O's Note

いつまで続くか、この駄文

制度作りの難しさ

2008-04-20 22:44:55 | NPOな日々
 今年からお手伝いすることになったあるNPO法人の事業報告・支援報告会に参加しました。
 まずもって、NPO法人がこのような報告会を開催していることに驚きました。というのも、この報告会は参加自由でしかも無料。不特定多数の人たちにみずからの活動を知ってもらうことを目的としたもので、NPO法それ自体がディスクロージャーを指向した内容を持つ法であっても、なかなか不特定多数に向けて報告を行っている法人にお目にかかることはありません。
 NPO法人に限らず、非営利・公益法人に範囲を広げてみても珍しいのではないかと思います。学校法人は非営利法人であるとともに、民法34条によって設立された公益法人とは別に、特別法(私立学校法)によって設立された広義の公益法人として位置付けられます。広義の公益法人という点で、学校法人はNPO法人と変わりありません。しかし学校法人が、学生やその父母、あるいはOB以外の不特定多数に、みずからの事業について定期的に報告会を開催するということを聞いたことがありません。
 このことからも、この法人は、ある意味、「先進的な」試みを行っているといえます。
 会の途中でこの法人が運営する施設の事務長と話をしたのですが、「これは私たちが考えるアカウンタビリティの履行の一つです。」という彼の言葉が印象に残りました。

 ところで、報告会の最後に、フロアから非常に悩ましい質問が発せられました。
 2006年4月から障害者自立支援法が施行されました。障害者支援を行っているNPO法人に聞けば、この法律、「障害者働け働け法」だそうです。簡単にいえば、障害を持っていても働く意欲があり、働く場が提供されていて、労働の対価として給料が支給されるのであれば、どんどん働いてくださいということのようです。
 これ自体は、悪いことではないでしょう。
 また一方で、障害者に対しては基礎年金が支給されます。これもことさらおかしな制度ではありません。
 さて、フロアから発せられた質問は、「現在、うちの娘は障害者年金を受けているが、就労支援を受けてある会社に働くことになっている。この場合、障害者年金を受けることができなくなるのではないか。」というものでした。年金より給料の方が少ないことが明らかで、そうであれば、施設で自立支援の訓練を受けて、ジョブコーチの協力を受けて就職するのは、本人・家族にとっては不本意であるというわけです。
 もちろん、障害者年金は「障害」に着目した年金であり、障害者である限り支給を受けることができると考え、一方、障害者の自立支援はそれとは別、と考えることができます。
 しかし、障害者年金には所得制限があります。もし、せっかく就職してもこの所得制限に引っかかってしまえば、制度上は年金の支給を受けられないかもしれない、という危惧があります。

 小生、残念ながらこのあたりのことは専門外で、黙って質問を聞くしかありませんでしたが、制度作りの難しさや運用の難しさを実感させられました。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
NPOとは (小樽の寅吉)
2008-04-22 12:42:42
ひとつ質問がございます。
NPOのフルネームですが,No Profit Organizationでしょうか,それともNot Profit Organizationでしょうか? 組織維持のために,ある程度の利益は得なければなりませんが,利益稼得を目的としないとうのであれば,後者のほうが適切な気がするのですが・・・
返信する
NPOとは (814)
2008-04-22 13:05:36
内閣府のホームページでは、Non Profit Organizationと表現しています。
またWileyのGAAPではNot-for-Profitと表現しています。
少なくとも、小生自身は、No Profitという表現を使うことはく(他の文献でも使われていないかも)、Not for Profitと表現しています。
返信する

コメントを投稿