速0キロメートルになりますね。
必ず止まります。

しかし、原子力発電所という、ものは、ウランの核分裂を起こさせて、熱を発生させるわけですが、核分裂を起こさせる、起こさせた途端に、核分裂生成物という放射性物質が原子炉の中に貯まってくる、のです。
放射性物質はそのもの自身が熱を出す、というものが基本的な性質、です。

で〜、今日の原子力発電所は100万キロワットというのが標準になって、いますが、100万キロワットの原子力発電所というのは、電気になるのが100万キロワットと、いう意味です。
原子炉の内部では300万キロワット分の発熱をしていて、わずか3分の1だけが電気になって、3分の2、つまり大半の200万キロワット分は、使うことができないまま、海に捨てているという、そういう馬鹿げた装置、なんです。
で、その上に300万キロワット発熱しているというその熱のうち、7パーセントは、ウランが核分裂しているのではなくて、既に炉心に貯まってしまった核分裂生成物、そのものが出しているんです。

何か事故が起きて、ウランの核分裂反応を止めるということは、かなり比較的容易です。
たぶん福島の事故の場合にも止められたと私は思っています。
しかし、原子炉の中に、核分裂生成物が止まってしまっている限りは、7パーセント分のエネルギーは止めることは出来ないんです。
発熱は。
つまり事故があった、もうここで止まらなければいけないと思って、どんなにブレーキを踏んでも、エンジンを切っても、クルマが止まらないんです。
それが街中の人混みの中であろうと、山の中の崖っぷちであろうと、タイヤが外れたまま走り続けなければ、壊れてしまうというのが、原子力発電所というそういう機械なのです。
え、どんなフェールセールも、どんなフールプルーフも、もう成り立たないという、はじめからそういう基本的な性質を抱えた機械、です。
ですから、まあ設計思想として、フェールセール、フールプルーフということをやることは私は当然だし、いいことだと思いますけれども、(原子力発電所)というのは、それが成り立たない技術であると、思っていただきたいと思います。
(拍手)

▼動画

================================================================================


[※ブログ主: 膨大な文字お越し作業、有難うございます。
   音声ファイルは同所にありますので、下記アドレスに直接アクセス!]
================================================================================
http://hiroakikoide.wordpress.com/2013/01/01/mbs1179_2012dec31/#more-5023

12月31日 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生が出演/MBS1179 報道するラジオスペシャル(文字起こし)

2012年12月31日、MBS1179 報道するラジオスペシャルに小出裕章氏が出演され、その動画がYouTubeに掲載されていましたので、このブログでも共有させていただきます。 また、以下の通り放送を文字起こししました。

▼出演者
【パーソナリティ】
水野晶子
近藤勝重(毎日新聞専門編集委員)
【ゲスト】
小出裕章さん(京都大学原子炉実験所)
【テーマ】
「来年」。政権も変わった日本の来年がどうなるのか、どうなってほしいのか。

▼文字起こしは以下。

京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さんです。

◆水野
小出さ〜ん。

◆小出
はい。

◆水野
こんにちは、というかこんばんはになってまいりましたがね。

◆小出
はい、こんばんは。

◆水野
どうぞよろしくお願いします。

◆小出
こちらこそ。

◆水野
近藤さんは、お久しぶりとはございませんか。

◆近藤
いや〜ぉ、お久しぶりです、えっ。

◆小出
そうですね。

◆近藤
お元気ですか。

◆小出
はい、何とか生きています。

◆近藤
そうですか。

◆水野
は〜い、あの今日もこの大晦日という日に小出さんとお話させていただく、たいへんお忙しいのに申し訳ないんですが、やはり、どうしても、この、今年2012年にね、原発巡る動きがどうであったのか、そして、来年どうなって行くのか、というのは、何としてでも小出さんに伺いたいという思いがございます。
え〜、そして、小出さんに質問したいというリスナーの方もいろいろと、あの〜、送ってきてくださっているんです〜。
で、まず、一番多くのお声をいただいているのは、何かといいますと、今日、毎日新聞の1面トップ、近藤さん、これ、毎日新聞がドドンと掲げましたね。

◆近藤
えぇ。

◆水野
安倍首相、原発新設に意欲。つまり、新しく作るという意味ですね。
新たに作っていく原発は、40年前の古いもの、事故を起こした福島第一原発のものとは全然違う、何が違うのかについて、国民的理解を得ながら、それは新規に作っていくことになるのだろう、という風に安倍総理がおっしゃったと、つまり新しく作って増やしていくという意味ですね。

◆近藤
うぅ〜ん。

◆水野
で〜、これについてですね〜、聞いてくださっている方が多いんです。
笑顔が一番さんも、大掃除しながら聞いていますけど、え、え、そういうことなんですか、再稼働に向けて、どんどん、あの、動き出しているんですか?とかですねぇ、あの〜、ホンマに前とは違う、福島とは違うものなんでしょうかっていう風に聞いてくださっているんです。
ここのところからまず始めたいと思いますが(はい)、え〜、まず安倍総理の発言について、どうお感じになりますぅ?

◆小出
呆れた人だと思います。

◆水野
呆…、そおぅですか…。

◆小出
はい。

◆水野
あの〜、ジュンジイトイさんというリスナーの方もですね、今の原発は昔のものと全然違うと、お〜、安倍さん言いますが、じゃ具体的にどこがどう違うんですか?小出先生教えてください、とおっしゃっております。
いかがでしょう。

◆小出
え〜、まず日本で原子力というものを進めてきたのは、自民党なんですね(はい)。
え〜、福島第一原子力発電所も含めて、え〜、日本国内に50何基もの原子力発電所を建ててしまったのは、すべて自民党、のせいです(はい)。
福島第一原子力発電所の事故を起こしたのも、自民党のせいです(うぅん)。
え〜、その自民党が、また新しい原子力を作ると、いうようなことを言っているわけですが、福島第一原子力発電所だって、自民党が安全な原子力発電所で運転していいと許可を出した…。

◆水野
そうか、そういうことですね〜、自民党政権のときに政府が許可を出したわけですよね。

◆小出
そうです。
日本の原子力は技術が進んでいる、日本だけは事故を起こさないというようなことを、自民党がずうっと言いながら来て、事故を起こしているのです(はい)。
まずその責任というものを、安倍さん自身がきっちりと言わなければいけないし(う〜ぉ)、これから新しい原子力発電所を作ると言うなら、まずそれがどこがどう違っているかを、安倍さん自身が言わなければいけません(はい)。
そして、私から見れば、まったく変わってはいない(ん〜)のです(はい)。
今は、改良型の軽水炉、えぇ、改良型の加圧水型原子炉、改良型の沸騰水型原子炉といういうようなものをこれから造ると言っているわけですけれども…。

◆水野
改良型って名前が付いているんですね?

◆小出
そうです。

◆水野
そうすると、私たちは、素人は、あっ改良されたんだ(はい)、大丈夫なんだというイメージを持つわけです。

◆小出
はい。技術というのは、少しずつ進歩していくわけで(はい)、悪いところを見ながら改良していくというのは、当たり前のことなのであって、1年経てばまた少しずつまた改良されているということは(うふっ)、当たり前のことなんですね(はい)。
はい、特に日本の場合には、その改良ということが、例えば原子炉の大型化であったり(ふぅ〜ん)、経済性の追求であったり(はい)、そういうことで来てしまったわけで、改良というのはむしろ私からみると改悪になってしまっている、のです(はぁ〜)。
で、いかなる原子力発電所も、原子炉というものを使う限りは、放射能を作ってしまいますし、機械である以上は、壊れるということは、ときにはあるということは覚悟をしなければいけないものなのです。
え〜、そういう意味で言えば、まったく変わっていない、旧態依然としたものを、また自民党がやろうとしているという、ことです。

◆水野
うぅ〜ん。近藤さん。

◆近藤
はぁい。

◆水野
自民党、安倍政権は、その〜原発推進シフトで閣僚はかなり固めているんですってねぇ。

◆近藤
う〜ん、そうですよ。甘利さんとかね(はぃ)。
いずれにしても僕は12政党の中で、脱原発に最も消極的だったのが自民党だったわけです、近藤の選挙でも(そうですね)。
で〜、にも関わらず、それが政権政党になっちゃったわけです。
え、そこんところがね、自民党のものの言い方っていうのは、結構いろいろ曖昧な部分があって、原発に依存しなくても良い社会を目指すっちゅう予防線を張ったり、いろんなことを言って、なんとなく争点からボカしていったんですよ。

◆水野
選挙のときになかなか争点になりませんでした。

◆近藤
そう、ですからね、そういう争点外しを意図的にやった上で、今になってですよ、原発新設に意欲を見せるような発言をするっていうのは(うぅん)、それはやっぱり〜、1000年に一度と言われる未曾有の災害、そのことのいろいろな豊かさの本質とかそんなこと問う選挙ででね、原発の問題を本当に問う選挙でね、そういうことを外して、国民に投票させて、そしてその後にですよ、こういうことを言い出すってのはね(はぁ)、僕はある意味そりゃフェアじゃないと思うんだよね。
んん、んだから、ここはやっぱり公明党がね(はい)、一緒に政権作っているわけですけれども(えぇ)、その話にどう反応するのかってことをね、とりあえずそこんところをまぁ見なくちゃいけないなっていう気がしていますけどね。

◆水野
小出さん、今起こっていることのもう一つの側面でね、福島原発事故を巡って、検察当局が東電の幹部から、事情を任意で聞いているっていうそういう事実もあるんですね。
で、あの〜、このポイントがどこかって言いますと、津波の危険性を予測しながら、津波に対する安全対策を怠ったんじゃないか、ここがどうだったんだというのがポイントになっているということなんですよ(はい)。
これ〜について、小出先生、どう見ていらっしゃるか教えていただきたいんですが〜。

◆小出
もちろん津波に対しての対策を怠っていた、のですね(はい)。
で〜、それだけでなくて、原子力発電所が機械であって、え〜、さまざまな要因でその機械が壊れるということについて、十分な対策を取らないまま来てしまった、わけです(えっえっ)。
もちろん地震という出来事で、原子力発電所の一部が壊れたかもしれないということは、え〜、福島第一原子力発電所の国会事故調査委員会すらが指摘している、わけで、え〜、東京電力の責任は私は猛烈に重いと(ん〜)、思います。
え〜、例えば、皆さん考えていただきたいのですが、どこかの小ちゃな町の工場が、毒物を回りに何か漏らしてしまって、周辺の人に迷惑をかけた、というようなことをすれば、すぐに警察が踏み込んで、え〜、某かの法的な手続きを取る筈だと思いますけれども、福島第一原子力発電所の事故の場合には、何十万人もの人が家を奪われる(え〜)、そして、その中で命を落としていくというようなことが進行してきている、今でも進行しているわけですし(う〜ん)、何百万人もの人が、放射線の管理区域に指定しなければいけないようなところで、生活を強いられてしまっていると、いう事実があるのです(はい、はい)。
それなのに、東京電力の会長、社長以下、誰も責任をと、問われていないという、この国はいったいどういう国なのかと私は思います。

◆近藤
あの〜、刑事責任のレベルで言うと〜(はい)、やっぱり津波の高さをね、そのどの程度彼らが想定してたかが大きなポイントになる(ポイントになるんですね)。ん〜、だから、所謂6メートル説、15メートル説、いろいろあるけども、東電の現場では、例えば15メートルと見ていたとすればね、その〜そんなら対策をとってたかとってないっていうことになると大きな違いがあるわけですよね(はぁ〜)。
あの、地検が関心を持っているのは、まずとりあえず津波の高さをどの程度想定できてたかと…。

◆水野
あぁそこになるんですか、ただ…。

◆近藤
だから、出来てない…。

◆水野
ってことであれば次の問えなくなるわけですね。

◆近藤
所謂予見可能性の問題だよね。

◆水野
でも、そうしますとね、ある意味、津波の危険性をどう捉えていたかっていうポイントの、訴訟だからそれはしょうがないんでしょうけれども、告訴、告発になってのことだからしょうがないのかもしれないけども、じゃ、津波が無かったら、原発は安全なんだと、いう話にも繋がっていきやすい論理じゃないですか?

◆近藤
それはまたその話の別個の性格として出て来ますよね(ねぇ)。
とりあえず起きた事故は、その津波と無縁じゃないわけで(もちろんね)多いに関係あるわけだから、あのそこで過失を問えるか問えないかっていううのはやっぱそこのところは大きいって判断をあると思うんです…

◆水野
しかし、問えないって可能性もあるってことですよね。

◆近藤
あるでしょうね。
あの〜、刑事事件的に言えばね(ん〜)。そういう性格のもんでしょうね。

◆水野
小出さ〜ん、今年というのは、5月5日に、全ての原発がストップしたんですよね。

◆近藤
そうでしたね。

◆水野
あのときの小出さんの、その言葉、あたし覚えているんですよね。

◆小出
はい。

◆水野
あ〜、こんな日がやってくるんだと、いう、非常に感慨深いものがおありだったと思うんですが〜。

◆小出
嬉しかったです。

◆水野
ねっ、そうおっしゃった。
しかし、続きませんでしたね、その状況は。

◆小出
そうでしたね。

◆水野
その後、2ヶ月弱で、え〜、大飯の3号機が再稼働するという形、7月1日に再稼働しましたので、2ヶ月弱で、全ての原発が停止している状況は、日本から消えました。

◆小出
はい。

◆水野
で、その間ね、何があってそういう風になったのかっていろいろ見ていくと、例えば大飯の再稼働に反対していた関西広域連合が、ま、限定的だったら再稼働は認めざるを得ないという風に態度を変えたと、いうようなこともあります。
え〜、そしてどんどんどんどん雰囲気が変わっていったんじゃないかと思うんですけれども、小出さんはその辺り、どんな風に日本の人たちの気持ちの変化を見ていらっしゃいますか?

◆小出
え〜、大飯の再稼働ということは、再稼働をしないと停電になるぞと(えぇ)、脅しをかけられたのですね。
で〜、橋下さんなどは、コロリと再稼働反対から容認に変わってしまうと、いうことになりました。
しかし、事実で言うのであれば、大飯なんか再稼働させなくても、電気は十分足りたのです(えぇ)。
それを、国民が皆さん、騙された。
橋下さんも騙されたフリをして結局認めていくということになりました。
私は日本の電力需給の状況というのを、もっと皆さんがしっかり知らなければいけないと思いますし、国と電力会社が正直に現在の状況というものを説明すべきだと私は思います。

◆水野
実際、再稼働無しでもこの夏電力不足にならなかったというのは、まぁ、後で検証してみたら、はっきりしたんですよねぇ。

◆小出
もちろん後でしてもはっきりとしましたし、はじめから分かっていたことなのです。
◆水野
小出先生は、始めから分かっているとおっしゃって(そうです)、そのベースになるデータは、国が出しているとおっしゃていますよねぇ。

◆小出
あの、国がデータ、どこの原子力発電所が何万キロワット、火力発電所が何万キロワットというデータを公表していますし(う〜ん)、え〜、そのデータを見る限りは、現時点で、原子力発電所を即刻全て止めたところで、いついかなるときも停電にはならないのです。
そのことを皆さんどうして分かってくれないか、私はたいへん不思議です。

◆近藤
そこのところがね、あれなんでね〜、あの選挙の間、そこのところが浸透してたらまた話が変わっていたんだよねぇ。

◆小出
そう思います。

◆近藤
それとね、僕ね(はい)、先ほどあの自民党の責任案あんぬんかんぬんの話で、そうしても今日付け加えて、先生のことに付け加えて言いたいんだけど、その東通原発の問題で、学者の方全員でしょ、全員が活断層の危険を言うてますよね(はい)。
にも関わらず、東北電力はそれを豊潤だ地下水を吸ってんだということで、要するに安全なんだということでまかり通ったわけでしょ(はい)。
で、まかり通らしたのはそしたら誰の政権のときだったのかと考えれば、これは自民党ですよね(そうです)。
そうすると、この手の活断層を巡るいい加減な、ある意味いい加減な処理のしかた、あるいはそのとき何がどうでOKになったのかというその経過、ここらあたりをもう一回やることがですね、あの、すごく大事なことなんじゃないかと、僕、最近よく思うんですよ。

◆小出
はい。

◆近藤
こんないい加減な形でぼんぼんぼんぼん原発が出来ていったのかと、今ゾッとするような感じの所謂原発、原子力ムラというものはこういうことだったのかというのがね、実態すら何か私そこに感じるんですけどね。

◆小出
そうですね(ん〜)、マスコミの方、報道の方にもっとしっかりとそういう事実をキチッと調べて報道して欲しいと願います。

◆近藤
本当に、今になってねぇ、え〜、何かそういうことを言ってもむなしさあるんだけども、でも、追求する側として遅くない気はするんですよね。

◆小出
そうですね、はい。

◆水野
う〜ん、やらねばやらないことですよね。
そして、あたし、返す返すもあのとき何やったんやろと思い出すのは、民主党がね、2030年代原発ゼロって言っておきながら、閣議決定しませんでしたよね。

◆小出
はい。

◆水野
あの辺りのことを小出先生、どう見ていらっしゃいますか?

◆小出
情けないことだと思いました。
え〜、元々民主党政権が、国民にパブリックコメントというのを求めて、2030年に0にするのか15にするのか25にするのかといって意見を求めたのですね。

◆水野
何%原発に依存するのかって話ですね。

◆小出
そうですね。
え〜、その政権の求めに応じて、多くの国民が意見を寄せました。
そして、その大部分はゼロにせよと、そして、2030年ではなくて、即刻ゼロにしろという意見が多かった、のです。

◆水野
そうでしたね、はい。

◆小出
それを受けて、民主党政権は、今度は30年代という、一つ代という言葉を付け加えて…。

◆水野
最初、2030年まででしたよねぇ。

◆小出
そうです。
2030年にと言っていたのですが。

◆水野
いや〜、まに〜もゼロにすると言ったら切ろと言ったら2030年代に10年も増えていましたよね。

◆小出
そうです、そうです。
2039年12月31日まで延ばしてしまった。
つまり10年そこでパッとさばを読んでしまった(えぇ)、わけで、それでもまあ一応はゼロと、を目指すと言ったのですね。
ただ、その閣議決定すらが出来ないという状態で、情けない政権だなと私は思いました。

◆近藤
これはあのすごく大きかったんですよ。僕は民主党政権の普天間の問題もおかしかった、そして、八ッ場ダムもおかしかった、そこに持って来て30年代でボヤケてしまって閣議決定しなかったでしょ(はい)。
こういう連続の中で民主党に対するイメージって言いますかね(はい)、ん〜、何かボヤけちゃったですね〜。

◆小出
そうでしょうね。こんな政権はやはり支持を失うと私は思います。

◆水野
その間ですね、株式市場で何が起こったか、東京電力の株価はですね、まぁ、あの事故後ずうっと落ちて行ったわけですけれども、ま、今やですね、一番低かった夏場の株価の倍以上に跳ね上がりました。
え〜、安倍さんたち自民党が圧勝と伝えられた直後の株式市場、東京電力はもうこれ以上値が付けれませんというストップ高にまでなるという、跳ね上がったんですよね。
で、小出先生ね、えっと更にこんなこと安倍さん言ってます。
福島第一原発の廃炉の作業を政府が全面支援すると、いう風にまぁ言っているんですねぇ(はい)。まあ、政府としてそれはやって貰わなあかんという気持ちもする一方で、ということは、東電が廃炉にしていく費用を、税金、つまり私らのお金で、負担していくってことになるんじゃ違うんですかね?

◆小出
そうですね。
え〜、私らのと水野さんのお金もある(みんながね)、私のお金、近藤さんのお金でもあるわけだし、何よりも、福島原子力発電所の事故で今家を奪われて(はい)、流浪化している人たちとして汚染地帯に捨てられてしまった人たち、そういう人たちのお金を使って、東京電力を救済すると…。

◆水野
そういうことになりますよね〜。

◆小出
いうことをやるのです。

◆水野
はぁ〜。
廃炉に、あのこの福島についてもね、廃炉にほんまにできるんですかと、これは和田さんという方も聞いてらっしゃいますけど、それぐらい思うような廃炉って、お金どのぐらいかかるんですか?

◆小出
分からないのです。要するに、人間が初めて遭遇したことなのですね、今、一度に4基もの原子炉が溶け落ちて、しまって、放射能がそこから吹き出してきていると、いう状況になってしまっているわけで、いったいどうやれば廃炉に出来るのか、そのこと自身が分からない、のです。
え〜、もちろん東京電力が自分でやろうとすれば簡単に倒産するという、それほど難しいことであって、日本の国家がなにがしかの財政負担をやらなければならないということは、当然なことなのですけれども、え〜、こんなことを引き起こした責任というものをまず、東京電力も、そして自民党という政党も、自覚をしなければいけないと思いますし、その全ての負担を国民、そして今苦しめられている人たちにまた負わせようとしている、のです。

◆水野
え〜、コマーシャル挟んでも少しお話聞かせてください。

☆☆☆

◆水野
今日は、京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さんにお話を伺っております。
小出さ〜ん、引き続き伺いたいんですけれども、あの〜、多くの方たちが脱原発を望んだという事実がまぁあります。
しかしながら、今になったらですね、え〜、ま、選挙で大勝した政権のリーダーは、新しく造って行くということに意欲を示しているという、これが今日本の実情なんですよね。

◆小出
そうですね。

◆水野
何でこんなことになるのかと、いうこと、ま、いろんな見かたがあると思いますけれども、小出さんはどう思われます?

◆小出
また、騙された、ですね。

◆水野
また騙されたですか?

◆小出
要するに、近藤さん、先ほどキチッとおっしゃってくださったけれども、え〜、選挙のときには、自民党が明白に自分たちは進めるということは言わなかった。

◆水野
10年でいろいろ考えますの話でしたね。

◆小出
はい、でも始めから明白に進めるということは彼ら腹をくくっていたわけ、ですし、それを言わないまま選挙というものは行われて、国民がまた騙されたということです。

◆水野
あの〜、この、騙されたという感覚ね。
ん〜、確かにそれは騙されたかもしれないけど、あたしは〜こういう風に原発政策を自民党は考えているだろうということを、安倍さんがはっきりおっしゃらなくても、感じてましたよ。

◆小出
そうですね。

◆水野
小出先生ももちろん、小出先生はもちろんですけれども、感じている人は私だけじゃなくって、あっ、自民党はたぶんこうするんだろなって、感じてたんじゃないですか〜?

◆近藤
騙されたっていうかね、あの〜、要するに優先度が下がったんですよ。
国民の意識の中で。
自民党のものの言いかたで。
も、う〜ん。

◆水野
今すぐ株上げてほしい、自分の暮らしを良くしてほしいのが、上がったっていうことですか?

◆近藤
うぅ、そっちのほうがむしろ、ううん、所謂生活者レベルの感覚のほうが上へ上がっちゃったんだよね。
そやけど本当を言うと、主権者、主権者としての感覚が一番優先されなければならない総選挙だったんだわ。

◆水野
本当はね(うん)。
そこのところ、騙された、騙されてしまう私たちっていう、ところ小出さんは、どう見てらっしゃるのか、小出先生もね、子どもの頃は、騙されたっておっしゃっていたじゃないですか(はい)。
戦後間もない時代にね、子ども時代を迎えられて、あの戦争の話と原発の話って似てるとこありませんか?

◆小出
はい、私はずうっとそう言って来ましたし、え〜、私が関わり続けてきた原子力の歴史というものを見ると、戦争のときとそっくりだなと(え〜)、思い続けてきましたし、今でもそう思います。

◆水野
どういうことでしょう?

◆小出
え〜、要するに国家という存在が、戦争をやると決める、あるいは原子力をやると決めて、え〜、体制というものが全部でそれにのめり込んで行くという、そういう流れだった(う〜ん)、だと思います。
え、戦争はもちろんそうでしたし(はい)、原子力もそうでした。
えぇ、マスコミも含めて、みんなが原子力こそ夢のエネルギーで、事故など決して起こさないというような宣伝、流れを作ってしまって、国民の多くはそれをただただ信じて、きてしまったという流れだったと思います。
でも、少なくとも、原子力に関しては、福島第一原子力発電所の事故というものが起こって、今現在進行しているのです(そうですね〜)。
え、苦しみが何も軽減されないまま、人々の苦しみが続いているわけで、せめてしっかりと目を見開いて見てくださいと私はお願いしたいと思います。

◆水野
何で私たちは騙されてしまうのでしょうか?

◆小出
今まあ近藤さんおっしゃってくださったけれども、やはり生活、日々の生活、もっと景気が良くならないかとか、そうしたものにやはりどうしても引きずられてしまうということが一番大きな要因だと思います。

◆水野
う〜ん、あの〜、戦争についても近藤さん、あれですね、こう、責任をちゃんと取れているのかと、いうことをずっと問われ続けて来た日本ですよねぇ。

◆近藤
で〜、広島、長崎を見て、そして福島を見たわけですよ。
これはまさに核と原子力の負の連鎖です
よね。
こんな国ないですよ(んん)。
ないときに選挙があったんだけど、その答えが出なかった。

◆水野
私たちは出せなかった。

◆近藤
んん、そうですね。
そこがね、辛いところです。

◆水野
はぁ〜、自民党の得票率が、ね、決して上がっているわけではないという事実がそこにあるわけですね。
え〜、小出さん。

◆小出
はい。

◆水野
この番組は来年どうなっていくのかという話をまぁ皆さんに伺っているんですが、小出さんはこの原発問題に関して、どう見ていらっしゃいますか?

◆小出
まぁ少なくとも自民党が政権を取ったわけですから、え〜、脱原発、あるいはその原子力をゼロに目指して行くという流れは、大きく変えられてしまうだろうと、私は思います。
ただし、このまま、反省のないまま、また新しい、再稼働どころじゃないんですね、自民党の場合は。

◆水野
新しく造るですから。

◆小出
そうです。再稼働なんか当たり前で、更にまた新しく造ろうということを自民党という政党は言っているわけですね。
私はそんなことを到底させたくないと思いますし、え〜、次のまた次の参議院選挙があるわけですから、え、キチッと皆さん考えていただきたいと思います。

◆水野
そうですね。
また来年7月に、私たちが問われる段階がやってくるんですね。

◆小出
そうですね。

◆水野
でも、そのとき、またこの原発の問題、隠れるかもしれませんね。

◆小出
え、また、自民党はたぶん参議院選挙までは、あまり明確に進める進めると言わない作戦に出るんだろうなと思っています。
そして、また国民が騙されて、自民党を支持してしまうようなことになれば、もうそれで終わりということになると思います

◆水野
はぁ〜、小出さん、またん〜来年希望のある話を聞かせてください、なんて簡単に言えないんですけれど、何とか希望のある話が出来ればという風に願っております。

◆小出
はい、思います。

◆水野
はい、どうもありがとうございました。

◆小出
ありがとうございました。

◆水野
京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さんにお話をいただきました。
================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●全く原子力ムラの住人ときたら・・・・・・

2012年09月08日 00時00分29秒 | Weblog


原子力「推進」委員会人事についての東京新聞の二つの記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012090502000261.htmlhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012090602000131.html)。福島みずほ福島瑞穂)さんは視察を断られ(http://www.asahi.com/national/update/0905/OSK201209050039.html)、一方、石原慎太郎 東京〝ト〟知事の視察は大歓迎というasahi.comと東京新聞記事(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012090601001028.html、http://www.asahi.com/politics/update/0906/TKY201209060491.html)。ふたたび、原子力「推進」委員会人事についての東京新聞の社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012090602000150.html)とコラム(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2012090602000134.html)。

 福島瑞穂さんの北陸電力志賀原発の視察はダメでも、石原氏のもんじゅ視察は歓迎。だって、「東京に原発を!」作ろうというぐらいの人だから。「「原発の必要性に理解がない方への対応は難しい」との理由で拒否」だそうで、一方、石原〝ト〟知事は「「高速増殖炉非常に有効な機械だと思っている」と述べ、実用化に期待感を示し」たそうだ。あのもんじゅを動かせ、というのだからトンデモの〝ト〟の本領発揮。視察を拒否した北陸電力志賀原発も狂っているなら、もんじゅに期待する〝ト〟知事もそれに輪をかけてトチ狂っている。

 さて、原子力「推進」委員会こと原子力規制委員会、その人事。勝手に閣議決定したかと思えば、国会の同意も得ずに、首相権限でゴリ押しするそうだ。責任の取りようなどないはずなのに、大飯原発も首相の責任で再稼働させた。東京新聞の社説の云う通り「首相も「ムラ」の住人」である。
 全く原子力ムラの住人ときたら、皆正気じゃない。

================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012090502000261.html

原子力規制委 首相権限で任命へ
2012年9月5日 夕刊

 政府・民主党は、原子力規制を一元的に担う新組織「原子力規制委員会」の委員長と委員四人の国会同意人事に関し、今国会での採決を見送り、野田佳彦首相が首相権限で原案のまま任命する方針を固めた。八日の今国会閉会を受け、十一日に首相任命を閣議決定する方向で調整している。
 国会同意人事で採決を経ず、首相が任命権を行使するのは極めて異例。委員長候補の田中俊一・前原子力委員会委員長代理らの人事案に対しては、民主党内に原発建設を推進してきた「原子力ムラ」に近いとの反対論があり、採決すれば造反が出る恐れがあることも見送りの一因になった。独立性の高い規制委は、国会のお墨付きがないまま発足する。
 規制委設置法は六月二十七日に公布され、三カ月以内の九月二十六日が法律上の発足期限。政府は七月下旬に委員長候補に田中氏、委員に中村佳代子・日本アイソトープ協会主査ら四人を起用する人事案を提示。衆参両院は田中氏から意見聴取したが、野田首相の問責決議などをめぐって与野党の対立が激化し、人事案はたなざらしになっていた。
================================================================================

================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012090602000131.html

原発監視はや骨抜き」 事後同意も不要論 規制委人事 国会素通り
2012年9月6日 朝刊

 政府・民主党は五日、原子力規制を一元的に担う新組織「原子力規制委員会」の国会同意人事に関し、今国会では採決せず、野田佳彦首相の権限で任命する方針を固めた。次の国会での事後同意を求めないことも検討している。規制委は政府からの独立性が高いにもかかわらず、国会のチェックを受けようとしない姿勢は政権として無責任と言われても仕方ない。 (城島建治)

 同意人事で採決を経ず、首相が任命権を行使するのは極めて異例だ。政府側は原子力規制委員会設置法付則二条を根拠としている。「国会の閉会または衆院解散のために両議院の同意を得られない時は、首相が任命できる」との例外規定があるためで、二十六日の委員会設置期限を前に、十一日の閣議で決定する方針だ。
 政府は七月下旬に委員長に田中俊一・前原子力委員会委員長代理、委員に中村佳代子・日本アイソトープ協会主査ら四人を起用する人事案を提示した。だが、民主党内などから、原発建設を推進してきた「原子力ムラ」に近いとの反対論が噴出。執行部としては新たな「造反・離党議員」を出したくないとして、採決日程がずれ込んだ経緯がある。
 首相問責決議の可決を受け、審議拒否を続ける一方、同意人事の採決には応じるとしていた自民、公明両党は先送りに反発。自民党の岸田文雄国対委員長は「今国会でやるべきだ。それをしないのは政府・与党の怠慢だ」と述べた。民主党の生方幸夫衆院環境委員長も本紙の取材に「首相の任命では国会のチェック機能に疑問符が付く」と批判した。
 一方、今回の人事をめぐって政府・民主党は、付則に緊急事態の場合は事後同意が必要ないとの趣旨が盛り込まれていることを理由に、次の国会でも同意を求めないことも検討している。東京電力福島第一原発事故後は緊急事態が継続しているとの解釈からだが、国会軽視も甚だしい対応だ。
 内閣府原子力委員会新大綱策定会議の委員を務める金子勝・慶応大教授は同意人事に関し「原子力ムラを第三者の立場からチェックする機能だ。政府はそれを骨抜きにしようとしている。国民から信用されない」と指摘した。
================================================================================

================================================================================
http://www.asahi.com/national/update/0905/OSK201209050039.html

2012年9月5日11時37分
脱原発の方、視察お断り」 北陸電、福島氏らを拒否

 北陸電力(本店・富山市)が8月下旬、社民党の福島瑞穂党首ら党関係者による志賀原発(石川県志賀町)の視察要請に対し、「原発の必要性に理解がない方への対応は難しいとの理由で拒否していたことがわかった。
 北陸電力地域共生本部は「視察の要望が相次いでおり、現地が多忙な状況にある。『脱原発』を掲げる政党に視察を許可しても原発への理解は得られず、優先順位が低いと判断して断った」と説明する。
 視察を要請した社民党の担当者は「どういうことなのかさらに説明を聞きたいと申し込んだが、推進の立場でないと聞きに来られるのも困ると言われた。党として北陸電に申入書を出したい」と話している。
================================================================================

================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012090601001028.html

石原都知事、もんじゅ視察 エネルギー政策の参考に
2012年9月6日 14時02分

 東京都の石原慎太郎知事は6日、福井県敦賀市にある高速増殖炉原型炉「もんじゅ」を視察した。都のエネルギー政策の参考とする考えで、格納容器内に入って原子炉を見学。
 もんじゅは1995年のナトリウム漏れ事故で停止し、2010年5月に運転を再開した。ところが、燃料交換で使う装置が同8月に原子炉容器内で落下する事故が発生、現在は運転を停止している。
 石原氏は8月の記者会見で「高速増殖炉は非常に有効な機械だと思っている」と述べ、実用化に期待感を示していた。
================================================================================

================================================================================
http://www.asahi.com/politics/update/0906/TKY201209060491.html

2012年9月6日20時59分
「もんじゅ廃炉、とんでもない」 石原知事が視察

 東京都の石原慎太郎知事は6日、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)を視察した。政府の新エネルギー政策で核燃料サイクル見直しが取りざたされる中、「廃炉はとんでもない話。絶対にしちゃいけない」と述べた。
 石原知事は、日本原子力研究開発機構職員の案内で、原子炉上部や中央制御室を約1時間半かけて回った。終了後、知事は自身が初めて参院選に出た時から高速増殖炉に関心があったことを明かし、「あれから数十年、半ば挫折に近くなってきて残念」と語った。
 「もんじゅ」の長期運転中止について記者団に問われた石原知事は、「誰がつくった手続きか知らないが、そういったものを簡略化、スピードアップするのが政治家の責任」と批判した。今後の原発新設については「半分本気で東京に造ったらいいよ」と語った。
================================================================================

================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012090602000150.html

【社説】
原子力規制委 首相も「ムラ」の住人
2012年9月6日

 野田佳彦首相が原子力規制委員会の人事に原発推進派を起用する構えを示している。本来は国会の同意が必要なのに、首相権限で強行するという。とんでもない話だ。国会は何をしているのか。
 従来の原子力安全・保安院や原子力安全委員会は原発推進派の強い影響下にあって「規制する側が規制される側(電力会社)のとりこになっていた」(国会事故調査委員会報告)。それでは原発を実質的に規制できず、安全確保もままならない。
 新設する原子力規制委員会を国家行政組織法第三条に基づく独立性の高い委員会にしたのは、そんな反省に基づいて原発を推進する電力業界や経済産業省、学会などの影響力を断ち切るためだ。
 ところが政府が示したのは、そんな狙いからまったく外れた人事案だった。委員長候補に原子力委員会委員長代理や日本原子力研究開発機構副理事長などを務めた田中俊一氏、委員候補には日本アイソトープ協会主査の中村佳代子氏、日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研究部門副部門長の更田豊志氏らを指名した。
 田中、更田両氏が関係する日本原子力研究開発機構は高速増殖炉もんじゅを設置し、使用済み核燃料の再処理をしている。つまり核燃料サイクルの推進機関だ。中村氏の日本アイソトープ協会は研究・医療系の放射性廃棄物の集荷、貯蔵、処理をする団体である。
 こうした経歴からは三人が原発推進を目指す「原子力ムラ」の住人であるのは明白だ。とくに中村、更田両氏は原発や核燃料再処理に関係する機関に勤める従業員の就任を禁じた規制委員会設置法に違反する疑いすら濃厚である。
 法律上は国会同意がなくても後で同意を得れば、首相の任命は可能だ。ところが原子力緊急事態宣言が出ている間は同意を得る必要がない。現在は宣言発令中なので結局、任命が既成事実化してしまう可能性が高い。これは事実上の国会無視と言っていい。
 本来なら国会事故調が提言したように、独立した第三者委員会が相当数の委員候補を選び、その中から透明で客観的なプロセスを経て委員を選ぶのが望ましい。政府任せではだめだ。
 こうした展開になった背景には国会の怠慢がある。国会は事故調報告を受けていながら、たなざらし同然にした。いまからでも遅くはない。国会が原子力ムラ人事をどう考えるのか。しっかり検証し意志を表明すべきである。
================================================================================

================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2012090602000134.html

【コラム】
筆洗
2012年9月6日

 落語家の古今亭志ん生は昭和三十九年に紫綬褒章をもらったが、実は褒章の意味を知らなかったそうだ。「シジュホーショーって、何です?」と人に聞くと、「世の中のためになった人にくれる勲章だよ」というので、志ん生はびっくり仰天、「そんなこと、あたしゃァ身に覚ぇがねぇ」▼いかにも志ん生らしいエピソードを自著『名手名言』で紹介していた山川静夫さんは「地位とか名誉とかを考えない人だったからこそ、志ん生の芸は面白かった」と書いている▼昭和の名人とは違い、地位や名誉を何よりも重んじるのは政治の世界で生きる人たちだろう。選挙の「顔」になる人物を担ぎ出そうと、長老から若手までが水面下でうごめいている▼民主党では、野田佳彦首相では戦えないと、若くて知名度の高い細野豪志環境相の待望論が高まる一方だ。原発事故の責任を担う細野さんが出馬するとは思えないが、落選して「ただの人」になるのが怖い人が多いのだろう▼民主、自民両党の議員が浮足立つ間に、原子力規制委員会の初代メンバーが国会同意なしに任命される見通しになった。委員長は原子力ムラの重鎮だ。独立性を高めるために盛り込まれた国会同意を、野田首相は無視する腹づもりらしい▼安全にかかわる重要な人事がいとも簡単に骨抜きにされる。議員の皆さんは見下されても腹が立たないのだろうか。
================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●原発意見聴取会: 広告代理店に丸投げ

2012年07月21日 00時00分30秒 | Weblog


東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012071802000110.htmlhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012071802000115.htmlhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2012071802000083.html)。そして、gendai.net(http://gendai.net/articles/view/syakai/137641)と、最後に、もう一つ東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012072090070537.html)。

 昨夜も、官邸前をはじめ、日本中の多くの場所で、原発再稼働反対や原発No!の声が鳴り響いた。鳩山元首相まで現れ、直ぐにムダ首相に直談判することをスピーチ。でも、その後どうなったのやら? 脱原発依存ドンカン前首相は何の動きも見せないのは、なぜ?

 さて、原発意見聴取会。やはり、広告代理店に「丸投げ」だったようだ。これを丸投げといわずして、何を丸投げというのだろう。まったくの茶番で、ご意見聴取の既成事実づくりのムダな行事。呆れるのを、既に通り越している。
 電力会社社員の「放射能の直接的な影響で死んだ人は一人もいない」発言に怒りを覚える。原発労働者や酪農家の死は、「直接的」な影響ではないので、東京電力・電力会社には責任がないとでも言いたげで、知性を疑う。

   『●哀しい遺書: 「原子力さえなければ」

相馬市の酪農家のこの悲痛な叫びを見ても、何も感じないらしい。何も聞こえないムダ首相やムダノ経産相のような「馬」さんや「鹿」さん同様、救い難い人たちである。

================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012071802000110.html

聴取会その場しのぎ対策 短時間・質疑なし変わらず
2012年7月18日 朝刊

 将来の原発比率をどれくらいにするか、政府が国民の声を広く聴く会で電力会社の幹部らが発言した問題で、政府は十七日、電力会社関係者には意見表明をさせないなどの対応策を明らかにした。しかし、質疑応答や発言者同士の意見交換などはなく、時間も二時間程度という対応は相変わらず。その場しのぎの対応に終始し、国民的議論を深めようとする姿勢は一向に見えてこない。
 この日、古川元久国家戦略担当相が明らかにした対応策は、(1)発言者から電力会社や関連会社の社員は除外する(2)発言者数は九人から十二人に増やし、0%案の発言者などに配分(3)二〇三〇年時点の原発比率0%、15%、20~25%案以外の比率についての発言も認める-の三点。(1)(2)は二十二日の札幌、大阪会場、(3)は二十八日の富山会場から実施するという。
 しかし、今回の意見聴取会が抱えている問題は、原発問題の当事者でもある電力会社の人が発言していいかどうかだけではない。事前に抽選で選ばれた人が一方的に意見を表明するばかり。政府に原発比率の案をただしたり、傍聴者も議論に参加してそれぞれの考えを理解したりして、国民的議論を深める運営になっていない。
 古川氏は「傍聴者はアンケートやパブリックコメントで意見を寄せてもらいたい」とかたくなな姿勢。
 発表者は十二人に増え、増えた三人の発言枠は、圧倒的に多い0%案の発言希望者に割り振られる。それにより、0%案の発言希望者が発言の機会を得る確率は、15%や20~25%案の希望者より大幅に低い問題は多少緩和される。だが、国民的議論をわずか二時間で済ませてしまおうという根本的な問題は改善されない。
 また、政府が、四十年廃炉や、原発の再稼働は安全かつ電力が足りない地域向けに限定するとの自らの約束を守るなら、三〇年時点の原発比率は15%はあり得ず、5%程度となるはず。しかし、政府は三案以外は出そうともせず、発言者が案を言うのはかまわない、との姿勢だ。
 仙台市の会場で傍聴した病院事務職平尾伸二さん(50)は、政府の対応に「シナリオを説明され、疑問に思ったことを聞く機会も与えられなかった。発表人数を増やしても、質疑や意見交換できなければ理解は深まらない」と話した。
================================================================================

================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012071802000115.html

【社説】
原発意見聴取会 国民的議論に値せず
2012年7月18日

 福島原発事故を経て、私たちは変わらなければならないはずだ。国民的議論の上で未来のエネルギー政策を決めるというのも、その一つ。だが、政府も電力会社も、その体質は変わっていない。
 これが、国民的議論の実態なのだろうか。
 仙台市で開かれた二回目の意見聴取会から、迷走が始まった。東北電力の執行役員が「会社の考え方」として、堂々と原発推進論を開陳した。翌日の名古屋でも、中部電力原子力部の課長が「放射能の直接的な影響で亡くなった人は一人もいない」と述べた。
 聴取会は二〇三〇年の原発依存率について、あらかじめ政府が提示した0%、15%、20~25%の三案を支持する応募者の中から、各三人ずつを選んで意見を聞く。両会場とも、発言を希望した人は、0%支持者が圧倒的に多かった。
 全国十一カ所の意見聴取会は、普通の人の声を聞く貴重な機会であるはずだ。
 電力会社の幹部といえば、意見を聞いて参考にする立場である。それが、真顔で「会社の考え」を述べるとは、考え違いも甚だしい。消費者の心の内などわきまえない巨大電力会社の実態が、透けて見えるようではないか。
 選んだ政府も政府である。このように疑問と不信を招く聴取会にしたことに、政府の不実、不熱心すら想像される。電力会社の本店所在地に偏った会場の選び方といい、はじめに結論ありきの「やらせ」、あるいはただの「通過儀礼」ではないのかと、疑問を持たれても仕方がない。
 九州や北海道で開かれたプルサーマル発電の導入をめぐる公開討論会やシンポジウムなどに、電力会社社員が動員されたやらせ問題は、まだ私たちの記憶に新しい。
 そもそも、全国で百人足らずの意見を各八分間、しかも三者択一で聞いて、一国のエネルギー政策を決めようという基本姿勢に無理がある。同時に募集中のパブリックコメント(意見公募)が、どのようにいかされるのかも定かでない。
 政府は今後、電力会社の職員は意見表明をできなくし、発言者の数を若干増やす。だが、その程度では、もう国民の多くは納得しない
 国民的議論と言うのなら、今は結論を急がす、原発推進、反対、中立などさまざまな主体が運営する議論の場をもっと数多く開催し、不信の溝を丁寧に埋めていくしかない
================================================================================

================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2012071802000083.html

【コラム】
筆洗
2012年7月18日

 まるで、呪文のように原発推進派から吐き出される言葉がある。「放射能の直接的な影響で死んだ人は一人もいない」。福島第一原発の事故で放出された大量の放射能の影響が将来どんな形で出るのか、専門家の間でも意見が分かれているが、そんなことは関係ないらしい▼逆に想像してみたい。事故がなかったら、どれだけの人が死ななくて済んだか。国会事故調査委員会によると、事故直後の約三週間、避難区域になった二十キロ圏内の病院と介護老人保健施設で、少なくとも六十人が避難後に死亡したという▼農業や酪農の先行きを悲観した人、職を失った人、避難生活のストレスでうつ病になった人…。多くの人が自ら命を絶ったその姿は想像できないようだ▼将来の原発比率はどうあるべきか。政府主催の意見聴取会(名古屋市)でもこの呪文が飛び出した。個人の意見として「放射能で死んだ人はいないと言い切ったのは、20~25%案を支持した中部電力の課長だ▼仙台市の意見聴取会では、社の意見を代弁する形で東北電力の部長が原発の維持を強く訴えた。利害当事者側が「国民の声」を名乗ることに強い違和感を覚える▼これまでの聴取会は、選ばれた発言者が持論を述べるだけだった。政府が目指すという国民的議論からはほど遠い。「議論は尽くした」というアリバイ工作に利用されてはたまらない。
================================================================================

================================================================================
http://gendai.net/articles/view/syakai/137641

原子力ムラ墓穴 「原発ゼロ」断然強まる
2012年7月18日 掲載

エネ政策「聴取会」

<電力社員の「放射能で死者いない」が怒りに火

 いまさら遅すぎるというものだ。将来の原発比率をどうすべきか、国民から直接意見を聞く「聴取会」について、野田内閣が「今後は電力会社の社員は参加させない」とルールを変更した。
 16日まで、「排除は難しい」とエラソーに語っていたが、さすがに国民の強い批判に抗し切れなくなったのだろう。
 そもそも「聴取会」は、2030年時点の原発比率をどうするか、政府が提示した(1)0%(2)15%(3)20~25%の3案に対し、抽選で選ばれた一般国民、各3人、計9人が意見を述べるというもの。
 ところが、仙台(15日)、名古屋(16日)の2カ所で行われた「聴取会」では、それぞれ東北電力、中部電力の幹部社員が参加し、「原発推進」の20~25%案に賛成を表明。中部電力の幹部社員(46)は、「放射能の直接的な影響で亡くなった人はひとりもいない」「5年、10年たっても状況は変わらない」と言い放った。
 恐らく「原子力ムラ」の連中は、「聴取会」に参加して、「原発も必要か」と国民を洗脳するつもりだったのだろうが、逆効果もいいところだ。「ヤラセ」まがいのことをしたことで、国民の怒りに完全に火を付けた。もはや「20~25%」案はあり得ない。

   「聴取会で分かったことは、原発依存度0%を求める国民が圧倒的、
    という事実です。たとえば仙台会場では、意見表明を希望した
    93人のうち、(1)0%が66人、(2)15%が14人、(3)20~25%は
    13人でした。名古屋もほぼ同様です。これほど差があるのに、
    20~25%案に賛成する人を3人用意するために、東北電力の社員や
    首都圏在住者を参加させる結果になっています。それよりなにより、
    中部電力社員の『ひとりも死んでいない』という発言を聞いて、
    多くの国民は、原子力ムラの人間がまったく反省していないこと、
    とことん非常識だということを再認識したはず。国民は20~25%案は、
    絶対に許さないでしょう」(原発問題に詳しいジャーナリスト・横田一氏)

 国民の批判をかわしたい野田内閣は、22日に札幌と大阪で開く「聴取会」からは、9人だった発言者を12人に増やし、増やす3人は申請者が多い「0%」の意見を持つ参加者に割り振るという。
 しかし、原発推進の「原子力ムラ」と野田内閣は、裏でなにをするか分からない。徹底的にやっつけないとダメだ。
================================================================================

================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012072090070537.html

原発聴取会 業者任せ 開催回数や定員縮小 運営、分析も外注
2012年7月20日 07時05分

 政府のエネルギー・環境会議が将来の原発比率はどれくらいがいいか国民の意見を聴く会をめぐる問題で、当初の予定より開催回数が半分になったり、定員が百人以上減ったりしていたことが分かった。よく検討しないまま、運営を業者に外注した政府の実情が浮かんだ。 (小野沢健太)

 発注者は経済産業省資源エネルギー庁で、広告代理店の博報堂電通が入札に参加し、博報堂が七千八百五十四万円で落札した
 エネ庁は、入札の仕様書で、聴取会の開催場所は全国二十カ所程度とし、定員は各会場とも三百人程度としていた。
 しかし、実際の開催場所は十一カ所に半減し、中に入れる人も百~二百人に。合計すると、計六千人の国民が参加できるはずが、千百人~二千二百人にまで減った。予算が余った場合は博報堂が返還する契約という。
 「発注時はどのくらいの規模にするのかきちんと決まっていなかった。二十カ所なら予算が足りなくなることはないだろうと判断した」。エネ庁の担当者は、見切り発車的に発注したことを認めた。
 定員がぐんと減ったことについても、「契約後に会場の確保のしやすさなどを考慮し減らした」と説明する。
 聴取会を運営する博報堂と契約したのは今月二日で、初回のさいたま市での開催まで二週間もなかった
 会場での金属探知機による入場者チェックは仕様書通りだったものの、手話通訳を置くことが明記されているが、これまでの三会場にはいなかった。
 十五日の仙台市会場で、細野豪志原発事故担当相は「(参加者が書く)アンケートをすべて読み、思いを受け止める」と話していたが、アンケートの集計や分析は博報堂任せ本当に生の国民の言葉を読む気があるのか疑問が残る。

(東京新聞)
================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●東京電力福島第1原発「人災」: 「事故は明らかに人災」と断定

2012年07月07日 00時00分34秒 | Weblog


asahi.comの記事(http://www.asahi.com/politics/update/0705/TKY201207050175.html)。東京新聞の社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012070602000104.html)。別件の集会案内(http://list.jca.apc.org/public/cml/2012-July/018132.html)。

 東京電力 FUKUSIMA原発人災について、不測の津波による天災ではなく、「人災」と明確に謳った点が素晴らしい。ただし、対策は講じ得ないと思う。だからこそ、パンドラの箱を開けてはならなかったはず。
 「人災」と思っていないのは、小沢一郎氏達を追い出した第2自民党・元祖自民党・第3自民党の政治家と、電力会社、原発ムラの住人だけで、これでも「人災」を認識できない本質的なアホなら、また、意識的に「人災」であることを無視しているどうしようもないクズなら、昨夜の何万人とも知れない人々の「原発再稼働反対」「原発要らない」「命が大事」の「声」は心に響くことなどないだろう。少しでも感じる心があるのならば、FUKUSIMA原発人災以降何の問題の解決もなされていない現状を考え、大飯原発を再稼働するなど即刻止めるべきだ。東京電力福島第一原発人災を経験した我々は、未来永劫に原発というパンドラの箱の蓋を閉じるべきである。ただ、それで問題が、つまり、核のゴミのお守りという悩ましい問題が解決するわけでない点が腹立たしい。この期に及んでもまだ原発輸出しようというのだから、馬鹿丸出しである。

 官邸周辺で、まだ「反対の声」を上げ続けておられる方々、しかも雨が降る中を、本当にご苦労様です。頭が下がります。

================================================================================
http://www.asahi.com/politics/update/0705/TKY201207050175.html

2012年7月5日22時49分
原発事故は「人災」と断定 国会事故調が最終報告

 東京電力福島第一原発事故を検証する国会事故調査委員会(黒川清委員長)は5日、最終報告書を決定し、衆参両院議長に提出した。東電や規制当局が地震、津波対策を先送りしたことを「事故の根源的原因」と指摘し、「自然災害でなく人災と断定。首相官邸の「過剰介入で混乱を招いた」として、菅直人前首相の初動対応を批判した。東電が否定している地震による重要機器損傷の可能性も認め、今後も第三者による検証作業を求めた。
 報告書は641ページ。事故調は延べ1167人に900時間以上の聴取を行い、関係先から約2千件の資料提供を得た。東電や電気事業連合会、文部科学省、原子力安全委員会などから入手した13点は非公開の前提で提供され、公表を見送った。

■地震・津波対策「意図的な先送り」
 報告書は地震、津波対策について、東電や経済産業省原子力安全・保安院などの規制官庁が「意図的な先送りを行った」と踏み込み、「何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば、事故は明らかに人災」と断じた。

・・・・・・。
================================================================================

================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012070602000104.html

【社説】
事故は終わっていない 国会事故調が最終報告
2012年7月6日

 東京電力福島原発事故を検証した国会事故調査委員会が報告書をまとめた。事故は東電や政府による「人災と断じた。原発規制の枠組み見直しは急務だ。
 「個々人の資質や能力の問題でなく、組織的、制度的な問題が、このような『人災』を引き起こした。この根本原因の解決なくして再発防止は不可能である」
 「過酷事故によって住民の健康に被害を与えるリスクよりも、経営上のリスクをまず考える東電は原子力を扱う事業者の資格があるのか」-。
 歴史的な大事故の原因究明を託された国会事故調の総括は、国や東電への極めて厳しい批判が並んだ。原発をともに推進してきたのだから当然であろう。

期待された解明力
 福島原発の事故調査委は政府、民間、東電と合わせて四つに上ったが、国会事故調は特別な存在である。国政調査権という強い権限をもち、必要に応じて国会での証人喚問を求めることができた。国会議員でなく民間有識者による調査機関が国会に設置されたのは、憲政史上で初のことだった。それだけに国会事故調に寄せられた公平な視点からの事故原因の解明や責任追及への期待は高かった。
 半年かけて、参考人聴取は三十八人、ヒアリングは延べ約千二百人に上り、他では実現しなかった東電幹部らの公開聴取も応じさせた。事故調設置法に基づく請求は業界団体や規制当局などを対象に十三件で、権限を駆使して真相に迫ろうとしたのは間違いないといえる。
 六百四十ページに及んだ報告書が最も強く訴えているのは、事故は人災であり、適切に対応していれば防げたという点である。
 東電は耐震対策を先送りし、経済産業省原子力安全・保安院はそれを黙認、さらに津波対策でも敷地高を超える津波が来た場合は全電源喪失に至ることは東電、保安院とも認識していた。

食い違う事故原因
 何度も対策を講じるチャンスはあったが「いわば無防備のまま、3・11を迎えた」と指摘、事故は自然災害でなく、歴代の規制当局や東電経営陣による明らかな人災と断じた。
 東電は、事故の直接的原因について早々と「津波」であるとしてきたが、国会事故調はこれに大きく異を唱えた。「1号機の地震による損傷の可能性は否定できない」と指摘した。地震による損傷が起きていれば、他の原発でも危険性があることを意味し、東電だけでなく全国の原発で耐震強化といった問題がでてくる
 事故のカギを握る重要な機器類は高線量で検証することができない原子炉建屋などにあるため、国会事故調は引き続き第三者による検証を求めた。だが、実証なしに原因を「想定外の津波」に限定しようとする東電の責任回避の姿勢は明らかだ。そこに、安全対策より経営コストを優先させようとする経営姿勢が透けて見える
 もう一つ、報告書が強調しているのは、官邸をはじめとする政府や東電の危機管理体制がまったく機能しなかった点だ。緊急事態宣言が遅れた官邸や、災害対策本部の事務局としての役割がある保安院は「事故が起きた緊急時の準備も心構えもなく、その結果、被害を最小化できなかった」と指摘した。痛恨の極みである
 問題となった菅直人首相(当時)の現場介入や東電の全面撤退騒ぎも含め、報告書が重く見ているのは、個人の過ちよりも組織的、あるいは法的、制度的な欠陥だ。「関係者に共通するのは、およそ原子力を扱う者に許されない無知と慢心であり、国民の安全を最優先とせず、組織の利益を最優先とする常識である」と痛烈に批判した。さらに情報や知識で東電が保安院に勝り、規制する立場と規制される立場の「逆転関係」といった監督機能の崩壊を指摘するにいたっては、原発事故は必然だったと思えてくる。
 ただ、報告書も万全ではない。事故原因の詳細な究明が未解明だったことに加え、廃炉の道筋や使用済み核燃料問題などは手が付いていない過去、原子力政策を推進してきた自民党時代の責任には触れなかったのは、踏み込みが足りなかったと言わざるを得ない
 国会事故調は、民間中心の独立調査委員会の活用や国会による規制当局の監視など七項目の提言を残した。これらを実現していくのは政府と国会の責任である。いまだ、報告書の取り扱いや政策への反映について議論もないのは、怠慢としかいいようがない。

政府も読み取って
 暫定的な安全基準で大飯原発の再稼働に踏み切った政府も、報告書の重みを読み取ってほしい。報告書は真っ先に訴えている。「福島原子力発電所事故は終わっていない」と。
================================================================================

================================================================================
http://list.jca.apc.org/public/cml/2012-July/018132.html

[CML 018313] 再掲・さよなら原発十万人集会
・・・・・・
2012 7 6 () 00:00:19 JST



転載記事です。私も当日に行ければ参加したいと想っています。

=======-==================
------------------------------------
7・16「さようなら原発10万人集会」への呼びかけ/原発はいらない!この声で、代々木公園を埋め尽くそう

  福島第一原発で発生した、世界最大級の過酷事故によって、日本の豊かな自然―― 田んぼや畑、森、林、川、海、そして雲も空も放射能によって汚染されました。原発周辺で生活していた多くのひとびとは、家も仕事も失い故郷を追われ、散り散りになっていつ帰れるかわからない状態です。
 福島のみならず、さまざまな地域のひとびと、とりわけ子どもたちやちいさな生物 に、これからどのような悪影響がでるのかの予測さえつきません。
 メルトダウン(炉心溶融)とメルトスルー、そして原子炉建屋の水素爆発という、 あってはならない最悪事態はいまだ収束されず、圧力容器から溶け出た核燃料の行方さえ把握できない状況です。
 さらに迫り来る大地震が、原発を制御不能の原爆に転化する恐怖を現実のものにしようとしています。それにもかかわらず政府は、電力会社や財界の要求に応じて、やみくもに再稼動を認めようとしています。日本に住むひとびとの八割以上が、「原発は嫌だ」と考えています。世界のひとたちも不安を感じています。しかしその思いを目に見える形で表現しなければ、原発を護持・存続させようとする暴力に勝つことはできません。私たちはいまこそ、日本の指導者たちにはっきりと、「原発はいらない」という抗議の声を突きつけましょう。
 電気はいまでも足りています。さらに節電ができます。いのちと健康を犠牲にする経済などありえません。人間のための経済なのです。利権まみれの原発はもうたくさんです。反省なき非倫理、無責任、無方針、決断なき政治にたいして、もう一度力強く、原発いやだ、の声を集めましょう

要請事項
1、停止した原子力発電所は運転再開せず、廃炉にする。建設中の原発と建設計画は中止する。
2、もっとも危険なプルトニウムを利用する、高速増殖炉「もんじゅ」と再処理工場の運転を断念し、すみやかに廃棄する。
3、省エネ、持続可能な自然エネルギーを中心に据えた、エネルギー政策に早急に転換する。

 二〇一二年五月五日
    全原発停止の日に
           内橋克人
           大江健三郎
           落合恵子
           鎌田慧
           坂本龍一
           澤地久枝
           瀬戸内寂聴
           辻井喬
           鶴見俊輔
-----------------------------------------------------------

許すな!憲法改悪・市民連絡会
=====================================

あれだけのひろいスペース。十万人が二十万人になりそうである。
仕事や予定のあるなかだが、七月十六日月曜日は海の日。
================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●大飯原発再稼働の恐〝負〟の連鎖: 40年間も動かした美浜原発2号炉をさらに10年稼働延長

2012年06月21日 00時00分25秒 | Weblog


とりとめのない記事の羅列で、すいません。東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012060502000079.html)。山岡俊介さんのアクセスジャーナルの記事(http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/、6月5日)。その他、東京新聞やasahi.comの記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012060602000094.htmlhttp://www.asahi.com/paper/editorial20120608.htmlhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012060602000103.htmlhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012060602000111.htmlhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012060602000131.html
http://www.asahi.com/politics/update/0618/OSK201206180104.html)。

 あまりにとりとめないので、まず、記事の表題をまとめてみると・・・・・・。

   ・「原子力安全委 電源喪失対策 文書「隠す」
   ・「「取れない責任を取ると言うな」
           ――大飯原発の再稼動に反対し、市民団体が緊急記者会見
   ・「美浜2号10年延長案 保安院が提出へ
   ・「原発運転延長―わざわざ不信を買うか
   ・「中部電元幹部「原発批判抑える保険」
   ・「保安院の中止圧力 プルサーマル遅れ、焦り
   ・「「安全」を作文 原発情報を開示せよ
   ・「愛媛知事「伊方原発の再稼働必要」 初めて言及

 美浜って、気は確かなのでしょうか? (折角、大飯が再稼働したのみのに、といったところが内心でしょうかね)原発推進派の前原氏でさえが呆れたと云う。ホントになし崩しで何でもやるつもりらしい。恐怖の負の連鎖

================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012060502000079.html

原子力安全委 電源喪失対策 文書「隠す」
2012年6月5日 朝刊

 東京電力福島第一原発事故の主因となった長時間の全交流電源喪失(SBO)をめぐり、原子力安全委員会の作業部会が一九九三年に「考慮する必要はない」とした国の安全指針を追認していた問題で、安全委が関連する全資料を公開したと説明しながら、一部を伏せていたことが分かった。安全委は四日、残る文書を公開。班目(まだらめ)春樹委員長は「結果的に隠ぺいしたとみられても仕方ない」と謝罪した。 
 文書には、事務局だった科学技術庁原子力安全調査室が電力会社側に短時間の電源喪失を考えるだけでよい理由を「作文」するよう求めたものも含まれ、官業が一体化して安全を軽視していた実態が明らかになった。
 作業部会は海外で全電源喪失事故が起きたことを受け、九一年に設置。有識者による専門委員五人のほか、東京電力などの外部協力者も参加して非公開で協議を重ね、九三年に報告をまとめた。文書は作業部会で配布された資料などで、A4判で計約六百ページある。
 公開文書によると、東電は報告の骨子案に対し、SBOだけを安全指針に取り込むのは「バランスの取れないもの」と主張。関西電力は「指針への反映は行き過ぎではないか」と難色を示した。
 報告書の原案では、電源喪失対策の現状などの主要部分について電力会社に執筆が割り振られていた。
 事務局の「作文」指示に、東電は「日本の原発は設計に余裕があり、十分な安全性が確保される」などと答えた。作業部会は、ほぼ受け入れ、全交流電源喪失が起きても「重大な事態に至る可能性は低い」と記した報告書を作成。安全指針は見直されなかった。
 安全委は会議資料を昨年十月までに全部公開したと説明していたが、国会事故調査委員会が五月下旬、非公開の資料があるのではと指摘し提出を要求。公表漏れが分かった。
 電力側と一体で報告書をまとめたことに対し、班目委員長は「原案を電力会社に執筆させていたのは明らかに不適切で、大変申し訳ない」と話した。
 安全委事務局は「非公開文書は報告書とともに昨年六月に見つかっていた。公開の準備を進めていたが、防災指針の見直しなどで忙しくなり、忘れてしまった」と釈明した。
================================================================================

================================================================================
http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/、6月5日)】

2012/06/05
取れない責任を取ると言うな――大飯原発の再稼動に反対し、市民団体が緊急記者会見
執筆者: Yamaoka (12:20 pm)

 関西電力・大飯原発3・4号機(福井県おおい町)の再稼動に向けた動きがいよいよ最終局面を迎えようとしている。
 昨日6月4日、細野豪志原発相が福井県庁を訪問、西川一誠知事と会談し、知事から前向きな返答を得たとされる。今週にも閣僚会議が開かれ、野田首相が再稼働声明を発表するとみられる。首相官邸前では市民が連日、千人以上集まって、抗議行動を繰り広げている(冒頭写真は、5月25日の首相官邸前抗議行動の模様)。
 こうしたなか6月4日、午後3時から、衆議院第一議員会館で、「取れない責任を取ると言うな 大飯原発を再稼動するな 緊急記者会見」が開かれた。呼びかけたのは、eシフトグリーンピースなど、脱原発を求める市民団体だ。
 会見の開始前に、インターネットで福井県庁前とつながった。細野原発相が訪問するのにあわせ、福井県庁前は厳戒態勢がしかれていた。再稼動に反対する市民も徐々に結集。その現場に俳優の山本太郎氏の姿も。彼は「フリージャーナリストも締め出されている。こうして大本営発表が垂れ流されるのは事故前とまったく変わらないですね」と語った(上写真)。
 さて記者会見がはじまった。司会は小島敏郎氏(青山学院大学教授)。
 水野誠一氏(元参院議員、株式会社IMA代表)は、「いったい福島第一の事故から何を学んだのか、と野田首相に問いたい。大飯原発が再稼動すれば、一気に他の原発の再稼動につきすすむだろう。浜岡原発が再稼動し、大地震に見舞われれば、日本は終わりだ」「私は元々、原発容認だった。しかし、核廃棄物の最終処理方法がないこと、地震が多い日本では特に原発はあってはならないことに気づいた。この“気づきの輪”をもっと広げよう」。

・・・・・・・・・。
================================================================================

================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012060602000094.html

美浜2号10年延長案 保安院が提出へ
2012年6月6日 朝刊

 経済産業省原子力安全・保安院は、七月二十五日に運転開始から四十年を迎える関西電力美浜原発2号機福井県)で、十年間の運転延長を認める報告書案を六日の専門家会合に提出する方針を固めた。ただし、政府は原発の運転期間(寿命)を四十年とする法案を提出している。法改正前とはいえ、方針に逆行する保安院の判断に、専門家から反対が出るのは必至だ。
 現行制度では、原発の寿命に定めはなく、運転開始から三十年がたつ前に保安院の審査に通れば、運転が認められる。その後も十年ごとの審査に通れば延長できる。関電は昨年七月、一部の部品を交換すれば継続使用は可能として、美浜2号機の十年の運転延長を申請。保安院は現在の基準に照らせば、関電の評価は妥当と判断し、専門家の意見を聴くことにした。
 一方、国会では原子炉等規制法改正案が審議中で、成立すれば四十年を経た原発は運転できなくなる。最大二十年の運転延長を認める例外規定もあるが、政府は「延長を認めるのは極めて例外的なケース」としている。
 改正法が成立、公布されれば、十カ月以内に施行される。原子力規制庁の設立準備をする担当者は、施行までの間に、四十年超の原発は運転できないような厳しい基準を作るとしており、たとえ保安院が運転延長を認めても、いずれは無効になる可能性が高い。
 法改正前の駆け込み延長とも受け取れる保安院の動き。本紙の取材に、保安院の担当者は「現行制度では、四十年となるまでに結論を出さねばならない」としている。だが、専門家会合の委員からは「保安院がOKを出せば、運転延長が既成事実化する」と、早くも反対の声が出ている。
================================================================================

================================================================================
http://www.asahi.com/paper/editorial20120608.html

社説
2012年6月8日(金)付
原発運転延長―わざわざ不信を買うか

 何とも、ちぐはぐだ。
 7月に運転開始から40年を迎える関西電力の美浜原発2号機(福井県)をめぐり、原子力安全・保安院が10年間の運転延長を妥当とした件である。
 「脱原発依存」を掲げながら、原発事故以前のルールに従って手続きが進む。それが国民の不信を招くことを、野田政権は認識すべきだ。
 原発は稼働から30年目とその後10年ごとに、電力会社が必要な対策を講じたうえで、国のチェックを受けることが法令で義務づけられている。
 保安院は今回の判断が、あくまで現行法に基づく形式的な手続きだと強調する。「今後10年間の運転そのものを認可するものではない」という。
 一方、国会では原子力規制に関する法案の審議が始まり、会期内に成立する見通しだ。柱の一つとして、原発の運転を原則40年に制限して廃炉にすることが盛り込まれている。
 細野原発相も枝野経済産業相も、繰り返し「40年寿命」を説いてきた。今夏にまとめる政府のエネルギー基本計画も、このルールの適用を最低限とする脱原発依存を念頭に調整が進められている。保安院は廃止され、規制行政は新設の原子力規制委員会へと移管する。
 そもそも、老朽化した美浜2号機は直ちに廃炉にすべき原発のひとつである。昨年12月から運転停止中で、再稼働に必要なストレステストの報告書も出ていない。関電にとっても、古くて出力も小さい美浜を動かす優先度は低いということだ。
 にもかかわらず、形式的とはいえ10年の運転延長を認める行政判断を出せば、国民は混乱するばかりだ。
 ただでさえ、野田政権のエネルギー政策は腰が定まらない印象が強い。大臣発言と正反対の動きが生じるたび、「いったいどっちなのか」とのいらだちが募り、周囲で不要な対立が生まれがちだ。大飯原発の再稼働問題は典型だろう。
 規制当局として、現行法に基づき作業を進める必要があるにせよ、政権として新しい体制ができるまで判断を保留する手立てを講じるなり、「40年寿命」を厳格に適用することを大臣自ら記者会見するなり、方法はいろいろとあるはずだ。
 なにより、関電も保安院も政権も、少しでも先を見る目があったら、すでに40年を超す美浜1号機ともども、ここで廃炉を決める手もあった。
 そのほうが政権や関電にとってプラスだっただろう。惜しいチャンスを逃しましたね。
================================================================================

================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012060602000103.html

中部電元幹部「原発批判抑える保険」
2012年6月6日 朝刊

 議長に続き、元議長の親族企業でも中部電力浜岡原発関連工事の多額受注が明らかになった静岡県御前崎市議会。ほかの原発立地自治体でも首長や議員らの関係する会社が電力会社と取引関係にある事例は目立ち、脱原発の市民団体は「原発の安全性を公正に判断できるのか」と問題視している。
 中部電原子力本部の担当者は「特定の企業に便宜を図ることはしない」と話すが、浜岡原発に勤務した複数の元幹部は「原発の運転や増設などで議員の発言力は大きい。地元対策の一環として、工事発注の際は意識していた」と証言する。
 元御前崎市議会議長の阿南澄男市議(62)の親族企業は中部プラントサービス(名古屋市)から、現議長の西島昌和市議(69)の親族企業はシーテック(同市)とそれぞれ中電の子会社から受注している。
 中部電元幹部の一人は「適正な価格で、そこそこ技術があれば、地元企業を優先するのは当然。地域経済に貢献し、うちにとっては原発への批判を抑える保険になる」と話す。
 再稼働が大詰めを迎える関西電力大飯原発の地元、福井県おおい町では、時岡忍町長の長男が社長の鉄工会社が二〇〇八~一〇年度の三年間、関電や子会社から少なくとも三億円の原発関連工事を受注していたことが本紙の取材で判明。高浜原発隣接の高浜町も町議四人が、社長や取締役などを務める会社が関電や関連会社から工事を受注していた。
 福井県美浜町の元町議で、脱原発の市民団体「若狭連帯行動ネットワーク」の松下照幸さん(64)は「原発の安全性を判断する立場の首長や議員は、まず襟を正すべきだ。電力会社との関係を疑われれば、住民から信用されず、まともな議論ができない」と話している。
================================================================================

================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012060602000111.html

保安院の中止圧力 プルサーマル遅れ、焦り
2012年6月6日 朝刊

 原発事故に備えた防災重点区域の拡大を検討し始めた原子力安全委員会に、経済産業省原子力安全・保安院が執拗(しつよう)に中止の圧力をかけたのは、使用済み核燃料を再利用するプルサーマル計画がようやく動きだし、その流れに悪影響を与えることは全て排除する-との推進組織そのままの保安院の考えからだった。
 二〇〇六年五月の昼食会で、広瀬研吉院長(当時)が、安全委の委員に「寝た子を起こすな」と圧力をかけたことが既に判明。
 本紙が情報公開請求で五日に得た内部文書では、昼食会直前の幹部会合で、広瀬氏が重点区域について「十年間は現行制度で動かすべきだ」と指示していたことなどが新たに分かった。
 文書には、重点区域が拡大されると「プルサーマルが進まなくなる」などの懸念を示す記述が出てくる。両者に直接的な関係はないはずだが、経過を重ねると安全委の見直し開始時期と、長い停滞を経てプルサーマル計画が動きだそうとしている時期とが一致した。
 プルサーマル発電は一九九九年に始まっているはずだったが、英国の核燃料製造会社によるデータ改ざんや、東京電力によるトラブル隠し問題が起き、大幅に遅れた。
 ほとぼりが冷めた〇五年九月には九州電力玄海原発3号機、〇六年三月には四国電力伊方原発3号機でプルサーマル発電が許可された。保安院が関連のシンポジウムで賛成派の動員要請や「やらせ」に関わったのもこの時期で、表面上は地元の了解が得られつつある時期だった。
 そんなときに、重点区域を拡大すれば、やはり原発は危ないのかという認識が広まり、またプルサーマル計画が止まりかねない-。原子力関係者は「保安院には焦りがあった」と指摘する。
 また、内部文書からは、保安院が安全委に高圧的な態度で、重点区域の拡大中止を要求していた様子も浮かび上がった。
 六月の協議では、安全委側が抵抗を示したことに対し、保安院の担当者が「貴課の『逆ギレ』ともとられかねない回答や反応は時間と労力のムダなので、以降は避けられたい」と要求。さらには「当方が十分に納得できるよう努力されたい」と迫ったことが記されていた。 (榊原智康)
================================================================================

================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012060602000131.html

【社説】
「安全」を作文 原発情報を開示せよ
2012年6月6日

 全交流電源喪失。その対応がとれずメルトダウンに。だが、このような事態への対策を原子力安全委員会が自ら潰(つぶ)し、隠蔽(いんぺい)を続けていたとは。原発再稼働というのなら、情報の開示を実行すべきだ。
 原発の安全指針に、長時間の全交流電源喪失(SBO)対策を盛り込むか、どうか。東京電力は「ノー」という。それに対して、安全の総本山ともいうべき原子力安全委員会が「その理由を作文してください」と求める。
 国の安全指針といえば、安全対策の根源であるはずだ。東京電力はそれを厳守する立場である。その東電に、安全委が「作文しろ」と投げるのだから、無責任もはなはだしい。しかも、事実を書けとはいっていない。作文とは「文を作れ」ということだ。安全を軽視するにもほどがある。
 SBOは福島第一原発事故の最も重大な原因だ。もし、この時指針に取り入れられて、東電がそれをきちんと守っていれば、このような大惨事には、恐らく至らなかっただろう。福島の住民は怒りを通り越す思いに違いない。
 その上、安全委は、関連する全資料を公開したと説明しながら、このようないきさつが書かれた、都合の悪い資料は隠していた。東電の“墨塗り”資料公開以上に悪質だ。原子力ムラの隠蔽体質も、ここに極まった感がある。
 原子力とは、もともと危険なものである。だから、それを使っていくには、万全の制御と規制が欠かせない。
 安全対策には膨大な費用がかかる。営利企業である電力会社が、その負担を回避しようと考えるのは、経済原理でもある。だから、信頼できる規制機関が、立地地域や電力消費者の立場に立って、厳しく目を光らせるべきなのだ。
 電力会社だけでなく、この国の原子力安全行政への信頼は落ちるところまで落ちてしまった感がある。いや、さらに何か隠していないかと、国民全体の疑心暗鬼は深まるばかりである。
 核に関する機密情報もある。しかし、今は、それを理由に不都合なことを隠しているのではないか、と心配になる。
 安全委は、本当に手持ちの原発情報をすべて開示して、国民の信を取り戻すしかない。
 さもないと、首相がいくら高らかに、原発の必要性や安全性を宣言しても、国民の多くは、それを受け入れないだろう。原発の再稼働は支持されない。
================================================================================

================================================================================
http://www.asahi.com/politics/update/0618/OSK201206180104.html

2012年6月18日22時1分
愛媛知事「伊方原発の再稼働必要」 初めて言及

 愛媛県の中村時広知事は18日の定例会見で、四国電力伊方原発(同県伊方町)について「今の経済やエネルギー情勢からすれば、条件を整えたうえで再稼働は必要」と述べた。これまで中村知事は「すぐに原発をなくすのは現実的ではない」との見解を示していたが、再稼働に関し「必要」と踏み込んだのは初めて。
 中村知事は再稼働を判断する条件として、安全性に関する国の方針▽四国電力の安全への取り組み▽地元の同意の三つを挙げ、国の方針が示されないことを理由に「判断は白紙」と再三述べてきた。会見で事実上の再稼働容認かと問われた中村知事は「全然違います」と否定。「条件が整わず(地元での)議論が始まらないから白紙と言っている」と、従来の姿勢に変わりがないと強調した。
 伊方原発3号機は3月、再稼働の前提となるストレステストの1次評価が、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)に続いて「妥当」と判断されていた。
================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●大飯原発再稼働についての首相の酷い会見

2012年06月15日 00時12分40秒 | Weblog


まず、昨日に続いて、日隅さんについての東京新聞のコラム「筆洗」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2012061402000115.html)から。

    『●NPJ編集長・日隈一雄さん亡くなる

================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2012061402000115.html

【コラム】
筆洗
2012年6月14日

 握手を求めると、柔らかい手で強く握り返してくれた。今年二月の出版記念パーティーで会ったのが最後になってしまった。弁護士の日隅一雄さんが亡くなった。四十九歳。末期がんと闘いながら、記者会見場に足を運び、政府や東京電力の責任を鋭く追及した▼新聞記者から転身した日隅さんと初めて会ったのは、十年ほど前の犯罪被害者の話を聴く勉強会だ。被害者の人権を侵害する事件報道を厳しく批判していた▼裁判員制度が始まる前に出版された『裁判員制度と知る権利』(梓沢和幸・田島泰彦編著)の執筆者仲間として議論を重ねた。「残念ながら、日常の取材では、報道機関にとって、警察は監視する対象ではなく、情報をもらう対象となっているのが現状であり、報道機関は、警察が発表したりリークした情報を、疑うことなく報道している」。本の中でもマスメディアに厳しかった▼先月、菅直人前首相を参考人聴取した国会事故調査委員会のインターネットの中継に、日隅さんの顔がちらっと映っていた。元気にされているんだと安心したばかりだった▼最後まで命の炎を燃やし、主権者は誰かを問い続けた。「今の記者はおとなしすぎる」「官僚は常にメディアをコントロールしようとする。勝たなきゃだめだ」と本紙の取材に語っていた。現役の記者よりも、記者魂があふれる言葉をかみしめている。
================================================================================


 さて、本日の本題。ビデオニュース・ドットコムの記事(http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002437.php)と日刊ゲンダイの記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/137009)。

 首相会見の後の質疑もひどかったらしい。日テレ読売、ロイター(経済通信社)、ニコ動(視聴者質問代読?)。大飯原発の再稼働問題についての会見で、(大事です、でも)消費税増税の質問をしている場合なのか。別の場ですべきです。マスコミがこれでは・・・・・・。一方、別の記者会見(組閣絡み)で、神保さんはゲリラ的に大飯原発再稼働の(とりようもなく、とるつもりもない)責任について質問している。首相の答えは・・・・・・(1)事故から多くの教訓を得て、二度と起こさないようにした、(2)IAEAを含めてオープンな場で安全基準などを作った、そして、メルトダウンは二度と起きない、(3)夏場の電気確保だけでなく、エネルギー安全保障や値上げ阻止のため、原発再稼働が必要、だそうです。お笑いだ! (1)について、動かさないことが最もリスクを下げるし、(2)について、動かさなければメルトダウンのリスクは下がるし、(3)についても、動かさないことがエネルギー安全保障であり、原発を利用すれば、廃炉のコストなどを考慮すればコストはかさむ。責任という問いに、「絶対安全」神話で答えて、どうするのだろう?
 組織デモじゃなく、組合組織的なものでもない女性や老人など、公安警察の理解を超えたデモが首相官邸周辺で起こっている。もっとマスコミはそれを報道すべきであり、首相やその取り巻きにその事実を突き付けてはどうか? 電気利用者が要らないといっている。特に原発で作ったエネルギー入らない、と言っているわけ。
 民主党内部からも、大変に遅ればせながら、大飯原発再稼働に反対の声が上がり始めた。
 ムダ首相のほとんどなかった支持率が、ますます低下したのではないか。とにかく、酷い会見だった。

================================================================================
http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002437.php

ニュース・コメンタリー (2012年06月09日)
安全神話に依存した原発再稼働の問題点

 野田首相は8日、福井県の関西電力大飯原発3・4号機の再稼働を認める意向を正式に発表した。各方面から様々な圧力がかかる中での苦渋の決断だったのだろうが、残念ながらその理由は福島第一原発事故の教訓が十分活かされたものとは到底言えない内容だった。
 「大飯原発の再稼働の判断の基軸は、国民生活を守る。これが唯一絶対の基軸である」。首相はこう語り理解を求めた。しかし、4日の会見同様、首相の説明は「事故を起こさないようにすることが、私の責任」「全電源喪失しても炉心の損傷には至らない」など3・11以前の安全神話を繰り返すばかりで、事故が起きた場合の対応についてはまったく言及がなかった
 結局、今週の2回の会見を通じて、総理の口から再稼働の理由として、「電力が足らないから」、「経済的な影響が大きいから」という以上の説明を聞くことはできなかった
 確かに、福島第一原発事故を受け、安全対策などに一定の強化が行わたことは事実かもしれない。しかし、そもそもわれわれは福島第一原発のメルトダウン並びに放射能の外部への漏出の原因が何だったのかについては、確たる情報を得ていない。政府と国会の事故調の調査結果を待っているところだ。原因もわからない中で、「安全対策は万全」、「福島のような炉心損傷には至らない」と何度言われても、どれほどの信用があるだろうか
 また、正当性があろうが無かろうがどうしても大飯だけは再稼働するというのであれば、最低限やっておくべきことがあるはずだ。まずは3・11以前のように炉心溶融は絶対起きないという前提の上に立つのではなく、万が一炉心溶融が起きても放射能が外部に漏れないためのベントフィルターを設置したり、万が一放射能が漏れた時に周辺住民を無事に避難させるための避難訓練や避難ルートの確保、そしてそれでも被害者が出た場合の保険などの賠償措置などを予め万全にしておくことが、福島の教訓なのではないか。
 一貫して「再稼働の是非はともかく、その決め方がより重要」との立場をとってきたジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が、今回の再稼働の正当性とそこから見える問題点を議論した。
================================================================================

================================================================================
http://gendai.net/articles/view/syakai/137009

「大飯再稼動待った!」国会議員119人署名に菅直人前首相の名前がない
2012年6月12日 掲載

<しょせん、口先だけがまたも露呈>

 野田首相が民意無視で宣言した関西電力大飯原発再稼働。消費増税と同じく、こちらも民主党内を二分する騒ぎになっている。当たり前の話で、福島原発の事故原因もハッキリしなければ、国会事故調の報告もまとまっていない。原子力規制庁も発足していないのに、安全基準も何もないからだ。そのため、多くの国民が今なお、再稼働に反対し、民主党の国会議員119人(6月11日現在)が「慎重に判断すべし」と申し入れている。ところが、この署名に肝心の名前がなかった。脱原発にあれだけこだわった菅直人前首相だ……。
 この署名は民主党の衆院議員、荒井聰元国家戦略担当相と福島選出の増子輝彦参院議員が中心となって呼びかけたもの。羽田孜元首相、鳩山由紀夫元首相、小沢一郎元代表、渡部恒三元衆院副議長、江田五月党最高顧問、馬淵澄夫元国交相ら119人が署名している。
 顔ぶれを見て分かるのは、反野田とか、小沢系だとかは関係なく、党内の派閥を超えて、賛同者が集まったということ。首相経験者も入っているし、前首相である菅が現首相の野田に遠慮して、署名を拒否する理由はない。そのうえ、荒井といえば、菅が閣僚に起用した“お気に入り”だ。なぜ、子分の呼びかけに応じないのか。ますます、菅の名前が名簿にないことが不自然に見えてくるのである。

 理由を菅事務所に尋ねたが、締め切りまでに正式な回答はなく、事務所は「本人でないと答えられない」と言うのみ。「結局、あの人は口先だけ……」と改めて、党内の評判を下げている。

   「だって野田首相の原発再稼働記者会見のひどかったこと
    理屈もヘッタクレもないじゃないですか。この夏が厳しいのであれば、
    期間限定で動かし、その後止めて、安全基準をきちんとしたものにしてから、
    再稼働を検討すればいい。再稼働の理由も安全性の確保から
    電力供給不足に変わり、最後は値上げを理由に国民生活に影響が
    出るとドーカツした。電力会社の無駄を放置して、
    『国民生活を守るための再稼働』なんて、よくもまあ、こんな屁理屈
    言えたものです」(ジャーナリスト・横田一氏)

 同じような趣旨のことは大阪市特別顧問の古賀茂明氏も指摘している。菅周辺によると、「菅さんも会見には呆れていた」と言う。一応、自身のブログには脱原発の主張をつづっているのだが「それでも沈黙しているのは、小沢グループと連動していると思われたくないんだろう」(菅周辺)なんて、言われている。

   「しょせん、菅さんの脱原発もその程度なのでしょうか。
    本気で脱原発を目指すのであれば、野田首相を引きずり
    降ろさなければウソ。鳩山、小沢両氏とトロイカ体制を復活させて、
    民主党の原点に戻るべきですよ」(横田一氏=前出)

 何度、国民を裏切れば気が済むのか……と言いたくなる。
===============================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●再稼働ありきのストレステストなど、本来、やってはならなかった

2012年03月25日 00時00分20秒 | Weblog


CMLの記事(http://list.jca.apc.org/public/cml/2012-March/015539.html)。

 関西電力 大飯原発再稼働を前提としたストレステスト問題について、具体的な問題点の指摘と提言。
 デタラメ委員長である「班目春樹原子力安全委員長はストレステストの「一次評価だけでは安全確認はできない」と繰り返し述べ、一次評価の確認が原発の再稼働の要件にはならないとの立場」だそうだが、再稼働を検討するような議論が、いまこの記事に起こること自体がダメ・ダメでしょう。話にならない。FUKUSIMA原発人災の原因も解明されず、メルトダウンした炉心の場所さへ不明、〝剥き出しになった〟4号炉使用済み核燃料プール問題など、何一つ解決しないで、どの口が再稼働や原発輸出、建設再開など言えるのか。世界中の人に迷惑をかけ、さらに、日本人のこのような振る舞いに対して世界から嘲笑の目で見られていることに耐えられない。

================================================================================
http://list.jca.apc.org/public/cml/2012-March/015539.html

[CML 015704] 【重要】大飯原発3・4号機再稼働問題で緊急声明(安全委は一次評価を差し戻せ)

杉原浩司(Koji Sugihara kojis at agate.plala.or.jp
2012 3 16 () 02:11:03 JST
・・・・・・。

東京の杉原浩司(福島原発事故緊急会議/みどりの未来)です。
原子力安全委員会の大飯3、4号機審査書検討会合の強引な打ち切りに対して、抗議の緊急声明を公表しました。フクロウの会の阪上武さんのメールを転送します。13日の検討会合終了後の相談の場で急きょ作成を決め、内容を急ぎで詰めて完成させたものです。ぜひご一読のうえ、今後の働きかけに活かしていただくようお願いします。この2週間が、再稼働を許すか否かの最大のヤマ場です。できる限り多くの人に伝わるよう、メール、ブログ、ツイッター、フェイスブック等による拡散にご協力ください。[転送・転載歓迎/重複失礼]

………………………………………………………………………………
みなさま
15日、この間ストレステスト関係の審査会の傍聴活動を行ってきた、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、国際環境NGO FoE Japan(地球の友ジャパン)、国際環境NGOグリーンピース・ジャパン、原発を考える品川の女たち、福島原発事故緊急会議、再稼働反対!全国アクション、プルトニウムなんていらないよ!東京――の7団体の連名で、声明を発出いたしましたので、お知らせいたします。

阪上 武
--------------------------------------------------------------


<緊急声明>              2012年3月15日

原子力安全委員会は大飯原発3・4号機ストレステスト一次評価を差し戻すべき

「一次評価では安全確認はできない」(班目委員長)なら原発再稼働判断もできないはず
活断層の連動評価による大飯原発の耐震安全性は確認されていない

http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/2012-6bf4.html
--------------------------------------------------------------

大飯原発3・4号機の再稼働をめぐり、再稼働の条件の一つとされるストレステストについて、原子力安全委員会の総合的評価検討会は3月13日、原子力安全・保安院による大飯原発3・4号機のストレステスト一次評価審査書の検討を終了しました。来週にも原子力安全委員会で確認書を出そうとしています。このような強引な手続きに私たちは強く抗議します。

1.「一次評価だけで安全は確認できない」のに「政治判断は可能」??
 班目春樹原子力安全委員長はストレステストの「一次評価だけでは安全確認はできない」と繰り返し述べ、一次評価の確認が原発の再稼働の要件にはならないとの立場をとっていました。昨日の参議院予算委員会でも同じ発言をしています。2月20日には「諸外国でストレステストを運転再開の是非みたいなものに使っている国はない」とも発言しています。ところが同じ予算委員会で枝野経産相は、原発再稼働については「一次評価をふまえて対応する」と、班目発言を完全に無視しています。野田首相も「一次評価に基づく再稼働の政治判断は可能」との考えを示しました。原子力安全の最高責任者が安全確認ができないと言っているのに、政治判断は可能というのは全く理解できません。原子力安全委員会が確認書を出せば、その意図がどうあれ、運転再開の容認を強要するための材料として政治的に利用されるでしょう。保安院の審査書は一次評価と二次評価を分けてない原子力安全委員会の7月6日付要請の要件を満たしていません。確認の作業を直ちにやめて審査書を保安院に差し戻すべきです。

2.活断層の連動を考慮に入れていない
 関西電力は、大飯原発の耐震安全評価において、活断層の連動を十分に考慮に入れていません。保安院の地震と津波に関する意見聴取会では、委員全員から、大飯原発周辺の3本の活断層について、連動評価を行うべきとの厳しい意見が出ました。関電はこれに抵抗し、半年かけて追加調査を行うとしています。関電が行った、連動を考慮した仮の地震動評価では、改訂指針による耐震安全評価(バックチェック)で用いた基準地震動Ssを上回っています。保安院はこの評価について、入力条件を示すよう求めています。連動を評価した場合には、基準地震動Ssが大きくなることから、バックチェックはやり直しになるはずです。班目委員長は、福島原発事故を受けて、指針類の見直しが必要だと述べていますが、大飯原発については、今ある耐震安全指針すら満足していないということになります。この問題で次の意見聴取会が3月28日に行われます。これを待たずに安全を確認することはできないはずです。

3.津波の想定
 保安院は、ストレステストの判断基準として、福島原発事故を繰り返さないことを挙げています。しかし、大飯で用いられている津波の想定は11.4メートルで、福島事故の14メートルよりも低い想定です。これについて、検討会で保安院は、福島ではもともとの想定高さプラス9.5メートルの津波が来たので、大飯もそのようにしたと説明していますが、関電などが行った津波跡調査は、地震・津波に関する意見聴取会でも不十分だとの結論となり、再度の詳細調査が実施される予定です。また、津波が斜面を駆け上る「遡上」の効果については、全く評価していないことが検討会で明らかになりました。これらのことから、現在のストレステスト一次評価の津波の想定および評価は、まったく不十分だと言わざるをえません。

4.福島原発事故の原因究明を待つべき
 福島原発事故については、原因究明も終了していません。これでどうして福島原発事故を繰り返さないなどと言えるのでしょうか。福島原発事故では、地震により配管が破損した可能性が指摘されています。政府事故検証委員会中間報告も保安院も可能性を否定しておらず、現地調査が必要であることを認めている。国会事故調査委員会はこの問題に正面から取り組んでいます。保安院は、大飯原発のストレステスト評価にあたって、福島原発事故で配管が破損した可能性については全く考慮していません。少なくとも国会の事故調査委員会の結論を待つべきです。

5.外部有識者の具体的な質問に答えていない
 検討会では、外部有識者から、緊急時の要員の確保はどうするのか、アクセスルートの確保をどうするのか、瓦礫の撤去にどれくらい時間がかかるのか、要員の質はどうか、主任技術者をどう配置するのか、津波の遡上をどう評価するのか、他の号機がシビアアクシデントとなり放射能が出ていたらどうするのか、堤防のかさ上げはいつ行うのか、手順にあるバルブの手動操作は緊急時に本当に可能なのか、など具体的な質問が出ました。保安院は、それは「二次評価で」、「今後の課題に」、「引き続き検討します」など問題の先送りに終始しました。まもなく消滅しようとしている原子力安全委員会で語られる「今後の課題」に一体どれほどの意味があるのでしょうか。原子力規制庁でというのであれば、この確認作業そのものも原子力規制庁に委ねるべきでしょう。基礎ボルトなど機器の強度について安全率を削って評価している問題など、保安院のストレステスト意見聴取会で回答しきれていない質問についても置き去りにしたままである上に、3月4日付で市民団体(福島老朽原発を考える会・FoE Japan)が提出した*公開書簡にも回答していません。

6.傍聴者の締め出し
 今回の検討会での審議が、結論を得ることを優先したアリバイ的なものであることは、異常に過密な審議日程と、傍聴者への対応にも表れています。傍聴者の発言の多くは、手続きの不合理さ、審議が尽くされないことに対するやむにやまれぬ意見の表明でした。二次評価が一体いつになるのかという質問には最後まで説明がありませんでした。最終回に、会場から傍聴者を締め出したのは、公開の場で緊張感をもって議論を行うという「傍聴」制度の意義を無にした行為であり、明らかに行き過ぎです。

7.広く市民の意見をきく公聴会の開催を
  大飯3・4号機の運転再開の手続きは、その後の原発の運転再開の基準となります。その意味ですべての市民、国民が影響をうける可能性があります。現在の形式的な意見受付だけではなく、一般市民や住民からの意見聴取が必要です。私たちは当事者であり潜在的な被害者です。専門家のみによって進められる審査・確認では全く不十分であり、広く市民の声をきく公聴会を開催すべきです。

*公開書簡 http://dl.dropbox.com/u/23151586/120304_letter_anzeniinkai.pdf

福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
国際環境NGO FoE Japan(地球の友ジャパン)
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン
原発を考える品川の女たち
福島原発事故緊急会議
再稼働反対!全国アクション
プルトニウムなんていらないよ!東京

問合せ先:090-8116-7155 阪上(フクロウの会)
================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする