あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

バチカンに眠る織田信長の夢

2007-02-02 12:59:42 | つらつら思うこと
この番組が気になったのは、番組中にも出演されていた、立花京子氏の著作、
「信長と十字架」がとてつもなく面白い検証をしているからだ。

番組では、ちょっと大げさではあったけれど、
その本を読み解くための歴史初心者向けに、
興味深いイントロダクションをしてくれた。

お正月、日光東照宮で感じた、
世界安寧のために神となった家康、家光、
その発想に、疑問を感じていたことにも繋がってくる。

家康の前には、秀吉、その前には信長がいたのだ。
かの絢爛たる信長を本尊として奉るような安土城に
昇殿し、見た者には、
あそこを目指すことこそが天命、
と思う殿方が登場してもなんの不思議ではない。

何時あんなにとてつもない力が生まれてきたのか、
信長一人の所為ではないだろう。

時代の過渡期、絶対的な力が湧き出てきたのだと思う。

天皇、将軍、武士、お寺の僧、イエズス会の思惑、近隣諸国との関係、
国内の情勢、禅宗、仏教、孔子、公家、堺の豪商、鉄砲の存在・・・
これらがとぐろを巻いて、ひたひたと大きな渦巻きとなっていったのだろう。

本能寺で信長を討った、明智光秀は本当に気の毒な使われ方をした。
光秀の娘、細川家に嫁いだ、細川ガラシャが、父の苦境をなんと思ったことだろう?
この話の中では、本当に単なる駒として、適役となっただけのようなのだ。

秀吉は、神を目指した信長をただ心酔し、目指した。
そう思うと色々合点がいく。
イエズス会のザビエルは日本に布教する手強さを知って、
日本精神の大きな影響を与えている中国を先に制することが、
肝心と思ったらしい。
その夢の実現を前に亡くなったそうだ。
明国を制することが突然秀吉に出てきたのではなかった。

「信長の棺」でも書かれていたが、本能寺のすぐ裏に南蛮寺があった。
地下で繋がっていたことも興味深い。

番組は、安土町がバチカンに行って、
信長が贈ったという安土城の屏風絵を探してもらうことになったことを伝えていた。
今もなお、信長の秘密に心奪われているのだ。
知らない歴史が埋まっている。
明らかになっていくことがワクワクする。

信長に、キリストよりも天皇よりも、上位に身を置くことをさせて、
日本統一を目指し、天下布武を達成し、
安寧、静謐を勝ち取ることをさせたのは、
いったい何者??

立花氏は、淡々と明快に紐解いているようだが、
私には、まだまだ登場人物が頭に入らず、絵が描けないでいるが、
段々解ってきた。

ここで、どなたか、「信長コード」の物語を書いて欲しい。
比叡山焼き討ちも唐突なことではなく、
信長の力を見せつけるべき相手があったのではないだろうかとも。

これは楽しい作業だ。

もう少し、あの時代の渦に目が離せない。

番組のゲストや、スポンサーの使い方には、???だった。
NHKのハイビジョンあたりで、念入りな歴史解読者によって、
丁寧な番組が出来ればいいのに、と思ってしまった。

「信長と十字架」 立花 京子著 集英社新書

追記
何故、私が信長を追いかけているのか、というのは、
利休からのこと。
お茶碗を追いかけることは、利休を追いかけることで、
ついては信長、秀吉を追いかけること、
キリシタン大名のお茶人のことなどなど、気になるのであります。
九州地方もそうとう解らないことだらけ。
先が思いやられるぅ・・・

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