あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

楽園の美術 ー夢の小宇宙ー ・大和文華館

2007-08-28 22:49:58 | 日本美術
学園前駅から、だらだらの坂道を下るところは本当に灼熱ビームにやられてしまいそうに暑かった。
昼下がり、もうすぐお昼時でもあった。

今回は「するっと関西」の2Dayパスのお陰で、
入館料が2割引という特典が嬉しかった。
電車も契約路線内、乗り放題。
この後、奈良に行くのも、フリー~
もちろん、高野山往復も。

吉田五十八氏による設計の大和文化館。
そういえば、何気なく入っていた建築物とご縁がある。
歌舞伎座、五島美術館、日本芸術院などもこの吉田五十八氏の設計。
古来の日本的な建築と、近代建築の融合を図っているのが、
特徴のように思う。
大和文華館は、建物の真ん中に竹林の箱庭があり、
外光がそこから取り込まれ、温かな光が入り込んでくる。
竹林を描いた日本画の屏風絵のように。

さて、この暑い日中に誰が来るかと思えば、
一組の熟年ご夫婦が私と入れ替わっただけで、
その後は私一人きり、貸し切り状態だった。
扇子を片手に仰ぎながら、じっくり拡大鏡をのぞき込んだり、
庭の景色を見たり、好きな物には時間をかけて、
行きつ戻りつを楽しんだ。

展示品は、
 神仙世界、
 仏教の楽土、
 吉祥文に託した願い、
 理想の情景

に分類され、主に中国の青銅、金銅の鏡や、金具が多く、
蛇や龍、怪獣、海獣、鳥、馬や獅子、葡萄などの唐草文様
そういった小さな生物たちが鏡や金具を盛り上げていた。

先ほど東洋陶磁でみてきたような、青花竜文梅瓶や、青花双魚文大皿、
五彩柘榴文角皿、などなど、景徳鎮窯の優れものが並んでいて、
それも嬉しかった。

また、嬉しいことに玉ものがあって、とても喜んだ。
勾玉や、とんぼ玉のネックレス、ガラス玉の長めのネックレスは特に美しく、
見惚れてしまった。
やはり、装身具は女性にとって、外すことのできないアイテム。
ジュエリーより、こちらの方がずっと好きだ。

朝鮮からゆるい民画の絵が3点ほど。
花鳥文が刺繍された楽しい布や、インド、オランダ、ジャワなどの
布も素敵だった。

動物や、植物、神様と共に理想の世界に生きている者達との共存が
展覧品の一つの流れのようだった。

次回は、東京、大倉集古館から江戸の狩野派の展示となるらしい。
これもちょっと嬉しい話。

あまりにも静かで、誰もいないのもちょっと気後れがするものだ。
汗が引いたところで、
ここを後にし、奈良に向かうことにした。

楽園の鏡、映る物はどんな小宇宙を照らしたのだろう?
久しぶりの大和文華館、懐かしい再訪に私の心も楽園になった。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
遊行 さま (あべまつ)
2007-09-15 12:05:09
まだまだ暑い日々。
今日はどちらにお出かけでしょう~?
大和文華館の長~~い駅舎のようなソファを2時間睡眠に使ったなんて、強者です!!
私が行った時は幽閉されたようで、小心者の私は居心地が悪く、そそくさとお暇したのでした。
大雨となれば、動かないのがいいに決まってます。
おいしい喫茶コーナーがあれば、救われますのにね。



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Unknown (遊行七恵)
2007-09-15 00:23:28
こんばんは
この展覧会について「楽園とは<閉ざされた庭園>のことである」などと書いたのですが、実際これを見に行った日、大雨に遭いまして、あの長~~~いソファで2時間近く寝てまいました。
大和文華館じたいが閉ざされた楽園になっておったのでした。にゃはは~~
返信する
鼎 さま (あべまつ)
2007-08-29 17:54:24
松伯美術館はまだ行ったことがなく、いずれと思いつつもご縁に恵まれずにいます。
次回、大和文華館チケットを握りしめていきます。
ぐるっとパスも、関西の方がお安く、期限3ヶ月。
文化へのバックアップ体制に差を感じます。

鼎さんはマニアな情報や博物館美術館をよくご存じなので、てっきり、考古のご専門かと。
ご隠居されたら、あちこち探検でしょうか?
また優れもの情報、よろしくお願い致します。
返信する
ここで割引を使うと、 ()
2007-08-28 23:14:56
松柏美術館が半額(だったけかな?)になりません。
2年前、ここで「復古大和絵師 為恭(ためちか) -幕末王朝恋慕- 」展をみて、あまりの細かさに、腰を抜かしたものでした。

以上、手遅れ情報でした。





私は、普通の会社員ですよ。
はやく、隠居したい(笑)。
(一つ下のブログへの独り言)

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